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祭りだわっしょい編
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「いやぁぁ~~w まさか二ヶ月も経たないうちに帰って来るとはw 」
4月の末、亜耶とRYOはお祭りの準備のために一旦帰国した。
「初めまして、ヒロトです」
「初めまして~~♡ 動画サイトよく観てます~~♡♡♡」
亜耶が尊敬してやまないストリートミュージシャンのヒロトさんも、今回のお祭りに参加するとの事だ。蓮が繋いでいた手をギュッと握っていたけど、ヒロトさんに敵意を剥き出しにするのは我慢してるみたい。蓮も大人になったなぁ……と感慨深い気持ちになった。
三人はそのまま会場の村に向かうと言っていた。来週には椿と相川君も帰国する。お祭りの情報は随時SNSで報告すると言われて、私たちは一旦別れた。
「南♡♡ 誕生日おめでとう♡♡♡」
イタリアンのガーデンレストランでディナーをした後、テーブルの上に置かれた箱のリボンを解いた。中には虹色に輝くエナメルレザーの長財布が入っていた♡♡♡
「うわぁ~~!!♡♡♡ 綺麗~~♡♡♡ ありがとう蓮♡♡♡ 大好きっ♡♡♡」
蓮は照れ笑いしていて、私も浮き足だった気分になった♡♡♡
「あと一年かあ~~……あと一年くらい誤差の範囲では……」
「ダメッ!!!」
「けちぃ~~……」
敢えて主語を抜いてみたけど、蓮には正しく伝わっていたみたいだw
ディナーの後は、近くにある展望大浴場のあるホテルに泊まった♡♡♡
「南ぃぃ~~……♡♡ エッチしたい……♡♡♡」
「最初からそのつもりでしょ?♡♡♡」
大浴場で夜景を眺めながらゆっくりお風呂に浸かり、さっぱりした体で蓮に向き合った♡♡♡ 項を吸う蓮の唇に敏感に反応した私はそのまま抱き寄せられて、ゆっくりとベッドに押し倒された♡♡♡
「あっ…♡ あっ…♡ ねぇ~~……焦らさないでよぉ……♡♡♡」
「えぇ?♡♡ 今日は南の誕生日だからご奉仕してるだけじゃん♡♡♡」
そう言って意地悪な顔をする蓮は、さっきから内腿ばっかり舐めてくるのだ♡♡♡ ドロドロに濡れているおまんこをスルーされてばかりいたら、欲しくて欲しくて堪らなくなっちゃう♡♡♡
「イジワルしないで……ココに、旦那様おちんぽ、早くちょうだい……?♡♡♡」
自分の膣口を撫でながら、蓮を煽ってみる♡♡♡ きっと蓮も限界の筈だから、これで釣られてくれないかな……?♡♡♡
「んぐうぅぅ~~~~ッッ!!♡♡♡ 卑怯モノぉぉ~~~!!♡♡♡」
「どこがよw 」
蓮は悔しそうに目を瞑ると、ゴムの封を切った♡♡♡
ズップン!!
「キタぁぁ~~~~ッッ!!♡♡♡♡」
「負けたあぁぁ~~~~ッッ!!♡♡♡♡」
欲望に負けて腰を振る蓮が愛しくて、幸せを噛み締めるようにギュッと抱き付いたのだった♡♡♡
「キャァァーーーーッッ!!♡♡♡ nana gardenが出演するんだってぇぇ!!♡♡♡」
nana gardenとは、ゲリラライブ中心に活動する異色のガールズバンドである。近年全く表に出て来なかった為、とっくに解散したのかと落ち込んでいたのに……お祭りに出演してくれるなんて嬉し過ぎるうぅぅーーーッッ!!♡♡♡♡
「良かったね南♡♡♡」
SNSで毎日発信されているお祭りの情報はどんどんすごいことになっている。神宮参拝の時に出会った飲食店社長、門脇さんが手配してくれたキッチンカーを使った飲食店多数と、zodiacのHanaさんが呼び掛けてくれたnana gardenはじめ8組のミュージシャンの出演、各種出店等を、川沿いにあるスポーツ公園を貸し切って行うらしい。
「南たちの出店スペースも確保してあるからな~~♡♡♡」
と亜耶が言ってくれている。私は当日使用するアロマオイルを使ったマッサージオイルの物販もしようと考え、GW中は瓶詰め作業に明け暮れていた。
「見て見て♡♡♡ パネル出来た♡♡♡」
蓮が嬉しそうにブラックボードを見せてきた♡♡♡ ブラックボードには手書きの文字とイラスト、PCで作成したPOPも貼られている。実は蓮も結構絵心があるのだ♡♡♡
「わぁ~~!!すっごく見やすくて可愛いっっ♡♡♡」
「気に入ってくれて良かった♡♡♡」
蓮はその後、ハーブティーの茶葉を買いに行ってくれた。
七海はポストカードサイズのイラストを販売するとのことだ。司君と天音君、そしてフリースクールの子供たちは、天然石を使ったストラップを沢山作ったそうだ。
「南~~~♡♡♡」
「椿~~~♡♡♡」
GWの最終日、長い夏休みに入った椿と相川君が帰国した。
「門脇さんがテントとか貸し出してくれるそうなんだが、南たちは宿泊どうする?」
「私たちは近くの宿場町に宿泊しようと思ってるんだ♡♡♡」
近隣住民のご迷惑にならないようにと一般チケットの販売は最小限にしたそうだけど、周辺の宿泊施設は結構予約で埋まっていた。テントの貸し出しは関係者のみだそうで、一般のお客さんは二日間のどちらか、或いは両日参加する場合は近隣の宿泊施設を利用するのだそうだ。マイカーでの来場も規制していて、宿場町がある駅から送迎バスを走らせるそうだ。フェス~~♡って感じでワクワクする♡♡♡
「決して安くないチケット代にも拘らず、一週間もしないうちに完売したらしい。芸能人効果かな?w 」
椿はそう言って笑っていた。「まつまつ祭り」と名付けられた今回のお祭りには、地域住民から芸能関係者、人気インフルエンサーも参加予定だそうだ。想像していたよりも本当に大事になってきているなぁ……と思いつつ、私たちは門脇さんが用意してくれたバスに乗って、山間の村へ出発したのだった。
まつまつ祭り開催前日、早朝に出発して昼前に現地に到着した。広大なスポーツ公園には主に3つのエリアがあり、アーチ型の屋根があるコンサートエリアと陸上競技場にイベント用テントを建てた物販エリア、野球場に櫓や休憩スペースを設置したイベントエリアがある。宿泊用のテントは駐車場の奥に設置可能だそうだ。
私たちは用意してくれていたスペースに販促物を置いて、テーブルと椅子を借りに事務所に行った。
「里美さん!?」
「おお~~!!南ちゃん♡♡♡ 今回は事務員として参加してるんだよ~~♡♡♡」
奥からはにぃやんとねぇやんも出てきた。再会に喜び、テーブルと椅子を借りてお店の設営を行った。七海と森川君も手伝いに来てくれて、あっと言う間に設営が終わった。
「お~~い!!こっちにも紅白幕くれ~~!!」
櫓回りの足場で大工よろしく設営をしているのは一足先に現地入りした椿である。
「櫓デカくない!!?」
「これ、終わったら解体するんだよね……」
二階建てになっている櫓を見上げて呆けていたら、椿に見つかり、そのまま手伝うことになった。
「解体作業もフリーエネルギーを使った運搬機械を使えばあっという間さ♪」
「えっっ!?」
「初めまして、内藤です」
振り返ると、エコビレッジの副村長、内藤騎士さんがいた。内藤さんは今回のまつまつ祭りに使用されるフリーエネルギーを用いた設備を色々と説明してくれた。
「この小さい箱で屋外の冷暖房を賄えるんですか?」
「そう、このボックスは空間の範囲を決めたら見えない壁を作るんだ。だからこの一台でイベント用テントが並ぶ範囲の空調を管理してくれるんだよ♪」
「ほえぇぇ~~……すご~~い……」
この素晴らしいボックスは全てのエリアにいくつか設置され、寒暖差の激しい山の気候でも昼夜問わず快適に過ごせるとのことだった。
「祭りで使用される電力は全てフリーエネルギーを利用しているから、こういうイベントでかかる莫大な電気代を殆ど抑えることが出来るんだ」
「すごいすごい♡♡♡」
内藤さんの説明に私たちは大はしゃぎしていた。男性陣はフリーエネルギーの仕組みについて色々質問していて、内藤さんは専門知識も用いた詳しい説明をしていた。
「ところで亜耶とRYOは?」
「紬さんたちと神様にご挨拶に行ってる」
「紬さんも神様の類じゃなかったっけ……?」
亜耶とRYOは紬さん、本家のお弟子さんたちとこの地に祀られる神社に行っているそうだ。何でも、大切な御神事をしているとの事である。
設営は夜まで続き、ひと段落したところで温かいお蕎麦が振る舞われた。
「今回のまつまつ祭りの出資をしていただきました、エリック・ミキュラス氏です!皆さん拍手をお願いします!!」
事務所内で大きな拍手が沸き起こった。大陸の大富豪だというエリックさんは、恋人でこれまた富豪のカインさんと寄り添って、簡単な挨拶をしていた。椿が言っていた、フリーエネルギー事業に絡んでいる富豪とは彼らのことのようだ。その後音楽イベントの責任者でもあるHanaさんが挨拶をして、里美さんに野次られていた。各エリア責任者の挨拶が続き、一区切りしたところで亜耶が二十代くらいの女性を連れて事務所にやって来た。
「今回まつまつ祭りに協力してくださいました、村長さんのお孫さん、そしてここで発表させていただきますが、歴史から隠された王族の末裔でもあります、竹内亜樹さんです。今回、亜樹さんが岩戸開きに快諾してくださいましたので、つつがなく御神事を終えることが出来ました。本日を持ちまして、無事土地が開かれたことを皆様にご報告致します」
