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第4話 誰に投票しますか?
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学級裁判開廷
と、いうわけで始まったのだが・・・
「開廷っていわれてもー(陽奈子)」
「何から話せばいいのー?(李奈子)」
伊東姉妹のしゃべったことが全員に共通していた。
「じゃあ、俺から言っておく。」と杉本は言うと、彼女のほうを向いて言った。
「あいつに投票しろ!クロはあいつに違いねえ!」
当の本人は、
「別にそうしたいなら、そうしなさい。私は皆で生き残る方法を考えたいのに。(羽ノ下)」
すると、「僕もそう思うな。それに、簡単に切り捨てる策はいいとは思えない。」と滝が言った。それに、「俺も同感だ。できる限り最善を尽くすべきだと思う。」と山崎も言った。
「まあ、聞いてやろうぜ。ガッツ。」と根条も聞いてくれるようになった。
と、いうわけで
萌宮ほむら殺人の推理が始まった。
「死因は絞殺なんだよな。(鳥八)」
「絞められた跡があったのか?(総條)」
「ええ、首に絞められた跡があった。そして、現場にはバドミントンのネットがあった。おそらく、それが武器だと思うわ。(羽ノ下)」
「ああ?別にネットじゃなくても、絞められた物があるだろ。(杉本)」
「いや、杉本くん。この学校にはそれ以外にそれっぽい道具はないよ。(七瀬)」
この学校にはロープなどの道具がなかった。よって、絞められた物はネット以外に存在しない。
では、話を展開させていく。
そんな中である疑問が浮かんできた。
「今更だけど、なんで萌宮さんの研究室はあの時開いてたんだろう?(滝)」
ここで一度ドアの構造について確かめておく。ドアは基本、鍵で開く。鍵は現場にはなく、犯人に持ち去られたものと考えられる。また、内鍵が存在しており、これは内側から簡単に掛けられる。
「萌宮が自分から行かない限り、扉は開かねえだろ。(杉本)」
「そのとおり、彼女は自らその部屋に行ったのよ。」
そう言ったのは羽ノ下だった。
「どういうことだよ・・・ガッツ・・・(根条)」
「単純なことよ。彼女は七瀬さんたちが監視をする前にもうすでに部屋にいたの。そして・・・そのときにはすでに死んでいた。」
「・・・なっ!?」「ウソ!?」
羽ノ下曰く、死亡推定時刻は21:40
七瀬たちが監視を始めたのは22:00であるため、間違いなくすでに死亡している。
「そして、この写真を見てほしいの。」
提示した写真に写っていたのは
「・・・・・」
萌宮の死体付近であるが、
「・・・皆、ここ!(七瀬)」
なんと、萌宮の死体の奥の壁が隠し扉になっていたのだ。
「その先の部屋も写真を撮ってあるわ。」
その部屋は厨房のようになっていた。
その部屋の隠し扉ではない通常の入口には
「5~>29」という暗号があった。
「萌宮さんの部屋の扉にも暗号があったね(滝)」
それは「29~>5」というものだった。
「つまり、萌宮さんには二つの部屋が繋がってるということが分かるようになっていたのよ。(羽ノ下)」
(・・・ちょっと待って。それじゃあ、まるで・・・)
「萌宮さんが・・・今回の犯人を殺そうとした・・・?(七瀬)」
「え?」「ウソでしょ?」
「私も同意見だわ。そうじゃなければ、この状況にはならなかったもの。(羽ノ下)」
「・・・で、その犯人は・・・?(吉村)」
「七瀬さん・・・あなたにはもう暗号の意味が解読できているのでしょう?(羽ノ下)」
そうだ。もう分かっている。だからこそ、犯人を当てなければならない。
「萌宮さんを殺した犯人は・・・」
「君なんだよね・・・大野賢くん。」
ザワザワ
クラス中が犯人、大野賢に視線を移す。
「・・・マ、マジかよ・・・(比村)」
「な・・・お、大野?(野元)」
大野は
「や・・・やめろよ。俺が犯人?冗談・・・だよな?」
「認めないのね?(羽ノ下)」
「当たり前だろうが!(大野)」
「まず、暗号だけど、29と5は部屋番号を意味してて、その部屋番号は・・・私たちの出席番号でもあるんだよ。(七瀬)」
「そして、番号の間にあった~>だけど、よく見たら→を指しているのではないかしら。」
「ああ!?そんなのただの推論だろ!だいたい俺はあの部屋に一度も行ってないどころか、俺の部屋の存在すら今知ったんだぜ!(大野)」
「そうね。あなたは自分の部屋には行ってない。でも、萌宮さんの部屋に行ったことで事件が起こったのよ。(羽ノ下)」
「これは私が今推理して考えたことだけど、萌宮さんは大野くんの部屋である、寿司厨房から魚をさばくための包丁を持ち出した。そして、大野くんを萌宮さんの部屋に呼び出し、そこで大野くんを襲った。大野くんは抵抗して、包丁を奪い、ネットで萌宮さんを殺した。その後は萌宮さんの部屋の鍵を盗み出したうえで、隠し扉から脱出。大野くんの部屋から脱出すればいい。大野くんの部屋の鍵なら大野くん自身が持っているからね。・・・どうかな?(七瀬)」
「確かに筋は通っているな。大野が瀕死になりかけたなら、包丁ではなくネットで反撃したということもあり得る。(山崎)」
「どうなんだよ大野!反論してみろよ!(シュガルツ)」
「反論もなにも全部ちげえよ!俺は萌宮の部屋になんて行ってねえ!(大野)」
やっぱり認めないよね。やはり、この手でいくしかない。
「じゃあ、大野くん。君の体を見せてよ。君が無傷なら、萌宮さんからの攻撃を受けていない証拠になるよね。(七瀬)」
「・・・・・!」
大野は抵抗しなかった。脇腹には包丁でやられたであろう古くない傷があった。
「・・・・・大野くん。(七瀬)」
「・・・・・俺が萌宮を殺したんだ。(大野)」
「・・・サイテー。(東雲)」
「・・・なんで殺したのよ。(星川)」
「仕方なかったんだよ!アイツを殺さなきゃ俺が殺されてたんだ。必死に説得したけど、攻撃を受けて、ここで殺さなきゃ俺が殺されると思ったんだよ!」
「・・・・・大野くん(七瀬)」
ジリリリリリ
突然、ベルが鳴った。
黒板に字が映し出される。
「時間になりました。これより投票を行います。全員、誰か一人に投票してください。」
そして、ケータイ画面が
「投票タイム」という画面に変わり、クラスメイトの一覧が現れた。
「・・・・・」教室内に静寂が流れる。全員の意見は完全一致だった。
数分後、再び画面が変わり、「全員の投票を確認しました。結果を発表します。」と出た。
トウヒョウケッカ
大野賢 31票
大野賢の処刑を行います。
「・・・・・処・・・刑。」
ルールに書かれていた処刑が行われる。大野は完全に硬直していた。涙を流している。
「・・・自分がやったことは分かってる。これはその報いなんだよな・・・皆・・・本当にごめんな。」
次の瞬間、大野の立っていた床がなくなり、大野は下に落ちた。
そして、黒板に映像が映し出される。そこには大きなまな板の上で動けなくなっている大野がいた。
「大野!」「大野くん!」クラスメイトの声は彼にはもう届かない。
次の瞬間、巨大な包丁が現れ、彼を魚のようにさばいた。
「キャーーーッ!!!」悲鳴をあげる生徒もいた。「・・・・・」ただただ呆然としている生徒もいた。
七瀬は涙を流しながら、その様子を見ていた。
大野が三枚になってしまったあたりで映像は途絶えた。
「・・・・・」クラスが完全に凍りついた。
黒板に文字が浮かぶ。
「以上で学級裁判は終了です。お疲れ様でした。」
そして、閉ざされていた扉が解放された。
クラスメイトは誰一人として出ようとしない。
そんななか、一人だけ出ていこうとした生徒がいた。「・・・・・羽ノ下さん(七瀬)」
「・・・・・いつまでそうしているつもりなの?(羽ノ下)」「だって・・・大野くんが死んだんだよ!(相田)」
すると、羽ノ下は
「彼が本当にこうなることを望んで自首したと思うの?彼はあなたたちに生き残ることを望んだはずよ!(羽ノ下)」
「羽ノ下のいうとおりだな。ガッツ。(根条)」
「大野のためにも俺たちは生き残らねぇとな。(鳥八)」
羽ノ下の一言で全員が徐々に気を取り直していく。
「そうだね。もう二度とここに来ないようにしないと。(七瀬)」
こうして、私たちの学級裁判は幕を閉じた。
