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序章
可愛い後輩とおっさん
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「待って…!先輩っ、待ってください!!」
最後に会社を振り返り立ち去ろうとすると、自動ドアが開いて栗色の髪を靡かせて女の子が走り寄って来た。
仕事を教えていた後輩の白井 真奈、彼女は唯一の癒やしだった……全力疾走したのだろうか、息が上がっていて苦しそうだ。
「おう、どうした」
「どうした、じゃなくて…っ急に辞めるなんて…」
彼女は俺の前に立つと乱れた呼吸を整えつつ、俺を見上げて悲しそうな声色で言う。何故そんなに悲しそうなのかよくわからんが、俺は正直に答えた。
「俺は、末期の肺癌で一年後に死ぬんだとよ。だからこのクソブラック会社とハゲ課長に、せめて最後に一矢報いたくてな。」
「え……?」
丸い瞳を更に丸くして、彼女が固まった。すると数秒経ってからポロポロと大粒の涙をこぼし始め、俺の手を取った。彼女の震えが伝わってくるんだが、なんで癌宣告受けた本人より白井のがビビって泣いてんだ。
「治療や手術は…?もう、間に合わないんですか…!?」
「やっても苦しいだけで無意味らしい」
「そんな…」
小さな鼻を真っ赤にして、鼻水と涙で顔をぐちゃぐちゃにしている白井。会社の先輩なんて果てしなく他人なのに、まるで家族が癌宣告を受けたようなショックの受け方だ…他人の為にここまで泣けるとは、優しい子だなと思ってはいたが大丈夫か?優し過ぎる人間は利用されるぞ、少し心配だ。
「…先輩、課長のセクハラから守ってくれましたよね。」
「そんな事もあったな。」
「あの時私は新社会人で、自分の父親くらいの歳の男性に初めてセクハラされて…怖くて、どうすればいいのかわからなかったです。」
「だからあのハゲ課長はそこを狙ったんだろう。新社会人は立場上、ハッキリ言いにくいから。」
若くて可愛らしい顔立ちの白井は入社してすぐ、色ボケハゲ課長のセクハラに遭った。歓迎会の席で白井の趣味や好きな食べ物など、質問して皆で仲良くなろうとお決まりの流れになったんだが…そこに冷水をぶっ掛けるかの如く、課長は卑猥な質問ばかりを繰り返した。
やれ“下着の色は?”だの“経験人数は?”だの“彼氏いないなら俺と遊ぼう”と、まぁ新社会人のやる気と精神力をゴリゴリ削ってく気持ち悪い質問に、雰囲気は最悪になるわ白井は涙目で震えてるわ…見てられんくなってな。
“課長、白井と同じ年頃の娘いるんですよね?これ、噂流れて娘さんの耳に入ったら…課長、娘さんから嫌われるんじゃないですか?”と、遠回しに同じ年頃の愛娘が聞いたら気持ち悪がられて嫌われる事してんぞ気付けハゲの意味を込めて言ってやった。その意味を理解したハゲ課長は白井へのセクハラをやめた、課長は理解してやめるだけまだマシな部類かもしれん。
口では俺に対して“うるさいクズ”とか憎まれ口叩いてたがな。
最後に会社を振り返り立ち去ろうとすると、自動ドアが開いて栗色の髪を靡かせて女の子が走り寄って来た。
仕事を教えていた後輩の白井 真奈、彼女は唯一の癒やしだった……全力疾走したのだろうか、息が上がっていて苦しそうだ。
「おう、どうした」
「どうした、じゃなくて…っ急に辞めるなんて…」
彼女は俺の前に立つと乱れた呼吸を整えつつ、俺を見上げて悲しそうな声色で言う。何故そんなに悲しそうなのかよくわからんが、俺は正直に答えた。
「俺は、末期の肺癌で一年後に死ぬんだとよ。だからこのクソブラック会社とハゲ課長に、せめて最後に一矢報いたくてな。」
「え……?」
丸い瞳を更に丸くして、彼女が固まった。すると数秒経ってからポロポロと大粒の涙をこぼし始め、俺の手を取った。彼女の震えが伝わってくるんだが、なんで癌宣告受けた本人より白井のがビビって泣いてんだ。
「治療や手術は…?もう、間に合わないんですか…!?」
「やっても苦しいだけで無意味らしい」
「そんな…」
小さな鼻を真っ赤にして、鼻水と涙で顔をぐちゃぐちゃにしている白井。会社の先輩なんて果てしなく他人なのに、まるで家族が癌宣告を受けたようなショックの受け方だ…他人の為にここまで泣けるとは、優しい子だなと思ってはいたが大丈夫か?優し過ぎる人間は利用されるぞ、少し心配だ。
「…先輩、課長のセクハラから守ってくれましたよね。」
「そんな事もあったな。」
「あの時私は新社会人で、自分の父親くらいの歳の男性に初めてセクハラされて…怖くて、どうすればいいのかわからなかったです。」
「だからあのハゲ課長はそこを狙ったんだろう。新社会人は立場上、ハッキリ言いにくいから。」
若くて可愛らしい顔立ちの白井は入社してすぐ、色ボケハゲ課長のセクハラに遭った。歓迎会の席で白井の趣味や好きな食べ物など、質問して皆で仲良くなろうとお決まりの流れになったんだが…そこに冷水をぶっ掛けるかの如く、課長は卑猥な質問ばかりを繰り返した。
やれ“下着の色は?”だの“経験人数は?”だの“彼氏いないなら俺と遊ぼう”と、まぁ新社会人のやる気と精神力をゴリゴリ削ってく気持ち悪い質問に、雰囲気は最悪になるわ白井は涙目で震えてるわ…見てられんくなってな。
“課長、白井と同じ年頃の娘いるんですよね?これ、噂流れて娘さんの耳に入ったら…課長、娘さんから嫌われるんじゃないですか?”と、遠回しに同じ年頃の愛娘が聞いたら気持ち悪がられて嫌われる事してんぞ気付けハゲの意味を込めて言ってやった。その意味を理解したハゲ課長は白井へのセクハラをやめた、課長は理解してやめるだけまだマシな部類かもしれん。
口では俺に対して“うるさいクズ”とか憎まれ口叩いてたがな。
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