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神様にご挨拶編
しおりを挟む「ねぇやん!!♡♡♡」
「まぁまぁ!亜耶も椿も久しぶりだねぇ♡♡♡」
新幹線から降りて、待ち合わせのカフェに行くと、アラサーくらいの女の人がいた。ねぇやんと呼ばれたその人は、一族に嫁いだ遠縁の方だそうだ。
「今日はにぃやんいないの?」
「旦那はバスで待っとるで♪」
どうやらにぃやんと呼ばれる旦那さんの運転で、マイクロバスに乗って現地まで行くらしい。
「ねぇやん」の案内で駐車場に行き、運転席にいた「にぃやん」に挨拶をして、バスに乗った。
「他にも席空いてんだから離れて座ってよね」
「やだぁ!離れたくないもんっ♡♡♡」
「うっざw 」
20人以上乗れるマイクロバスの二人がけの席に座る司君と天音君。椿は最後尾の真ん中に座り、隣を相川君が死守している。亜耶が一人がけの席に座ると、RYOが隣の補助席を広げ始めた。
「何でだよっっ!?お前デカいんだから広い方の席行けって」
「亜耶の隣が良い……」
「全員そっち側行ったらバランス悪くなるだろ!?」
蓮を見上げると、隣に座りたいオーラを出しまくっていたため、私は大人しく二人がけの席に座った。
「あははは!全員二人がけの席に座ったらええがなw 」
にぃやんの一言で、ねぇやんと最後尾の椿たち以外は二人がけの席に座った。相変わらずチョコチョコ揉める面子である。
「お前ら神様に呼ばれたんだが?」
「そうだ!そうだよ。ノープランで一人旅してたら◯◯駅に着いてて、そのまま駅でうたた寝してたら夜になってさ~~、目が覚めたら黒猫がめっちゃ見つめてくるから助けを求めてんのかと思って後着いてったら◯◯神社に連れられてさ~~……で、『もし俺の進もうとしている道が正しいのであれば、それらしい現象を起こしてください』ってお祈りしたら、いきなりカミナリがビシャーーン!!って。めっちゃ晴れてたのにだぜ!?そんで『この国の成り立ちをもう一度見直せ』って。そしたら今度は南と蓮が古い記憶思い出すじゃん?本腰入れて調べ直したら、もしかしたら歴史が捲れるかもだぜ?♪」
「そら呼ばれたやなくて『背中押された』んやないの?」
「そうとも言うw 」
亜耶とにぃやんの話を聞きながら、先日見たビジョンのことを思い出していた。かつて山の麓にあった王朝と外国の王族との闘いの日々。千年にも及んだ攻防戦と、すり替えられた歴史。
「全ては最善のタイミングで起こってると言われてるけど、きっと南たちがこのタイミングで思い出したのも、何か意味があるんだろうな」
話を聞いていた椿がボソッと呟いた。
高速を降りてしばらく走ると、正宮の一つである神宮に辿り着いた。
「大きな杉ですね~~!!♡♡♡」
天音君が参道の御神木を見上げて感嘆の声をあげていた。
曲がり角を曲がって本宮に向かう道に出た途端、懐かしさがブワッと込み上げてきた。
「南……俺、この感じ知ってる……」
「だよね!?私もそう思った!!」
まるでママの実家の近くにある古墳に感じる懐かしさのような……。
「ここだけの話だけどな、同じ大学の子が『あそこは中東のエネルギーが強い神宮だ』と言っていた」
「え!?じゃあここも外国から渡って来た神様が祀られてるの?」
椿の言葉に驚いて振り返った。
「さあw その辺は亜耶先生にでも聞いてみな」
多分椿は色々見えている。それでも専門分野じゃないから、と、なかなか語ろうとしないのだ。
「ねぇ……前に峠道の神社で見た親子のビジョンって、あの国での出来事なんじゃ……」
「まさか!?」
思い過ごしかもしれないけど、何となく中東っぽかった気がする……。
本宮にお参りをした後階段を登り、破壊と再生を司ると言われている別宮にお参りして、神楽殿を見学してから、歩いてすぐの場所にある別宮に移動した。
「パワー強っっ!!」
知る人ぞ知るパワースポットと言われている神宮に行き、鳥居をくぐると、亜耶が叫び、椿はしんどそうにしていた。
「どうしよう……僕がエネルギー吸っちゃったから椿ちゃんが弱くなったの……?」
「はは……前ほどじゃないから気にするな……」
相川君は、椿の具合が悪いのは自分のせいだとオロオロしていた。
「ここは浄化のエネルギーが強いからな。むしろ禊だろ」
亜耶が印を結んで椿の背中を強めに叩くと、椿は楽になったのか、スッキリした顔をしていた。
多くの車が駐車場待ちで並ぶ中、マイクロバスが「関係者以外立ち入り禁止」の通路を通って路地裏の駐車場に着いた。
「おお!関係者強い!!」
司君が感嘆の声をあげていた。件のご実家の人脈すげーな……と思いつつ、バスを降りた。
有名な橋を渡り、綺麗な川で手と椿のお店で買ったブレスレットを濯いだ。清々しい参道を進み、本宮に辿り着いた。
柏手を打った瞬間、大きな扉が開くビジョンが見えた。思わず目を見開いてキョロキョロと辺りを見渡すと、神殿の方から風がブワッと吹いた。
「……鳳凰……?」
「……鳳凰は初めて見たかも……」
椿と亜耶が天を仰ぎながら呟いた。鳳凰は二人にしか見えなかったけれど、私たちも暖かいエネルギーを感じ取ることは出来た。
帰りの参道で、椿が放し飼いの鶏がいる方をじーっと見つめた後、亜耶の背中を叩いた。
「ん?……おお…!?」
「どうしたの?」
「紋付袴を着た鼠がいた……」
「どゆこと!?」
皇祖神が祀られる神宮には、人間以外にも色々な参拝客がいるのだと亜耶は語った。
「ねぇねぇ、学業のお守りがあるよ!」
蓮の合格祈願に学業守を購入した。蓮に渡すと、感極まったのか、きつく抱き締められた。
再び橋を渡ると、有名な横丁への道が見えた。
「おお!!食べ歩き天国だ……!!♡♡♡」
それぞれ行きたいところに行こうということになり、一旦解散した。
私と蓮は手始めに、ずっと食べてみたかったコロッケとメンチカツを買った。
「うまぁぁ~~い♡♡♡」