亜耶が高らかに宣言すると、事務所内は割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
「旅館に泊まる子たちは俺が送ったるでな」
にぃやんがバスを出してくれるそうだ。私たちと七海たちはバスに乗り、宿場町まで送って貰った。司君と天音君はテント泊だそうだ。
「にぃやんがバス会社の手配してくれたんですか?」
「おお、そうやに。亜耶の奴、急に言い出すで焦ったわw 」
駅でバスから降りた面々は、それぞれが予約した旅館に向かって歩いた。私と蓮、七海と森川君は予約の都合で六畳二間続きの部屋に四人で泊まることになった。
「佐久間!!お前ら今晩はヤるなよ!?」
「そりゃこっちのセリフだアホ!!」
一応襖で部屋を仕切れるけど、上の欄間から声がダダ漏れなのだ。
付けていた食事は朝食だけだったけど、ご厚意でお夜食を頂き、七海と一緒に宿場町が見渡せる温泉に入った。
「見て見て~~♡♡ マイレって言う植物のモチーフなの♡♡♡」
「わぁ~~!!お洒落~~♡♡♡」
七海が私たちと同じデザイナーさんにお願いした指輪を見せてくれた。時期が来たら、私たちと同じように改めて貴金属で作るそうだ。
「やっぱり大学生になるとなかなか会えないねぇ~~……」
「そうだね……大学はどう?」
「めっちゃ楽しいよ~~♡♡♡ 色んな感性を持った子がいてね~~……」
私たちは並んでお湯に浸かり、近況報告をし合った。
「ちょっとw 今日はシないんでしょ?」
「ちょっとだけ……イチャイチャするだけ……♡♡♡」
布団の中で胸を揉まれ、小声で抗議すると、小声でちょっとだけと言い訳する蓮。ちょっとだけで済まないから抗議してるんだけど……
「ん…♡ あ…♡ ダメ……声出ちゃう……♡」
「口で塞いであげるから……♡♡♡」
結局ちょっとで済む訳もなく……♡♡♡
私たちが致している間、欄間の向こうからも物音や吐息や微かな喘ぎ声が聞こえてきて、お互い様だな~~と思いながら熱い夜を過ごしたのだった。
「お前ら昨日……」
「こっちのセリフだボケ……」
木箱に入った朝食を頂きながら睨み合う蓮と森川君。私と七海はほのぼのしながら朝食をいただき、迎えに来ていたにぃやんのバスに乗って会場入りした。
「ギャ~~~ッッ!!♡♡♡ 中学の時からジュリアンさんのファンでしたぁぁ~~~!!♡♡♡」
「ありがとう♪最近はなかなか活動できなくてごめんね」
nana gardenのボーカル、ジュリアンさんをHanaさんが紹介してくれた♡♡♡ 推しと握手をした手って洗いたくなくなるものだなぁ~~……と思いながら、ジト目で睨んでくる蓮をスルーして、ジュリアンさんとお喋りをさせていただいた♡♡♡
タイムスケジュールがグループチャットに送られ、各自準備をしていたら一般客来場の時間になった。
「20分1500円?お値打ちだね♪お願いできる?」
「ハイ♡ ありがとうございます!!」
一般客は最小限にすると聞いていたけど、実際の来場者はかなり多いイメージだった。どうやら出演ミュージシャンにも販売枠が結構あったらしい。地方都市からの夜行バスも駅まで行き来していて、にぃやんが手配したバスが満席だと、朝渡されたトランシーバーから聞こえてきた。それ故に私のハンドマッサージのお店も結構予約が埋まってきた。20分アロマオイルを使ったハンドマッサージをして、施術後は蓮が作ったハーブティーを飲んでいただくというルーティンを3時間程繰り返した。
「あなた、セラピスト向きの良い手をしてるわね♪程良く肉厚で気持ちが良いわ♡」
「ありがとうございます♡」
施術している横では、ハーブティーを振る舞っていた蓮が先程のお客様に絡まれていたw
「ねぇお兄さんはいつ休憩なの?♡♡♡ 一緒に見て回ろうよ♡♡♡」
「……ずっとお仕事でーーす……」
仕事だから耐えてくれ……と願いつつ、予約を熟していった。
右隣のお店は特殊な金属を編み込んだ綿で作られた洋服を売っていて、左隣のお店はタロット占いをしていた。椿のストーンショップは少し離れたところにあって、百合子さんと梓ちゃんが交代で店に立っているそうだ。司君と天音君はフリースクールの子たちと商品を販売したり、ミニゲームのスペースで遊んだりしている。向かい側にある七海のお店では、森川君がラッピング作業をしていて、威厳のある雰囲気のお年寄りと七海が何か話していた。相川君は全体のタイムスケジュールの調整をしていて、朝からあちこち走り回っている。流石元生徒会長。椿は全力で遊ぶと豪語しており、相川君とは別の意味で朝から走り回っている。亜耶とRYOは竹内さんたちと行動していて、こちらも忙しそうだ。物販エリアの一部には門脇さんが手配してくれたキッチンカーが数台あり、イベントエリアには屋台が何軒か建っている。櫓では神楽を舞ったり、地元の青年団が太鼓を叩いたりしている。コンサートエリアではタイムスケジュールの順番に各アーティストが演奏していて、nana gardenは午後1時からだ。勿論その時間は休憩にしている♡♡♡
「あ゛ああ~~……ジュリアンの歌声サイッコォォーーー!!♡♡♡」
「良かったね……女の人だから我慢してあげてるんだよ……?」
「ん?」
「ううん、それより午後の予約の前にキッチンカー行こう」
ホットドッグや惣菜パン、定番のクレープ、ピザやソフトドリンクなどのキッチンカーの中で、特に人気だったのが手作りおにぎりのお店だった。雑穀を使ったおにぎりとお味噌汁のセットを買って簡易テーブルで食べた。ちょうど梓ちゃんが彼氏と食べに来ており、四人でお喋りをした。
「お姉ちゃんってば、イベントエリアに入り浸ってるみたいなんですよw 」
「働かせなくて良いの……?」
「その分家で働かせましたからw オーナー作のブレスレット、20個作らせたんですよ♡」
「なるほど~~……」
オーナー作のアクセサリーは単価高めだけど即完売の人気商品だ。本人の気分がノッてる時しか作らないから、かなりのレア商品だ。さぞかし遊びたかったのだろう……。
ありがたいことに午後も予約が埋まっていて、3時間程ハンドマッサージ→ハーブティーの流れを熟した。
「14客で21000円、アロマオイルは3点販売です!!お疲れ様でしたーーッッ!!」
「南お疲れ様~~~!!♡♡♡ よく頑張ったね♡♡♡」
「蓮もお茶出しと予約受付してくれてありがとうね~~♡♡♡」
一般客の最終退場時刻の19時に後片付けをして売り上げを確認した。それが終わったら夕食タイムである。今日の賄いは地元レストランのシェフが鹿肉のカレーを振る舞ってくれた。
「空いた時間に子どもたちが櫓で鬼ごっこ始めちゃってさぁ~~w 」
「ホント……ずっと遊んでたよね……」
「誰よりも子供だったよね……」
相川君とRYOがジト目で椿を見ていた。日が暮れてからもイベントエリアでプロジェクションマッピングを上映したり、櫓で盆踊り的なことをしていたそうだ。明日は最後にランタンを浮かべるのだと内藤さんたちが言っていた。
みんなで和気藹々とお喋りをしながらカレーを食べていたら、隣にnana gardenのメンバーがいて、私はまたしても叫ぶハメになった♡♡♡
「子供たち、無事就寝しました」
「お疲れお疲れ~~い♪」
疲れた顔の司君がテントの方からやって来た。フリースクールや関係者の子供たちは、年上の子が年下の子の面倒を見ていたそうで、幅広い年齢の子たちがみんなで楽しそうに遊んでいた。
「では、まつまつ祭り初日の成功を祝して!!」
「「「弥栄~~~!!♡♡♡」」」
亜耶の音頭でみんなが乾杯した♡♡♡
その日はみんなで夜遅くまで語り合ったり、大人はお酒を酌み交わしたりしていて、すごく楽しい時間を過ごした♡♡♡
「今日画廊のオーナーがみえてね、個展をやってみませんか?って誘われちゃった♡♡♡」
「すごーーい!!♡♡♡ 流石七海~~♡♡♡」
「ありがと~~♡♡♡」
七海と話していたら、御人神の紬さんが来て、沢山パンが入った袋を差し出してきた。
「キッチンカーの売れ残り貰ったんだ~~♡♡ いる~~?」
紬さんは神様なのに、普通にドーナツを食べていた。私と七海は、袋の中からくるみパンとツナサンドをいただいた。
「御神事って紬さんがしたんですか?」
「私と亜耶と里美でしたよ。RYO君も裏方として頑張ってくれたんだよ♡♡♡」
「へぇ~~!!そうなんですね!!」
紬さんは暫くお喋りした後、パンの袋を持って他の人のところへ行った。
焚き火の前ではヒロトさんがギターを持って弾き語りをしていた。いつの間にかジュリアンさんも歌い出して、初セッションとは思えないくらい綺麗なハーモニーを奏でていて、ウットリしながら聴き入っていた♡♡♡
「そろそろ旅館に帰るチームはバスに乗れってよ~~!!ついでに面白い体験も出来るぞ~~?♡♡♡」
椿が思わせぶりなことを言い、一体何だ?と思いながらバスに乗った。
「ちょっと!?バス浮いてない!?」
「うわぁぁ!!?マジで浮いてる!!」
バスが空を飛んでいる。と言うより空を道路のように走っている!?
