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9.神使として
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普通に、いつも通り、平常心で。
そう思えば思うほど、いつもと違う態度をとっていたことは自分でも嫌というほど自覚していた。しかし、それを正す術もなく、ただ必要な仕事を真っ当に務めることに励んだ。
数日の間に、何度も蓮に何かあったのかと聞かれたけれど、悩みの内容が内容なだけに話すことも出来ず、ただ大丈夫だと伝えていた。
日々が流れていく中で、変化もあった。
たった数日で、双子が大きく成長しているのだ。
見よう見まねだけれど神議りの大きな仕事である人々の祈願を叶えているうちに、成長していったということだ。見た目は童から少年に。担当している部屋以外の神とも交流し、水に関わる神々から役割や力の使い方、気をつけるべきことを教わっているという。
それを蓮と恭吾は大いに喜んだ。
たった一年に満たない間に、様々なことをやらかした双子だ。歓喜するのは当然だ。
……しかし、それを目にし耳に入る度に自分の心が塞ぎ込むのを感じずにはいられなかった。
「ふぅ」
「風花さん、今の溜め息はお疲れのものではないですね」
「あ、え、いや、最近寝つきが悪いからなぁ」
四季神の神使が使う控え室で、桜と楓と共に巻物を整理していたのだが、溜め息を吐くなんて気が緩んでいたのかもしれない。大丈夫だと返事をしたが、二人はどうやらその言葉を信じていないようだ。
「風花は嘘が下手過ぎだ」
楓の言葉に何も言い返せずグッと押し黙ると、桜が愛らしい桃色の花弁が浮いた茶を出してくれた。
「今年の春の桜を漬け込んだ、桜茶です。どうぞ」
「ありがとう」
ふと気になったことを口にする。
「なぁ、春様と秋様の神使は二人なんだよな? 他には誰かいないのか?」
「ん? いるぞ。たくさん」
「ええ、うちにもいますねぇ。たくさん」
「そうなの!?」
神議りで会う神使は、春の神使である桜と山吹、秋の神使である楓と桂だけだ。てっきり神使はそれぞれ二人だと思っていたので、予想外の答えに目を思い切り開いてしまった。
それならば、と少しだけ心の扉を開いてみることにした。
「あのさ、他の子が増える時ってどんな感じ?」
「んぅー。新しい子が増えたのはだいぶ前ですからね……あぁ、でも、春様は新種の春に咲く花が発見される度に増やしていますね。愛らしい子が産まれて嬉しいです」
「うちは、紅葉する木々には大抵神が宿るからな。新しい奴はほぼ見なくなったけど、増えたら秋様が嬉しいんだなぁーって感じかな」
「それだけ?」
こちらの言葉に、二人は質問の意味が分からないというように首を傾げた。
「えっと、だから。自分の仕事が取られないかとか……」
すると、桜は桜茶を啜りニコリと微笑む。そして浮いた桜に指先を近付け、触れるか触れないかの所で指を引いた。
「春様は役割を与えてくれるのです。それは産まれた時から決まっていて、たまたま私や山吹は早く産まれたので神使に。他の子達はそれぞれ料理や着物や入浴……細かい役割を与えられます。役割が誰かと変わることは今までありませんでした」
そうか。それなら自身のような感情を抱くことはなかっただろう。勝手に開いた心の扉が少し閉まる。
「うちもだな。というか、他の奴らは秋様を敬い慕うけど世話をしたいとは思ってないと思う。秋様は素晴らしいけど、人間の世界で活動する時の補助はかなり面倒だからな」
「それなら、他の子が秋様の世話をしたいと言ったら?」
「さぁ。そうなってみないと分からないけど……世代交代もいいかもな。後から産まれたからって世話しちゃいけないわけじゃないし」
随分とあっさりしている。なぜこうも自分とは考え方や受け止め方が違うのだろうか。
やはり、神と鬼の違いなのだろうか。
「……お力になれず、申し訳ありません」
桜の言葉にハッとして顔を上げる。そして思い切り首を振った。
「そんな! 聞かせてくれてありがとう! ちょっと……考えてみるよ……」