「これは並ぶ価値あるね~~♡♡♡」
その後お土産を見て回り、串に刺したハンペンを食べていたら椿と合流した。
「赤◯ぜんざい食べようよ♡♡♡」
「すまんが私はここに来たらへ◯ば餅を食べると決めてるんだ」
「それ美味しいの?」
「食べてみれば分かるさ♪」
椿に着いて行くと、和モダンな和菓子屋に辿り着いた。イートインでお餅とお茶のセットを注文してみんなで食べた。
「うっっま♡♡♡」
「だろ?」
程良い弾力のお餅と甘過ぎないこし餡の優しい味がクセになる♡♡♡
「へぇ~~、お餅は苦手だけどこれは歯応えがあって美味しいね♡♡♡」
「あんこ苦手でもパクパク食えそう♡♡♡」
男性陣にも好評だ♡♡♡ 私は速攻で10個入りのへ◯ば餅を購入した♡♡♡
それはそれとして、赤◯ぜんざいも蓮と分け合って食べたのだけれど。
「てか隣に肉寿司のお店あるじゃん♡♡♡」
お肉大好きな蓮は、松◯牛にいくらをかけたお寿司を食べていた。
「さて、ランチにするか♪」
「まだ食べるの?w 」
流れで四人で行動することになった私たちがお店を探していると、にぃやんとねぇやんに声を掛けられた。
「お昼ならオススメのお店があるんだわ♡」
ねぇやんの後を着いて行くと、路地裏の細い道を通って川沿いのお店に到着した。
「こっちが牡蠣のお店、こっちが豆腐のお店だで。どっちもオススメやに♡♡♡」
そう言うと、にぃやんとねぇやんは牡蠣のお店に入って行った。
「コイツ豆腐が好物だから私たちはこっちの店に行くわ」
「椿ちゃぁぁ~~ん♡♡♡」
メロメロの相川君を引っ張ってお店に入る椿。私たちも椿の後に続いた。
「へぇ~~、穴子料理も充実してるんだ♡♡♡」
趣深い座敷の席に案内され、窓際のテーブルに着いた。蓮は穴子の天重、私は穴子のお寿司と豆腐の御膳をそれぞれ注文した。
「美味ぁぁ~~い♡♡♡」
豆腐が濃厚で美味い♡♡♡
「穴子も美味いよ♡♡♡ はい♡」
「あ~~ん♡♡ 本当だぁ~~♡♡♡」
小鉢や漬物も美味しい。ねぇやんのおかげで思いの外大満足なランチにありつくことが出来た♡♡♡
「豆腐美味しい~~♡♡♡」
「良かったなw そう言えばさっき通り過ぎた豆腐ドーナツのお店もここの豆腐使ってるんだよな。後で行ってみるか」
「まだ食べるの!?」
「良いだろ別に。ホイ、あ~~ん♡♡♡」
椿はひつまぶしのようなお重の穴子を相川君の口元に持って行った。不意打ちのあ~~ん♡ に一瞬狼狽えた相川君は、顔を真っ赤にして口を開けていた。
ドーナツのお店で豆乳ソフトを買って食べていたら、プリンのソフトを分け合って食べていた司君、天音君と合流した。
「仲良しじゃん♡」
「効率良く食べ歩きしてるだけですw 」
なかなか認めようとしない司君にお昼何食べたか聞いたら、亜耶たちと四人で手こね寿司を食べたとのことだ。
「お、へ◯ば餅だ♡♡♡ 俺もそれ大好き♡♡♡」
亜耶が私が持っていた袋を指差してそう言うと、四人はへ◯ば餅を食べに行こうと言って歩いて行った。
「じゃあ私たちはみたらし団子を食べに行こう♪」
「まだ食べるの!?」
「こういうのは一期一会なんだ!旅先で食べたいと思ったものは全部食う主義なんだよ!」
「謎の説得力……」
祖国の食事に飢えていた椿が力説して、団子屋に走った。
みたらし団子と黒蜜団子を分け合って食べた後、隣のカフェで休憩をした。
「リバービューだね~~……」
「和むね~~……」
カウンター席に並んでボーっと川を眺めていると、白い鳥が優雅に飛び立っていった。その様子を眺めていたらいつの間にかみんなが合流していて、全員で駐車場に向かった。
「こりゃまた……バカ高そうなお宿ですね……」
車で40分程走り、リアス式海岸の海沿いに建ついかにもお高そうなお宿に到着した。
「オイ……お前……」
「んもぉ!!恋人のことはお前って呼んじゃダメなんだよッッ!?」
「シロウ!!…私がなんて言ったか覚えてるか?」
清四郎のシロウだろうか?普段椿は相川君のことをシロウと呼んでいるらしい。
「覚えてるよ~~♡♡♡ だから、みんな平等にスイートルームを予約したんだ♡♡♡ 褒めて~~♡♡♡」
閉口した椿は、黙って相川君の顔を掴むと、渾身のアイアンクローを決めた。
「い゛い゛い゛痛い痛い痛い痛いーーーーッッ!!!」
「……もうお前に予約は頼まん……」
「なんでぇぇ~~~!?」
殆どの部屋が100平米以上の高級旅館の予約を、この年の瀬にやってのける相川家の財力よ……。
「私たちまで泊まらしてもらっても良いんやろか……?」
ねぇやんが心配そうな顔をして椿に聞いていた。
「良いんじゃない?ATMが良いって言ってるんだし」
ATMと言われてヘラヘラ笑う相川君を強いな……と思いつつ、それぞれ割り振られた部屋に案内された。
なんやかんや言っても椿と相川君の部屋は、海に一番近い離れの最上級スイートルームだった。私と蓮、にぃやんとねぇやんは椿たちとは別の離れに案内され、亜耶とRYO、司君と天音君は本館のスイートルームに案内された。
「……天井高ッッ!!?」
「……バカみたいに広い部屋だね……」
「お風呂があるのにデカい露天風呂もある……」
「うわ……バル◯ューダのスピーカー置いてる……」
「何ここ……サンルーム??」
「これ、岩盤浴が出来るカウチじゃね??」
今までもそれなりに良いお部屋に泊まらせて貰ったけど、ここは何というか……別格のお部屋だ……。凄すぎて開いた口が塞がらない……。
「本当に……どうやって予約取ったんだろう……」
「知らない方が良いかもね……」
取り敢えずお茶菓子を頂いた後、スタッフさんにオススメされた庭園やラウンジに行ってみることにした。
「あ、ねぇやんさん……」
「あら、南さん……本当に良いのかねぇ?お部屋広過ぎて申し訳なくなるわ……」
部屋を出たところでねぇやんと鉢合わせた。話を聞くと、案内されたのがメゾネットの2ベッドルームの部屋で、にぃやんと二人では持て余してしまうとのことだった。
ラウンジに向かったねぇやんと別れ、案内図を見ながら庭園を目指した。
「施設多過ぎない……?贅を尽くし過ぎ……」
「金ってあるところにはあるんだな……」
「あ、ここに椿たちの離れがあるんだ……」
クルーザーが泊まる海の近くにある庭は、願いが叶う庭と言われているらしい。
「蓮が大学に合格しますように♡♡♡」
「南とずっとずーーっと一緒にいられますように♡♡♡」
恥ずかしげもなく願い事を言い合い、手を繋いで庭を歩いた後、離れの一階にあるラウンジに向かった。
「椿……」
ラウンジには、PCを開いて仕事をする椿と、そんな椿にベッタリな相川君がいた。
「んもぅっ♡♡ 椿ちゃんったら、オーバーワークだよぉ?♡♡♡」
「私はシロウみたいに優秀じゃないからな。なかなか仕事が終わらないんですよ」
「もぉ~~!謙遜しないでよっ♡♡♡」
「事実なんだが……」
「おお!スムージーがある♡♡♡」
「ドリンク充実してるね~~♡♡♡」
ラウンジ内を見て回っていたら、綺麗な夕陽もあっという間に沈んでしまった。
夕食は完全個室のレストランで、私と蓮、椿と相川君、にぃやんとねぇやんが同じ部屋で食事をいただいた。亜耶とRYO、司君と天音君は隣の個室だ。
「鮑うめぇ~~♡♡♡」
「伊勢海老プリップリ♡♡♡」
「やっぱりここはお肉が美味しいねぇ♡♡♡」
「おお!このワインうめぇな♡♡♡」
名物をふんだんに使った懐石料理を味わいながら、お喋りを楽しんだ。
「そう言えば、何でにぃやんとねぇやんって呼ばれてるんですか?」
「俺、前当主の孫たちの中で一番年上だでな。離島のリトリート施設のオーナーおるだろ?アイツ、俺の弟だが」
「あのオーナーの!?」
あの爆イケオジなオーナーのお兄さんだったとは!?
「そうだで。俺に似ずにイケメンだろぉ?そんで、みんなのお兄さんってことで、にぃやんにぃやんって呼ばれてな、コイツはにぃやんの奥さんだからねぇやんって呼ばれとるんだわ」
「へぇ~~!……え?」
孫世代で一番年上ってことは、椿のお父さんや亜耶のお母さんより年上ってことだよね??二人ともアラサーにしか見えないんだけど……
「本当、この人はケチやで、こんな良いお宿に泊まらして貰ったの初めてだわ」
「アホ言えw まあでも、俺たちもそろそろ還暦やでな。そろそろ貯めた金使ってかなかん」
「還暦!!?」
そう言えばここのお血筋の方々はみんな見た目年齢若かったわ。そうなるとオーナーや里美さんやHanaの実年齢も気になるところだ……。
「にぃやんはめちゃくちゃ溜め込んでるんだから、そろそろ散財しなよw 」
「なーに言っとるんだ。そんなもんありゃせんわ」
にぃやんは否定していたけど、椿はニヤニヤしていた。
「ウチの一族で金儲けの才能が無いのは五郎だけだ」
「俺はしがないバスの運転手やぞ?」
「表向きはな~~♡♡♡」
「可愛くないガキになったもんだわ」
以前椿は、当主以外は金儲けの才能がある一族だと言っていた。
「贅沢に慣れると色々麻痺してまうでな。俺はやっすい宿でもお高い宿でも感動出来る人間でいたいんだわ」
「にぃやんのそーいうとこ大好きだわ♡♡♡」
私もそういう考えは大好きだ。そう思っていたら、亜耶が個室に入って来た。
「なあ、サウナ付きの貸切風呂予約したんだけど、男みんなで入ろうぜ☆」
「サウナ付きの貸切風呂は別料金要るんじゃなかったっけ?」
「まぁ細かいことは気にすんな☆」
「オイw じゃあ女は女で貸切風呂に入るか!」
椿がそう提案すると、天音君が顔を出した。
「あの、先輩……僕も一緒に入っても良いですか……?」
「「ダメに決まってんだろぉぉーーー!!?」」
天音君の発言を聞いた直後、蓮と相川君が叫んだ。椿はため息をついた後、口を開いた。
「あのなあ……天音君には男達と温泉に入りにくい事情があるだろ?部屋の露天風呂にも入りにくいだろうし。ちょっとは気遣ってやれよ」
「だってぇぇ!!他の男に椿ちゃんの裸見せたくないよぉぉ~~~!!」
「俺だって南の裸見せたくないよ!!」
「ハハハw 若いなぁ~~」
確かに天音君はグレーゾーンと言うか……見た目も性自認も男性でありながら、性器は私たちと同じものが付いているのだ。かと言って男たちと一緒に入るのも嫌だろうし、部屋で一人寂しく留守番させるのも可哀想だ。
「いいよコイツらは放っといても。一緒に入ろう。南もねぇやんも良いよな?」
「私は良いよ~~」
「私も構わんで」
蓮と相川君は拗ねていたけど、男たちが貸切風呂に集まる時間に合わせて、私たちも貸切風呂を予約した。
「貸切風呂の広さじゃないんだが……」
「占有面積が100平米だってよ……」
ライトアップされた大きな浴槽と広いリビングに圧倒されながら、みんなで湯船に浸かった。
「はぁ~~…気持ちいい♡♡♡ 僕、人と温泉に入ったの初めてです♡♡♡」
天音君は細身ながら男の子の身体だったけど、やっぱり股間は女性と同じだった。
「そりゃ男湯なんて入れないだろうしな」
「……元カノさんって優しいんですね……僕、誤解してました……」
「元カノさん呼び止めろw 」
「あんなに素敵な上條君を振るなんて、どんな悪女かと思ってたんですけど……」
「私が振られたんだが……」
「思ったよりまともな人で良かったです♡」
「この野郎w 」
天音君の遠慮の無い物言いのせいで、椿は額に青筋を立てていた。
「椿はええ子やに~~♡♡♡ なかなか優秀やし~~♡♡♡」
「あははw 私なんて凡人だよw 」
「またまたぁ~~!謙遜してぇ~~!」
「いや、真面目な話、あっちの大学に行って思い知ったよ。世界のトップに立つようなエリート達は根本的に頭の作りが違うんだって。そんなエリートだらけの環境で対等に渡り合ってるシロウの凄さもな」
え?相川君が?椿ちゃん椿ちゃんって椿にベッタリで、しょっちゅう赤ちゃん返りする相川君が??
あ、でもそう言えば、中学の時は完璧貴公子とか言われてたような……?
「私はエリートより断然椿の方が好きだけどね♡♡♡」
「可愛い奴め~~♡♡♡ 私も南が好きだよ~~♡♡♡」
「何言っとるのw それにしても、綺麗な星空やねぇ~~♡♡♡」
私たちは星空を見上げながら、自分たちが泊まっている部屋がいかに無駄に贅沢な作りなのかを自慢?し合った。
お風呂上がりに別のラウンジに立ち寄り、軽食を摘んだ。あともう一つラウンジがあるらしい。施設多過ぎw
部屋に戻ると、先に戻っていた蓮に抱き締められた。
「天音君に変な目で見られなかった……?」
「見られてないよ~~。人と温泉に入ったの初めてなんだって。私たちが当たり前にしてることがしたくても出来ない人もいるんだよね……」
「初めて?じゃあまだ部屋の風呂には入ってないのか」
「あ、そっか!……いくら大好きな人でもさ、裸を見せるのはまだ抵抗があるのかもね……」
天音君が勇気を出して声を掛けてくれたのは、司君の前で裸になれなかったからなのかも。
「そっちのお風呂はどうだった?」
「広くてビックリしたw 傘みたいな屋根があってね~~……」
ソファーに腰掛けて暫くお喋りをした後、抱き上げられ、ベッドに運ばれた♡♡♡
「んっ…♡ あんっ♡ んふふ…♡ はぁん…♡」
部屋着の上から身体を弄られ、じゅわじゅわとお股が濡れていく……♡♡♡ 蓮と、蓮とセックスするための準備をしてるこの身体が愛しくて、夢中で蓮を求めた♡♡♡
「星が綺麗~~♡♡♡」
雲一つない満天の星空を、客室露天風呂に入りながら眺めた。
「超晴れ男と晴れ女のおかげだよね~~♡♡♡ ……そう考えると卒業旅行の天気心配になってくるな……」
「大丈夫だよ~~♡♡♡ だって南も相当な晴れ女だよ?この前だって良い天気だったし♡♡♡」
蓮に背中を預けて空を見上げると、冷たい風が頬に当たった。
「蓮、寒くない?」
「寒くないよ♡♡ 温泉も南もあったかい♡♡♡」
広いデッキにある広い露天風呂に浸かりながら、どこまでも広がる星空を見上げたら、飛行機に擬態したUFOが赤い光を放った。
「おお!!空が綺麗だとUFOもよく見えるよね~~♡♡♡」
「南……UFOに慣れ過ぎじゃない?」
UFOを眺めながら、神宮で椿と亜耶が見た鳳凰の姿を思い出していた。一説には、龍が進化した姿とも言われている瑞獣だ。
UFOは何度か赤い光を発した後、スッ…と消えた。
ーーーーーーー
~~最上級別邸のルームツアー~~
「海に浮かんでるみたいだね~~♡♡♡」
壁一面ガラス張りのリビングからは、クルーザーが停泊するリアス式海岸が一望出来る。壁に挟まれたインフィニティの客室露天風呂はまるでプールだし、デッキから階段を上がると屋上テラスまである。設備や小物に至るまでどれを取っても贅が尽くされていて、ラグジュアリーな演出に余念がない。私もそれなりに稼いでる方だと思っていたが、このボンボンは別格のボンだな……。
「……やっぱり不満だった……?」
「いや、良い部屋だな♡♡♡ せっかくだからとことん楽しむか♪」
「やった♡♡♡」
「そんなワケで私は下のラウンジで一仕事してくるわ」
「なんでぇ~~!?ここですれば良いじゃん!!」
「オメーが邪魔してくるからだろアホがっっ!!」
一階のラウンジには海と対面するカウンターやソファー、ドリンクや軽食も用意されていて、寛ぐにも仕事をするにも快適な空間だ。目の前のクルーザーでクルージングも出来るし、近くには庭園もあるそうだ。
「椿……」
シロウにベタベタされながら仕事を熟していたら、手を繋いだ南と蓮が入って来た。相変わらず仲良しで何よりだ。
「相変わらずビジネスマンみたいなPC使ってるんだな」
「フン、最高の相棒だぞ?」
スーツケースを連想させるデザインの国産メーカーのPCにはもうずっとお世話になっている。見た目重視で林檎のPCも使ってみたこともあるけど、やっぱり手に馴染むのは相棒のコイツだ。
「椿ちゃんは優秀なんだよ~~♡♡♡」
飽きもせずにベタベタ引っ付いてくるシロウは、課題にしても仕事にしても、いつの間にかしれっと終わらせていつの間にかベタベタしてくる。コイツに優秀だとか言われても嫌味にしか聞こえないんだが。
「どうせ万年二位だとか思ってるんだろ?w 」
「思ってないよっっ!!……大好きなんだもん……♡♡♡」
肩に額を擦り寄せてそんなことを言うシロウを可愛いと思えるくらいには好きだと思う。それでも自分よりも優秀な人間に対しては嫉妬してしまうのだ。
「寒くない……?」
屋上テラスにホットティーを持って来てくれたシロウが心配そうに見つめてくる。
「ありがとう。まぁ寒いけど、せっかくこんな綺麗な星空なんだ。見ないともったいないだろ?」
そう言うと、シロウは隣の席に腰掛けた。
「星と言えば、スクエアパークの星も綺麗だったよね♡♡♡」
「州立公園の星も綺麗だった♡♡♡」
「僕、今までゆっくり星を見上げたことなんて無かった……」
「……だろうな……」
「椿ちゃんさぁ……最近僕に嫉妬してるでしょ」
「バレたかw 」
「バレバレだよw そんなに嫉妬するならさ、いっそ入れ替わってみる?」
「……それは~~……イヤかな……」
「あはははw 正直過ぎでしょw 」
シロウの境遇とかしがらみとかを思い浮かべ、やっぱりある程度身軽で自由な我が身が最高だと結論付けた。
