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子供たちのエコビレッジ体験編
しおりを挟む「これ、タ◯チのお土産~~♡♡♡」
「ありがとう~~♡♡♡」
家族旅行で南の島に行っていた七海から、お土産としてパレオや紅茶をいただいた。やたらと大人びている媛梨ちゃんのおかげで、ロングフライトも事なきを得たそうだ。そんな媛梨ちゃんは、今は4歳の誕生日を迎えたばかりの葵大と一緒に遊んでいる。
「こうして見てると、年相応に見えるんだけどね~~……」
「ほんと……なんか、急に人が変わったように長文話す時があるんだよね~~w 」
子供の話、仕事の話、思い出話……ママ同士のお喋りは尽きることがない。
今年から葵大と媛梨ちゃん、瑞稀ちゃんは司君が働いているフリースクールに通い始めた。校長先生は年齢だけ見ると中学生くらいなんだけど、話してみると還暦過ぎた人みたいに老成している。生まれる前の記憶を全て保持しているらしい校長先生の元、子供たちは日々読み書きや思いやりを学んでいるのだ。
「ママたぁいま~~!!♡♡♡」
ママのお迎えで帰宅した葵大。今日も元気いっぱいのご帰還だ。
「お帰り葵大~~♡♡♡ 学校楽しかった?」
「たのしかった!タオくんとムネくんとおえかきしたんだよ~~♡♡♡」
タオ君とムネ君は12歳のお兄ちゃんたちだ。フリースクールには3歳から15歳まで幅広い年齢層の子供たちがいる。年上の子たちは下の子の面倒をよく見てくれて、スクール内はまるで大家族のような雰囲気なのだ。
「ママこれせんせいからのおてがみ~~♡♡♡」
「え?な~~に?」
葵大がバックから取り出したのは「学習旅行のお知らせ」だった。
「合宿?『エイユウさんの村』で?」
「うん、今年の新入生と保護者で、だって」
英雄さんのエコビレッジはゲストハウスにも力を入れていて、近年では観光地としても注目されているのだ。
そんな訳で私たち家族は5月下旬のよく晴れた日に、バスに乗ってエイユウさんの村に向かったのだった。
「媛梨ァァ~~!!修次ィィ~~!!司君の言うことをよく聞くんだぞぉぉ~~!?」
「は~~い♡ いってきま~~す♡」
「あ~~い♡」
「ゔおぉぉ俺も行きたいーーーーッッ!!」
「パパはおしごとがんばって~~♡」
仕事の都合で参加出来ない森川君が、大泣きしながら見送ってくれた。
エイユウさんの村は、現在全国に8ヶ所ある。お弟子さんや仲間たちの村も合わせると数百ヶ所あるそうだけど、今回私たちがお世話になるのは湾から南下した場所にある離島の村である。
「うみだ~~!!♡」
「海だねぇ~~♡♡♡」
バスやタクシーが海の上を走れる条件は陸地から半径80キロ以内という規制はあるけど、船に乗らずに離島まで行けるご時世になった。途中休憩を挟んで二時間後、私たちは離島の南側にあるエコビレッジに足を下ろした。
「今日から皆さんのサポートをさせていただきます、夏川結人といいます。よろしくお願いしま~~す♡♡♡」
「「「おねがいしま~~しゅ!♡」」」
出迎えてくれたのは、ヒロトさんのお兄さんである結人さんだ。結人さんは、ヒロトさんに輪をかけたようなチャライケメンだった。マイちゃんとトウヤ君のママは、結人さんを見る目がハートになっていた。
「南……一応聞くけど……」
「え?何?」
「……何でもない……」
モゴモゴ口籠る蓮を不思議に思いながら、私たちは結人さんの案内の元、漆喰壁の家に荷物を置き、みんなで畑に向かった。
「うしさんだ~~!♡」
「にわとりさんもいるね~~♡」
「ねこちゃんだ~~♡」
畑の隣では家畜が放牧されていて、地域猫が小屋の前で寝そべっていた。結人さんの説明を受けながら芋掘りをしたり、田植えをしたりして、子供たちは泥だらけになって作業をしていた。
「皆さんお疲れ様でした~~♡♡♡ ではこちらにランチをご用意しておりますので、どうぞ♡♡♡」
古民家の裏手に並べられたテーブルには、ゴロゴロ野菜のカレーや野草を使ったパスタが並んでいた。
「目が覚める美味さ!!♡♡♡」
「野菜の味が濃い!!♡♡♡」
「おいちぃ~~!♡」
食材の命がそのまま流れ込んで来るかのような衝撃を受けながらお食事をいただき、南の島の村で飲んだジュースのことを思い出した。食材のあまりのインパクトに、いつもの量の半分くらいで満腹になった。
「命をいただくってことを、改めて考えさせられるね~~……」
食器を洗いながら、七海がポツリと呟いた。確かにこの一食だけで一日分のエネルギーを十分に受けた。カロリーを摂取するだけではない、食の本質を学べたのは良い経験だった。
「ぬりぬりたのしぃねぇ~~♡」
小さなコテを持って漆喰を塗る子供たち。新しく作っている小屋の壁を好きに塗って良いとのことで、瑞稀ちゃんは壁に小石を埋め込み、うさぎさんを描いていた。
蓮と一緒に夢中で漆喰を塗る葵大。二人を微笑ましく見つめながら、海碧と花冠を作った。
エコビレッジの近くには、ゲストハウスが点在している。私たち家族と七海たちは、2階が酒屋さんのゲストハウスにお世話になるのだ♡♡♡
「ひみつきちみたい~~!♡」
「きち~~♡」
焚き火が出来るデッキにはテーブルとアウトドアチェアが置いてあり、土間のリビングにはダイニングテーブルとアウトドアチェアがある。樽のような壁のドアを開けると、中は2段に分かれていて、それぞれ布団が3組用意されていた。大きなキッチンには食器や調理器具、調味料も揃っていて、内風呂の他に露天風呂もあった。
「こっちのおへやもかわいいねぇ~~♡」
隣のゲストハウスは瑠美子さん家族が借りている。子供たちははしゃぎながらゲストハウスを行き来して、かくれんぼのようなことをして遊んでいた。エコビレッジに住む人が野菜と採れたての魚を持って来てくれて、早速七海が下ごしらえをしていた。