「俺も実際運転したのは初めてだが♪冷暖房のボックスあっただろお?アレと理屈は同じらしいで。よぉ分からんけどなw 」
にぃやんのざっくりした説明で色々理解した森川君が説明していた。どうやら空間に道を作っており、一時的に物質化して道路になることで、普通の車両でも普通に運転出来るのではないかと言っていた。
「コレが実用化したら、アスファルトも要らなくなるってことか……」
「物流もめちゃくちゃスムーズになりそう」
「ドライブがますます楽しくなりそう」
空を直線距離で走ったバスは、行きの半分の時間で駅に着いた。にぃやんにお礼を言って昨日と同じ宿に帰った。
流石に今日はみんな疲れていて、温泉に入って温まったら、全員秒で爆睡したのだった……
ーーーーーーー
一昨日から俺の中の常識が、良い意味でどんどんぶっ壊されている。
「今日は空飛ばないんですか?」
「今空飛んだら、周りの車驚いて事故起こしてまうがやw 」
送迎をしてくれるにぃやんが、そう言ってケラケラ笑っていた。昨日は夜遅かったから特別にってことらしい。
今すぐ実用化して欲しい夢のような技術を目の当たりにしつつ、お祭りの出展を南と二人三脚で頑張った♡♡♡ 色目使ってくるお客さんもいたけど、頑張って躱せていたと思う。
開場前の全体ミーティングを終え、一般客の入場時間までの間、隣の占い師さんにタロット占いをして貰う事になった。
「旦那さん、もしかして結婚する前に何か奥さんに対して無茶なことしてた?」
「え゛っっ!?……分かるんですか……?」
「過去のところに戦車の逆位置が出てるからさ。人の権利を無視して強引に推し進めるってカードなのよね」
「ゔっっ……おっしゃる通りです……」
「で、奥さんの過去が吊るし人の逆位置。自己犠牲のカードなんだけど、自分が犠牲になってることが不満な状態なの」
「すごーーい!!当たってる~~!!」
「ごめんなさい……」
「で、一回リセットして、今は恋人の正位置、ラブラブな状態ね。結構お盛んでしょ?w 」
何でそんなことまで!?確かにお盛んですけど!?
「近未来はカップの2が出てるから、このままラブラブで過ごせるよ~~♡♡♡」
「やった!ありがとうございます♡♡♡」
怖いこと言われなくて良かった……と思いつつ、ポットにハーブティーを入れた。
今日も南のハンドマッサージは大盛況だ♡♡♡ 今日は里美さんも予約してくれている。
「里美さん、意外と浮腫んでますね……?」
「そうなの~~、昨日飲み過ぎちゃった☆」
zodiacのHanaと同い年だと言う里美さんは、昨晩Hanaと飲み比べをしたそうだ。……てことは今年35歳か。やっぱり浅倉家本家の血筋なだけあって、見た目年齢は二十代だけど。
「ハンドマッサージを予約出来るかい?」
「エメ◯ルドスプラッシュ……?」
受付に立っていたら、ハイエロファン……華京院君が立っていた。お前も来とったんかい!?
男の予約なんか受けたくないが、これは仕事、これは仕事と自分に言い聞かせて華京院君の予約を取った。
「僕は運命の女性に出会ってしまったんだ……!!」
「へぇ~~……どなたですか?」
「浅倉椿さんだ♡♡♡」
「ブーーーーッッ!!!w 」
聞き耳を立てながら水を口に含んだ俺は、そのまま水を吹き出してしまった。てか、椿てww
「彼女は僕の理想そのものだ!!♡♡♡ 艶やかな黒髪……洗練された立ち振る舞い……♡♡♡」
「んっふふふw……へぇ~~……」
一体誰のことだろうか??お祭りの最中も子供たちと遊び呆けているガキでチンピラな浅倉椿さんなら知ってるけど??