そう言ってお茶を飲み干し、席を立つ。いつもと同じ優しい桜茶のはずなのに、今日は何故かいつもよりしょっぱい気がした。
考えても、考えてもやはり答えはでない。
最近は何に悩んでいるのかも分からないくらい、糸が絡まり大きな玉になっている気がした。
双子の存在。
夏からの提案。
神使としての自分。
そして自身の価値。
桜や楓のように神使として産まれ、神使としての役割を果たすことが全てであれば……この妙な気持ちも無くなるのだろうか。
しかし、それは出来ない。
そもそも神使としての期間よりも、蓮の【三つ子】としての期間の方が遥かに長いからだ。そして、この感情はきっと神使として役を果たす時間が積もったとしても変わらないだろう。
「はぁー……」
「なんだ? 溜め息は幸せが逃げるぞ?」
ビクッと大きく肩を震わせ、思わず手にしていた椀を落としそうになる。その椀を大きく頼りがいのある手がサッと掴んだ。
「おいおい、高価な椀だ。気をつけろよ?」
「……夏様。なら驚かさないで下さい」
椀を手に返され、布で拭きながら文句を言う。だが案の定、夏には全く通じずニコリと爽やかな笑顔で返された。
「……」
目の前の夏も悩みの一つなのに、なぜこんなに清々しい表情なのか。そう思ったら、爽やかな笑顔すらも憎たらしく思えて、正面を向き椀を拭き続ける。
こちらが何も言わず態度も示さないので、夏は周りをウロウロとして顔を覗き込んでくる。正直、凄く邪魔だ。
最後の椀を磨き終え、それを棚に戻す。その最中も横から離れなかった夏に、ようやく視線を投げた。
「なんですか?」
「終わったか?」
「はい」
「なら、デェトしよう!!」
思わず目を瞬かせると、手を引かれ裏口に連れていかれそうになる。そこにちょうど桂が追加の椀を持ってきたので、慌てて声をかけた。
「桂!! 俺も!! 手伝う!!」
「? いえ、大丈夫ですよ。秋様からこれで最後だと伺いましたし、少ないですから」
そうじゃない。見て、感じて、助けて欲しいんだ。
目で必死に訴えるが、桂は夏とどうやら目配せをしたらしい。ふんわりと微笑み「蓮様にはお伝えしておきますね」と言ってきた。
「じゃ、あとよろしく!!」
そう言った夏の小脇に抱えられ、謎のデェトに連行されてしまった……。
連れていかれたのは、出雲大社から伸びる参道の先にある、商店街の中の茶屋だ。店先まで人が列を作っている店もある中で、夏は迷わず小道に入り小さな甘味処に入った。
「いらっしゃいませ」
小さな店内には、机は三卓、椅子は八脚しかない。その最奥の二人がけの席に通されて腰をかける。
「夏くん、お久しぶりだねぇ」
水を持ってきた店員は、着物をきっちりと着ている老婆だ。かなり老いているはずだが、明るい着物と伸びた背筋。それに上品に髪を結い上げているので、年齢よりも若く感じられた。
「おう、今年も神議りだからな」
「え、夏様」
「ふふふ、大国主大神様は今年もお元気かしら」
「あぁ! もちろん!」
顔には出さないように努力しているが、頭から冷や汗が吹き出しているような気分だ。このまま卒倒しても誰も文句は言えまい。
「なら来年も元気に店が出来るようにお祈りしないとね」
「夏の神もよろしくな」
「夏くんは目の前にいるから、祈らなくても大丈夫でしょう?」
軽やかに笑う老婆は、お品書きを置いて一旦奥に戻っていった。
夏は視線をこちらに向けて、ニカッと笑みを浮かべた。きっと何が言いたいのかはお見通しなのだろう。なので敢えて口にせずジッと見つめる。
「そんなに見られたら、ドキドキしちゃう」
なに馬鹿なことを言っているんだ。今度は冷めた目も加えて黙ると、ブッと吹き出して笑い出した。
馬鹿にされているのは、こちらなのかもしれない。
「わ、悪い悪い! ここはな、先々代の頃から通ってるとこなんだよ。嬢ちゃんが俺を本当に神だと思ってるかは分からないけど、ずっと歳とらないから不思議には思ってるだろうな」
「危険だろ」
「うん。そうかもな」
「なら」
「人を見る目はあるんだよ。さ、風花。甘いものは好きか? ここのぜんざいは逸品だ」
夏がそのように思っているなら、こちらが何かを言うことはできない。神使といえど、元はたかだか鬼の捨て子だ。それに、蓮の神使であるのだから夏のすることに何も言う権利は無い。
