快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体

sky-high

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流浪の如く

頼む、少しだけアパートに住ませてくれ!

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カラオケに行くつもりは無い。

他の四人とは、居酒屋で別れた。

それにしても、ナツは何で、あんな淋しげな目をしてるんだろうか。
笑っても、目だけは笑ってない。

…どうせ、この先会うことは無いだろうから、関係無い。


それより、こんな遅い時間になってしまった。
早く帰って寝ないと、明日は寝坊してしまう。





…結局朝起きたはいいが、チョー寝不足だ。
これじゃ運転なんかしても途中で居眠りしそうだ。

申し訳ないと思いつつ、会社に連絡し、体調不良の為、休むと伝えた。

アイツは、ちゃんと仕事に行ったのだろうか。

その日はひたすら寝て、夕方に起きて、冷蔵庫の中にある残り物で飯を食い、全く外に出ないで一日が終わった。

翌朝、会社に行ってみると、山下は昨日退職したという。

「全く、ろくに仕事もしないで、休んでばかりでもう辞めるだなんて、言ってきやがって…ああいうのは、どこに行っても勤まらないな」

上司が愚痴をこぼしていた。

…アイツとも、会うことは無いだろうから、どうでもいいんだが。

今日も自販機の中の飲料水を補充する。

季節によっては、中々売れない物もある。

暑い時期なんかは、ホットの商品、寒い時期は、冷たい飲み物が売れ残ったりする。

同然なのだが、その賞味期限なんかもチェックしなきゃならない。

しかし、思った程以上の重労働だ。下手すると腰を痛めてしまう。

一仕事終えた頃、スマホに不在着信の表示がしてあった。

山下からだ。


一体、何の用だ。

山下に電話をかけた。


【ふぁい、もしもし】

「呑気に寝てんじゃねえよ、仕事辞めやがって」

【オレには、あんな仕事向いてないって事だよ】

「で、何の用だよ?」

【いやぁ、この前の飲み会にいた真ん中の女いたじゃん?】

真ん中?あの豚みたいな女か。

「それがどうしたっていうんだ?」

【オレ、アイツと付き合って、アイツの住んでるアパートに転がりこんでたんだけどさ】

「お前、あの女と付き合ってたの?」

…随分と物好きなヤツだ。

【そうだよ。それで、あれからケンカしちゃってさぁ、出ていけって言われたんだけど…住むとこが無くてさぁ。んで、悪ぃんだけど、お前んとこのアパートに少しだけ居させてくんないかな?】

「はぁ?」

【なぁ、頼むよ。オレ、住むとこ無くて困ってんだよ】

「おい!オレはお前といつ友達になったんだよ?住むとこが無いなら住み込みの仕事探せ!」

【んなこと言うなよ。なっ、頼むよ…】

「お前、随分と図々しいヤツだな」

【すぐ仕事見つけて住む場所探すから!なっ、少しの間だけでいいから頼む!】

…ったく面倒なヤツだ。

「随分図々しいヤツだな!」

【いやぁ、今まで夜の仕事してたんだけどさぁ、あの女が働いていたキャバクラのボーイやってたんだけど、アイツに手出しちゃって、店ではボーイとキャバ嬢との間で恋愛は禁止って言われたんだけど、バレてクビになったんだよ】

「お前、相当なバカだろ?」

【うるせーなっ!しょうがねえだろ、好きになったんだから!】

「そりゃ自業自得だ!今から謝って許してもらえ」

【無理だってば!】

「何でだよ?」

【いや、あのもう1人いただろ、ちょっと面長な感じの女】

誰だ?ナツか?それとも馬面の女か?

「それがどうしたんだよ?」

【ソイツにも手を出してのがバレてさぁ…】

何やってんだ、一体…
基本的にヒモ体質なのかもしれない。

「それなのに、よく飲み会にその二人誘ったなぁ?どういう神経してんだ、お前」

【仕方ねえだろ、どうしても行きたいって言うんだからよ】

…ダメだコイツ。

「ふぅ~ん、成る程」

【なぁ、だから頼むよ…】

「だが、断る!」

【何でだよ?いいじゃねえか、少しの間ぐらい!】

「ふざけんな、こっちはオレ一人食っていくだけでも大変なんだそ!それとも何か、お前が飯の面倒見てくれるのか?家賃半分出せるのか?それなら住まわせてやってもいいぞ」

【…オレもそんなに金無いんだよ。あったら、とっくに部屋借りてるよ】

「冗談じゃねえぞ、そんなビンボー人住ませて何の得になるんだ、バカヤロー!」

【…よし、わかった!飯代は出そう!それでどうだ?】

…イヤなヤツに目を付けられたもんだ。

「…じゃた一週間な!一週間過ぎたら出ていけよ」

【一週間?無理だよ、そんなに短い期間じゃ!】

「…じゃ、この話は無かった事にしてもらう、じゃあな」

【わかった!わかったから、それで頼む、お願いします!】

結局、男同士の生活がスタートした。

コイツは、間違いなくオレにとっては疫病神に違いない…
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