「ばうむくーへんみたい♡」
車で20分程の場所にある温泉に向かう途中、車の中から地層の断面を見てはしゃぐ子供たち。雄大な景色の道を進み、港町を抜けて海沿いの温泉に到着した。
「おふろーー!♡」
「あっちにもしまがあるねぇ~~♡」
水着着用の混浴風呂からは海や対岸の半島などを眺めることが出来た。子供たちは大きな岩の露天風呂に大喜びだった♡♡♡
夕暮れ時の温泉を堪能した後、ゲストハウスのデッキで焚き火をしながら、作ったお刺身や天ぷらをいただいた。二階の酒屋さんで購入した地ビールで乾杯し、芝生で遊ぶ子供たちを眺めながら宴会をした。
「蓮君たち広い家探してるんだって?」
「はい、子供が大きくなった時のことを考えて……こんな風に子供たちが遊び回れるような広さがあると良いですね」
蓮はヒロトさんと家の話をしていて、私たちは習い事どうしてるかという話をしていた。
「清四郎なんてお父様の習い事増やせ攻撃と日々闘ってるみたいよ」
「へぇ~~、椿はなんて?」
「取り敢えずやらせてみたら?ですって。合わなかったら辞めさせれば良いからって。それが清四郎には衝撃だったみたい。一度始めたら辞められないものだと思い込んでたんですって」
「あぁ~~……自分が無理矢理習い事させられてたからかなぁ……?」
「椿なんてこの前、ピアノ講師が押し付けてきたクラシックの楽譜を放り投げて、アニメソング弾きだしたんですってw 」
「椿ならやりそ~~w 」
瑞稀ちゃんは英会話やお茶、お花などの上級国民に必要な習い事を始めた一方で、ヒロトさんが買い与えたウクレレをよく触っているそうだ。媛梨ちゃんは本人の希望でピアノとバレエの教室に通い始めたとの事だ。
「葵大にも何か習わせた方が良いのかな~~……」
「焦らなくても良いんじゃない?その内他の子がしてる習い事に興味持ち始めるだろうし」
AIの進化により学歴神話が完全に崩壊したと言われる昨今、教育に於いて心の在り方を重要視する風潮はどんどん高まっている。
「ママなにはなしてるの~~?」
「葵大は何か習いたい事あるかな~~?って話だよ」
「ぼくね~~、うちゅうひこうしならいたい~~!」
「あははw そっかそっかw 」
葵大の返事を聞いて、こりゃ習い事はまだ先かな~~?と思い、今はフリースクールでのびのび遊ばせようと考えたのだった。
「子供たち寝たよ~~♡♡♡」
二段スペースの下階で並んで眠る子供たちを確認した後は、グラスとお夜食をテーブルに並べ、大人の時間スタートである♡♡♡
「野菜チップスうまぁ~~♡♡♡」
「鯛のカルパッチョも美味い~~♡♡♡」
「二人とも、おつまみ作ってくれてありがとう~~♡♡♡」
二階の酒屋さんで調達した地ビールをおつまみと一緒にいただいた。片付けをした後は七海に子供たちと添い寝して貰い、私たち夫婦は上段で眠った。
「おにぎりおいしぃ~~♡」
「おいちぃ~~♡」
翌朝もテラスに出てみんなで朝食を摂り、他のゲストハウスに泊まっている人たちと待ち合わせてエコビレッジに向かった。
「こんな感じで草を編んで、桶を作ります」
「結人さんすご~~い♡♡♡ どちらで学ばれたんですかぁ~~?♡♡♡」
「あ、コレは昔妻に習ったんです♡♡♡ 」
「へぇ~~……なるほど……」
シングルマザーのトウヤ君ママが撃沈しているのを横目で見つつ、私たちも見様見真似で草を編んだ。
「プラスチック製品がフリーエネルギー由来の物に切り替わって以来、確かにゴミの排出量は格段に減りました。しかし環境を汚さないからと何でも使い捨てることが、果たして良いことでしょうか?僕は物作りを教えながら、そういった問い掛けも子供たちにして行きたいんです」
結人さんの話に頷きながら作業を進め、やがて不恰好ながらしっかり編み込んだ桶が出来上がった。
「結人~~!でっかいカサゴ釣れたから唐揚げにしようぜ!!」
村の子供たちが釣りから帰って来て、早速昼食に釣った魚を振る舞ってくれた。
「唐揚げうまぁ~~!!♡♡♡」
「お刺身もうっま!!♡♡♡」
「穴子の煮付けも美味しい~~♡♡♡」
年配の女性お手製のべっこう漬けもいただき、本日も至福のランチタイムとなった。
「国内にいると、なんやかんやで美味しい物を腹いっぱい食えるんだよな……」
「ありがたいよね~~」
ヒロトさんと司君がビールを飲みながら話をしていた。ヒロトさんや結人さんは世界の過酷な現実を見てきた人だから、余計に思うところがあるのだろう。
食後は近くの遊泳所に連れて行って貰い、火山島らしい地形を感じながら透明な海で魚獲りを体験した。
「おしゃかないっぱ~い!!」
「うみきれ~~い!!♡♡♡」
岩場に囲まれた海の透明度と魚の多さに大喜びの子供たち。先ほど編んだ桶でひと掬いするだけで小さな魚数匹が獲れた。夏は絶景のシュノーケリングスポットになるそうだ。
「まだ小さなお魚さんだからバイバイしようね」
「うん……おしゃかなさんばいばい……おおきくなったらたべてあげるね」
我が子ながら、なんと食い意地が張っているのだろうか……なかなか図太い我が子と海の生き物を観察し、一旦村に戻った。
「二日間村で色々体験してみて、何が一番楽しかった?」
結人さんにそう聞かれて、子供たちは口々に楽しかったことを答えた。葵大は「しっくい」と答え、海碧は「おはな」と答えた。
「みんな見事にバラバラだね~~w この二日間だけでもこれだけ感じたものや得意な事がそれぞれ違うって分かったと思います。だからこれからも、やりたいこと、興味のあることを、人の目を気にせずにどんどんチャレンジしてください。僕とのお約束、守れるかな~~?」
「「「は~~い!!」」」
元気に手を上げる子供たちに、ニッコリ笑う結人さん。帰りに鰯を沢山いただき、七海と瑠美子さんと、ゲストハウスで下処理をした。