「相川君の彼女ですよ?」
「ああ、きっと椿さんは清四郎君の本性を知らないんだろう。可哀想に……騙されているんだよ。ああ、僕が救い出してあげたいッッ……!!」
「……そうですか……」
「んぐっっw 」
もう俺の腹筋はエラいことになっていたw
「因みにどんな本性なんです……?」
「彼はグローバリストの家系だからね。他人のことをコストだと思っている人でなしだ。利用価値が有るかどうか、他人に対する興味はそこしかない冷酷非道な男なんだ!!」
俺たちが知ってる本性と随分開きがあるな……。しょっちゅう赤ちゃん返りしている粘着男というイメージしかないんだけど……。
「じゃあ華京院さんは優しくて温かい人なんですね~~」
「もちろんだ!!椿さんが僕のお嫁さんになってくれたら、一生大切にする!!♡♡♡」
「あはははw 頑張ってくださいね♪」
施術が終わった後「悪い人じゃないんだけど……」と南が呟いていた。悪い人じゃないし、椿との相性も意外と悪くないだろうけど、相手が相川だからどうにもならんよな。
今日は昼休みを多めに取って、会場内を見て回ることにした。
スピーカーから流れる音楽に合わせて、櫓の上で社交ダンスを踊る亜耶と椿。お客さんたちは櫓を囲むように、二人のダンスを見学したり、自由に踊ったりしていた。俺と南はその様子を屋台のたこ焼きを食べながら見ていた。
「南……俺たちも、踊る……?♡♡♡」
「あ!!たませんもたべたい♡♡♡」
「……そっか……」
南はたませんを幸せそうに頬張っていた……。
コンサートエリアでは有名なインフルエンサーのトークライブをしていて、動画サイトでは言えない世界の裏側的な話をしていた。
「今日の夕方にzodiacのライブやるんだって♡♡♡ 椿の曲も演ったりするのかな~~?♡♡♡」
「椿が嫌がるんじゃない?」
コンサートエリアを出ると、事務所から出てきた相川がバックヤードに走って行った。今日も忙しいみたいだ。
川に行くと、川の側にアウトドアチェアを置いてチルタイムを楽しんでいるRYOと、子供たちと川遊びをしている司君と天音君がいた。
「めっっちゃ癒されるぅ~~……」
設営を頑張っていたRYOは、今は充電タイムらしい。敷地内にいると、ファンに追いかけ回されるからな……。子供と司君たちは、河原で石投げをして遊んでいた。後で自転車を借りてダムを見に行くそうだ。
手を振る子供たちと別れ、物販エリアを見て回った。百合子さんと梓ちゃんに手招きされ、アクセサリーや小物を見させて貰った。椿が作らされたブレスレットは完売したそうだ。
「梓と百合子さ~~ん♡♡♡ サンドイッチ買ってきたよ~~♡♡♡」
梓ちゃんの彼氏の西田君が、甲斐甲斐しく動き回っている。椿は絶対認めんとか言ってたけど、俺からは普通に良い彼氏に見えた。
「何で西田君は椿に嫌われてるの?」
「あ~~……多分あのことかなぁ……?」
西田君によると、高校の時結構なクズ男が椿に執着していたらしい。何でも、男勝りな椿がいつ落ちるか賭けていたとか。そのクズ男の親友が西田君だったそうだ。
「あの頃は何も考えずに椿のこと落としてやるーーって言ってたアイツの肩持ってたもんで……」
「ああ~~……しかし、何でわざわざあんな核弾頭みたいな女なんかを……」
「何でだろうねぇ?1年の時からやたらとちょっかいかけてたんだよね、アイツ……」
きっとそいつは、椿に構って欲しかったんだろうな……椿は構ってちゃんホイホイなのか?……って言うとブーメランだからやめとこう……。
七海ちゃんはスケッチブックに似顔絵を描いていた。ポストカードが完売して、急遽似顔絵を描くことになったらしい。森川が受付をしていたけど、背が高過ぎるせいか、子供にギャン泣きされて焦っていた。
そろそろ休憩時間も終わり、店に戻った。そこから3時間、南は色々なお客様を施術した。RYOの事務所の社長も来ていて、里美さんとは親友だと話していた。
辺りが薄暗くなった頃、早めに店を閉めて、イベントエリアに向かった。
まつまつ祭りのイラストが描かれたランタンを受け取り、灯をつけた。灯と言っても火ではなくフリーエネルギーを利用した灯だ。一定以上の温度になったらランタンごと溶けて消える仕組みらしい。もちろん木などに火が移ることもなく安全だと内藤さんは言っていた。
「それじゃ、一斉にリリースしますよ!!さーん、にーい、いーち、ぜろーー!!」
一斉に夜空に舞うランタンは決して多くはなかったけど、幻想的で儚く、美しかった。
店の片付けをして、売れ残ったアロマオイルを両隣の人に渡した。お礼にとTシャツとみかんをいただいた。
櫓やテントなどは明日解体して回収するらしい。
「搬出なんてあっという間さ♡♡♡」
内藤さんの言葉が気になり、二人で搬出の手伝いを申し出た。
「では、まつまつ祭りの大成功を祝って!!」
「「「弥栄~~!!♡♡♡」」」
焚き火を囲んでみんなで乾杯する。老若男女、みんな満遍の笑顔だ。俺も南もやり切った充足感で最高の気分だった♡♡♡
地元のボランティアの方から岩魚の発酵寿司の差し入れをいただき、おやきや五平餅、朴葉味噌で焼いたジビエ肉などを分け合って食べた。
「七海たちは搬出手伝わないの?」
「うん、明日受けたい講義があるから。ごめんね」
「ううん、また遊ぼうね♡♡♡」
七海ちゃんと森川、司君と天音君はバスに乗って帰るそうだ。先程宿に延泊の連絡をしたから、今夜は二人きりである♡♡♡
「じゃあ、また遊ぼうね~~!!♡♡♡」
「僕たちとも遊んでくださいね♡♡♡」
帰宅組はバスに乗り、最寄りのインターまでの道のりを、空を走って帰って行った。
「めちゃくちゃ時短になるね……」
「切実に実用化希望だよね……」
バスが夜の闇に消えるまで、俺たちはずっと空を眺めていたのだった……。
「んふふ♡ 今日はやけに手にキスするね?♡♡♡」
「南の手にお疲れ様って言いたいの♡♡♡」
「蓮も、お疲れ様♡♡♡」
その夜は、布団の中でお互いを労わるようにゆっくりと愛し合った♡♡♡
翌朝、亜耶が車で迎えに来てくれた。男手は軍手を嵌めて、櫓やテントの解体を手伝った。解体されたパーツはみんなが適当に放り投げていたけど、何故か投げられたパーツが一箇所に集まり、ある程度の多さになるとヒュンッ!と空を飛んで行った。村の外で待機しているトレーラーまで運ばれるのだそうだ。
「……古代遺跡って、案外こんな風に作られたのかもしれないね……」
「そうだね……」
午前中に搬出作業は全て終了し、亜耶がみんなでお参りに行こうと言い出した為、山にある神社に行くことになった。
「ハァ…ハァ…ハァ……亜耶の奴、軽いノリで言いやがって……」
「ひぇぇ~~……ひぇぇ~~……まだ続くのぉ~~??」
参道は、物凄く長くて急な階段になっていた。前を行く亜耶、RYO、椿、相川は和気藹々とお喋りしながら階段を上っている。フィジカル強強メンバーを後ろから睨みながら、俺と南はやっとの思いで着いて行った。道中あちこちに湧き水が溢れていて、石像や石碑がやたらと多く、ここが霊山であることを実感させてくれる。
「着いた~~~!!♡♡♡」
そこには、断崖絶壁の側に本殿が建っていた。亜耶は神社と世界最古の文明との関係について話をしていた。
「はりつめた~~弓の~~♪ふるえるつ~~るよ~~♪」
「月の光に~~ざわ~~め~~く~~♪おまえのこ~~こ~~ろ~~♪」
「裏声上手いなw 」
苔むした断崖は壮観で、畏怖すら感じるほどだが、デカい五円玉の石像が絶妙な具合で現実に引き戻してくれる。何とも不思議な空間だ。
「まぁおふざけはここまでだ。ここではマジで真剣に参拝するぞ」
かつては多くの修験者たちが修行をした厳しい霊山であると言う。亜耶と椿の祝詞を聞きながら、みんなで真剣にお参りした。
奥に滝があるから見に行こうと言われ、またもや階段を上り、滝を見に行った。滝のミストが心地良い。
「マイナスイオン最高~~!!♡♡♡」
「この先にも滝があるんだぜ~~♡♡♡」
またもや無邪気な亜耶に騙されて、最早登山道を暫く歩き、もう一つの滝に辿り着いた。
「おお~~!!滝行が出来そう……」
「滝の裏側にも回れるんだぜ~~♡♡♡」
滝の裏側に回ってはしゃぐ亜耶。暫く山の中で過ごした後、祭り前夜に賄いを作ってくれた方のお店に行った。
「蕎麦うめぇぇ~~♡♡♡」
「やっぱりこの辺は蕎麦が美味い♡♡♡」
野菜かき揚げの蕎麦とざる蕎麦を南と分け合って食べた。から揚げと炊き込みご飯も優しい味付けで美味しかった♡♡♡
「内藤さんのおかげで村のみんな生活費安くなったって喜んでるわ♪」
店主が嬉しそうにそう言っていた。水からガソリンを作り出すフリーエネルギーがあればガソリン代も要らず、電気やガスの整備も順番に進められている。
「ずっと秘密裏に進められて来たけど、国内の零細企業からどんどん広め始めてるからな。もうこの勢いは止められないぜ?☆」
「大企業からじゃないんだ……」
「そこは察しろよw 」
まだまだ関係者の命の危険はあるということか……俺たち大丈夫かな……?
その後近くのお店でアップルパイをお土産に買った。椿は店の前でシュークリームを頬張っていて、相川に嗜められていた。
荷物を宅急便で先に送り、帰りは電車で帰ることにした俺と南は、送ってもらった駅で亜耶たちと別れた。亜耶たちは四人でこの後も遊ぶらしい。
「亜耶とRYOは来週発つんだっけ?」
「おう、また帰ってくるわ☆」
「私たちは暫く国内にいるからまた遊ぼうぜ♡♡♡」
「また連絡するね~~♡♡♡」
手を振って四人と別れ、電車に乗った。車窓からは山間の景勝地も見れて、祭りの余韻に浸りながら景色を楽しんだ。
「めちゃくちゃ楽しかったね~~♡♡♡」
「そうだね♡♡ 生きてる~~って感じだった♡♡♡」
主要都市で降り、南が行きたいと言った鰻屋でひつまぶしを食べ、お土産を買って帰った。
「このTシャツ着てると、すごく調子が良いのよ~~♡♡♡ 何でかしら?」
隣のテントの人からいただいた、特殊な金属を織り込んで作られたTシャツを着た母さんが喜んでいた。そんなに良いのかとお店のSNSを見てみると、通販もしている様子だった。
後日家族分のTシャツを購入し、部屋着として使った。そのせいかは分からないけど、その年の夏は酷暑にも拘らず夏バテ知らずだったから、何かしら効果があるのだろうと思ったのだった。
4月の末、亜耶とRYOはお祭りの準備のために一旦帰国した。
「初めまして、ヒロトです」
「初めまして~~♡ 動画サイトよく観てます~~♡♡♡」
亜耶が尊敬してやまないストリートミュージシャンのヒロトさんも、今回のお祭りに参加するとの事だ。蓮が繋いでいた手をギュッと握っていたけど、ヒロトさんに敵意を剥き出しにするのは我慢してるみたい。蓮も大人になったなぁ……と感慨深い気持ちになった。
三人はそのまま会場の村に向かうと言っていた。来週には椿と相川君も帰国する。お祭りの情報は随時SNSで報告すると言われて、私たちは一旦別れた。
「南♡♡ 誕生日おめでとう♡♡♡」
イタリアンのガーデンレストランでディナーをした後、テーブルの上に置かれた箱のリボンを解いた。中には虹色に輝くエナメルレザーの長財布が入っていた♡♡♡
「うわぁ~~!!♡♡♡ 綺麗~~♡♡♡ ありがとう蓮♡♡♡ 大好きっ♡♡♡」
蓮は照れ笑いしていて、私も浮き足だった気分になった♡♡♡
「あと一年かあ~~……あと一年くらい誤差の範囲では……」
「ダメッ!!!」
「けちぃ~~……」
敢えて主語を抜いてみたけど、蓮には正しく伝わっていたみたいだw
ディナーの後は、近くにある展望大浴場のあるホテルに泊まった♡♡♡
「南ぃぃ~~……♡♡ エッチしたい……♡♡♡」
「最初からそのつもりでしょ?♡♡♡」
大浴場で夜景を眺めながらゆっくりお風呂に浸かり、さっぱりした体で蓮に向き合った♡♡♡ 項を吸う蓮の唇に敏感に反応した私はそのまま抱き寄せられて、ゆっくりとベッドに押し倒された♡♡♡
「あっ…♡ あっ…♡ ねぇ~~……焦らさないでよぉ……♡♡♡」
「えぇ?♡♡ 今日は南の誕生日だからご奉仕してるだけじゃん♡♡♡」
そう言って意地悪な顔をする蓮は、さっきから内腿ばっかり舐めてくるのだ♡♡♡ ドロドロに濡れているおまんこをスルーされてばかりいたら、欲しくて欲しくて堪らなくなっちゃう♡♡♡
「イジワルしないで……ココに、旦那様おちんぽ、早くちょうだい……?♡♡♡」
自分の膣口を撫でながら、蓮を煽ってみる♡♡♡ きっと蓮も限界の筈だから、これで釣られてくれないかな……?♡♡♡
「んぐうぅぅ~~~~ッッ!!♡♡♡ 卑怯モノぉぉ~~~!!♡♡♡」
「どこがよw 」
蓮は悔しそうに目を瞑ると、ゴムの封を切った♡♡♡
ズップン!!
「キタぁぁ~~~~ッッ!!♡♡♡♡」
「負けたあぁぁ~~~~ッッ!!♡♡♡♡」
欲望に負けて腰を振る蓮が愛しくて、幸せを噛み締めるようにギュッと抱き付いたのだった♡♡♡
「キャァァーーーーッッ!!♡♡♡ nana gardenが出演するんだってぇぇ!!♡♡♡」
nana gardenとは、ゲリラライブ中心に活動する異色のガールズバンドである。近年全く表に出て来なかった為、とっくに解散したのかと落ち込んでいたのに……お祭りに出演してくれるなんて嬉し過ぎるうぅぅーーーッッ!!♡♡♡♡
「良かったね南♡♡♡」
SNSで毎日発信されているお祭りの情報はどんどんすごいことになっている。神宮参拝の時に出会った飲食店社長、門脇さんが手配してくれたキッチンカーを使った飲食店多数と、zodiacのHanaさんが呼び掛けてくれたnana gardenはじめ8組のミュージシャンの出演、各種出店等を、川沿いにあるスポーツ公園を貸し切って行うらしい。
「南たちの出店スペースも確保してあるからな~~♡♡♡」
と亜耶が言ってくれている。私は当日使用するアロマオイルを使ったマッサージオイルの物販もしようと考え、GW中は瓶詰め作業に明け暮れていた。
「見て見て♡♡♡ パネル出来た♡♡♡」
蓮が嬉しそうにブラックボードを見せてきた♡♡♡ ブラックボードには手書きの文字とイラスト、PCで作成したPOPも貼られている。実は蓮も結構絵心があるのだ♡♡♡
「わぁ~~!!すっごく見やすくて可愛いっっ♡♡♡」
「気に入ってくれて良かった♡♡♡」
蓮はその後、ハーブティーの茶葉を買いに行ってくれた。
七海はポストカードサイズのイラストを販売するとのことだ。司君と天音君、そしてフリースクールの子供たちは、天然石を使ったストラップを沢山作ったそうだ。
「南~~~♡♡♡」
「椿~~~♡♡♡」
GWの最終日、長い夏休みに入った椿と相川君が帰国した。
「門脇さんがテントとか貸し出してくれるそうなんだが、南たちは宿泊どうする?」
「私たちは近くの宿場町に宿泊しようと思ってるんだ♡♡♡」
近隣住民のご迷惑にならないようにと一般チケットの販売は最小限にしたそうだけど、周辺の宿泊施設は結構予約で埋まっていた。テントの貸し出しは関係者のみだそうで、一般のお客さんは二日間のどちらか、或いは両日参加する場合は近隣の宿泊施設を利用するのだそうだ。マイカーでの来場も規制していて、宿場町がある駅から送迎バスを走らせるそうだ。フェス~~♡って感じでワクワクする♡♡♡
「決して安くないチケット代にも拘らず、一週間もしないうちに完売したらしい。芸能人効果かな?w 」
椿はそう言って笑っていた。「まつまつ祭り」と名付けられた今回のお祭りには、地域住民から芸能関係者、人気インフルエンサーも参加予定だそうだ。想像していたよりも本当に大事になってきているなぁ……と思いつつ、私たちは門脇さんが用意してくれたバスに乗って、山間の村へ出発したのだった。
まつまつ祭り開催前日、早朝に出発して昼前に現地に到着した。広大なスポーツ公園には主に3つのエリアがあり、アーチ型の屋根があるコンサートエリアと陸上競技場にイベント用テントを建てた物販エリア、野球場に櫓や休憩スペースを設置したイベントエリアがある。宿泊用のテントは駐車場の奥に設置可能だそうだ。
私たちは用意してくれていたスペースに販促物を置いて、テーブルと椅子を借りに事務所に行った。
「里美さん!?」
「おお~~!!南ちゃん♡♡♡ 今回は事務員として参加してるんだよ~~♡♡♡」
奥からはにぃやんとねぇやんも出てきた。再会に喜び、テーブルと椅子を借りてお店の設営を行った。七海と森川君も手伝いに来てくれて、あっと言う間に設営が終わった。
「お~~い!!こっちにも紅白幕くれ~~!!」
櫓回りの足場で大工よろしく設営をしているのは一足先に現地入りした椿である。
「櫓デカくない!!?」
「これ、終わったら解体するんだよね……」
二階建てになっている櫓を見上げて呆けていたら、椿に見つかり、そのまま手伝うことになった。
「解体作業もフリーエネルギーを使った運搬機械を使えばあっという間さ♪」
「えっっ!?」
「初めまして、内藤です」
振り返ると、エコビレッジの副村長、内藤騎士さんがいた。内藤さんは今回のまつまつ祭りに使用されるフリーエネルギーを用いた設備を色々と説明してくれた。
「この小さい箱で屋外の冷暖房を賄えるんですか?」
「そう、このボックスは空間の範囲を決めたら見えない壁を作るんだ。だからこの一台でイベント用テントが並ぶ範囲の空調を管理してくれるんだよ♪」
「ほえぇぇ~~……すご~~い……」
この素晴らしいボックスは全てのエリアにいくつか設置され、寒暖差の激しい山の気候でも昼夜問わず快適に過ごせるとのことだった。
「祭りで使用される電力は全てフリーエネルギーを利用しているから、こういうイベントでかかる莫大な電気代を殆ど抑えることが出来るんだ」
「すごいすごい♡♡♡」
内藤さんの説明に私たちは大はしゃぎしていた。男性陣はフリーエネルギーの仕組みについて色々質問していて、内藤さんは専門知識も用いた詳しい説明をしていた。
「ところで亜耶とRYOは?」
「紬さんたちと神様にご挨拶に行ってる」
「紬さんも神様の類じゃなかったっけ……?」
亜耶とRYOは紬さん、本家のお弟子さんたちとこの地に祀られる神社に行っているそうだ。何でも、大切な御神事をしているとの事である。
設営は夜まで続き、ひと段落したところで温かいお蕎麦が振る舞われた。
「今回のまつまつ祭りの出資をしていただきました、エリック・ミキュラス氏です!皆さん拍手をお願いします!!」
事務所内で大きな拍手が沸き起こった。大陸の大富豪だというエリックさんは、恋人でこれまた富豪のカインさんと寄り添って、簡単な挨拶をしていた。椿が言っていた、フリーエネルギー事業に絡んでいる富豪とは彼らのことのようだ。その後音楽イベントの責任者でもあるHanaさんが挨拶をして、里美さんに野次られていた。各エリア責任者の挨拶が続き、一区切りしたところで亜耶が二十代くらいの女性を連れて事務所にやって来た。
「今回まつまつ祭りに協力してくださいました、村長さんのお孫さん、そしてここで発表させていただきますが、歴史から隠された王族の末裔でもあります、竹内亜樹さんです。今回、亜樹さんが岩戸開きに快諾してくださいましたので、つつがなく御神事を終えることが出来ました。本日を持ちまして、無事土地が開かれたことを皆様にご報告致します」
亜耶が高らかに宣言すると、事務所内は割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
「旅館に泊まる子たちは俺が送ったるでな」
にぃやんがバスを出してくれるそうだ。私たちと七海たちはバスに乗り、宿場町まで送って貰った。司君と天音君はテント泊だそうだ。
「にぃやんがバス会社の手配してくれたんですか?」
「おお、そうやに。亜耶の奴、急に言い出すで焦ったわw 」
駅でバスから降りた面々は、それぞれが予約した旅館に向かって歩いた。私と蓮、七海と森川君は予約の都合で六畳二間続きの部屋に四人で泊まることになった。
「佐久間!!お前ら今晩はヤるなよ!?」
「そりゃこっちのセリフだアホ!!」
一応襖で部屋を仕切れるけど、上の欄間から声がダダ漏れなのだ。
付けていた食事は朝食だけだったけど、ご厚意でお夜食を頂き、七海と一緒に宿場町が見渡せる温泉に入った。
「見て見て~~♡♡ マイレって言う植物のモチーフなの♡♡♡」
「わぁ~~!!お洒落~~♡♡♡」
七海が私たちと同じデザイナーさんにお願いした指輪を見せてくれた。時期が来たら、私たちと同じように改めて貴金属で作るそうだ。
「やっぱり大学生になるとなかなか会えないねぇ~~……」
「そうだね……大学はどう?」
「めっちゃ楽しいよ~~♡♡♡ 色んな感性を持った子がいてね~~……」
私たちは並んでお湯に浸かり、近況報告をし合った。
「ちょっとw 今日はシないんでしょ?」
「ちょっとだけ……イチャイチャするだけ……♡♡♡」
布団の中で胸を揉まれ、小声で抗議すると、小声でちょっとだけと言い訳する蓮。ちょっとだけで済まないから抗議してるんだけど……
「ん…♡ あ…♡ ダメ……声出ちゃう……♡」
「口で塞いであげるから……♡♡♡」
結局ちょっとで済む訳もなく……♡♡♡
私たちが致している間、欄間の向こうからも物音や吐息や微かな喘ぎ声が聞こえてきて、お互い様だな~~と思いながら熱い夜を過ごしたのだった。
「お前ら昨日……」
「こっちのセリフだボケ……」
木箱に入った朝食を頂きながら睨み合う蓮と森川君。私と七海はほのぼのしながら朝食をいただき、迎えに来ていたにぃやんのバスに乗って会場入りした。
「ギャ~~~ッッ!!♡♡♡ 中学の時からジュリアンさんのファンでしたぁぁ~~~!!♡♡♡」
「ありがとう♪最近はなかなか活動できなくてごめんね」
nana gardenのボーカル、ジュリアンさんをHanaさんが紹介してくれた♡♡♡ 推しと握手をした手って洗いたくなくなるものだなぁ~~……と思いながら、ジト目で睨んでくる蓮をスルーして、ジュリアンさんとお喋りをさせていただいた♡♡♡
タイムスケジュールがグループチャットに送られ、各自準備をしていたら一般客来場の時間になった。
「20分1500円?お値打ちだね♪お願いできる?」
「ハイ♡ ありがとうございます!!」
一般客は最小限にすると聞いていたけど、実際の来場者はかなり多いイメージだった。どうやら出演ミュージシャンにも販売枠が結構あったらしい。地方都市からの夜行バスも駅まで行き来していて、にぃやんが手配したバスが満席だと、朝渡されたトランシーバーから聞こえてきた。それ故に私のハンドマッサージのお店も結構予約が埋まってきた。20分アロマオイルを使ったハンドマッサージをして、施術後は蓮が作ったハーブティーを飲んでいただくというルーティンを3時間程繰り返した。
「あなた、セラピスト向きの良い手をしてるわね♪程良く肉厚で気持ちが良いわ♡」
「ありがとうございます♡」
施術している横では、ハーブティーを振る舞っていた蓮が先程のお客様に絡まれていたw
「ねぇお兄さんはいつ休憩なの?♡♡♡ 一緒に見て回ろうよ♡♡♡」
「……ずっとお仕事でーーす……」
仕事だから耐えてくれ……と願いつつ、予約を熟していった。
右隣のお店は特殊な金属を編み込んだ綿で作られた洋服を売っていて、左隣のお店はタロット占いをしていた。椿のストーンショップは少し離れたところにあって、百合子さんと梓ちゃんが交代で店に立っているそうだ。司君と天音君はフリースクールの子たちと商品を販売したり、ミニゲームのスペースで遊んだりしている。向かい側にある七海のお店では、森川君がラッピング作業をしていて、威厳のある雰囲気のお年寄りと七海が何か話していた。相川君は全体のタイムスケジュールの調整をしていて、朝からあちこち走り回っている。流石元生徒会長。椿は全力で遊ぶと豪語しており、相川君とは別の意味で朝から走り回っている。亜耶とRYOは竹内さんたちと行動していて、こちらも忙しそうだ。物販エリアの一部には門脇さんが手配してくれたキッチンカーが数台あり、イベントエリアには屋台が何軒か建っている。櫓では神楽を舞ったり、地元の青年団が太鼓を叩いたりしている。コンサートエリアではタイムスケジュールの順番に各アーティストが演奏していて、nana gardenは午後1時からだ。勿論その時間は休憩にしている♡♡♡
「あ゛ああ~~……ジュリアンの歌声サイッコォォーーー!!♡♡♡」
「良かったね……女の人だから我慢してあげてるんだよ……?」
「ん?」
「ううん、それより午後の予約の前にキッチンカー行こう」
ホットドッグや惣菜パン、定番のクレープ、ピザやソフトドリンクなどのキッチンカーの中で、特に人気だったのが手作りおにぎりのお店だった。雑穀を使ったおにぎりとお味噌汁のセットを買って簡易テーブルで食べた。ちょうど梓ちゃんが彼氏と食べに来ており、四人でお喋りをした。
「お姉ちゃんってば、イベントエリアに入り浸ってるみたいなんですよw 」
「働かせなくて良いの……?」
「その分家で働かせましたからw オーナー作のブレスレット、20個作らせたんですよ♡」
「なるほど~~……」
オーナー作のアクセサリーは単価高めだけど即完売の人気商品だ。本人の気分がノッてる時しか作らないから、かなりのレア商品だ。さぞかし遊びたかったのだろう……。
ありがたいことに午後も予約が埋まっていて、3時間程ハンドマッサージ→ハーブティーの流れを熟した。
「14客で21000円、アロマオイルは3点販売です!!お疲れ様でしたーーッッ!!」
「南お疲れ様~~~!!♡♡♡ よく頑張ったね♡♡♡」
「蓮もお茶出しと予約受付してくれてありがとうね~~♡♡♡」
一般客の最終退場時刻の19時に後片付けをして売り上げを確認した。それが終わったら夕食タイムである。今日の賄いは地元レストランのシェフが鹿肉のカレーを振る舞ってくれた。
「空いた時間に子どもたちが櫓で鬼ごっこ始めちゃってさぁ~~w 」
「ホント……ずっと遊んでたよね……」
「誰よりも子供だったよね……」
相川君とRYOがジト目で椿を見ていた。日が暮れてからもイベントエリアでプロジェクションマッピングを上映したり、櫓で盆踊り的なことをしていたそうだ。明日は最後にランタンを浮かべるのだと内藤さんたちが言っていた。
みんなで和気藹々とお喋りをしながらカレーを食べていたら、隣にnana gardenのメンバーがいて、私はまたしても叫ぶハメになった♡♡♡
「子供たち、無事就寝しました」
「お疲れお疲れ~~い♪」
疲れた顔の司君がテントの方からやって来た。フリースクールや関係者の子供たちは、年上の子が年下の子の面倒を見ていたそうで、幅広い年齢の子たちがみんなで楽しそうに遊んでいた。
「では、まつまつ祭り初日の成功を祝して!!」
「「「弥栄~~~!!♡♡♡」」」
亜耶の音頭でみんなが乾杯した♡♡♡
その日はみんなで夜遅くまで語り合ったり、大人はお酒を酌み交わしたりしていて、すごく楽しい時間を過ごした♡♡♡
「今日画廊のオーナーがみえてね、個展をやってみませんか?って誘われちゃった♡♡♡」
「すごーーい!!♡♡♡ 流石七海~~♡♡♡」
「ありがと~~♡♡♡」
七海と話していたら、御人神の紬さんが来て、沢山パンが入った袋を差し出してきた。
「キッチンカーの売れ残り貰ったんだ~~♡♡ いる~~?」
紬さんは神様なのに、普通にドーナツを食べていた。私と七海は、袋の中からくるみパンとツナサンドをいただいた。
「御神事って紬さんがしたんですか?」
「私と亜耶と里美でしたよ。RYO君も裏方として頑張ってくれたんだよ♡♡♡」
「へぇ~~!!そうなんですね!!」
紬さんは暫くお喋りした後、パンの袋を持って他の人のところへ行った。
焚き火の前ではヒロトさんがギターを持って弾き語りをしていた。いつの間にかジュリアンさんも歌い出して、初セッションとは思えないくらい綺麗なハーモニーを奏でていて、ウットリしながら聴き入っていた♡♡♡
「そろそろ旅館に帰るチームはバスに乗れってよ~~!!ついでに面白い体験も出来るぞ~~?♡♡♡」
椿が思わせぶりなことを言い、一体何だ?と思いながらバスに乗った。
「ちょっと!?バス浮いてない!?」
「うわぁぁ!!?マジで浮いてる!!」
バスが空を飛んでいる。と言うより空を道路のように走っている!?
「俺も実際運転したのは初めてだが♪冷暖房のボックスあっただろお?アレと理屈は同じらしいで。よぉ分からんけどなw 」
にぃやんのざっくりした説明で色々理解した森川君が説明していた。どうやら空間に道を作っており、一時的に物質化して道路になることで、普通の車両でも普通に運転出来るのではないかと言っていた。
「コレが実用化したら、アスファルトも要らなくなるってことか……」
「物流もめちゃくちゃスムーズになりそう」
「ドライブがますます楽しくなりそう」
空を直線距離で走ったバスは、行きの半分の時間で駅に着いた。にぃやんにお礼を言って昨日と同じ宿に帰った。
流石に今日はみんな疲れていて、温泉に入って温まったら、全員秒で爆睡したのだった……
ーーーーーーー
一昨日から俺の中の常識が、良い意味でどんどんぶっ壊されている。
「今日は空飛ばないんですか?」
「今空飛んだら、周りの車驚いて事故起こしてまうがやw 」
送迎をしてくれるにぃやんが、そう言ってケラケラ笑っていた。昨日は夜遅かったから特別にってことらしい。
今すぐ実用化して欲しい夢のような技術を目の当たりにしつつ、お祭りの出展を南と二人三脚で頑張った♡♡♡ 色目使ってくるお客さんもいたけど、頑張って躱せていたと思う。
開場前の全体ミーティングを終え、一般客の入場時間までの間、隣の占い師さんにタロット占いをして貰う事になった。
「旦那さん、もしかして結婚する前に何か奥さんに対して無茶なことしてた?」
「え゛っっ!?……分かるんですか……?」
「過去のところに戦車の逆位置が出てるからさ。人の権利を無視して強引に推し進めるってカードなのよね」
「ゔっっ……おっしゃる通りです……」
「で、奥さんの過去が吊るし人の逆位置。自己犠牲のカードなんだけど、自分が犠牲になってることが不満な状態なの」
「すごーーい!!当たってる~~!!」
「ごめんなさい……」
「で、一回リセットして、今は恋人の正位置、ラブラブな状態ね。結構お盛んでしょ?w 」
何でそんなことまで!?確かにお盛んですけど!?
「近未来はカップの2が出てるから、このままラブラブで過ごせるよ~~♡♡♡」
「やった!ありがとうございます♡♡♡」
怖いこと言われなくて良かった……と思いつつ、ポットにハーブティーを入れた。
今日も南のハンドマッサージは大盛況だ♡♡♡ 今日は里美さんも予約してくれている。
「里美さん、意外と浮腫んでますね……?」
「そうなの~~、昨日飲み過ぎちゃった☆」
zodiacのHanaと同い年だと言う里美さんは、昨晩Hanaと飲み比べをしたそうだ。……てことは今年35歳か。やっぱり浅倉家本家の血筋なだけあって、見た目年齢は二十代だけど。
「ハンドマッサージを予約出来るかい?」
「エメ◯ルドスプラッシュ……?」
受付に立っていたら、ハイエロファン……華京院君が立っていた。お前も来とったんかい!?
男の予約なんか受けたくないが、これは仕事、これは仕事と自分に言い聞かせて華京院君の予約を取った。
「僕は運命の女性に出会ってしまったんだ……!!」
「へぇ~~……どなたですか?」
「浅倉椿さんだ♡♡♡」
「ブーーーーッッ!!!w 」
聞き耳を立てながら水を口に含んだ俺は、そのまま水を吹き出してしまった。てか、椿てww
「彼女は僕の理想そのものだ!!♡♡♡ 艶やかな黒髪……洗練された立ち振る舞い……♡♡♡」
「んっふふふw……へぇ~~……」
一体誰のことだろうか??お祭りの最中も子供たちと遊び呆けているガキでチンピラな浅倉椿さんなら知ってるけど??
「相川君の彼女ですよ?」
「ああ、きっと椿さんは清四郎君の本性を知らないんだろう。可哀想に……騙されているんだよ。ああ、僕が救い出してあげたいッッ……!!」
「……そうですか……」
「んぐっっw 」
もう俺の腹筋はエラいことになっていたw
「因みにどんな本性なんです……?」
「彼はグローバリストの家系だからね。他人のことをコストだと思っている人でなしだ。利用価値が有るかどうか、他人に対する興味はそこしかない冷酷非道な男なんだ!!」
俺たちが知ってる本性と随分開きがあるな……。しょっちゅう赤ちゃん返りしている粘着男というイメージしかないんだけど……。
「じゃあ華京院さんは優しくて温かい人なんですね~~」
「もちろんだ!!椿さんが僕のお嫁さんになってくれたら、一生大切にする!!♡♡♡」
「あはははw 頑張ってくださいね♪」
施術が終わった後「悪い人じゃないんだけど……」と南が呟いていた。悪い人じゃないし、椿との相性も意外と悪くないだろうけど、相手が相川だからどうにもならんよな。
今日は昼休みを多めに取って、会場内を見て回ることにした。
スピーカーから流れる音楽に合わせて、櫓の上で社交ダンスを踊る亜耶と椿。お客さんたちは櫓を囲むように、二人のダンスを見学したり、自由に踊ったりしていた。俺と南はその様子を屋台のたこ焼きを食べながら見ていた。
「南……俺たちも、踊る……?♡♡♡」
「あ!!たませんもたべたい♡♡♡」
「……そっか……」
南はたませんを幸せそうに頬張っていた……。
コンサートエリアでは有名なインフルエンサーのトークライブをしていて、動画サイトでは言えない世界の裏側的な話をしていた。
「今日の夕方にzodiacのライブやるんだって♡♡♡ 椿の曲も演ったりするのかな~~?♡♡♡」
「椿が嫌がるんじゃない?」
コンサートエリアを出ると、事務所から出てきた相川がバックヤードに走って行った。今日も忙しいみたいだ。
川に行くと、川の側にアウトドアチェアを置いてチルタイムを楽しんでいるRYOと、子供たちと川遊びをしている司君と天音君がいた。
「めっっちゃ癒されるぅ~~……」
設営を頑張っていたRYOは、今は充電タイムらしい。敷地内にいると、ファンに追いかけ回されるからな……。子供と司君たちは、河原で石投げをして遊んでいた。後で自転車を借りてダムを見に行くそうだ。
手を振る子供たちと別れ、物販エリアを見て回った。百合子さんと梓ちゃんに手招きされ、アクセサリーや小物を見させて貰った。椿が作らされたブレスレットは完売したそうだ。
「梓と百合子さ~~ん♡♡♡ サンドイッチ買ってきたよ~~♡♡♡」
梓ちゃんの彼氏の西田君が、甲斐甲斐しく動き回っている。椿は絶対認めんとか言ってたけど、俺からは普通に良い彼氏に見えた。
「何で西田君は椿に嫌われてるの?」
「あ~~……多分あのことかなぁ……?」
西田君によると、高校の時結構なクズ男が椿に執着していたらしい。何でも、男勝りな椿がいつ落ちるか賭けていたとか。そのクズ男の親友が西田君だったそうだ。
「あの頃は何も考えずに椿のこと落としてやるーーって言ってたアイツの肩持ってたもんで……」
「ああ~~……しかし、何でわざわざあんな核弾頭みたいな女なんかを……」
「何でだろうねぇ?1年の時からやたらとちょっかいかけてたんだよね、アイツ……」
きっとそいつは、椿に構って欲しかったんだろうな……椿は構ってちゃんホイホイなのか?……って言うとブーメランだからやめとこう……。
七海ちゃんはスケッチブックに似顔絵を描いていた。ポストカードが完売して、急遽似顔絵を描くことになったらしい。森川が受付をしていたけど、背が高過ぎるせいか、子供にギャン泣きされて焦っていた。
