12 / 30
7-6・喧嘩を売られたがどういうわけか……
しおりを挟む
予期せぬ出来事に巻き込まれた俺たちは、「星冠決闘」を挑むことになった。
学院に入学して、まだ1か月も経たないというのに、すでに2つの事件が起きている。
ひとつはジョセフの件、そして今、生徒会からの「星冠決闘」だ。
もしこれがゲームの世界なら「順当にストーリーが進んでいる」と思えただろう。
だが、展開があまりに早すぎる。
「星冠決闘」が起きるのは、たしかダミアンルートの中盤だったはずだ。
「どういうことだ?」
「本当なのか?」
「なぜ、こんなことに……」
「それは私が知りたいですよ」
俺、アレクサンダー、ダミアン、エミールの4人は同時にため息をついた。
生徒会に「星冠決闘」を挑まれたせいで、周囲の生徒たちからは冷ややかな視線を浴びている。
何しろ、生徒会長「ルシアン・エヴァハート」はイグラシオン国の王子。
つまり俺たちは、よりによって一国の王子に喧嘩を売ってしまったのだ。
頭が痛くならないはずがない。
「ルシアン様の容体はどうだ?ケイル」
「保健室に運ばれてから、まだ目を覚まされていないそうです、ローウェル様」
「……そうか」
黒豹の獣人であり、ローウェルの執事でもある「ケイル」の言葉に、ローウェルは苦々しい表情を浮かべた。
「あの……ジョセフも目を覚まさないらしいな」
その一言に、皆の表情が険しくなる。
実を言えば、俺は2人を目覚めさせる方法を知っている。
それは隣国フィリナオのエルフの王子「セリオン・アストリッド」と、アーケイン・インスティテュート魔法研究の直系、「ロイ・フォン・シュタイン」に薬を作ってもらうことだ。
セリオンの協力が必要なのは、「グロウベール」という薬草を手に入れるため。
そして、その薬草を薬に精製できるのはロイだけだからである。
ロイは恐らく問題なく協力してくれるだろう。だが、セリオンが厄介だ。
彼は攻略キャラのひとりで、知識豊富な“インテリ”だが、かなりの頭でっかち。
説得には骨が折れる。
このゲームは攻略対象たちには好感度ハートというものがあって最高で10まで上げる。
本当だったら2人の好感度がハート2.5以上あれば素直に協力してくれる。
だが現状はおそらくハートゼロ。
さて、どうしたものか。
「ルシェル、どうしたの?」
「ああ……実は――」
俺は少し迷った末に、眠る二人を目覚めさせる方法を話した。
結果――
「それが本当なら、それに賭けるべきだな」
「信じるのですか、アレクサンダー様?」
「その方が可能性はあるだろう、ダミアン」
「なら、二手に分かれた方がいいな」
「ローウェル様……まさかとは思いますが……」
ケイルは嫌な予感をにじませつつ、しかしどこか期待に満ちた目をローウェルに向けていた。
「生徒会長とジョセフを助ける組と、星冠決闘に挑む組に分かれる。――いいか、みんなよく聞け」
そうしてローウェルの作戦を聞いた俺たちは、すぐに動き出すことになった。
「眠りの王子様目覚め作戦」は、ローウェル・エミール・ケイルが担当し、セリオンとロイを説得して薬を作ってもらう。
そして、俺・アレクサンダー・ダミアンは星冠決闘に挑む。
俺はローウェルたちの成功に賭けるしかなかった。
学院に入学して、まだ1か月も経たないというのに、すでに2つの事件が起きている。
ひとつはジョセフの件、そして今、生徒会からの「星冠決闘」だ。
もしこれがゲームの世界なら「順当にストーリーが進んでいる」と思えただろう。
だが、展開があまりに早すぎる。
「星冠決闘」が起きるのは、たしかダミアンルートの中盤だったはずだ。
「どういうことだ?」
「本当なのか?」
「なぜ、こんなことに……」
「それは私が知りたいですよ」
俺、アレクサンダー、ダミアン、エミールの4人は同時にため息をついた。
生徒会に「星冠決闘」を挑まれたせいで、周囲の生徒たちからは冷ややかな視線を浴びている。
何しろ、生徒会長「ルシアン・エヴァハート」はイグラシオン国の王子。
つまり俺たちは、よりによって一国の王子に喧嘩を売ってしまったのだ。
頭が痛くならないはずがない。
「ルシアン様の容体はどうだ?ケイル」
「保健室に運ばれてから、まだ目を覚まされていないそうです、ローウェル様」
「……そうか」
黒豹の獣人であり、ローウェルの執事でもある「ケイル」の言葉に、ローウェルは苦々しい表情を浮かべた。
「あの……ジョセフも目を覚まさないらしいな」
その一言に、皆の表情が険しくなる。
実を言えば、俺は2人を目覚めさせる方法を知っている。
それは隣国フィリナオのエルフの王子「セリオン・アストリッド」と、アーケイン・インスティテュート魔法研究の直系、「ロイ・フォン・シュタイン」に薬を作ってもらうことだ。
セリオンの協力が必要なのは、「グロウベール」という薬草を手に入れるため。
そして、その薬草を薬に精製できるのはロイだけだからである。
ロイは恐らく問題なく協力してくれるだろう。だが、セリオンが厄介だ。
彼は攻略キャラのひとりで、知識豊富な“インテリ”だが、かなりの頭でっかち。
説得には骨が折れる。
このゲームは攻略対象たちには好感度ハートというものがあって最高で10まで上げる。
本当だったら2人の好感度がハート2.5以上あれば素直に協力してくれる。
だが現状はおそらくハートゼロ。
さて、どうしたものか。
「ルシェル、どうしたの?」
「ああ……実は――」
俺は少し迷った末に、眠る二人を目覚めさせる方法を話した。
結果――
「それが本当なら、それに賭けるべきだな」
「信じるのですか、アレクサンダー様?」
「その方が可能性はあるだろう、ダミアン」
「なら、二手に分かれた方がいいな」
「ローウェル様……まさかとは思いますが……」
ケイルは嫌な予感をにじませつつ、しかしどこか期待に満ちた目をローウェルに向けていた。
「生徒会長とジョセフを助ける組と、星冠決闘に挑む組に分かれる。――いいか、みんなよく聞け」
そうしてローウェルの作戦を聞いた俺たちは、すぐに動き出すことになった。
「眠りの王子様目覚め作戦」は、ローウェル・エミール・ケイルが担当し、セリオンとロイを説得して薬を作ってもらう。
そして、俺・アレクサンダー・ダミアンは星冠決闘に挑む。
俺はローウェルたちの成功に賭けるしかなかった。
27
あなたにおすすめの小説
俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
贖罪公爵長男とのんきな俺
侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。
貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。
一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。
そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。
・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め
・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。
・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。
・CP固定・ご都合主義・ハピエン
・他サイト掲載予定あり
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
魔力ゼロの転生モブだけど、死に戻りは許さない
犬白グミ
BL
僕は主人公リカルドに出会った瞬間、気づいた。
BL小説『死に戻った疎まれ令息は逃げられない』にモブ転生したのだと。
「俺のことを好きだったんじゃないのか?」
「え? 違うけど」
原作では不憫受けとして死に戻るはずのリカルド。
なのに、美形で自信満々の攻めに成長して、なぜかモブの僕を追いかけてくる。
自惚れリカルド × 鈍感なモブ転生者アーロン
果たして死に戻りは回避できるのか?
本来の攻めも登場して、ふたりのじれったくも切ない恋は加速する。
お気に入り、ハート、感想ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる