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3・始まりのフラグが立つの見た
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午前の授業が終わり、昼ごはんの時間になった。
入学前、上級生から学校案内を受けていたおかげで、迷わずカフェテリアへ向かおうと腰を上げる。
エミールが席を立つと、通りすがる同級生たちが彼を奇妙な目で見ていた。
無理もない。
エミールは平民出身で、この学年のほとんどは貴族か王族。
あまり良くは思われていないことが、ひしひしと伝わってくる。
まあ、それは俺も同じかもしれない。
何しろ俺は獣人ではあっても、シルバーバイト伯爵家の長男。
エミールよりは多少マシかもしれないが、風当たりは強い。
それでも、見ていてなんだか胸が痛んだ。
俺はひとりでカフェテリアに向かおうとした。
けれど、エミールが俺についてきて、二人で向かうことになった。
食事はバイキング形式で、好きな料理を選び、空いている席に座る仕組みだ。
そして“始まりのフラグ”が、立つ――
エミールが、アストレリス国第一王子・「アレクサンダー・ヴァルモント」と出会う、最初の場面。
そのときエミールは、モブいじめグループの5人に囲まれていた。
黙っていたが、彼の瞳には強い光が宿っていた。
「平民出身なんでしょ? そんなあんたがここに来るなんて、間違いだと思わない?」
「そうよね、下民の分際で?」
ゲラゲラと笑うモブたち。
それでもエミールは一歩も引かず、まっすぐに立っていた。
「貴族も平民も、同じ人間だと思うよ? むしろ、あなたたちの方が知性がないように見えるけど?」
「……なにっ!?」
「下民のくせに!!」
その瞬間――
一人のモブが手を上げようとしたとき、その手首を後ろから誰かが掴んだ。
「いじめは、よくないよ?」
静かな、だが圧のある声だった。
モブたちが息を飲む。
「っ、アレクサンダー様!?」
「そんなことしたら、手を痛めるよ?」
「は、はいっ!」
慌てて引き下がるモブたち。
アレクサンダーは手を放すと、すっとエミールの前に立った。
「平気?」
「……あ、はい」
「そっか。君は?」
「エミールといいます」
「エミール。アレクサンダーだ。よろしく」
「はい」と返すエミールに、アレクサンダーはうなずき、そのまま去っていった。
そっけないようで、確かに――“フラグ”は立った。
ここから、エミールとアレクサンダーの関わりが始まる――
その様子を、俺は見ていた。
目が合った瞬間、エミールはふっと微笑んでこちらに歩いてきた。
「隣、いい?」
「……構わない」
「ありがとう……はぁ…貴族も平民も、同じ人間だと私は思うのに……」
切なげにこぼしたその言葉に、胸がチクリと痛んだ。
「この世界が本当に平等なら、こんな差別はない。……俺も、そう思うよ」
「……そうだね。私が、それを壊せたらいいな」
エミールが昼食を食べ始めたとき、俺は思わずつぶやいた。
「君なら、できると思うよ」
向かいに座っていたエミールの目が、少しだけ丸くなる。
そしてほんの間を置いて、ふっと笑い、再び黙って食事を続けた。
入学前、上級生から学校案内を受けていたおかげで、迷わずカフェテリアへ向かおうと腰を上げる。
エミールが席を立つと、通りすがる同級生たちが彼を奇妙な目で見ていた。
無理もない。
エミールは平民出身で、この学年のほとんどは貴族か王族。
あまり良くは思われていないことが、ひしひしと伝わってくる。
まあ、それは俺も同じかもしれない。
何しろ俺は獣人ではあっても、シルバーバイト伯爵家の長男。
エミールよりは多少マシかもしれないが、風当たりは強い。
それでも、見ていてなんだか胸が痛んだ。
俺はひとりでカフェテリアに向かおうとした。
けれど、エミールが俺についてきて、二人で向かうことになった。
食事はバイキング形式で、好きな料理を選び、空いている席に座る仕組みだ。
そして“始まりのフラグ”が、立つ――
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そのときエミールは、モブいじめグループの5人に囲まれていた。
黙っていたが、彼の瞳には強い光が宿っていた。
「平民出身なんでしょ? そんなあんたがここに来るなんて、間違いだと思わない?」
「そうよね、下民の分際で?」
ゲラゲラと笑うモブたち。
それでもエミールは一歩も引かず、まっすぐに立っていた。
「貴族も平民も、同じ人間だと思うよ? むしろ、あなたたちの方が知性がないように見えるけど?」
「……なにっ!?」
「下民のくせに!!」
その瞬間――
一人のモブが手を上げようとしたとき、その手首を後ろから誰かが掴んだ。
「いじめは、よくないよ?」
静かな、だが圧のある声だった。
モブたちが息を飲む。
「っ、アレクサンダー様!?」
「そんなことしたら、手を痛めるよ?」
「は、はいっ!」
慌てて引き下がるモブたち。
アレクサンダーは手を放すと、すっとエミールの前に立った。
「平気?」
「……あ、はい」
「そっか。君は?」
「エミールといいます」
「エミール。アレクサンダーだ。よろしく」
「はい」と返すエミールに、アレクサンダーはうなずき、そのまま去っていった。
そっけないようで、確かに――“フラグ”は立った。
ここから、エミールとアレクサンダーの関わりが始まる――
その様子を、俺は見ていた。
目が合った瞬間、エミールはふっと微笑んでこちらに歩いてきた。
「隣、いい?」
「……構わない」
「ありがとう……はぁ…貴族も平民も、同じ人間だと私は思うのに……」
切なげにこぼしたその言葉に、胸がチクリと痛んだ。
「この世界が本当に平等なら、こんな差別はない。……俺も、そう思うよ」
「……そうだね。私が、それを壊せたらいいな」
エミールが昼食を食べ始めたとき、俺は思わずつぶやいた。
「君なら、できると思うよ」
向かいに座っていたエミールの目が、少しだけ丸くなる。
そしてほんの間を置いて、ふっと笑い、再び黙って食事を続けた。
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