「フリッターうまぁ~~♡♡♡」
「マリネも美味しい~~♡♡♡」
「甘露煮も美味い~~♡♡♡」
「皆さん料理がお上手ですね~~♡♡♡」
島の焼酎を飲みながら、みんなで鰯祭りに興じた。他のゲストハウスに泊まっている人たちも差し入れを持って来てくれて、子供たちも色々なゲストハウスを渡り歩いていた。
「こういう自由さを覚えてって欲しいよね~~」
「そうそう、安心して好奇心を満たして欲しいよね」
大人たちはそんなことを語り合いながら酒を酌み交わし、和気藹々とした夜を過ごした。
「こんやはあおいといっしょにねるのーーっっ!!」
夜になると、瑞稀ちゃんが急に駄々を捏ね始めた。昨晩葵大たちと媛梨ちゃんたちが一緒に寝たのが羨ましかったようだ。
「良かったら葵大君を一晩預かるわよ?」
「じゃあ……お願いしようかな……」
「やったーーーっっ!!」
「やた~~♡」
瑞稀ちゃんの大喜びに釣られて喜ぶ葵大。何となく葵大の将来を不安に思いつつ、お風呂に入れた後隣のゲストハウスに預けに行った。そして私たちは海碧を挟んで眠ったのだった。
「ママいたーーっっ!」
「おはよう葵大♡♡♡ 良い子にしてた?」
「うん!」
葵大と瑞稀ちゃんをテラスに行かせて朝食の準備をしていたら、ヒロトさんと瑠美子さんがリビングに顔を出した。
「おはよう瑠美子さん、葵大迷惑かけなかった?」
「朝パパとママがいないことにびっくりしちゃってちょっと泣いちゃったけど、全然良い子だったわよ~~♡♡♡」
「あららw 」
テラスのテーブルに置いたおにぎりと卵焼きに、満遍の笑みで手を伸ばす子供たち。因みに昨晩は他のゲストハウスでも同じようなことが起こっていたみたいで、子供を預けたり預かったりしていたそうだ。まるで大家族のようだと思いながら、おかかのおにぎりに齧り付いた。
最終日は子供たちと男性陣が釣りに行き、私たちは港にある古民家を改装したカフェでお茶をした。
「良いなぁ~~みんなイケメンで優しい旦那様がいて……」
昨日、人知れず結人さんに玉砕したトウヤ君ママが呟いた。
「補助金のおかげで生活はそこまで苦しくないけど、私だって寄りかかれる相手が欲しいわよ~~……」
旦那さんの不倫で離婚したトウヤ君ママはため息混じりにそう言うと、カフェラテに口をつけて溜息を吐いた。
「う~~ん……でももう出会ってると思うんだけどな……心当たりないですか?」
七海がそう言うと、トウヤ君ママは目を丸くした。
「ええッッ!?だれだれだれ!?」
「そこまでは流石にw トウヤ君ママが自分で気付かないと意味無いので」
「教えてよぉ~~……」
トウヤ君ママは項垂れていたけど、七海がそう言うのなら近々収まるところに収まるのだろう。心の中でエールを送りつつ、味わい深いコーヒーを啜った。
「みんな良い顔になったね~~♡♡♡」
バスに乗ると、点呼していた司君がそう言ってニヤッと笑った。好きなこと、得意なことを見つけた子供たちは確かに以前よりも自信に満ちた顔をしている気がする……
「こうやって大人になってくんだね……」
蓮は嬉しそうな、寂しそうな顔をして子供たちの頭を撫で、結人さんに頭を下げた。
「ゆいとしゃんばいばい~~♡」
「ばいば~~い!♡」
「みんなまた遊びに来てね~~♡♡♡」
村の人たちに見送られながらバスは空への坂道を走り、私たちは手を振りながら村人とお別れをした。
「またしっくいぬりたいな~~♡」
「おはな~~♡」
学習旅行は子供たちにとって貴重な経験となった。帰ってからも嬉しそうに島での出来事を話す子供たちを微笑ましく思いながら、これからも出来るだけ沢山の経験をさせてあげたいと改めて思ったのだった。
ーーーーーーー
「夜の頻度が減った……」
「そりゃ仕事もしてるんだし子供もいるんだから、仕方ないことなんじゃねーの?知らんけど☆」
「俺たちはラブラブだよね~~♡♡♡」
森川の言葉に亜耶が軽いノリで返したら、RYOまでいつもの調子で被せてきた。
今夜はいつもの創作ダイニングで男子会である。
「それでもっっ!!それでもやっぱり寂しいんだッッ!!お母さんの顔をする七海はとても美しい!!それでも週5は少ないと思わないか!?」
「オイちょっと待てw なんでそんなにヤれてんだよ?w 」
「なんだ?蓮のところはどうなんだ?」
「週……3?」
「へぇ~~、前は毎日だったのになぁ~~w 」
「子供を起こすかもしれないと思うと、どうしてもな~~……」
俺と森川は酒の進みもあって、いつの間にか夜事情の不満を亜耶とRYOにぶち撒けていた。そんな俺たちの話を黙って聞いていた相川は……
「僕……僕ッッ!!先月4回しかシてないッッ!!!」
「さっきからやけに大人しいと思ったら、数えてたのかよw 」
「これは由々しき事態だッッ!!存立危機事態だァァーーーーッッ!!!」
「子供を他国扱いすんなしw 」
相川はやっぱり、どこまでも相川である。
「まだ双子ちゃん乳飲み子なんだし、出来なくても仕方ねーって」
「万詩郎もまだ小さいしな……」
「勘違いするなッッ!!子供たちのことは超可愛いんだ!!でもでもでもッッ!!さすがに月に4回は少な過ぎるぅぅーーーッッ!!」
「うるせぇぞガキどもッッ!!」
背後から怒声が聞こえて思わず振り返ると、アラフォーくらいの男性が仁王立ちしていた。
「俺なんてなぁ……俺なんてなァァ!!もう5年もレスなんだよぉぉォォーーーーッッ!!!」
「ごっ……5年……」
俺たちが絶句していたら、アラフォーの男性は同僚らしき人たちに連れられて、グズグズ泣きながら自分の席に戻って行った。
「5年か……」
「あの様子だと、本人はシたいんだろうね……」
「この世から不倫が無くならない理由がこんなところにも……」
「あ~~……週5で出来てて良かったぁ~~♡♡♡」
「くたばれ森川!!」
