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8-7・実家に帰省する馬車の中の子供の頃の思い出
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母との久しぶりの夕食だった。
もっとも、光の精霊セラフィム(今は俺に宿っているが)の治癒を受けたとはいえ、病み上がりであることに変わりはない。
そのため、母には体に優しい牛乳粥が用意されていた。
それを見越してか、羊獣人の執事長メイプルが気を利かせ、俺たちも肉や野菜の入ったお粥にしてくれた。
「ルージュ……ゆっくり食べなさい」
「ん?……ちゃんとゆっくり食べていますよ?」
ため息をつく父に、俺とルファンは思わず笑ってしまう。
病に伏せていた頃、母はほとんど食欲がなかった。
だからこそ、今の食べっぷりがすごいのも無理はない。
優雅にスプーンでお粥をすくって口に運んでいるが、そのスピードが少し早い。
それが気になって、父はつい口を出したのだろう。
「フィル医師の言ったことを忘れてはいないな、ルージュ?」
「わかっていますよ、旦那様」
ふふっとはにかむ母と父のやり取りは、まるで子どもの頃に戻ったみたいで、思わず泣きそうになった。
なんとか堪えたものの、向かいに座るルファンの目はすでに潤んでいる。
どうやら、ルファンも必死に耐えているようだった。
「男だぞ、ルファン」と心の中で応援しつつ、俺はあえてあまり喋らず、父と母の二人の時間を大事にすることにした。
夕食を終えたあと、ルファンに呼び止められ、談話室へ向かう。
言いたいことは、だいたい予想がついていた。
ラグナルとラルクが紅茶とクッキーを用意してくれる。
正直、お粥だけでは物足りなかった俺にとってはありがたい。
それはルファンも同じだったようで、気兼ねなくクッキーに手を伸ばした。
「兄上」
「ん?」
「正直に言います」
「……わかってる。俺に次期当主をやってほしいんだろう」
「はい。光の精霊が宿った今、僕よりも兄上が適任です」
「いや、ルファン。俺はルファンに次期当主をやってほしい。俺は後ろで支える方がいい」
「しかし……」
「確かに、セラフィムから千年の命を与えられたのは事実かもしれない。でも、本当かどうかはわからない。それに俺が千年も当主をやっていたら、みんな嫌がるに決まってる。それに、俺が魔法を使えるなんて知られたら……それこそ色んな意味でヤバいだろ?」
「それは……そうですが……」
「大丈夫だ。ルファンは立派な当主になれる。自信を持て」
「兄上……」
まだ納得していない顔ではあったが、俺としては――
まさかBLゲーム『星降る夜に魔法を君に』の舞台であるアストラル・アカデミーに行く羽目になる方が、よほど嫌だった。
よりにもよって、ストーリー通りに進まされるとは。
俺は鼻からゆっくり息を吐く。
胸に溜まっていた複雑な感情が、少しだけ抜けていった。
それから俺とルファンは、父からの正式な指示が出るまでは、無理に動かないことに決めた。
もっとも、光の精霊セラフィム(今は俺に宿っているが)の治癒を受けたとはいえ、病み上がりであることに変わりはない。
そのため、母には体に優しい牛乳粥が用意されていた。
それを見越してか、羊獣人の執事長メイプルが気を利かせ、俺たちも肉や野菜の入ったお粥にしてくれた。
「ルージュ……ゆっくり食べなさい」
「ん?……ちゃんとゆっくり食べていますよ?」
ため息をつく父に、俺とルファンは思わず笑ってしまう。
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だからこそ、今の食べっぷりがすごいのも無理はない。
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それが気になって、父はつい口を出したのだろう。
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「男だぞ、ルファン」と心の中で応援しつつ、俺はあえてあまり喋らず、父と母の二人の時間を大事にすることにした。
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「はい。光の精霊が宿った今、僕よりも兄上が適任です」
「いや、ルファン。俺はルファンに次期当主をやってほしい。俺は後ろで支える方がいい」
「しかし……」
「確かに、セラフィムから千年の命を与えられたのは事実かもしれない。でも、本当かどうかはわからない。それに俺が千年も当主をやっていたら、みんな嫌がるに決まってる。それに、俺が魔法を使えるなんて知られたら……それこそ色んな意味でヤバいだろ?」
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