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第六十三話 走馬灯
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火縄銃を持って算砂の爆薬に照準を合わせていた忍びの月が顔をしかめて手を一瞬下げた。
村正のレーザ妖刀が、忍びの月の届いたようだ。
吉川が、忍びの月の手に飛びつき火縄銃をもぎ取ろうとしてもみ合いになった。
火縄銃が床に落ち、吉川は火縄銃の上にジャンプして銃を確保した。
「大人しくしろ。そうでないと宗古の命は無いぞ。火縄銃を返してもらおう」
いつの間にか偽算砂の右手で宗古の首を絞め、左手に小刀を持っている。
宗古の手にはスマホがある。
淀君が叫ぶ。
「大野春氏、家康の家臣たち、そこの偽者の囲碁打ちを捕らえなさい。
そこの子供などどうなってもかまわぬ。武家の姫でもない平民の命など惜しくは無い」
吉川は懐に隠している村正の妖刀の刃先をわからないようにして偽算砂の左手に照射する。
偽算砂の左手から小刀が落ちた。
宗古は首を絞められたまま前かがみになり偽算砂を背負い投げで空中に投げつけた。
偽算砂が投げられて空中に一回転している隙に、吉川は隠し持っていた村正の妖刀で偽算砂の腹回りを切り裂いた。
偽算砂が腹の周りに巻いていた爆薬が床に零れ落ちた。
勝吉が飛び込んで爆薬が床に落ちる前に拾って、広間のふすまに向って爆薬を投げつけた。
爆薬はふすまを破って城外に出ていった。
城外で、物凄い衝撃音が聞こえて、城内の大広間にも烈風が吹いてきた。
投げつけられた偽算砂は忍びの月に抱えられながら憤怒の表情で、「一旦撤収するがまた家康を暗殺してやる」と言って、城外に通じる穴の開いた襖に向って飛び込んだ。
襖は大きな穴がぽっくりと開いて城外の様子が見られるようになった。
浜松城と同じように、江戸城の高所の城外にも大凧が用意されている。
偽算砂と忍びの月の二人は大凧に飛び乗って逃げようしている。
忍びの月が何か呪文を唱えると、突然空間から赤い眼をした魔犬ヘルハウンドが現れた。
ヘルハウンドは家康を睨んで、家来と対峙している。周りには硫黄の匂いが漂っている。
ヘルハウンドは吠えると前足で家康の前に居た家来たちをなぎ倒した。
勝吉が日本刀で魔犬に切りかかったが、ヘルハウンドは口で日本刀を掴みそのまま城外で投げ捨て、勝吉もなぎ倒した。
ヘルハウンドは大きな口時庭を向いて家康の首に跳びかかろうとした。
そのとき、宗古がスマホを操作し、吉川の村正の妖刀から赤いレーザビームがヘルハウンドへの後ろ足に当たり、ヘルハウンドのジャンプが少し右に逸れ、家康が辛くも左側に逃げ込んだ。
吉川はそのまま村正の妖刀を構えヘルハウンドに切りかかった。村正の妖刀が水平に流れ、ヘルハウンドの頭と体が真二つに切り裂かれた。
ヘルハウンドの体が音を立てて床に倒れたが、頭は赤い眼が輝き吉川に向って大きな口で跳びかかってきた。
吉川は村正の妖刀を刃先ヘルハウンドの目に向けると刃先が赤く輝き、レーザビームがヘルハウンドの目に命中して頭ごと爆発して粉々になった。
吉川たちが魔犬と戦っている間に、偽算砂と忍びの月は大凧に載って、城外から離れて行っている。
宗古がスマホで風神を呼んだ。胸元から空中水蜘蛛を取り出した。
宗古の胸元には月の小面がある。
浜松城のように人間ドローンで追いかけるのだな。
宗古と吉川も空中水蜘蛛に飛び乗ってスマホの風神を下に向け、上からの風に煽られながら大凧の下の糸付近に飛び乗った。
再び淀君の声がする。
「逃がすのではない。あの大凧を破壊せよ。悪者二人と平民二人を大凧諸共破壊せよ」
