153 / 189
顔を変えた過去
7年前の達也
しおりを挟む
オレはこの惨状の中、1人で呆然と立ち尽くしていた。
山下とナツ…
酷い殺され方だ。
何故、あの時すぐに殺さなかったのか?
問答無用に、刃を突き刺せば良かったものを…
オレは自分を責めた。
何故…何で、何やってんだお前は!
もう少しで、アイツを地獄へ突き落とす絶好の機会だったのに!
…しかし逃げられた。アイツの次のターゲットは多分、沢渡さんだ。
早く伝えなきゃ…
その前に、二人の遺体を…
その時、車のエンジン音がコンテナ越しに聞こえた。
…警察か?いや、それは無いだろう。
それとも兄か?
オレはコンテナの中から、外の様子を伺った。
一台の黒の高級車だ。
中からスーツを着た人物が3人降りた。
誰だ、暗くてよく見えない。
「おい、中を開けるんだ!」
オレはコンテナの扉を開けた。
「うゎっ、頭がっ!」
「首が無いっ!」
駆けつけたのは、沢渡さんとその部下達だった。
「…これは…」
あまりの惨状に、沢渡さんも声を失う程だ。
「殺られました…アイツ、生きてやがった!」
「何っ?アイツって…」
沢渡さんは信じられない、というような表情をしていた。
「アイツが、この二人を…」
「…とにかく、この状況を何とかしないと」
部下の一人がどこかに連絡している。
「どういう事なんだ、一体?何故こんな事に」
「…これで二人の首を」
オレは手にしていた刀を渡した。
「…一つ確認したいんだが…」
沢渡さんはオレを疑っているのだろう。
無理もない、死んだはずの兄が生きて、二人の首をはねるだなんて言っても、信じてもらえないだろう。
「これは君が殺ったんじゃないんだな?」
「…はい、あの男が顔を変えて、この二人を」
「顔?」
沢渡さんにはいまいちピンとこなかったらしい。
「アイツ整形して、顔を変えてたんです!」
「そんなバカな!じゃあ、あの時列車に轢かれたのは…」
沢渡さんは驚愕の事実に、ただ驚くばかりだ。
「ヤツの友人です…」
言っても信じてもらえないか…
「と、とにかく、この遺体を片付けないと」
「…何故、沢渡さんはここに?」
「彼のスマホには、GPS機能が付いているからな。こうやって彼を管理していたんだが、発信場所がこんな辺鄙な所だったから、おかしいと思って、駆けつけたんだが…まさか、こんな事になってるとは」
「…」
「亮輔くん、詳しい話は後で聞こう!とりあえず今はこの二人の遺体を…」
「…はい」
オレたちは首の無い二人の遺体を、ゴルフバッグに無理矢理押し込めた。
ナツ…こんな姿に変わり果ててしまって。
そして山下…お前まで巻き込んでしまった…
オレは泣いて泣いて、泣き疲れるまで泣いた。
もう泣くまいと思っていたのに、まだ涙が流れてくる。
「よし、これで大丈夫だ、とにかく早くここを出よう」
遺体は沢渡さんの手配で、何人かの人達があっという間にワンボックスカーに乗せ、コンテナの中をキレイに掃除した。
まるで、何も無かったかのように片付けられた。
さすが、裏の世界にも顔が利く人だ。
床に溜まった血をキレイに拭き取った。
そういう役目の人も常にいるのか…
「…亮輔くん、あのヤローが生きてたって、どういう事なんだ?」
車内でナツの部屋にいた時からの経緯を話した…
(話は7年前に遡る)
何故、達也は顔を変えて生きているのか。
それは僅か19才で、母千尋の会社を乗っ取り、社長に君臨して、我が物顔で意のままに操り、鴨志田を消し去った頃の話だ。
山下とナツ…
酷い殺され方だ。
何故、あの時すぐに殺さなかったのか?
問答無用に、刃を突き刺せば良かったものを…
オレは自分を責めた。
何故…何で、何やってんだお前は!
もう少しで、アイツを地獄へ突き落とす絶好の機会だったのに!
…しかし逃げられた。アイツの次のターゲットは多分、沢渡さんだ。
早く伝えなきゃ…
その前に、二人の遺体を…
その時、車のエンジン音がコンテナ越しに聞こえた。
…警察か?いや、それは無いだろう。
それとも兄か?
オレはコンテナの中から、外の様子を伺った。
一台の黒の高級車だ。
中からスーツを着た人物が3人降りた。
誰だ、暗くてよく見えない。
「おい、中を開けるんだ!」
オレはコンテナの扉を開けた。
「うゎっ、頭がっ!」
「首が無いっ!」
駆けつけたのは、沢渡さんとその部下達だった。
「…これは…」
あまりの惨状に、沢渡さんも声を失う程だ。
「殺られました…アイツ、生きてやがった!」
「何っ?アイツって…」
沢渡さんは信じられない、というような表情をしていた。
「アイツが、この二人を…」
「…とにかく、この状況を何とかしないと」
部下の一人がどこかに連絡している。
「どういう事なんだ、一体?何故こんな事に」
「…これで二人の首を」
オレは手にしていた刀を渡した。
「…一つ確認したいんだが…」
沢渡さんはオレを疑っているのだろう。
無理もない、死んだはずの兄が生きて、二人の首をはねるだなんて言っても、信じてもらえないだろう。
「これは君が殺ったんじゃないんだな?」
「…はい、あの男が顔を変えて、この二人を」
「顔?」
沢渡さんにはいまいちピンとこなかったらしい。
「アイツ整形して、顔を変えてたんです!」
「そんなバカな!じゃあ、あの時列車に轢かれたのは…」
沢渡さんは驚愕の事実に、ただ驚くばかりだ。
「ヤツの友人です…」
言っても信じてもらえないか…
「と、とにかく、この遺体を片付けないと」
「…何故、沢渡さんはここに?」
「彼のスマホには、GPS機能が付いているからな。こうやって彼を管理していたんだが、発信場所がこんな辺鄙な所だったから、おかしいと思って、駆けつけたんだが…まさか、こんな事になってるとは」
「…」
「亮輔くん、詳しい話は後で聞こう!とりあえず今はこの二人の遺体を…」
「…はい」
オレたちは首の無い二人の遺体を、ゴルフバッグに無理矢理押し込めた。
ナツ…こんな姿に変わり果ててしまって。
そして山下…お前まで巻き込んでしまった…
オレは泣いて泣いて、泣き疲れるまで泣いた。
もう泣くまいと思っていたのに、まだ涙が流れてくる。
「よし、これで大丈夫だ、とにかく早くここを出よう」
遺体は沢渡さんの手配で、何人かの人達があっという間にワンボックスカーに乗せ、コンテナの中をキレイに掃除した。
まるで、何も無かったかのように片付けられた。
さすが、裏の世界にも顔が利く人だ。
床に溜まった血をキレイに拭き取った。
そういう役目の人も常にいるのか…
「…亮輔くん、あのヤローが生きてたって、どういう事なんだ?」
車内でナツの部屋にいた時からの経緯を話した…
(話は7年前に遡る)
何故、達也は顔を変えて生きているのか。
それは僅か19才で、母千尋の会社を乗っ取り、社長に君臨して、我が物顔で意のままに操り、鴨志田を消し去った頃の話だ。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる