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第三話
しおりを挟む美鶴に言われて、吉川も息をしていない横たわっている男性の髪の毛や顔をまじまじと見つめてみた。
確かに、顔の造作も将棋部の顧問に似ているが微妙に眉毛や髭の毛を見ると、ほとんど真っ白だ。
記憶にある将棋部の顧問の髪は白黒交じりのグレーになっていたはず。
「美鶴、確かにこの男性は顧問に似ているが顧問ではないかもしれないな。それからさっき携帯電話を見て変な事を言っていたよな。」
吉川は、大内に声をかけながら剣道部の先輩から聞いた不思議な話を思い出していた。
「大内、あの剣道部の鈴木先輩知っているよな」
「ああ、知っているよ」
「鈴木先輩が言っていたのだが、今から二十数年以上も前に、僕たちの高校の校長先生が突然行方不明になったらしい。その後しばらくして校長が所有していた別荘で、誰かに刺されて死んでいたと言う話だよ。その別荘は緑の壁に覆われていたらしい。校長を刺した犯人は捕まっていないらしい」
「確かに鈴木先輩はその話が好きみたいでいろんな人に話をしていたみたいだね」
大内は吉川にそう答えた。
吉川は美鶴を見て話を続けた。
「容疑者として、別荘に招かれていた将棋の赤龍戦で優勝した女流棋士と校長がお金を貸していたアマ将棋名人の女性と校長の友人の男性と校長の弟の四人が挙がっていたらしい。
また、校長とその弟は女流棋士を巡ってトラブルになっていたらしい。
校長の友人と言う容疑者も何やら東京の山奥にねむっている昔の埋蔵品を探していた怪しげなトレジャーハンターだったらしい。
ただが決め手や証拠がないまま迷宮入りしたらしいと鈴木先輩から何回も聞いたのだ。
大内も同じ話だった?」
「大体同じだよ。その鈴木先輩が怪しげなトレジャーハンターが近所にいたから、近所の人からよく噂話を聞いたと言っていたよ。鈴木先輩も昔のお宝に興味が有るって言っていたよ。だから気になるみたいだ」
美鶴が話を割って話しかけてきた。
「という事は、息をしていない白髪の男性はその時の校長なの?
そして私たちは、令和から約二十年前にタイムスリップしたって言うことかしら。
面白いわ。謎も犯人もといちゃいましょうよ。
謎が解けたら私たちも令和に戻れるかもしれないわ。きっとそうよ。そういうことなのよ。
校長か校長の弟さんが謎を解くために私たちを呼び寄せたのよ。校長の弟さんが我が将棋部の顧問なのね。だから風貌が似ているんだわ」
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