仲村慶彦の憂鬱な日々 社会人編

どうやったら卒業できるか

女好きの上司

翌朝、いつものように会社へ向かった。

これでも一応は社会人だ。

しかし、泡沫がニートだったとは…

オレみたいなポンコツでも社会人やってるのに、働いてないなんてふざけたヤローだ！

まぁいい、アイツは永久追放だ！


さて、今日も夕方まで地味～に仕事すっかな。


「仲村」

「はい！」

今呼んだのは上司の野村だ。

確か42才で厄年のハズ。

「お前か、この発注受けたのは？」

発注？伝票に目をやる。


確か、何日か前に発注受けたヤツだ。

「あ、はい…そうです」

「お前、発注の数間違えてんぞ！オレが気づかなかったらエライ事になってたぞ！」


マジで？

「あ…は、はい…すみません」

「オメーみたいなヤツはこうしてやる、ﾜﾊﾊﾊﾊ！」

「痛い、いたたたたぃ、ギブ、ギブ～っ！！」

コブラツイストを掛けてきた。


身体が硬いオレにはかなり痛い！


だが、オレは野村に可愛がってもらっている。

野村はバツイチで、元嫁との間にはJkの一人娘がいる。

その一人娘の家庭教師をしていたのが、妹の亜美だ！

何て狭い世の中なんだ！

高校の頃は、半径5キロ圏内の狭いヤツだと嘆いていたが、大人になった今でも行動範囲が狭い！


…休日はほぼ引きこもりな生活してるから…



オレは去年から念願の一人暮らしを始めた。


とはいえ、実家から僅か数十メートル離れた、六畳一間のアパートなんだが。


帰りは実家で飯を食い、風呂入ってからアパートに帰るという、一人暮らしなのに、一人暮らしらしい事は何一つしていない！



だが！オレは一人暮らしをしたかった！

一人暮らしをすれば、妹に気兼ねなくＡＶが観れるからだ！



妹の亜美は今年大学を卒業し、某一流企業の受付嬢をやっている。

オレと違い容姿端麗、才色兼備…まぁ、我が妹ながら出来は良いと思う。

出来の悪いオレとはエライ違いだ。

多分彼氏もいると思う。


一人暮らしをする原因になったのも、亜美の存在が日に日にウザくなったからだ！

ＡＶ観てるのを見計らって部屋に入ってくるという、卑怯極まりない行動！

お楽しみの時間を奪い、挙げ句の果てには、この事をバラすと言って小遣いを巻き上げる鬼畜すぎる妹だ！

あんなヤツと一緒にいたら、気が休まらない！

だからオレは一人暮らしを始めた。


こんな調子だから、学生時代から何一つ変わらない生活を送っている。


話が大分逸れたな…


話を野村に戻そう。

離婚した理由が【性格の不一致】という事らしい。

しかし、性格の不一致って何だ？

性格合わないで結婚するもんかな？


後付けっぽい理由で、釈然としないなぁ。

多分野村の事だから、女遊びが原因で離婚を突きつけられたんだろな。

体裁上、性格の不一致という事なんだろな。

だけどオレは野村がキライではない。

むしろ好きな上司と言ってもよい。

それは、よくオレにご馳走してくれるからだ！

よくオレを連れては、飲みに行ったりする。

オレは奢ってくれる人が大好きだ！

タダ酒バンザーーイ！


しかし、この男は無類のキャバクラ好きだ。

オレを誘って行こうとするのだが、持病の【女の前でコミュ症になる】が原因で、やんわりと断っている。

オレもコミュ症という病に冒されてなければ行きたいんだが、こればっかはどうにもならん！