「相川お前……ッッ!!」
とうとう幼馴染同士の喧嘩が始まってしまった……しかし5年て……もし5年も南に拒否られたら、俺のちんこは退化していつか無くなってしまうかもしれない……
「おかえり蓮♡♡ 子供たちもう寝たよ~~♡♡♡」
「南……南ッッ!!♡♡♡」
「きゃんっ!?♡♡ ちょっとw どうしたの?♡♡♡」
「シたいよ南ィィ~~!!♡♡♡」
「ええっっ!?♡♡♡」
勢いのまま抱き締めると、南は慌てつつも顔を赤らめていた♡♡♡ そのまま2階に上がり、部屋の隅で盛り上がった俺たち♡♡♡ 声を抑えるために俺の胸に顔を埋める南が超可愛くて、ついつい3回も致してしまった♡♡♡
「5年……!?」
何故急に盛ったのかと聞かれ、飲んでいた時の話をした。南は信じられないといった顔をしていて、俺たちはまだまだ大丈夫だと一安心したのだった♡♡♡
「私は5日でも無理かな~~……」
「俺も~~♡♡♡」
「アンッ♡ …ちょっとw まだスるの……?」
「ダメ……?」
「ダメじゃないよ~~♡♡♡」
4回目がスタートし、夫婦のラブラブっぷりを存分に再確認した俺たちは、そのまま深夜まで大いに燃え上がったのだった♡♡♡
フリースクールの夏休みは7月中旬から二ヶ月間だ。夏休み期間は自由登校になっていて、登校するもしないも自由との事だ。元々自由登校みたいなものだけど、休みの期間は先生もお休みらしく、校舎のみを開放するのだそうだ。
俺たち家族は夏休みになってすぐの週末、高速バスに乗って入り組んだ海の街に向かったのだった。
「あら、もう着いたのねぇ」
「昔はバスだと6時間掛かってたんだけどなぁ~~……」
休憩を挟みつつ空の道を走り、出発から3時間後には市街地のバス乗り場に到着した。
バスから降りる時何となく声がした方を振り向くと、そこには先日怒鳴り込んできた、レス5年の男性の姿があった。
「あっっ!?」
「え……あっっ!!……先日はご迷惑をおかけ致しまして……」
「いえいえw 」
男性の側には奥さんと思しき女性と、小学校高学年くらいの男の子がいた。揉めた理由が理由なだけに、お互い少々気まずい思いでバスを降りた。
「うみきれ~~!♡」
「きぇ~~♡」
レンタカーに乗ってトンネルを通り、透明度の高いビーチで遊んだ。ライフジャケットを着込んだ子供たちは、思い思いに波打ち際で遊んでいた。
「たのしぃねぇ~~♡」
「ぷぁぷぁ~~♡」
浮き輪に乗って楽しそうに泳ぐ子供たち。砂浜と岩場両方ある海を存分に堪能し、車に戻る頃には二人ともウトウトしていた。
子供たちを寝かせたまま40分程走り、港町にある旅館に到着した。目が覚めた子供たちは、港町の景色にキョロキョロしていた。
道路に面したロビーでチェックインをして、反対側の本館に入ると、景色の良いテラスとダイニングがあった。
「オーシャンビューー♡♡♡」
「びゅ~~♡」
「ゆぅ~~♡」
本館からの通路を通って離れのスイートルームに入に入ると、南と子供たちは感嘆の声をあげた。
大きな二面の窓があるベッドルーム兼パウダールームと、デスクもあるダイニングルームの間には、インフィニティの客室露天風呂があった。窓際には大きなソファーがあり、海景色と露天風呂の様子を眺めることが出来た。
「ひみちゅきち~~!♡」
「じゅーちゅのむ♡」
まるで秘密基地のような蔵を改装したラウンジには多彩なフリードリンクと軽食のカウンターがあり、俺たちは地ビール、子供たちはリンゴジュースをいただいた。
「ぼくもママとおふろはいる~~♡」
大浴場の入り口で葵大に振られてしまい、久しぶりに一人で温泉を楽しむことになった。モダンな大浴場はトンネルのような作りで、細長い浴槽のインフィニティ風呂になっていた。
「あっ!?……どうも……」
「えっ!?……あははw 」
バスで鉢合わせになった男性もここにご宿泊のようで、一緒に湯船に浸かることになった。
「奥さん、お綺麗な方ですね……」
「え?ああ、どうも……」
「お子さんたちも可愛らしいですね~~……」
「ありがとうございます……」
「良いなぁ~~……あんな可愛いお子さんが生まれるくらいセックスしてるんでしょ~~?」
「ブッフォ!!ちょっと……!!」
男性の明け透けな物言いに思わず噴き出すと、卑屈な物言いはますますエスカレートしていった。
「良いなぁ~~……週3でしたっけ?僕はもう長年あっちの方は無くってねぇ~~……知ってます?もう不倫でもしない限りそういうことする機会は無いんだって自覚すると、男って一気に老け込むんですよ~~?」
「へぇw ……不倫願望がおありなんですか……?」
「まさか!!ただ……どうしてこうなってしまったのかと考えることはありますねぇ~~……」
湯船から海を眺め、遠い目をする男性。明日は我が身かもしれないと思うと、お湯に浸かっているにも拘らず身震いしてしまった……
「このうみもきれいだねぇ~~♡」
「うみきぇい♡」
南と子供たちの後ろ姿を眺めながら、砂浜を歩いた。宝探しでもするかのように砂を掘る葵大と、湾の景色をじっと見つめる海碧。それぞれの性格がよく出てるな……と思いながら、波の音を聴いていた。
「ぐじって何ですか?」
「甘鯛でございます」
夕食は浜で水揚げされた甘鯛をふんだんに使った懐石料理をいただいた。
「おしゃしみおいし~~♡」
「てんぷぁほし~~♡」
海を眺めながらテラスでお食事をいただいていたら、レス男性と妻子が奥の席に案内されるのが見えた。側から見たら仲悪くはなさそうだけど、他人からは見えない色々があるのだろう。
「あいしゅたべたい~~♡」
「あいちゅ~~♡」
「一人一個だよ?」
「「は~~い!♡」」
蔵の秘密基地感を気に入った子供たちにせがまれ、風呂上がりにラウンジで休憩した。地ビールは三種類置いてあって、チェックイン時とは別の瓶を開けて乾杯した。
「対岸の灯りが風情だね~~♡♡♡」
子供たちが寝た後は、二人で客室露天風呂に入った。ご当地ジンジャーエールで乾杯し、深夜の海景色を楽しんだ。
「ねぇ、南はどんな時に俺とシたくなるの?」
「ええっ!?え~~……割といつでもだけど……」
「じゃあ今シよ~~♡♡♡」
「あんっ♡ ちょっと~~♡♡ 静かに……だよ?♡♡♡」
「了解~~♡♡♡」
上目遣いの南に口付け、そのままお風呂で存分に致してしまった♡♡♡ 静かに出来たという自信はないけど、お互いをじっくり高め合えたと思う♡♡♡
「干物ツヤッツヤだぁ~~♡♡♡」
「お豆腐美味い~~♡♡♡」
「たまごやきおいしぃ~~♡」
「しぃ~~♡」
朝は昨日と同じテラスで、地元食材をふんだんに使った和朝食をいただいた。
南が朝風呂に子どもたちを連れて行ってる間ラウンジでコーヒーを飲んでいたら、レス男性が入ってきた。
「あ……昨晩はどうもありがとうございました」
「え?」
「お二人が励んでくださったおかげで、私も久々に妻と致すことが出来ました♡♡♡」
「はあ!?」
「私たちの部屋ねぇ、下の階だったんですよ♡♡♡」
「はあぁぁーーー!!?」
昨晩客室露天風呂で致していた諸々の音声が下の階に筒抜けだったことに愕然としていると、レス男性はペラペラと話し始めた。
「ほら、一緒にドラマとか観ててエッチなシーンになったらこちらも釣られて……ってことあるでしょ?あ、息子は奥の和室で寝てたんで、多分聞こえてないから大丈夫ですよw いや~~久しぶりのエッチ最高でした~~♡♡♡ お二人のおかげです♡♡ どうもありがとうございました~~♡♡♡」
「はぁ……どうも……」
余計なお世話かもしれないけど、この人のこういうデリカシーの無い所もレスの一因ではなかろうか、と久しぶりのエッチに興奮気味の男性を見ていて思ったのだった……
チェックアウトの後は車に乗って山道を走り、湖を見下ろせるテラスに向かった。
「りふとのりたい~~!」
「葵大がもっと大きくなったらね」
展望台までの道のりはリフトとケーブルカーがある。俺たちはケーブルカーに乗り、綺麗な海や湖の景色が広がるテラスに辿り着いた。
「そふとくりーむたべたいっっ♡」
看板にある水色のソフトを指差し、はしゃぐ葵大。
山頂のあちこちにテラスがあり、どこから景色を眺めても美しい景色が広がっていた。
「葵大も海碧も、手を合わせてお参りしてね♡♡♡」
「「は~~い♡」」
向かい合ってお参りする神社に手を合わせ、恋人の聖地で鐘を鳴らした。かわらけに願い事を書いて投げたり、メダカの池を観察したり、ハンモックに揺られたり、足湯に浸かったりと、広い敷地ではないけど色々と楽しめた。
「おこしゃまらんちだ~~♡」
「良かったね~~♡♡♡」
ケーブルカーで降り、駐車場のレストランで昼食をいただいた。テラスのテーブル席に座って地元牛や魚介のランチをいただいた後は、ショップでお土産を見て回った。
「うわぁ~~……おっきい~~……」
「おっきぃ~~」
市内にある神宮の赤い橋と鳥居を見上げ、放心する子供たち。海の神様を祀る神社の参道を歩き、順番にお参りして行った。
「ようせいさんだ~~♡」
「あぇ~~♡」
御神木を指差してはしゃぐ子供たち。やっぱり幼い子はそういうの見やすいんだな……と思いながらお参りし、妖精さんはどんな顔でどんな姿でと話す葵大を微笑ましい気持ちで見ていた。
「おしゃかないっぱ~~い♡」
「いぱ~~い♡」
市場では自宅でいただく海鮮を見て回り、購入した魚介を今夜指定で送って貰った。
「しゃばおいしい~~♡」
市場の中にあるお店で名物の焼き鯖やイカ焼きをいただき、酒が欲しくなるなぁ~~と思いながら浜焼きの鯖を口に運んだ。
帰りは新幹線に乗って帰った。高速バスやタクシーが空を走るようになった昨今、列車や船の利用が減少したと言われているけど、フリーエネルギーを上手く取り入れて何とか生き残って欲しいと旅好きな俺は思うのであった。
ーーーーーーー
「ばんくんもいくーー!」
「万詩郎様は蒔温様佳凛様とお留守番しましょうね~~♡」
「やだぁーー!ばんくんもままといっしょいくのーー!」
どうしても断り切れなかった講演会の仕事が入り、急遽一泊することになった8月のある日の朝、珍しく万詩郎が駄々を捏ねた。
「お母様はお仕事なんですよ?」
「やぁだぁ~~!ままぁ~~!」
宥める牧さんにも聞く耳持たず、地団駄を踏む万詩郎。シロウは明日の夜まで帰って来ないし、どうしたものか……
「ばんくんいいこにするから……」
「……ママがお仕事してる時は大人しく出来るか?」
「うん!できるよ!」
「……よし!じゃあ準備しろ!牧さんすいません。荷造り手伝って貰えますか?」
「ハイ、承知致しました♡」
手際の良い牧さんのおかげであっという間にパッキングが終わり、私は万詩郎を連れて家を出ることになった。
「蒔温~~♡ 佳凛~~♡ 行ってくるな~~♡♡♡ 牧さん二人のことよろしくお願いします」
「はい、お任せください♡♡♡」
「「あぃ~~♡」」
牧さんの頼もしい返事を聞き、根本さんの運転で駅まで送って貰った。
「ふじしゃん~~♡」
新幹線の車窓を眺め、上機嫌の万詩郎。在来線に乗り換えると、車内の珍しい光景に目を輝かせていた。
空を走るバスが短距離、中距離移動に重宝されるようになってから数年、陸路の移動手段は下火になりつつある。来年には空を走る自家用車の販売も開始されるそうだし、ますます移動手段は多様化するだろうな。
「浅倉先生、お待ちしておりました!」
駅の南口で出迎えてくれた秘書さんの車に乗り、ランチミーティングに向かった。因みに仕事では旧姓を使用している。
「万詩郎君は何歳ですか~~?♡♡♡」
「にしゃい~~♡」
「そっかそっか~~♡ 2歳かぁ~~♡♡♡」
信政党の県議会議員さんがニッコニコで万詩郎とお喋りしてくれている。万詩郎は相川家の血なのか、誰が相手でも物怖じしせずお喋りすることが出来るのだ。
蟹懐石ランチをいただきながら国政や県政の内情を聞き、改めて利権構造の根の深さを痛感した。
「まだまだ我々のことを陰謀論者だと非難する人がいますからね」
「し◯き隊の主要メンバーが全員逮捕されたのにですか?」
法改正により活動家は次々逮捕、起訴された。それらを煽っていたメディアも、半年前にキー局が倒産したことでも分かるように、崩壊の一途を辿っている。組織は事実上解体したのかと思っていたが……
「演説はだいぶやりやすくなりましたけど、ネット工作が相変わらずでねぇ~~……」
「なかなかしぶといなw 世界の混乱も収まりつつあるのにねぇw 」
カインさんの話では、グローバリズムの大元は二年前に瓦解したそうだが、まだまだ末端は悪あがきを続けているとの事だ。ただ、その殆どはがらんどうであるとも指摘している。
「まあいずれ資金が尽きて消えるでしょう」
「だと良いんですけどねぇ……先生、気をつけた方がいい人の目印みたいな物はありませんか?」
「そうですね……口元に違和感がある人は、気をつけた方がいいかもしれません」
「口元……ですか?」
「これに関してはご自身の直感を頼っていただきたいのですが、本心と違うことを言っている、言わされている人の口元は何となく気持ち悪いです」
「なるほど……」
応援演説で何度か対峙した活動家たちも、目もヤバかったが口元がとにかく気持ち悪かった。まあ今となっては、みんな壁の向こう側の人物である。
文化会館で行われた講演会は一般客にも開放しているらしく、大きなホールは結構な人で埋まっていた。議員先生のご挨拶の後、経済と防衛について一時間半程の講演を行った。
「すみません万詩郎がご迷惑をおかけして……」
「いえいえ、とってもいい子にしてました♡♡♡」
スタッフさんに抱っこされてウトウトしていた万詩郎。お礼を言うと、スタッフさんは笑いながらそう言った。
「万君、講演中の浅倉先生のこと舞台袖でジッと見つめてたんですよ~~♡♡♡ ママ大好きなんですねぇ~~♡♡♡」
「へぇ~~、万君ずっと見ててくれたのか~~?♡♡♡」
「ん~~……」
その後ホテルまで送って貰い、万詩郎をベッドに寝かせた。その間仕事を片付け、ふと窓を見るとすっかり暗くなっていて、腹減ったな……と思ったタイミングで万詩郎が目を覚ました。
「トンテキうめぇ~~!!♡♡♡」
「からあげおいちぃ~~♡」
商店街の居酒屋でハイボールと共に名物をいただいていたら、先程講演会に来てくれていた青年会の面々が入ってきた。
「アレ、先生じゃないですか♡♡ 俺たちもご一緒して良いですか?♡♡♡」
「いいですよ~~♡♡♡」
「でしゅよ~~♡」
ビール片手に同年代の面々と経済政策の是非を語り合い、その横では物怖じしない万詩郎が綺麗なお姉さんに玉子焼きを食べさせて貰っていた。
「万君可愛いですね~~♡♡♡ お姉さんの子になる?♡♡♡」
「にゃらないのっ!」
「あ~~ん、振られちゃったぁ~~!」
ひと通り語り合った青年会の面々と別れ、ホテルに帰りお風呂に入った。
「ままとばんくんふたりきりだねぇ~~♡」
「そうだな♡♡ なんだ?随分楽しそうだな♡♡♡」
「ふたりきりたのちぃ~~♡」
嬉しそうな万詩郎の体を洗いながら、妹たちが生まれてから色々我慢してきたんだろうな……と思うと、目頭が熱くなった。
「ままかっこよかったねぇ……♡」
「そうか?」
「うん、ままはばんくんのひーろーなの♡」
嬉しいことを言ってくれるじゃないか♡♡♡ 万詩郎は照れ臭そうにはにかむと、胸の間にギューッと顔を押し付けてきた♡♡♡
「夜遅くまですみません……」
『いえいえ、蒔温様も佳凛様もよくおやすみになられてますよ~~♡♡♡』
PC越しにスヤスヤ眠る双子を眺めていたら、万詩郎がデスクによじ登ってきた。
『あらあら、万詩郎様ご機嫌ですねぇ~~♡♡♡』
「ばんくんいいこにしてたよ~~♡」
『まぁまぁ♡ 偉い偉い~~♡♡♡』
牧さんに褒められて得意げな万詩郎。通話を終えて万詩郎を寝かしつけた後、帰宅したであろうシロウからチャットが来ていた。
『万君ばっかりずるいずるい!!』
……コイツはどこまで行っても長男様である。呆れた私はシロウからのチャットを無視し、万詩郎と並んで眠ったのだった。
「ぱんけーきおいちぃね~~♡」
「そうかそうか♡♡ お野菜も食べような~~♡♡♡」
ホテルの朝食をいただき、チェックアウトした後はバスに乗って遊園地に出かけた。
「じぇっとこーすたーたのちぃ~~!♡」
初めてのキッズコースターに大喜びの万詩郎。その後もスカイライナーやゴーカート等乗り物に乗ったり、ちびっ子エリアなどで遊んだり、思う存分遊園地を楽しんだ。
「おむらいちゅおいちぃ~~♡」
キッズレストランでランチをして、メリーゴーランドや観覧車に乗った後は、敷地内にある巨大な露天風呂に向かった。
「おふろひろい~~!」
「これは凄い!!」
敷地内には沢山の温泉があり、巨大な庭園には渓谷が流れている。海沿いの埋立地によくここまでの施設を作ったな……と感心しながら湯めぐりを楽しんだ。
「今度はお泊まりで来たいな~~♡♡♡」
「きた~~い!♡」
プールのような温泉にハイテンションな万詩郎。お風呂から出た後は銘菓のお土産を買って、帰りのバスに乗り、主要都市から新幹線で帰った。
「蒔温~~佳凛~~♡♡♡ いい子してたか~~?♡♡♡」
「はぁ~~ぃ♡」
「あぷぅ~~♡」
「ちょっと椿ちゃん!!?なんでチャット無視したのぉぉーーーッッ!!?」
「うるせぇw 」
帰宅後牧さんにお礼を言って、みんなでお土産の銘菓をいただいた。
「安◯餅久しぶりにいただくわ~~♡♡♡」
「緑茶に合うね~~♡♡♡」
「おいちぃ~~♡」
お茶をした後帰宅する牧さんを見送り、夕食の準備を始めた。
「椿ちゃん占って~~♡♡♡」
「良いけど……最後は自分の心に従えよ?」
「分かってるって~~♡♡♡」
子供たちが寝た後、珍しくシロウが占いをせがんできた。私はタロットカードと七海が作ったオラクルカードを取り出し、テーブルをセッティングした。
「う~~ん……やっぱり打診してみるか……」
どうやら新規事業の人員配置に迷いがあるらしく、後押しが欲しいとの事だった。出たカードの解説を聞きながらポツリと呟くシロウ。何かを決意した様子に、何となく大きな節目を感じ取ったのだった……
ーーーーーーー
「理沙ちゃん綺麗だね~~♡♡♡」
「馬子にも衣装だなw 」
白無垢で御神殿に立つ妹の理沙と、夫の和久君。和久君の横で幸せそうに微笑む理沙を見て、微笑ましい気持ちと同時に、俺そっくりな妹の花嫁姿に、自分の女装姿を見せられている気分にもなったのだった……
「やっぱ理沙と亜耶はよく似てるよな~~」
「うるせぇw 」
「似てるって言っただけだろw 」
二次会から顔を出した椿と梓は、ハトコとしてというより友人として出席してくれた。元々家が微妙に近所だったこともあり、親戚以上に家族ぐるみで仲良くしてきたのだ。
「椿ちゃんも梓ちゃんも来てくれてありがとう~~♡♡♡」
「おめでとう理沙♡♡♡」
「おめでと~~♡♡♡」
こうして四人で集まると、あの頃に戻ったみたいで懐かしい。二次会は滞りなく進み、姉妹でビンゴの景品をゲットした椿と梓は、ビール缶詰め合わせセットを軽々と担いで帰っていった。母は強しってやつか……
「行ってきま~~す♡♡♡」
「お~~、ハネムーンベイビー期待してるわ~~♡♡♡」
「お兄ちゃんのバカッ!!」
結婚式の翌日、和久君と理沙は新婚旅行に旅立った。その二時間後には、俺たちも極寒の大地に向かったのだった。
「久しぶり洋平~~♡♡♡」
「ハイ亜耶!!亮二も元気そうだな!!♡♡♡」
現地でガイドをしている洋平との再会を喜び、空港を出て車に乗り込んだ。
「さっぶ!!」
「9月でこの寒さww 」
「はははw 今日の最高気温は12℃だからなw でも今日は珍しくいい天気だ。流石超晴れ男w 」
北極圏に近いこの土地では曇りや雨が多く、季節によって日照時間が大幅に変化する……らしいのだが、個人的な感想としては晴天率が高い気がする。というより、旅先で雨が降ることは殆ど無いんだけど。
「おお!マ◯キンリー!!」
「いつか登ってみたいね~~♡♡♡」
車の中から北米最高峰の山が見えた。眺めの良い海岸で撮影をした後、洋平の運転でグリルレストランに向かい、トナカイのソーセージやクラブサンドをいただいた。
「トナカイの角だ~~♡♡♡」
「角の品揃えエグいなw 」
巨大な熊の剥製が目印のショップを見て回り、市内のホテルにチェックインした。ホテルに荷物を置いて、洋平と三人でブルワリーに向かった。
「まだ明るいね~~♡♡♡」
「サーモン高くない!?」
「これでも一時期よりは安くなったんだけどな~~w 」
近年では比較的円高傾向にあるとは言え、全体的に物価は高い印象だ。俺はサーモンを諦め、ビールの飲み比べとペパロニ、フィッシュ&チップスを注文して3人で乾杯した。
「最近ボックとは会ってるのか?」
「全然だよ。ますます人間嫌いになって引き篭もってるって噂だぜ?」
「ええっ?じゃあ会えないかもしれないのか?」
「流石に自分が呼び付けた人間を追い返すことはしないと思いたいけど……」
ボックとはこの地で暮らすシャーマンである。伝えたいことがあると言ってこの地に呼び付けた張本人だ。
「やっと日が沈んだな~~☆」
「飲み過ぎちゃったかも~~……♡♡♡」
いつまでも外が明るいせいか、ダラダラと飲み食いしてしまった。ホテルまで送って貰い、千鳥足の亮二を抱えて部屋に入った。
「お~~い……大丈夫か~~?」
「らいじょ~~ぶ……♡」
「明日の朝洋平が迎えに来るってよ」
「りょ~~かい~~……♡」
そのままグゥグゥと寝息を立て始めた亮二に苦笑しつつ、明日に備えて就寝した。
「あちゃまいちゃい……」
「あははw ほら、薬湯飲んどけw 」
思いっ切り二日酔い丸出しな亮二に本家特製の薬草湯を飲ませ、洋平に連れられて朝食ブリトーを食べに行った。
朝食後はフリーエネルギー内蔵の小型飛行機で国立公園方向に向かった。この地は広大な大自然が広がっている為、中長距離の移動は空路がメインになっている。住民の半数が飛行機の免許を持っているそうだ。
「紅葉綺麗~~♡♡♡」
「あそこでグリズリー歩いてんなw 」
ここは自然も野生動物もスケールがデカい。飛行機は雄大な大自然の中を飛行し、川沿いの小さな街に着陸した。ボックはこの街の外れでひっそりと暮らしているのだ。
「Hey Bock!!亜耶と亮二連れて来たぜ?」
洋平がノックしながら声をかけると、ロッジハウスのドアがゆっくり開いた。
「来たかAya、Ryo……」
「久しぶりだなボック~~♡♡♡ 三年ぶりか?」
「お久しぶりですボックさん♪」
髭面の中年男性、ボックは憮然とした表情を浮かべつつ俺たちを招き入れた。別に機嫌が悪い訳ではなく、これがボックの通常運転なのだ。
「ホットミルクうめぇ~~♡♡♡」
「あったまる~~♡♡♡」
仏頂面でホットミルクを出してくれる、意外と優しいボック。なんやかんやでシャーマンとして人助けをしているボックだ。根はなかなか優しいオッサンなのである。
「で、何で俺たちのこと呼んだん?」
「星読みをしていたら宇宙からコンタクトがあった。C国に逃げ込んだDSが最後の悪あがきをしているそうだ」
「へぇ、どんな?」
「非人道的なやり方で祈祷集団を作っているそうだ。各国の反グローバリズム政権を呪術で貶めようとしている」