本当に危険であるならば、大国主大神が黙っていないだろう。それに、大国主大神のお膝元で馬鹿な真似をするような人間もいないはずだ。多分。
黙って渡されたお品書きに視線を落とす。
団子やぜんざい、あんみつ等々がある中で、次の頁をめくると一面に数量限定と書かれた商品が写真と共に載っていた。
「……それにするか?」
「あ、いや、えっと夏様と同じので」
「はいはい。おーい、嬢ちゃん! この特別神在月パフェまだある?」
すると奥からあるよぉと優しい声が返ってきた。それに対して、夏はコーヒーと抹茶も頼んでくれた。
「夏様は食べないの?」
「ん? 俺? んぅー、あ!! 風花がアーンしてくれるか?」
「…………」
「冗談だよ」
「一口ならあげてもいい」
そう言うと、目を瞬かせた夏は満足そうに笑みを浮かべたのだった。
結局、その日はパフェを食べて、街をフラフラと食べ歩きをして、気になる店を見て回った。兄という存在がいたら、きっと夏みたいな者なのだろう。天花は一応兄だけれど、三つ子なので何も変わらない。
夏と参道に戻ると、ぽつんと立っていた大国主大神の神使が恭しく頭を下げてきた。どうやら待ち構えていたようだ。
同じように頭を下げるが、夏は首を傾げただけだった。
「おう、どうした?」
「大国主大神がお呼びでございます」
「……チッ」
いや、舌打ちはダメだろ……と思いつつ、夏にも頭を下げる。
「今日はありがとうございました。気分転換になりました」
「また行こうな」
頭をワシワシと乱暴に撫でられ、立ち去ろうとすると大国主大神の神使は「あっ」と小さな声をあげた。立ち止まると、また頭を下げてきた。
「風花様もです」
「え、俺も??」
こんなことは今まで一度だってなかった。挨拶の時に毎度口説き文句を勝手に言われてはいたけれど、実際に口説かれたことも呼ばれこともない。
蓮が呼ばれ、その時に付き従っているくらいだ。それも、天花がいなかったり手が離せない時だったりするので、大国主大神の元に行くのは偶然でしかない。
それが呼ばれたとなると……。なんだか悪い予感がする。
「参りましょう」
そう言って背を向けて歩き出した大国主大神の神使の後を、拒否するとこもできないので仕方なく数歩後から付いて歩く。
チラリと夏を見上げると、視線に気が付いた夏は大丈夫だと言うように微笑んだ。
一人で呼ばれたわけではない。だから、多分、大丈夫……だろう。
しかし、その淡い期待は見事に打ち砕かれた。
大国主大神の部屋には、なんと大和と暁も呼ばれていたのだ。大人しくはしているものの、殺気にも似た攻撃的な気配を隠しもしない双子は、こちらが夏と入ってきたことによってそれを強めているようだ。
「大国主大神に拝謁致します」
「ようやく来たか」
「遅くなり申し訳ありません」
手に持っていた扇子を振り軽く挨拶を切り上げられ、大国主大神の神使に案内され夏と共に腰を下ろす。
「お前ら、なんで呼ばれたんだ?」
そっと隣に居る大和に聞く。
「分かりません。特に問題は起こしていないし、順調に神議りを進めてます」
「そっか」
大国主大神が、末端の大和や暁のような神を呼び出すことはまずない。余程の問題を起こしたのかと思ったけれど、違うなら良かったと胸を撫で下ろす。
「風花はなぜアイツと?」
アイツとは夏のことだろう。大和は口調こそ柔らかく気を使っているが、夏に向けた攻撃的な視線は隠せていない。
「街を案内してもらった」
「なんでだよ!」
小声ながら勢い良く飛びかかりそうに声を上げた暁を遮るように、大国主大神が扇子で床を叩いた。しかし、シンと静まったこちらを眺めるだけで何も言わない。
「なぁ、大国主大神よ。そろそろこんな顔触れを呼び出した理由を聞いてもいいか?」
さすがの夏も不審に思っているようで、語尾を強めて問いかける。目元は微笑んでいるのに、語尾の強さで全く雰囲気は良くならない。
こうなったら、ことの成り行きを見守るしかないだろう。あくまで神同士の話だ。黙って過ぎるのを待つのが得策だ。
しかし、そう心に決めた次の瞬間、それが出来ない事態が起こってしまった。
「風花、近くに」
「……? え?」
「良く顔が見たい」
「あ、でも」
「最近、目が見えにくくてな」
思わず嘘だろと口にするのを飲み込み、立ち上がる。
大国主大神ならば、たとえ国の端であっても見ようと思えばいくらでもみれるはずだ。それが同室にいる者の顔も見えにくいなんて嘘も甚だしい。
それは夏と双子も理解しているので、少しだけ身体を揺らした。
ゆっくりと近付くと、突然伸びてきた手に腕を掴まれ大国主大神の膝の上に倒れ込む。慌てて顔を上げるが、そのままストンと膝の上に座らされてしまった。
正直、意味がわからない。
……意味が、わからない。
それは夏と双子も同じのようでこちらに向けている目は大きく開き、暁に至っては口まで は? というように開いている。
「……お、降ろして頂けますか?」
「嫌だな。お前は本当に愛らしく暖かい」
マジで何言ってんだ? と言いそうになり、その言葉を飲み込みつつ頭を下げる。
「私のような者がこの場に居てはなりません。大国主大神の威厳にも関わります故、何卒」
「ならん」
……勘弁してくれ。四季神の神使といえど、たかが神使だ。神でもない。
思わず助けてくれという視線を三人に送ろうとしたが、その三人が今にも飛びかかってきそうな目をしているので逆に待て待てと首を振る。
助けて欲しいが、ことを荒立てて欲しいわけではないのだ。
「風花よ」
「はい」
「やはり、お前が欲しいと思ってな。狙ってる輩は牽制せねば」
「なにをおっしゃっ――!?」
敢えて視線を絡ませないよう床を見ていた顔を、思い切りグイと上げられる。やばい。これは、口吸いをしようとしているのではないだろうか。
逃げねば。
大国主大神との口吸いなんて、既成事実になって嫁にされてしまう。
逃げろ。逃げろ。身体よ動け。……怖い。怖い。怖い!! 動け!! 動け!!
頭で何度も指示をしているのに、指の一本すらピクリともしない。頭のてっぺんから血が引いて、足の先から流れ出てしまったように身体の体温が下がっていく。
あと少しで触れてしまう。
その時、腕を掴まれ引っ張られた。そして大国主大神の膝の上から離れ、風景はだれも見えない闇になった。
「おいおい、大国主大神といえど性急すぎやしまいか?」
頭の上で夏の声がする。腕を引っ張ったのはどうやら夏だったようだ。隠すように包まれたそこから顔を出すと、両隣には大和と暁がいた。二人の手は大国主大神に向いているが、開いていた手をグッと握りゆっくりと下げた。
「そんなに焦ることか?」
「風花は、蓮の神使だ。口説くなら蓮に話を通すのが筋だろ」
「ほぉ。では、夏は蓮に話しておるのか?」
「あぁ。前からな」
え、そうなの? と驚いていると、夏はそっと腕の力を抜いて解放してくれた。サッと後ろにさがると大和と暁が守るように前に立ってくれた。
「そうか。今は……夏が一歩進んでるというわけだな。負けてられんのぉ」
その言葉は何故か大国主大神自身に向けてではないような気がしたが、それを追求するほど危険なことはないだろう。気付かないふりをして大人しくする。
「大国主大神、お戯れは程々に」
そう言うと夏は部屋を後にする。その後ろを二人に支えられるようにしてついて出た。
「フハッ、こりゃ嫌われてしまったなぁ」
大笑いをしている大国主大神は、最後に「お茶だけならいいか?」と嬉しそうに扇子を振っていた。
部屋を出て、しばらくすると夏は先に行くと呟いて行ってしまった。
ふとお礼を言えていなかったなと思い、支えてくれていた二人の手に触れた。
「もう大丈夫だ」
「でも」
「ふーちゃん、無理しないで」
「大丈夫大丈夫! 何かされたわけじゃないから」
未遂だ。あと一秒でも夏の手が遅れていたら奪われていただろう。本当に助かった。あとで夏にも改めて礼をせねば。
「二人とも、助けてくれようとしてありがとうな」
「…………でも、届かなかった」
「……………………クソ」
きっと成人の姿になった大和と暁ならば、夏と同じ時に腕を掴めただろう。しかし、今の成長途中の双子はまだ身体も幼いのだ。
「助けようって、気持ちが嬉しかった」
「そんなのは当たり前だよ!! ……ごめん、ちょっと先に行く」
暁が先を歩き出す。その後について行くように大和が頭を下げてから行ってしまった。
今、一人残されるのは辛いんだけどな……と思いつつ、とりあえず蓮に報告だけしておくかと溜息を吐いて歩き出した。
そう思えば思うほど、いつもと違う態度をとっていたことは自分でも嫌というほど自覚していた。しかし、それを正す術もなく、ただ必要な仕事を真っ当に務めることに励んだ。
数日の間に、何度も蓮に何かあったのかと聞かれたけれど、悩みの内容が内容なだけに話すことも出来ず、ただ大丈夫だと伝えていた。
日々が流れていく中で、変化もあった。
たった数日で、双子が大きく成長しているのだ。
見よう見まねだけれど神議りの大きな仕事である人々の祈願を叶えているうちに、成長していったということだ。見た目は童から少年に。担当している部屋以外の神とも交流し、水に関わる神々から役割や力の使い方、気をつけるべきことを教わっているという。
それを蓮と恭吾は大いに喜んだ。
たった一年に満たない間に、様々なことをやらかした双子だ。歓喜するのは当然だ。
……しかし、それを目にし耳に入る度に自分の心が塞ぎ込むのを感じずにはいられなかった。
「ふぅ」
「風花さん、今の溜め息はお疲れのものではないですね」
「あ、え、いや、最近寝つきが悪いからなぁ」
四季神の神使が使う控え室で、桜と楓と共に巻物を整理していたのだが、溜め息を吐くなんて気が緩んでいたのかもしれない。大丈夫だと返事をしたが、二人はどうやらその言葉を信じていないようだ。
「風花は嘘が下手過ぎだ」
楓の言葉に何も言い返せずグッと押し黙ると、桜が愛らしい桃色の花弁が浮いた茶を出してくれた。
「今年の春の桜を漬け込んだ、桜茶です。どうぞ」
「ありがとう」
ふと気になったことを口にする。
「なぁ、春様と秋様の神使は二人なんだよな? 他には誰かいないのか?」
「ん? いるぞ。たくさん」
「ええ、うちにもいますねぇ。たくさん」
「そうなの!?」
神議りで会う神使は、春の神使である桜と山吹、秋の神使である楓と桂だけだ。てっきり神使はそれぞれ二人だと思っていたので、予想外の答えに目を思い切り開いてしまった。
それならば、と少しだけ心の扉を開いてみることにした。
「あのさ、他の子が増える時ってどんな感じ?」
「んぅー。新しい子が増えたのはだいぶ前ですからね……あぁ、でも、春様は新種の春に咲く花が発見される度に増やしていますね。愛らしい子が産まれて嬉しいです」
「うちは、紅葉する木々には大抵神が宿るからな。新しい奴はほぼ見なくなったけど、増えたら秋様が嬉しいんだなぁーって感じかな」
「それだけ?」
こちらの言葉に、二人は質問の意味が分からないというように首を傾げた。
「えっと、だから。自分の仕事が取られないかとか……」
すると、桜は桜茶を啜りニコリと微笑む。そして浮いた桜に指先を近付け、触れるか触れないかの所で指を引いた。
「春様は役割を与えてくれるのです。それは産まれた時から決まっていて、たまたま私や山吹は早く産まれたので神使に。他の子達はそれぞれ料理や着物や入浴……細かい役割を与えられます。役割が誰かと変わることは今までありませんでした」
そうか。それなら自身のような感情を抱くことはなかっただろう。勝手に開いた心の扉が少し閉まる。
「うちもだな。というか、他の奴らは秋様を敬い慕うけど世話をしたいとは思ってないと思う。秋様は素晴らしいけど、人間の世界で活動する時の補助はかなり面倒だからな」
「それなら、他の子が秋様の世話をしたいと言ったら?」
「さぁ。そうなってみないと分からないけど……世代交代もいいかもな。後から産まれたからって世話しちゃいけないわけじゃないし」
随分とあっさりしている。なぜこうも自分とは考え方や受け止め方が違うのだろうか。
やはり、神と鬼の違いなのだろうか。
「……お力になれず、申し訳ありません」
桜の言葉にハッとして顔を上げる。そして思い切り首を振った。
「そんな! 聞かせてくれてありがとう! ちょっと……考えてみるよ……」
そう言ってお茶を飲み干し、席を立つ。いつもと同じ優しい桜茶のはずなのに、今日は何故かいつもよりしょっぱい気がした。
考えても、考えてもやはり答えはでない。
