美処女高校生の天才女流棋士が転生したら戦国時代だった

lavie800

文字の大きさ
24 / 70

第二十四話

しおりを挟む
津島湊から馬で陸路を移動し、家康一行は浜松城に到着した。陸路の道中は雨が降り続いていて風も強いままだった。

城門の前で一行を堀尾吉晴が出迎えてくれた。
「家康殿、お疲れでしょう。浜松城でゆっくりしてください」
「父上戻りました」
小那姫が堀尾吉晴に元に駆け寄った。
堀尾吉晴は娘の小那姫と抱き合った後で、宗古のほうを向いて言った。
「勝吉殿、宗古殿、客人が待っている」
天気は依然回復せず、南のほうから黒い雲がゆっくりと近づいている。

勝吉と宗古について城の中に入ると、客人ということで石山安兵衛が座っていた。
月の小面消失のからくり木箱をつくった職人のはず。
何故石山安兵衛がいるのだ。確か尾張から肥前に引っ越しをしていたはず。
「肥前で会いました。石山安兵衛でございます。誠に失礼とは存じますが他に頼る者もおらずどうか助けてください」
勝吉が石山安兵衛に先を促した。
「私は、貞を守りたいのです。貞も同じ気持ちです。貞は例のからくり箱を作るときに依頼主に照会されたのですが、いっしょに生活をして仕事をするうちに私は貞に惚れたのです。
貞もそれを受け入れてくれました」
勝吉は石山安兵衛に続きを促した。

「私は貞に夢中になり貞の心も若い体も年柄にもなく愛しました。
貞には月という双子の姉がおり、貞の本名は雪花ということを初めて知ったのです。
貞は甲斐で生まれ、駿河と遠江で育ったそうです。
両親は早くに亡くなり姉妹は来電という男に、歩き巫女の忍びの者として育成されたのだそうです。
貞が言うには、からくり木箱の注文した依頼主は来電という男だそうです。来電の先祖の望月家というのは昔に武田信玄公の一族で、徳川家康殿の家臣に滅ぼされたそうです。
そういう経緯で来電は家康殿に恨みがあり、豊臣家に近づいたと言っておりました。
もともと貞は絵が好きで、忍びの活動には否定的だったそうですが、姉が来電に心酔していて家康殿に与するものを排除しなければならないと思っているようです。
姉に言われるまま、浜松城近くで、夜盗を殺めた忍びの者を始末したり、城内に忍び込んで間諜のようなこともしたりしたことがあると貞は私に正直に話をしてくれました。
そんな私でもいいの、と貞は言いましたが、私は全く気にはならず貞を守りたいと思いました。
貞は私に心も体も開いてくれて、今の忍びの仕事を引退して私に尽くしてくれると誓ったのです」

浜松城で夜盗を捕まえたが忍びの者に殺され、更に忍びの者も何者かによって殺されたが、その犯人が貞だったということなのか。
石山安兵衛は涙を流していた。

「肥前名護屋城に近くに職人の店を構えて貞といっしょに静かに暮らしていこうと決めたのです。そのときに勝吉殿や宗古殿に会いました。
貞は宗古殿を見て、家康殿の屋敷で絵師としてあったことがあるので忍びの者を見破られるのではないかと恐れて逃げたと言っておりました。
そしてそのあとに、からくり木箱の依頼主の来電がやってきたのです。
来電と貞は長く話をしていました。
来電が帰ると貞は私に言ったのです。
『遠江に行って、あるものを手に入れられれば私は自由の身になれる。平戸から大きな安宅船で浜松に移動するがしばらくここで待っていてほしい。あなたといっしょになるための最後の仕事』と。
私は貞に遠江なら私も付いて行くと言いました」
吉川は忍びの者をそんな簡単に抜けられるのかと思い石山安兵衛の顔を見た。

「すぐに二人で平戸を目指して夜中、馬で駆けました。
平戸の安宅船では、漕ぎ手を募集していたので私は漕ぎ手として採用され船に乗り込んだのです。
途中嵐にあいましたが九死に一生を得ました。漕ぎ手は重労働でした。
津島の湊で、貞は来電と月に、私のことを話して遠江に一緒に移動できることになりました。
浜松城の近くについて、来電は浜松城からでてきた女中と話をしていました。そのあとに遠江分器稲荷神社に行くと来電は言っておりました。
貞が私のところに来て囁いたのです。
安兵衛様は浜松城に行き家康様の家来に会って、遠江分器稲荷神社に家来と来てほしい、そして神社にいる私を救ってほしいと」

宗古は急に立ち上がり、城の女中を探しに行った。
女中が宗古といっしょにやってきた。
小那姫も後ろに居た。
「月の知り合いなの。私も月のところに案内しなさい」
宗古が女中と話をしたあと急に叫んだ。
「遠江分器稲荷神社に行かないと。急がないと」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...