「やぁねぇ~~!!そんなことしても自分たちに返ってくるだけなのに~~」
人を呪わば穴二つ。昔から権力と呪術は切っても切り離せない関係だったけど、少なくとも御三家の呪術は防御を得意としている。どんな形でも攻撃というのは巡り巡って自身に返ってくるのだ。
「じゃあ本家に連絡しとくわ。教えてくれてありがとうな~~☆」
「いや、お前もやるんだよ」
「え……?」
「ワシが鍛えてやるから、暫くここで修行しろ」
「はあァァーーーーッッ!!?」
ボックの言葉に亮二はオロオロしていて、洋平はゲラゲラ笑っていた。急にそんな無茶振りをされて大いに不満はあるけど、ボックがそこまで言うってことは案外本気でヤバイのかもしれない。
「亜耶、お前が術師として成長した分だけ、世界が救われるんだ」
「そんなアホな……殆ど死に体のDSが今さら何したところで……」
「追い詰められた獣ほど死に物狂いで襲ってくるんだ。元々悪魔崇拝の奴らなんだぞ?甘く見ない方が良い」
「でも……」
「お前のハトコだけを危険に晒して何とも思わないのか?」
「うっ……」
その言葉に何も言えなくなってしまった……
言論活動を始めて以来、時々脅迫状が来るのだとボヤいている椿。護りが強いから命が脅かされることは無いだろうとタカを括っていたけど、お役目が違うのだからと椿だけを矢面に立たせてきたことに、心のどこかで後ろめたさがあったのだ。
「さ、早速禊をするぞ!!そこの川に裸で飛び込め!!」
「ちょちょちょちょw 待て待て待てw 」
「ええいグダグダ抜かすな!!さっさと脱げーーーッッ!!!」
強引なボックに川に放り投げられ、マッ◯ンリーの雪解け水に晒された俺はそのまま気を失った。目を覚ますと介抱してくれていた亮二にギャン泣きされたけど、ボックは容赦なく俺を引き摺り出し、雪解け水で禊をしまくった。
「明日から3日間瞑想だ」
「えぇ~~!?」
「え~じゃない!!」
そこから一ヶ月、俺たちはボックの家に滞在し、即身仏寸前の修行をやらされた。その間亮二は俺のサポートをしてくれて、時には啜り泣きながら介抱してくれた。
そして何度も臨死体験した俺は、この際ずっと考察してきた「隠された歴史」をこの目で見るために、何度も時代と国を行き来した。ついでに遺跡の一部に自分が来たという目印を付けながら、古今東西色々な場所を巡ったのであった。
「治してみろ」
ボックが自ら腕を切り、俺の前に差し出した。俺が手を翳すと、ボックの切り傷はみるみる治癒していった。
「よし、合格だ」
「イヤッふぅぅぅーーーー!!♡♡♡」
何度も臨死体験を繰り返した俺はとうとう紬と同等の霊力が身に付いていたけど、それはともかく修行が終わることが嬉しくて堪らない♡♡♡
「サーモンうめぇぇーーーーッッ!!♡♡♡♡」
ボックが街のレストランでサーモンのグリルをご馳走してくれた。穀物以外の食べ物は久しぶりだ♡♡♡ 他にもカニやフィッシュタコスをいただきながらビールを煽り、至福の時間を過ごした。
「亜耶が文句言わなかったから俺も何も言わなかったけど、万が一の事があったら俺がボックを呪うとこだったんだよ!?」
「ハッ!!ヒヨッコがw 亜耶には麒麟がついてるんだぞ?ちょっとやそっとじゃしなんわw 」
ボックはそう言うと、タコスを豪快に口に放り込んだ。
「ありがとなボック♡♡♡」
「ハン!別にお前のためじゃないわ」
「何だよツンデレオヤジかよ~~♡♡♡ ん~~チュッ♡♡♡」
「ヒィィィ!!?」
「浮気だぁぁーーーーッッ!!!」
お礼の意味を込めてボックの髭面にチューしたら、思いの外嫌がられて地味にショックだった。
迎えに来てくれた洋平の飛行機に乗り、ボックに手を振りながら街を後にした。いつの間にか辺りはすっかり雪景色になっていて、随分長いこと修行してたんだな……と感慨深い気持ちになった。
「温泉あったけ~~♡♡♡」
「星空も綺麗だね~~♡♡♡」
水着着用の巨大な混浴岩風呂に浸かりながら、満天の星空を眺めた。今夜はオーロラが観測出来そうだ♡♡♡
「すっっごぉぉ~~~!!♡♡♡」
「巨大なカーテンだな~~♡♡♡」
オーロラを観るのは3回目だけど、ここまで見事なオーロラは初めてだ。絶景に感動しながら空を見上げ、貴重な時間を過ごしたのだった。
「亮二……俺のことサポートしてくれてありがとな♡♡♡」
「お礼はチューでいいよ……?♡♡♡」
「ハハッw 随分と安上がりなお礼だこと♡♡♡」
「オーロラの下でチューするの、憧れだったんだ~~♡♡♡」
オーロラ輝く氷点下の空の下で、俺たちは触れ合うだけのキスを交わしたのだった……♡♡♡
「おお~~!!晴れたなぁ~~♡♡♡」
「全く、最後までしょーもない奴らやったわ」
「大掃除完了だね~~♪」
「スッキリスッキリ♪」
帰国後、既に呪詛集団と闘っていた本家と合流し、五郎さん、ババア、紬が行っていた祈祷に加わった。祈祷を始めてから三日目にガラスの天井を突き破った感覚があり、五郎さんの号令の元、祈祷は終わりを告げた。
「亜耶君、力強くなったよね~~♡♡♡ よっぽど死にかけたんだねw 」
「何度も死にかけましたw 」
ケラケラと笑う五郎さんを見ながら、この人も結構な試練を経てここにいるんだよな……とぼんやり思った。椿か梓か、はたまた子供たちか……本家の血を引く者たちの今後を憂いながら、百合子さんが用意してくれた甘酒を美味しくいただいたのだった。
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追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
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