最近は何に悩んでいるのかも分からないくらい、糸が絡まり大きな玉になっている気がした。
双子の存在。
夏からの提案。
神使としての自分。
そして自身の価値。
桜や楓のように神使として産まれ、神使としての役割を果たすことが全てであれば……この妙な気持ちも無くなるのだろうか。
しかし、それは出来ない。
そもそも神使としての期間よりも、蓮の【三つ子】としての期間の方が遥かに長いからだ。そして、この感情はきっと神使として役を果たす時間が積もったとしても変わらないだろう。
「はぁー……」
「なんだ? 溜め息は幸せが逃げるぞ?」
ビクッと大きく肩を震わせ、思わず手にしていた椀を落としそうになる。その椀を大きく頼りがいのある手がサッと掴んだ。
「おいおい、高価な椀だ。気をつけろよ?」
「……夏様。なら驚かさないで下さい」
椀を手に返され、布で拭きながら文句を言う。だが案の定、夏には全く通じずニコリと爽やかな笑顔で返された。
「……」
目の前の夏も悩みの一つなのに、なぜこんなに清々しい表情なのか。そう思ったら、爽やかな笑顔すらも憎たらしく思えて、正面を向き椀を拭き続ける。
こちらが何も言わず態度も示さないので、夏は周りをウロウロとして顔を覗き込んでくる。正直、凄く邪魔だ。
最後の椀を磨き終え、それを棚に戻す。その最中も横から離れなかった夏に、ようやく視線を投げた。
「なんですか?」
「終わったか?」
「はい」
「なら、デェトしよう!!」
思わず目を瞬かせると、手を引かれ裏口に連れていかれそうになる。そこにちょうど桂が追加の椀を持ってきたので、慌てて声をかけた。
「桂!! 俺も!! 手伝う!!」
「? いえ、大丈夫ですよ。秋様からこれで最後だと伺いましたし、少ないですから」
そうじゃない。見て、感じて、助けて欲しいんだ。
目で必死に訴えるが、桂は夏とどうやら目配せをしたらしい。ふんわりと微笑み「蓮様にはお伝えしておきますね」と言ってきた。
「じゃ、あとよろしく!!」
そう言った夏の小脇に抱えられ、謎のデェトに連行されてしまった……。
連れていかれたのは、出雲大社から伸びる参道の先にある、商店街の中の茶屋だ。店先まで人が列を作っている店もある中で、夏は迷わず小道に入り小さな甘味処に入った。
「いらっしゃいませ」
小さな店内には、机は三卓、椅子は八脚しかない。その最奥の二人がけの席に通されて腰をかける。
「夏くん、お久しぶりだねぇ」
水を持ってきた店員は、着物をきっちりと着ている老婆だ。かなり老いているはずだが、明るい着物と伸びた背筋。それに上品に髪を結い上げているので、年齢よりも若く感じられた。
「おう、今年も神議りだからな」
「え、夏様」
「ふふふ、大国主大神様は今年もお元気かしら」
「あぁ! もちろん!」
顔には出さないように努力しているが、頭から冷や汗が吹き出しているような気分だ。このまま卒倒しても誰も文句は言えまい。
「なら来年も元気に店が出来るようにお祈りしないとね」
「夏の神もよろしくな」
「夏くんは目の前にいるから、祈らなくても大丈夫でしょう?」
軽やかに笑う老婆は、お品書きを置いて一旦奥に戻っていった。
夏は視線をこちらに向けて、ニカッと笑みを浮かべた。きっと何が言いたいのかはお見通しなのだろう。なので敢えて口にせずジッと見つめる。
「そんなに見られたら、ドキドキしちゃう」
なに馬鹿なことを言っているんだ。今度は冷めた目も加えて黙ると、ブッと吹き出して笑い出した。
馬鹿にされているのは、こちらなのかもしれない。
「わ、悪い悪い! ここはな、先々代の頃から通ってるとこなんだよ。嬢ちゃんが俺を本当に神だと思ってるかは分からないけど、ずっと歳とらないから不思議には思ってるだろうな」
「危険だろ」
「うん。そうかもな」
「なら」
「人を見る目はあるんだよ。さ、風花。甘いものは好きか? ここのぜんざいは逸品だ」
夏がそのように思っているなら、こちらが何かを言うことはできない。神使といえど、元はたかだか鬼の捨て子だ。それに、蓮の神使であるのだから夏のすることに何も言う権利は無い。
本当に危険であるならば、大国主大神が黙っていないだろう。それに、大国主大神のお膝元で馬鹿な真似をするような人間もいないはずだ。多分。