シロウは一呼吸置いて、話を続けた。
「やれば出来たんだ……でもずっと苦しかった……そうやって外面を取り繕ってる時もずっと椿ちゃんのエネルギー奪ってたんだよね……」
「……まぁ、そうだな……」
「今日、椿ちゃんの顔色が悪くなった時、もうダメなのかもって思った……もう限界なのかもって……。手放してあげないと、取り返しのつかないことになっちゃうのかもって……でも……僕……椿ちゃんがいない世界で生きていける気がしない……ゔぅぅ……ゔぇぇ……別れだぐないよおぉぉ~~……」
「なんで別れるって話になってんだよw 」
何故か自己完結しそうなシロウの頭を撫でてやると、涙でグチャグチャの顔を向けて鼻水を啜っていた。
「あ~~…もう、部屋に戻るぞ」
暖かい部屋のソファーに座らせて、ノンカフェインのコーヒーを淹れた。
「もうシロウは一方的にエネルギーを吸ってるワケじゃないから気にするな。元々私は防御力が弱いから今日はたまたまそうなっただけだしな」
「ぐすっ……本当に……そばにいても良いの……?」
「当たり前だろ?だからもう泣くなって♡♡♡」
「椿ちゃあぁぁ~~~ん!!♡♡♡♡」
ぎゅうぎゅうと抱き付いてきてメソメソ泣くシロウを抱き止めた。暫くあやしていると、だんだんウトウトし始めた。こういうとこが子猫みたいで可愛い♡♡♡ ベッドに寝かせて布団の上からポンポンと叩いてやると、やがて穏やかな寝息が聞こえてきた。
「……風呂に入るか……」
縦に長い客室露天風呂は、海と一体感のあるインフィニティ風呂だ。真っ暗な夜の海と満天の星空という非日常なロケーションの中、暖かい温泉に浸かれる幸せを噛み締め、のんびりしていたら、シャワールームから人の気配がした。
「一緒に入ろ~~♡♡♡」
「……そのデカ過ぎるのを鎮めてから入って来い……」
「なんでっっ!?てか、いい加減させてよぉ~~!!僕ずっと我慢してるんだよ!?」
「デカチンは無理……」
「言うほどデカくないってば!!!」
人の乳を無遠慮に揉みしだきながらデカチンを擦り付けて来るバカ猫をいなしながら、果たしてどこまで逃げられるだろうか……と、ため息をついたのだった……。
「……シてくれる……?♡♡♡」
「……挟むだけなら……」
……もう暫くは何とか素股で誤魔化せないかと思案しつつ、実は結構気持ち良いシロウのデカチンを股に挟んだ♡♡♡
ーーーーーーー
~~別邸メゾネット客室のルームツアー~~
「本当に良いのかねぇ……」
椿の彼氏さんが予約してくれたお部屋に案内されて驚いた。なんと二階建てだったのだ。真ん中に座り心地の良さそうなチェアとテーブルがあり、二台のベッドとデイベッドが部屋を囲んでいる。広いテラスに出ると、温室みたいな部屋があった。お洒落なスピーカーやカウチがある部屋で、ここだけでも泊まれそうな広さだ。階段を上がって二階に行くと、キングサイズのベッドが置いてあり、その先には大きな客室露天風呂があった。しかもシルキーバスだと書いてある。
「二人で過ごすのもったいないわ……」
「おお!!冷蔵庫に地ビール入っとるが♡♡♡」
デイベッドに寝そべってビールを煽る呑気な旦那を見ながら、ため息をついた。
亜耶に現地を案内してくれと言われて軽い気持ちで了承したら、思わぬ贅沢をすることになった。親族が派手に稼いでいる中、旦那はバスの運転手としてコツコツ働いてきた。だからもしかしたら当主になってしまうかも……と内心ビクビクしていた。五郎君が当主になってホッとしたものだ。同時に旦那が株でしこたま儲けていたことが発覚したけど……。どおりでたまに分布相応な高級旅館に連れて行ってくれると思った……。
「贅沢に慣れると色々麻痺してまうでな。俺はやっすい宿でもお高い宿でも感動出来る人間でいたいんだわ」
夕食の時に言った旦那の言葉が全てを物語っている。独身時代、ありとあらゆる贅沢を経験した旦那は虚しさに耐え切れず酒を煽る毎日だったそうだ。
「ああ~~……適度に嗜む酒はうめぇな~~♡♡♡」
美味しそうにビールを飲む旦那を見ていると、この人が幸せそうで良かったな……と思わずにはいられなかった。
「たまには一緒に風呂に入るか?」
「アホ言え!!酔っ払いは風呂に入ったらあかんで」
……不意打ちで来られると、可愛げの無い返事をしてしまうけど……
ーーーーーーー
~~本館スイートルームのルームツアー~~
「うおおお!?ひっっろ!!」
「露天風呂が岩風呂なんだけど!?」
「室内風呂がガラス張りで露天みたいなんだけど!?」
「ちょw 鯉泳いでるんですけどw 」
男二人でひとしきり盛り上がった後、テーブルに並べられたパンフレットを見た。
「ラウンジに庭に……館内設備も充実してんな~~……ラウンジだけで3箇所もあるんだけど……」
「風呂に入ったらラウンジにも行ってみようよ♡♡♡」
「良いね♡♡♡」
亮二と一緒に岩風呂に浸かり、旅の疲れを癒した。付き合う前は男と付き合うことに抵抗感があったけど、いざ付き合ってみたら、俺と同じくらいスタミナはあるし、割と価値観も合うし、執着強めなことを除けば最高のパートナーだ。あの頃はひいばあちゃんを恨んだこともあったけど、やっぱり予言は正しかったんだとつくづく思う。
「はぁ~~……ととのう~~……」
「フルチンでベンチに寝そべるなよw 」
そう言って隣に腰掛け、口付けをしてくる亮二。キスが好きな亮二は、暇さえあればキスを強請るのだ♡♡♡
「ちゅ…♡ んん~~……まだ反応が鈍いですねぇ……」
「亮二は反応し過ぎですねぇw 」
フル勃起した亮二のちんこを扱いてやると、低く唸った後射精した。
「亜耶のも……♡♡♡」
「んっ…♡ ちょっと……♡♡ どうせなら、一緒にシようぜ?♡♡♡」
纏めて扱くと、亮二の体温がダイレクトに伝わってきて、なんやかんやで昂ってしまう♡♡♡
「あ゛ぁぁヤバッ……潮吹きそう……ッッ♡♡♡」
「そっか……吹いて良いよ♡♡♡」
「やだぁぁ~~恥ずかしいよぉ~~!!♡♡♡ ハァッ…ハァッ…あ゛ああ~~ダメダメダメッ!!?♡♡♡」
「俺もイきそ~~♡♡♡」
バカみたいに扱き合って、興奮を高めていった♡♡♡ 俺が射精した瞬間、亮二の尿道口から透明な液体が噴出した♡♡♡
「もぉやだぁぁ~~……♡♡♡」
「嬉しそうに言われてもなw 」
粗相をした大型犬のように項垂れる亮二に口付け、シャワーを浴びた。
「なあ、みんなでサウナがある貸切風呂に入りたくねぇ?♡♡♡」
「良いね♡♡♡」
フロントに予約をしに行き、ライブラリーもあるラウンジにウェルカムスイーツを食べに行った後、コーヒー片手に敷地内を散策した。
「敷地広いな~~」
「あ、見て見て!クルーザーがあるよ」
行ってみると、サンセットクルーズが出来るとのことだった。
「ちょうどご予約もありませんし、クルージングされませんか?」
「マジっすか!?♡♡♡」
時々訪れるこういった幸運をありがたく受け取り、リアス式海岸のクルージングを楽しんだ。
スタッフさんの話を聞くと、リトリート施設がある島出身とのことだった。
「えっ!?シゲじいを知ってるんですか!?」
「知ってるも何も、めっちゃ仲良しだよ♡♡♡」
「うわぁ~~懐かしいなぁ~~♡♡♡ 久しぶりに帰りたくなりましたよ」
故郷を懐かしむスタッフさん。こうして色々な人と対話をしていると、心の底では誰もが故郷を愛しているのだと実感する。
「もっと土地を開きたいなぁ~~……」
今日の参拝中に見えた扉が開くビジョンと、飛び立った鳳凰らしき存在を思い返し、自分に何が出来るのだろうと思案した。
「亜耶は凄いね……」
「何言ってんだよ。亮二の方がすげぇだろ」
かつて俺が逃げ出した芸能界で頑張り続ける亮二は、それだけで尊敬の対象なのだ。
何年もモデルとして活動してる亮二は、ここ最近受験を理由に仕事をセーブしている。しょっちゅう遊びに来るから仕事セーブしなくても良いんじゃないかと思うけど。
「里帰りするきっかけをいただき、ありがとうございます」
「おう!シゲじいにも連絡しとくわ♡♡♡」
クルージングを楽しませてくれたスタッフさんにお礼を言って、俺たちはレストランに向かったのだった。
「ねぇ空見て!!UFO出てる!!」
「おお、またかw 最近よく出るなぁ~~」
こんなに頻繁に見ていたらありがたみも薄れてくる。俺は興奮する亮二を抱き寄せて、ベッドに誘った。
「じゃ、おやすみ♡♡♡」
「は!?エッチするんじゃなかったの!?」
「エッチは夕方にしただろ~~?…ぐぅ~~……」
「寝つき良過ぎぃぃ~~~!!!」
高級なマットレスのおかげで、朝までぐっすり眠れたのだった♡♡♡
ーーーーーーー
~~本館スイートルームのルームツアー~~
「……バカじゃないの……」
上條君は部屋に入るなりそう呟いた。
目の前に広がる光景に、僕も面喰らってしまった……。
「初めての上條君との旅行が、こんな素敵なお部屋だなんて♡♡♡ 僕幸せ~~♡♡♡」
目の覚めるようなブルーのカウチソファーの横にベッドルームが広がり、広いテラスの向こうには大きな岩風呂があった。天井も高くて開放感抜群だし、全面ガラス張りの内風呂はなんと炭酸泉との事だ。
「早速露天風呂入ろ~~っと♪天音君も入るだろ?」
「えっ……えと……僕は……まだ入らない……」
カントボーイである僕は、誰かと一緒にお風呂に入ったことがない。そんな僕の事情もお構いなしに、上條君は徐に服を脱ぎ始めた。
「キャーーーーッッ!!♡…ちょっと!!僕の前で脱がないでよッッ!!」
「何言ってんのw 男同士だろ?」
「バカッ……僕は……って、前くらい隠してよぉぉ~~ッッ!!」
カントボーイの僕には無いモノをぶら下げて、上條君は豪快に岩風呂にダイブした。
「めっっちゃ気持ちいい~~!!♡♡♡ 天音君、本当に入らないの?」
「~~ッッ……もう!!デリカシー無いんだからッッ!!」
剥れて部屋を飛び出した僕は、スパのようなラウンジに駆け込んだ。
「お庭……キレイ……」
「あら、天音君?」
「ねぇやんさん?」
カウチソファーに座ってぼんやりしていたら、先輩たちがねぇやんと呼んでいるアラサーくらいの女性と鉢合わせた。
「天音君はどれ飲む~~?」
「あ…紅茶でお願いします……」
ラウンジの飲み物をねぇやんさんが淹れてくれて、ホッと一息ついた。
「ここの貸切風呂、どこも素敵やって、口コミにもあったに~~♡♡♡ 楽しみだわ~~♡♡♡」
何の気負いも無く温泉を楽しめる普通の男性や女性に内心苛立ちながら、紅茶を啜った。
「僕、カントボーイなんです。だから一人きりでしか温泉に入れないんです。家族で旅行に行っても、貸切風呂に一人、貸切風呂が無ければ自分だけ部屋風呂ですよ。あ~~あ!!なんで僕、こんな身体に生まれちゃったんだろう!!」
ねぇやんさんに当たっても仕方ないのに、愚痴が止まらない……何だか悔しくて、情けなくて、いつの間にか涙が滲んできた。
「誘ったら良いがな。天音君が嫌やなければ、椿に『一緒にお風呂入ろ』って言ったら良いんだわ」
「だって……僕、アソコ以外は男ですよ?元カノさんだって嫌がるでしょ?」
「そんなことないで。椿は自由な子やに~~。万が一断られても、こんなオバンで良かったら私が一緒に入ったるしな♡」
最近ではアラサーでもおばさん扱いされるのだろうか。僕から見たら十分若く見えるけど。
「夕食の時にでも、思い切って誘ってみぃ」
「……はい……」
僕はいつの間にか、みんなで温泉という夢が叶うかもしれない期待に胸が膨らんでいた。ねぇやんさんと暫くお喋りしていたら、ラウンジに上條君が入って来た。
「あ、ここにいたんだ……」
ホッとした顔をして見せた上條君を見ていたら、何だか堪らなくなった♡♡♡
「心配して探してくれたの?♡♡♡」
「思い上がるなw 」
そうやってすぐ突き放してくる上條君の不器用な優しさが、今はとても嬉しかった♡♡♡
「はぁ~~…さいっこ~~のお風呂だったぁ~~♡♡♡」
「女風呂なんて、男の夢だよねw 」
「僕はフツーに温泉を楽しんだのっ!!……元カノさんたち、良い人だね♡ 僕の見た目は男なのに、普通に受け入れてくれて……」
「そうだろ?なにしろ自慢の元カノですからw 」
「ムカつく~~っっ!!そっちの貸切風呂はどうだったの?」
「すげえ広くて最高だったよ♡♡♡ ドリンクやお酒もいっぱいあって、にぃやんが喜んでたw 」
ソファーに座ってお喋りをしていたら、上條君が頭を下げた。
「ごめんな……配慮が足りなかった……」
「上條君……♡♡♡」
友達同士の旅行に押しかけて来たのは僕なのに……そんな優しい上條君だから、僕は……♡♡♡
「上條くぅん……エッチしよぉ?♡♡♡」
「は?そんな空気じゃなかったよね??」
「上條君っっ!!僕ね……僕ぅぅ~~……カントボーイだから……すっっごく性欲旺盛なのぉぉ~~~!!♡♡♡」
思わず上條君をソファーに押し倒し、馬乗りになった♡♡♡
「上條君……上條くぅん……♡♡♡ エッチしたいよぉぉ~~♡♡♡」
上條君は、お腹に乗っかってヘコヘコと腰を振る僕を抱き上げて、ベッドに放り投げた♡♡♡
「上條君……♡♡♡」
「寝ろ!!!」
上條君はそのまま自分のベッドに乗り、布団を被って横になってしまった……。
「ヒドイよ上條君……僕もぉお股ベチョベチョなんだよぉ~~?♡♡♡」
「ノリで手は出しません!!」
「なんでぇぇ!?僕ぅ~~セフレでも良いからぁ~~♡♡♡」
「お前ぇぇーーーーッッ!!!」
いつもは穏やかな上條君の怒声に吃驚していると、上條君は急に起き上がった。
「僕とヤりたいのならさ、僕が土下座してお願いするくらい惚れさせてみてよ……」
「上條君……?」
「そりゃ欲望だけなら今すぐヤりたいよ。でも、俺にとってセックスは欲だけじゃないから。心から抱きたいと思える相手とじゃなきゃヤりたくない……」
苦しそうな表情でそう言う上條君を見ていたら、性欲だけで突っ走ってしまった自分が恥ずかしくなった。
「……元カノさんは、上條君にとって、そういう人だったの……?」
「まあ、そりゃね……言っとくけど、未練があるとかじゃないから」
そう言うと、上條君は立ち上がってこちらに来た。
「セックスってエネルギーの交換だからさ、コミュニケーションが何よりも大切だと僕は思うワケですよw 」
「上條く……んっ…♡」
上條君に顎を掬われ、軽く口付けをされた♡♡♡ ウソ!?初めてキスされちゃった♡♡♡
「例えばこうやって徐々にお伺いを立てたり、とか……♡♡♡」
「上條くぅぅ~~ん♡♡♡」
「んぶっ!?♡♡♡」
感極まった僕は、夢中になって上條君の唇を貪った♡♡♡
止めどなく溢れてきた愛液でシーツが結構濡れてしまったけど、上條君は頑なにシてくれなかった……♡♡♡
でも良いんだ♡♡♡ 自分が意外と大切にされていたことに気付けたから……♡♡♡
ーーーーーーー
目が覚めたら、ベッドに南がいなかった。部屋を見渡したら、やっぱり朝風呂に入っていた。
「蓮もおいでよ~~♡♡♡」
笑顔の南に誘われ、露天風呂に入り、朝からイチャイチャした♡♡♡ 流石にエッチする時間は無かったけど、充実した朝を過ごせた♡♡♡
朝食は洋食と和食を選べたから、当然のように別々のメニューを分け合って食べた♡♡♡
「朝からこんな贅沢させて貰って♡♡♡ ありがたいわぁ~~♡♡♡」
「俺が贅沢させてないみたいに言うなよw 」
何気ない軽口で、二人の仲の良さが伺える。俺たちも、二人のように気取らない夫婦になりたいな♡♡♡
朝食後、名残惜しい気持ちでチェックアウトをして、にぃやんの運転するマイクロバスに乗り込んだ。
「これから水族館に行ったり遊園地に行ったり忍者の村に行ったり出来ると思ってる奴……あまーーーい!!これから行くのは別宮だーーーッッ!!」
朝からテンションの高い亜耶の指示通り、バスは山の中の別宮に向かって走った。
「はっ……!?待て待て待て……俺いつの間に高速に乗ったんだ!?」
「は?何言ってんだよにぃやん。もうすぐインター……えっ!?もう大◯町に来てるの!?」
亜耶が驚いて腕時計を確認していた。
つい先程宿を出て、長いトンネルに入ったばかりじゃなかったっけ!?
「ここどこ??」
「目的地付近だ……」
全員が狐に摘まれたような顔をしていた。こうして俺たちは、本来なら1時間半かかる道のりを僅か20分で到着した。
「UFOにでも攫われたんだろうか……」
「あ!思い出した!!神村教授が似たようなこと言ってたわ!!5時間かかる道を1時間で帰ったことがあるって!!」
椿がそう言って一人納得していた。
「さっさと参れって圧かけてきたんじゃない?」
「何それ……こわ……」
UFOか神様のイタズラだろうと結論付け、道の駅に駐車して、参道入口に向かった。
「こっちの神宮も大きいよね~~……」
暫く参道を進むと、見事に捻れた模様の杉が現れた。
「ここがかの有名なゼロ磁場ってやつか……」
ここは知る人ぞ知るパワースポットらしい。
「椿ちゃん気分悪くなってない?」
「気にし過ぎだw 大丈夫だって♡」
「無理しないでね……」
相川は昨日参拝したとある神宮で少し体調を崩した椿のことが心配らしい。
「むしろ椿は浄化されて綺麗になってるよなw 」
亜耶がそう言うと、椿はニヤリと笑った。
「防御力が弱い分、良くも悪くも影響受けやすいからな」
「まぁだから石が必要なんだよな~~」
ストーンショップのオーナーでもある椿は、着けているピアスを指先で弾いてみせた。
「ただの石だの詐欺だの言う奴もいるけどな、石に限らず万物はそこに存在するだけの理由があるんだよ」
「石と言えばこの先のペトログリフがさぁ~~……」
その後は亜耶の考察が始まり、ゼロ磁場から離れて、手洗場に移動した。
「ハートの石がある♡♡♡」
石段の中にハートの石を見つけた南がはしゃいでいて、可愛かった♡♡♡
昨日の手洗場の川も綺麗だったけど、ここは手つかず感が強くてパワースポット感がかなり強いと思った。手を清めて参道に戻り、幾つかある社を奥から参拝した。
「あ……あ~~……キタキタ来たあぁぁーーーーッッ!!!」
「何ごと!!?」
最初に参拝した宮で手を合わせていたら、亜耶が急に叫び出した。
「俺、今日中にキーマンに出会うらしい」
「はあ?何だって?」
よく分からないことを呟くと、何事もなかったかのように参拝を続けていた。
「近くの古民家カフェでランチ予約しといたに~~♡♡♡」
ねぇやんに案内されて、俺たちは歩いて古民家カフェに向かった。古い街並みを暫く歩くとカラフルな看板が見えた。
「マジで古民家やん……」
「にぃやんもねぇやんも色んなお店知ってるんだね」
「そらウチら食べ歩きが趣味なんだが。ここに来るのは三回目だでな~~♡♡♡」
弁当を販売しているカウンターを通り、奥の座敷に案内された。運ばれてきた料理はご飯と味噌汁の他、肉料理と魚料理、煮物と酢の物と漬物があって、とにかくおかずが多いランチだった。
「体が喜ぶごはんだね~~♡♡♡」
「米が美味すぎる♡♡♡」
食事をしながら亜耶が今後の話をしていた。
「俺はやっぱり土地を開きたいんだよ。各地にある忘れ去られた神様が住む土地を、また人が住む土地にしたいんだ。だから俺はやっぱり、世界中の村を見て回りたい。そんで学んだことをこの国の土地開きに生かしたいんだ」
「何か私に出来ることがあったら言ってくれ。全力で協力するわ!!」
「最高だぜ相棒~~!!」
「僕も協力しますよ」
「おっ……俺だって!恋人だしッッ!!」
「僕にも協力させて欲しい」
次々と協力を申し出る面々。もちろん俺たちも同じ気持ちだ。
「なんだかお祭りみたいで楽しいね♡♡♡」
「いっそみんなでお祭りやっちゃう?♡♡♡」
南と何気ない会話をしていたら、みんなが一斉にこちらを向いた。
「そうだよ!!祭りだ!!祭りで人が集まれば土地も開くんだ!!」
「それやーーーーッッ!!!」
突然聞こえてきた声に驚いて、みんなが一斉に声の方に振り向いた。そこには40代くらいの男性がいた。
「なんやめっちゃオモロそうな話が聞こえるて思って聞き耳立てとってん。そこの天パの君!!君めっちゃオモロいわ~~♡♡♡」
「てかアンタ誰だよ!?」
男性は名刺を取り出すと、亜耶に渡した。
「えっ……!?」
そこには、某有名飲食店の名前と、代表取締役という肩書きが書いてあった。
「いや~~!!久しぶりにここの神宮に呼ばれたと思ってさっき参拝して来たんやけど、天パのにーちゃんに会ったら話しかけろーーってめちゃくちゃな御神託が来るから何でやねん!?って思っとったとこやってん。多分今ここで俺らが繋がることは、後々大きな意味を持つようになるんちゃうかな?つーわけで連絡先教えて♡♡♡」
「……新手の詐欺……?」
一方的に捲し立てる男性に一同は亜耶と同じようなことを思っていた。
「さっき言ってたキーマンなんじゃないの?せっかくだから連絡先交換しとけば?」
「おっ……おう……」
見えるもの同士のアドバイスはお互い聞くというイメージの二人。亜耶は椿に促されて、男性に連絡先を教えていた。
「伏線回収早かったなぁ~~」
「ホント……びっくりしたわ……」
帰りのバスの中で未だ放心中の亜耶。にぃやんは上機嫌で運転している。
「でも、もし大規模なお祭りしたいってなったら、飲食関係の協力者がおるのは強みやに。食べ物で人の満足感って変わるからな~~♡♡♡」
流石ねぇやん。食べ歩きが趣味とあってなかなか鋭い意見だと思いながら聞いていた。
「そうやって人が集まって、新しい商店街とか出来たら楽しいだろうね~~♡♡♡」
「その案いただき!!何それワクワクするじゃ~~ん♡♡♡」
「シゲじいの野菜使って、さっきの古民家カフェみたいなお店出すとか?」
「そっか!!僕の事業ってそういうことでもお手伝い出来るんだ!!」
相川が手を叩いて興奮していた。詳しくは聞いてないけど、確か空き家再生の事業だったような……?
「今だけの案じゃなくてさ、この先何百年でも続いていけるシステムを作っていきたいよな!!」
「みんなで案出し合っていこうよ♡♡♡」
夢中になって話していたら、バスはいつの間にか駅に着いていた。
「楽しかったわ。おかげで良い宿にも泊まらして貰えたし♡♡♡」
「みんな頑張りゃーよ♡♡♡」
ロータリーでにぃやんとねぇやんにお礼を言って別れ、俺たちは駅ビルの中に入った。
「じゃあ、私はこの後あちらの実家に行くからここでお別れだ」
「お正月は会える?」
「もちろん♡♡♡」
新しいストーンショップの店舗を契約しに行くとかで、年末まであちらに滞在するらしい。当たり前の顔をして着いて行く相川は、最早お約束である。
椿と別れ、この地方の銘菓を買い込んだ南と新幹線に乗った。
「こしあんをパイで包んでるのか~~。美味そうだね♡♡♡」
「帰ったらみんなで食べようね♡♡♡」
食べることに余念がない南に苦笑いしつつ、亜耶たちの話を聞きながら帰路に着いた。
「祭りが実現したら何しようかな~~♡♡♡」
「その前に蓮は受験祭り乗り越えようね!!♡♡♡」
「押忍!!!」
一気に現実が襲って来たけど、南に付きっきりで勉強見て貰えるという幸せを噛み締めながら、家までの道のりを歩いたのだった♡♡♡
10
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