でも、これがまだ始まりにすぎないことをこのとき私は知らなかった。
第5話に続く
と、いうわけで始まったのだが・・・
「開廷っていわれてもー(陽奈子)」
「何から話せばいいのー?(李奈子)」
伊東姉妹のしゃべったことが全員に共通していた。
「じゃあ、俺から言っておく。」と杉本は言うと、彼女のほうを向いて言った。
「あいつに投票しろ!クロはあいつに違いねえ!」
当の本人は、
「別にそうしたいなら、そうしなさい。私は皆で生き残る方法を考えたいのに。(羽ノ下)」
すると、「僕もそう思うな。それに、簡単に切り捨てる策はいいとは思えない。」と滝が言った。それに、「俺も同感だ。できる限り最善を尽くすべきだと思う。」と山崎も言った。
「まあ、聞いてやろうぜ。ガッツ。」と根条も聞いてくれるようになった。
と、いうわけで
萌宮ほむら殺人の推理が始まった。
「死因は絞殺なんだよな。(鳥八)」
「絞められた跡があったのか?(総條)」
「ええ、首に絞められた跡があった。そして、現場にはバドミントンのネットがあった。おそらく、それが武器だと思うわ。(羽ノ下)」
「ああ?別にネットじゃなくても、絞められた物があるだろ。(杉本)」
「いや、杉本くん。この学校にはそれ以外にそれっぽい道具はないよ。(七瀬)」
この学校にはロープなどの道具がなかった。よって、絞められた物はネット以外に存在しない。
では、話を展開させていく。
そんな中である疑問が浮かんできた。
「今更だけど、なんで萌宮さんの研究室はあの時開いてたんだろう?(滝)」
ここで一度ドアの構造について確かめておく。ドアは基本、鍵で開く。鍵は現場にはなく、犯人に持ち去られたものと考えられる。また、内鍵が存在しており、これは内側から簡単に掛けられる。
「萌宮が自分から行かない限り、扉は開かねえだろ。(杉本)」
「そのとおり、彼女は自らその部屋に行ったのよ。」
そう言ったのは羽ノ下だった。
「どういうことだよ・・・ガッツ・・・(根条)」
「単純なことよ。彼女は七瀬さんたちが監視をする前にもうすでに部屋にいたの。そして・・・そのときにはすでに死んでいた。」
「・・・なっ!?」「ウソ!?」
羽ノ下曰く、死亡推定時刻は21:40
七瀬たちが監視を始めたのは22:00であるため、間違いなくすでに死亡している。
「そして、この写真を見てほしいの。」
提示した写真に写っていたのは
「・・・・・」
萌宮の死体付近であるが、
「・・・皆、ここ!(七瀬)」
なんと、萌宮の死体の奥の壁が隠し扉になっていたのだ。
「その先の部屋も写真を撮ってあるわ。」
その部屋は厨房のようになっていた。
その部屋の隠し扉ではない通常の入口には
「5~>29」という暗号があった。
「萌宮さんの部屋の扉にも暗号があったね(滝)」
それは「29~>5」というものだった。
「つまり、萌宮さんには二つの部屋が繋がってるということが分かるようになっていたのよ。(羽ノ下)」
(・・・ちょっと待って。それじゃあ、まるで・・・)
「萌宮さんが・・・今回の犯人を殺そうとした・・・?(七瀬)」
「え?」「ウソでしょ?」
「私も同意見だわ。そうじゃなければ、この状況にはならなかったもの。(羽ノ下)」
「・・・で、その犯人は・・・?(吉村)」
「七瀬さん・・・あなたにはもう暗号の意味が解読できているのでしょう?(羽ノ下)」
そうだ。もう分かっている。だからこそ、犯人を当てなければならない。
「萌宮さんを殺した犯人は・・・」
「君なんだよね・・・大野賢くん。」
ザワザワ
クラス中が犯人、大野賢に視線を移す。
「・・・マ、マジかよ・・・(比村)」
「な・・・お、大野?(野元)」
大野は
「や・・・やめろよ。俺が犯人?冗談・・・だよな?」
「認めないのね?(羽ノ下)」
「当たり前だろうが!(大野)」
「まず、暗号だけど、29と5は部屋番号を意味してて、その部屋番号は・・・私たちの出席番号でもあるんだよ。(七瀬)」
「そして、番号の間にあった~>だけど、よく見たら→を指しているのではないかしら。」
「ああ!?そんなのただの推論だろ!だいたい俺はあの部屋に一度も行ってないどころか、俺の部屋の存在すら今知ったんだぜ!(大野)」
「そうね。あなたは自分の部屋には行ってない。でも、萌宮さんの部屋に行ったことで事件が起こったのよ。(羽ノ下)」
「これは私が今推理して考えたことだけど、萌宮さんは大野くんの部屋である、寿司厨房から魚をさばくための包丁を持ち出した。そして、大野くんを萌宮さんの部屋に呼び出し、そこで大野くんを襲った。大野くんは抵抗して、包丁を奪い、ネットで萌宮さんを殺した。その後は萌宮さんの部屋の鍵を盗み出したうえで、隠し扉から脱出。大野くんの部屋から脱出すればいい。大野くんの部屋の鍵なら大野くん自身が持っているからね。・・・どうかな?(七瀬)」
「確かに筋は通っているな。大野が瀕死になりかけたなら、包丁ではなくネットで反撃したということもあり得る。(山崎)」
「どうなんだよ大野!反論してみろよ!(シュガルツ)」
「反論もなにも全部ちげえよ!俺は萌宮の部屋になんて行ってねえ!(大野)」
やっぱり認めないよね。やはり、この手でいくしかない。
「じゃあ、大野くん。君の体を見せてよ。君が無傷なら、萌宮さんからの攻撃を受けていない証拠になるよね。(七瀬)」
「・・・・・!」
大野は抵抗しなかった。脇腹には包丁でやられたであろう古くない傷があった。
「・・・・・大野くん。(七瀬)」
「・・・・・俺が萌宮を殺したんだ。(大野)」
「・・・サイテー。(東雲)」
「・・・なんで殺したのよ。(星川)」
「仕方なかったんだよ!アイツを殺さなきゃ俺が殺されてたんだ。必死に説得したけど、攻撃を受けて、ここで殺さなきゃ俺が殺されると思ったんだよ!」
「・・・・・大野くん(七瀬)」
ジリリリリリ
突然、ベルが鳴った。
黒板に字が映し出される。
「時間になりました。これより投票を行います。全員、誰か一人に投票してください。」
そして、ケータイ画面が
「投票タイム」という画面に変わり、クラスメイトの一覧が現れた。
「・・・・・」教室内に静寂が流れる。全員の意見は完全一致だった。
数分後、再び画面が変わり、「全員の投票を確認しました。結果を発表します。」と出た。
トウヒョウケッカ
大野賢 31票
大野賢の処刑を行います。
「・・・・・処・・・刑。」
ルールに書かれていた処刑が行われる。大野は完全に硬直していた。涙を流している。
「・・・自分がやったことは分かってる。これはその報いなんだよな・・・皆・・・本当にごめんな。」
次の瞬間、大野の立っていた床がなくなり、大野は下に落ちた。
そして、黒板に映像が映し出される。そこには大きなまな板の上で動けなくなっている大野がいた。
「大野!」「大野くん!」クラスメイトの声は彼にはもう届かない。
次の瞬間、巨大な包丁が現れ、彼を魚のようにさばいた。
「キャーーーッ!!!」悲鳴をあげる生徒もいた。「・・・・・」ただただ呆然としている生徒もいた。
七瀬は涙を流しながら、その様子を見ていた。
大野が三枚になってしまったあたりで映像は途絶えた。
「・・・・・」クラスが完全に凍りついた。
黒板に文字が浮かぶ。
「以上で学級裁判は終了です。お疲れ様でした。」
そして、閉ざされていた扉が解放された。
クラスメイトは誰一人として出ようとしない。
そんななか、一人だけ出ていこうとした生徒がいた。「・・・・・羽ノ下さん(七瀬)」
「・・・・・いつまでそうしているつもりなの?(羽ノ下)」「だって・・・大野くんが死んだんだよ!(相田)」
すると、羽ノ下は
「彼が本当にこうなることを望んで自首したと思うの?彼はあなたたちに生き残ることを望んだはずよ!(羽ノ下)」
「羽ノ下のいうとおりだな。ガッツ。(根条)」
「大野のためにも俺たちは生き残らねぇとな。(鳥八)」
羽ノ下の一言で全員が徐々に気を取り直していく。
「そうだね。もう二度とここに来ないようにしないと。(七瀬)」
こうして、私たちの学級裁判は幕を閉じた。
でも、これがまだ始まりにすぎないことをこのとき私は知らなかった。
第5話に続く
応援ありがとうございます!
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