黙って渡されたお品書きに視線を落とす。
団子やぜんざい、あんみつ等々がある中で、次の頁をめくると一面に数量限定と書かれた商品が写真と共に載っていた。
「……それにするか?」
「あ、いや、えっと夏様と同じので」
「はいはい。おーい、嬢ちゃん! この特別神在月パフェまだある?」
すると奥からあるよぉと優しい声が返ってきた。それに対して、夏はコーヒーと抹茶も頼んでくれた。
「夏様は食べないの?」
「ん? 俺? んぅー、あ!! 風花がアーンしてくれるか?」
「…………」
「冗談だよ」
「一口ならあげてもいい」
そう言うと、目を瞬かせた夏は満足そうに笑みを浮かべたのだった。
結局、その日はパフェを食べて、街をフラフラと食べ歩きをして、気になる店を見て回った。兄という存在がいたら、きっと夏みたいな者なのだろう。天花は一応兄だけれど、三つ子なので何も変わらない。
夏と参道に戻ると、ぽつんと立っていた大国主大神の神使が恭しく頭を下げてきた。どうやら待ち構えていたようだ。
同じように頭を下げるが、夏は首を傾げただけだった。
「おう、どうした?」
「大国主大神がお呼びでございます」
「……チッ」
いや、舌打ちはダメだろ……と思いつつ、夏にも頭を下げる。
「今日はありがとうございました。気分転換になりました」
「また行こうな」
頭をワシワシと乱暴に撫でられ、立ち去ろうとすると大国主大神の神使は「あっ」と小さな声をあげた。立ち止まると、また頭を下げてきた。
「風花様もです」
「え、俺も??」
こんなことは今まで一度だってなかった。挨拶の時に毎度口説き文句を勝手に言われてはいたけれど、実際に口説かれたことも呼ばれこともない。
蓮が呼ばれ、その時に付き従っているくらいだ。それも、天花がいなかったり手が離せない時だったりするので、大国主大神の元に行くのは偶然でしかない。
それが呼ばれたとなると……。なんだか悪い予感がする。
「参りましょう」
そう言って背を向けて歩き出した大国主大神の神使の後を、拒否するとこもできないので仕方なく数歩後から付いて歩く。
チラリと夏を見上げると、視線に気が付いた夏は大丈夫だと言うように微笑んだ。
一人で呼ばれたわけではない。だから、多分、大丈夫……だろう。
しかし、その淡い期待は見事に打ち砕かれた。
大国主大神の部屋には、なんと大和と暁も呼ばれていたのだ。大人しくはしているものの、殺気にも似た攻撃的な気配を隠しもしない双子は、こちらが夏と入ってきたことによってそれを強めているようだ。
「大国主大神に拝謁致します」
「ようやく来たか」
「遅くなり申し訳ありません」
手に持っていた扇子を振り軽く挨拶を切り上げられ、大国主大神の神使に案内され夏と共に腰を下ろす。
「お前ら、なんで呼ばれたんだ?」
そっと隣に居る大和に聞く。
「分かりません。特に問題は起こしていないし、順調に神議りを進めてます」
「そっか」
大国主大神が、末端の大和や暁のような神を呼び出すことはまずない。余程の問題を起こしたのかと思ったけれど、違うなら良かったと胸を撫で下ろす。
「風花はなぜアイツと?」
アイツとは夏のことだろう。大和は口調こそ柔らかく気を使っているが、夏に向けた攻撃的な視線は隠せていない。
「街を案内してもらった」
「なんでだよ!」
小声ながら勢い良く飛びかかりそうに声を上げた暁を遮るように、大国主大神が扇子で床を叩いた。しかし、シンと静まったこちらを眺めるだけで何も言わない。
「なぁ、大国主大神よ。そろそろこんな顔触れを呼び出した理由を聞いてもいいか?」
さすがの夏も不審に思っているようで、語尾を強めて問いかける。目元は微笑んでいるのに、語尾の強さで全く雰囲気は良くならない。
こうなったら、ことの成り行きを見守るしかないだろう。あくまで神同士の話だ。黙って過ぎるのを待つのが得策だ。
しかし、そう心に決めた次の瞬間、それが出来ない事態が起こってしまった。
「風花、近くに」
「……? え?」
「良く顔が見たい」
「あ、でも」
「最近、目が見えにくくてな」
思わず嘘だろと口にするのを飲み込み、立ち上がる。