そろそろ休憩時間も終わり、店に戻った。そこから3時間、南は色々なお客様を施術した。RYOの事務所の社長も来ていて、里美さんとは親友だと話していた。
辺りが薄暗くなった頃、早めに店を閉めて、イベントエリアに向かった。
まつまつ祭りのイラストが描かれたランタンを受け取り、灯をつけた。灯と言っても火ではなくフリーエネルギーを利用した灯だ。一定以上の温度になったらランタンごと溶けて消える仕組みらしい。もちろん木などに火が移ることもなく安全だと内藤さんは言っていた。
「それじゃ、一斉にリリースしますよ!!さーん、にーい、いーち、ぜろーー!!」
一斉に夜空に舞うランタンは決して多くはなかったけど、幻想的で儚く、美しかった。
店の片付けをして、売れ残ったアロマオイルを両隣の人に渡した。お礼にとTシャツとみかんをいただいた。
櫓やテントなどは明日解体して回収するらしい。
「搬出なんてあっという間さ♡♡♡」
内藤さんの言葉が気になり、二人で搬出の手伝いを申し出た。
「では、まつまつ祭りの大成功を祝って!!」
「「「弥栄~~!!♡♡♡」」」
焚き火を囲んでみんなで乾杯する。老若男女、みんな満遍の笑顔だ。俺も南もやり切った充足感で最高の気分だった♡♡♡
地元のボランティアの方から岩魚の発酵寿司の差し入れをいただき、おやきや五平餅、朴葉味噌で焼いたジビエ肉などを分け合って食べた。
「七海たちは搬出手伝わないの?」
「うん、明日受けたい講義があるから。ごめんね」
「ううん、また遊ぼうね♡♡♡」
七海ちゃんと森川、司君と天音君はバスに乗って帰るそうだ。先程宿に延泊の連絡をしたから、今夜は二人きりである♡♡♡
「じゃあ、また遊ぼうね~~!!♡♡♡」
「僕たちとも遊んでくださいね♡♡♡」
帰宅組はバスに乗り、最寄りのインターまでの道のりを、空を走って帰って行った。
「めちゃくちゃ時短になるね……」
「切実に実用化希望だよね……」
バスが夜の闇に消えるまで、俺たちはずっと空を眺めていたのだった……。
「んふふ♡ 今日はやけに手にキスするね?♡♡♡」
「南の手にお疲れ様って言いたいの♡♡♡」
「蓮も、お疲れ様♡♡♡」
その夜は、布団の中でお互いを労わるようにゆっくりと愛し合った♡♡♡
翌朝、亜耶が車で迎えに来てくれた。男手は軍手を嵌めて、櫓やテントの解体を手伝った。解体されたパーツはみんなが適当に放り投げていたけど、何故か投げられたパーツが一箇所に集まり、ある程度の多さになるとヒュンッ!と空を飛んで行った。村の外で待機しているトレーラーまで運ばれるのだそうだ。
「……古代遺跡って、案外こんな風に作られたのかもしれないね……」
「そうだね……」
午前中に搬出作業は全て終了し、亜耶がみんなでお参りに行こうと言い出した為、山にある神社に行くことになった。
「ハァ…ハァ…ハァ……亜耶の奴、軽いノリで言いやがって……」
「ひぇぇ~~……ひぇぇ~~……まだ続くのぉ~~??」
参道は、物凄く長くて急な階段になっていた。前を行く亜耶、RYO、椿、相川は和気藹々とお喋りしながら階段を上っている。フィジカル強強メンバーを後ろから睨みながら、俺と南はやっとの思いで着いて行った。道中あちこちに湧き水が溢れていて、石像や石碑がやたらと多く、ここが霊山であることを実感させてくれる。
「着いた~~~!!♡♡♡」
そこには、断崖絶壁の側に本殿が建っていた。亜耶は神社と世界最古の文明との関係について話をしていた。
「はりつめた~~弓の~~♪ふるえるつ~~るよ~~♪」
「月の光に~~ざわ~~め~~く~~♪おまえのこ~~こ~~ろ~~♪」
「裏声上手いなw 」
苔むした断崖は壮観で、畏怖すら感じるほどだが、デカい五円玉の石像が絶妙な具合で現実に引き戻してくれる。何とも不思議な空間だ。
「まぁおふざけはここまでだ。ここではマジで真剣に参拝するぞ」
かつては多くの修験者たちが修行をした厳しい霊山であると言う。亜耶と椿の祝詞を聞きながら、みんなで真剣にお参りした。
奥に滝があるから見に行こうと言われ、またもや階段を上り、滝を見に行った。滝のミストが心地良い。
「マイナスイオン最高~~!!♡♡♡」
「この先にも滝があるんだぜ~~♡♡♡」
またもや無邪気な亜耶に騙されて、最早登山道を暫く歩き、もう一つの滝に辿り着いた。
「おお~~!!滝行が出来そう……」
「滝の裏側にも回れるんだぜ~~♡♡♡」
滝の裏側に回ってはしゃぐ亜耶。暫く山の中で過ごした後、祭り前夜に賄いを作ってくれた方のお店に行った。
「蕎麦うめぇぇ~~♡♡♡」
「やっぱりこの辺は蕎麦が美味い♡♡♡」
野菜かき揚げの蕎麦とざる蕎麦を南と分け合って食べた。から揚げと炊き込みご飯も優しい味付けで美味しかった♡♡♡
「内藤さんのおかげで村のみんな生活費安くなったって喜んでるわ♪」
店主が嬉しそうにそう言っていた。水からガソリンを作り出すフリーエネルギーがあればガソリン代も要らず、電気やガスの整備も順番に進められている。
「ずっと秘密裏に進められて来たけど、国内の零細企業からどんどん広め始めてるからな。もうこの勢いは止められないぜ?☆」
「大企業からじゃないんだ……」
「そこは察しろよw 」
まだまだ関係者の命の危険はあるということか……俺たち大丈夫かな……?
その後近くのお店でアップルパイをお土産に買った。椿は店の前でシュークリームを頬張っていて、相川に嗜められていた。
荷物を宅急便で先に送り、帰りは電車で帰ることにした俺と南は、送ってもらった駅で亜耶たちと別れた。亜耶たちは四人でこの後も遊ぶらしい。
「亜耶とRYOは来週発つんだっけ?」
「おう、また帰ってくるわ☆」
「私たちは暫く国内にいるからまた遊ぼうぜ♡♡♡」
「また連絡するね~~♡♡♡」
手を振って四人と別れ、電車に乗った。車窓からは山間の景勝地も見れて、祭りの余韻に浸りながら景色を楽しんだ。
「めちゃくちゃ楽しかったね~~♡♡♡」
「そうだね♡♡ 生きてる~~って感じだった♡♡♡」
主要都市で降り、南が行きたいと言った鰻屋でひつまぶしを食べ、お土産を買って帰った。
「このTシャツ着てると、すごく調子が良いのよ~~♡♡♡ 何でかしら?」
隣のテントの人からいただいた、特殊な金属を織り込んで作られたTシャツを着た母さんが喜んでいた。そんなに良いのかとお店のSNSを見てみると、通販もしている様子だった。
後日家族分のTシャツを購入し、部屋着として使った。そのせいかは分からないけど、その年の夏は酷暑にも拘らず夏バテ知らずだったから、何かしら効果があるのだろうと思ったのだった。
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それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
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公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
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