淀君が金切り声で「大広間の奥に、江戸城自慢の大砲があるはず。家康殿大砲で撃ち落とせ。太閤殿下の命令よ」と叫んでいる声が吉川に聞こえてくる。
冗談じゃないぞ。
大凧がゆっくりと江戸城を離れ、下は江戸湾に通ずる運河沿いを風にのって動いている。
大野春氏が大砲を大凧に向けて、
「上を狙え、悪党だけを狙え」と叫んでいる。
しかし大凧が下に落ちたらひとたまりも無いぞ。
どうする。宗古の顔を見る。
「大凧から離れるわ。私に捕まって」
宗古と吉川は大凧から離れ、空中でスマホを下に向けて浮かんでいる。
「よし、これで大砲が打てる。発射!」
家康が大野春氏と勝吉に命令した。
大砲が発射され砲弾が大凧に向け飛んでいく。
大凧に命中し、偽算砂と忍びの月は運河に向って落ちて行った。
忍びの月が落ちる前に宗古に向けて手裏剣を投げつける。
「道連れだ」
忍びの月の歪んだ笑みが見て取れた。
手裏剣は宗古の手に当たり、スマホが宗古から離れてスマホが落下する。
空中に浮かんでいた宗古と吉川は風神を失い、スマホの後を追って、二人は頭から落下していく。
宗古はしっかりと吉川に抱きついている。
「ありがとう。戦国時代楽しかったわ。昨夜夫婦になれて本当に良かったわ」
落ちて行くスマホ画面のアイコンが物凄くまばゆく光っている。
王子の鍵アイコンだな、あれは。
運河に落ちる直前に、辺りが白く光って吉川の眼に走馬灯が浮かんだ。
戦国時代に転生した宗桂のおっさんの家、伏見稲荷大社、伏見城、伏見の家康の屋敷、浜松城、遠江分器稲荷神社、肥前名護屋城、石山安兵衛の店、安宅船、王子稲荷神社、江戸城で宗古とともに謎解きをしたシーンが浮かんでくる。
重力がかかり吉川の意識が遠のいていく。
意識を失う直前に、宗古によく似た美人でほっそりとして瞳が大きな大人の女性が子供を連れて今の宗古と吉川を見て微笑んでいるのが見えた。
「母さん。二人は合わさることができたよ」
胸元から月の小面を取り、手にした宗古がつぶやいた。
涙を流す宗古に吉川はキスをした。
そして吉川は気を失った。
村正のレーザ妖刀が、忍びの月の届いたようだ。
吉川が、忍びの月の手に飛びつき火縄銃をもぎ取ろうとしてもみ合いになった。
火縄銃が床に落ち、吉川は火縄銃の上にジャンプして銃を確保した。
「大人しくしろ。そうでないと宗古の命は無いぞ。火縄銃を返してもらおう」
いつの間にか偽算砂の右手で宗古の首を絞め、左手に小刀を持っている。
宗古の手にはスマホがある。
淀君が叫ぶ。
「大野春氏、家康の家臣たち、そこの偽者の囲碁打ちを捕らえなさい。
そこの子供などどうなってもかまわぬ。武家の姫でもない平民の命など惜しくは無い」
吉川は懐に隠している村正の妖刀の刃先をわからないようにして偽算砂の左手に照射する。
偽算砂の左手から小刀が落ちた。
宗古は首を絞められたまま前かがみになり偽算砂を背負い投げで空中に投げつけた。
偽算砂が投げられて空中に一回転している隙に、吉川は隠し持っていた村正の妖刀で偽算砂の腹回りを切り裂いた。
偽算砂が腹の周りに巻いていた爆薬が床に零れ落ちた。
勝吉が飛び込んで爆薬が床に落ちる前に拾って、広間のふすまに向って爆薬を投げつけた。
爆薬はふすまを破って城外に出ていった。
城外で、物凄い衝撃音が聞こえて、城内の大広間にも烈風が吹いてきた。
投げつけられた偽算砂は忍びの月に抱えられながら憤怒の表情で、「一旦撤収するがまた家康を暗殺してやる」と言って、城外に通じる穴の開いた襖に向って飛び込んだ。
襖は大きな穴がぽっくりと開いて城外の様子が見られるようになった。
浜松城と同じように、江戸城の高所の城外にも大凧が用意されている。