大国主大神ならば、たとえ国の端であっても見ようと思えばいくらでもみれるはずだ。それが同室にいる者の顔も見えにくいなんて嘘も甚だしい。
それは夏と双子も理解しているので、少しだけ身体を揺らした。
ゆっくりと近付くと、突然伸びてきた手に腕を掴まれ大国主大神の膝の上に倒れ込む。慌てて顔を上げるが、そのままストンと膝の上に座らされてしまった。
正直、意味がわからない。
……意味が、わからない。
それは夏と双子も同じのようでこちらに向けている目は大きく開き、暁に至っては口まで は? というように開いている。
「……お、降ろして頂けますか?」
「嫌だな。お前は本当に愛らしく暖かい」
マジで何言ってんだ? と言いそうになり、その言葉を飲み込みつつ頭を下げる。
「私のような者がこの場に居てはなりません。大国主大神の威厳にも関わります故、何卒」
「ならん」
……勘弁してくれ。四季神の神使といえど、たかが神使だ。神でもない。
思わず助けてくれという視線を三人に送ろうとしたが、その三人が今にも飛びかかってきそうな目をしているので逆に待て待てと首を振る。
助けて欲しいが、ことを荒立てて欲しいわけではないのだ。
「風花よ」
「はい」
「やはり、お前が欲しいと思ってな。狙ってる輩は牽制せねば」
「なにをおっしゃっ――!?」
敢えて視線を絡ませないよう床を見ていた顔を、思い切りグイと上げられる。やばい。これは、口吸いをしようとしているのではないだろうか。
逃げねば。
大国主大神との口吸いなんて、既成事実になって嫁にされてしまう。
逃げろ。逃げろ。身体よ動け。……怖い。怖い。怖い!! 動け!! 動け!!
頭で何度も指示をしているのに、指の一本すらピクリともしない。頭のてっぺんから血が引いて、足の先から流れ出てしまったように身体の体温が下がっていく。
あと少しで触れてしまう。
その時、腕を掴まれ引っ張られた。そして大国主大神の膝の上から離れ、風景はだれも見えない闇になった。
「おいおい、大国主大神といえど性急すぎやしまいか?」
頭の上で夏の声がする。腕を引っ張ったのはどうやら夏だったようだ。隠すように包まれたそこから顔を出すと、両隣には大和と暁がいた。二人の手は大国主大神に向いているが、開いていた手をグッと握りゆっくりと下げた。
「そんなに焦ることか?」
「風花は、蓮の神使だ。口説くなら蓮に話を通すのが筋だろ」
「ほぉ。では、夏は蓮に話しておるのか?」
「あぁ。前からな」
え、そうなの? と驚いていると、夏はそっと腕の力を抜いて解放してくれた。サッと後ろにさがると大和と暁が守るように前に立ってくれた。
「そうか。今は……夏が一歩進んでるというわけだな。負けてられんのぉ」
その言葉は何故か大国主大神自身に向けてではないような気がしたが、それを追求するほど危険なことはないだろう。気付かないふりをして大人しくする。
「大国主大神、お戯れは程々に」
そう言うと夏は部屋を後にする。その後ろを二人に支えられるようにしてついて出た。
「フハッ、こりゃ嫌われてしまったなぁ」
大笑いをしている大国主大神は、最後に「お茶だけならいいか?」と嬉しそうに扇子を振っていた。
部屋を出て、しばらくすると夏は先に行くと呟いて行ってしまった。
ふとお礼を言えていなかったなと思い、支えてくれていた二人の手に触れた。
「もう大丈夫だ」
「でも」
「ふーちゃん、無理しないで」
「大丈夫大丈夫! 何かされたわけじゃないから」
未遂だ。あと一秒でも夏の手が遅れていたら奪われていただろう。本当に助かった。あとで夏にも改めて礼をせねば。
「二人とも、助けてくれようとしてありがとうな」
「…………でも、届かなかった」
「……………………クソ」
きっと成人の姿になった大和と暁ならば、夏と同じ時に腕を掴めただろう。しかし、今の成長途中の双子はまだ身体も幼いのだ。
「助けようって、気持ちが嬉しかった」
「そんなのは当たり前だよ!! ……ごめん、ちょっと先に行く」
暁が先を歩き出す。その後について行くように大和が頭を下げてから行ってしまった。
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