偽算砂と忍びの月の二人は大凧に飛び乗って逃げようしている。
忍びの月が何か呪文を唱えると、突然空間から赤い眼をした魔犬ヘルハウンドが現れた。
ヘルハウンドは家康を睨んで、家来と対峙している。周りには硫黄の匂いが漂っている。
ヘルハウンドは吠えると前足で家康の前に居た家来たちをなぎ倒した。
勝吉が日本刀で魔犬に切りかかったが、ヘルハウンドは口で日本刀を掴みそのまま城外で投げ捨て、勝吉もなぎ倒した。
ヘルハウンドは大きな口時庭を向いて家康の首に跳びかかろうとした。
そのとき、宗古がスマホを操作し、吉川の村正の妖刀から赤いレーザビームがヘルハウンドへの後ろ足に当たり、ヘルハウンドのジャンプが少し右に逸れ、家康が辛くも左側に逃げ込んだ。
吉川はそのまま村正の妖刀を構えヘルハウンドに切りかかった。村正の妖刀が水平に流れ、ヘルハウンドの頭と体が真二つに切り裂かれた。
ヘルハウンドの体が音を立てて床に倒れたが、頭は赤い眼が輝き吉川に向って大きな口で跳びかかってきた。
吉川は村正の妖刀を刃先ヘルハウンドの目に向けると刃先が赤く輝き、レーザビームがヘルハウンドの目に命中して頭ごと爆発して粉々になった。
吉川たちが魔犬と戦っている間に、偽算砂と忍びの月は大凧に載って、城外から離れて行っている。
宗古がスマホで風神を呼んだ。胸元から空中水蜘蛛を取り出した。
宗古の胸元には月の小面がある。
浜松城のように人間ドローンで追いかけるのだな。
宗古と吉川も空中水蜘蛛に飛び乗ってスマホの風神を下に向け、上からの風に煽られながら大凧の下の糸付近に飛び乗った。
再び淀君の声がする。
「逃がすのではない。あの大凧を破壊せよ。悪者二人と平民二人を大凧諸共破壊せよ」
淀君が金切り声で「大広間の奥に、江戸城自慢の大砲があるはず。家康殿大砲で撃ち落とせ。太閤殿下の命令よ」と叫んでいる声が吉川に聞こえてくる。
冗談じゃないぞ。
大凧がゆっくりと江戸城を離れ、下は江戸湾に通ずる運河沿いを風にのって動いている。
大野春氏が大砲を大凧に向けて、
「上を狙え、悪党だけを狙え」と叫んでいる。
しかし大凧が下に落ちたらひとたまりも無いぞ。
どうする。宗古の顔を見る。
「大凧から離れるわ。私に捕まって」
宗古と吉川は大凧から離れ、空中でスマホを下に向けて浮かんでいる。
「よし、これで大砲が打てる。発射!」
家康が大野春氏と勝吉に命令した。
大砲が発射され砲弾が大凧に向け飛んでいく。
大凧に命中し、偽算砂と忍びの月は運河に向って落ちて行った。
忍びの月が落ちる前に宗古に向けて手裏剣を投げつける。
「道連れだ」
忍びの月の歪んだ笑みが見て取れた。
手裏剣は宗古の手に当たり、スマホが宗古から離れてスマホが落下する。
空中に浮かんでいた宗古と吉川は風神を失い、スマホの後を追って、二人は頭から落下していく。
宗古はしっかりと吉川に抱きついている。
「ありがとう。戦国時代楽しかったわ。昨夜夫婦になれて本当に良かったわ」
落ちて行くスマホ画面のアイコンが物凄くまばゆく光っている。
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運河に落ちる直前に、辺りが白く光って吉川の眼に走馬灯が浮かんだ。
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意識を失う直前に、宗古によく似た美人でほっそりとして瞳が大きな大人の女性が子供を連れて今の宗古と吉川を見て微笑んでいるのが見えた。
「母さん。二人は合わさることができたよ」
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