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転入編
しおりを挟む「転入生を紹介する。佐久間蓮君だ。知ってる人もいるかと思うが、佐久間南の弟だ。みんな仲良くしてやってくれ」
何故か観音高校の制服を着て、先生の横に立っている蓮……え??なんで??
「妻の南共々、よろしくお願いします♡♡♡」
「ちょっと待てぇぇぇーーーーッッ!!?」
「婚約者君」として顔が知れている蓮が二学期からクラスメイトになったことで、周りからはより生暖かい視線を送られている。いや、それよりも……
「何で黙ってたの!?今日送って行けないとか言ってたのも何だったの!?もしかしてママにも口止めしてた!?うわもう信じらんないっ!!」
「だって……教えたらまた……南が別の学校行きそうで……」
「行くわけないでしょーー!?編入試験頑張ったんでしょ?そんなの褒めるに決まってんじゃん!!」
「……ホント……?俺が同じ学校なの、嬉しい……?」
「底辺の学力からよくぞここまでとは思うけど……ん?ちゃんと試験受けたんだよね?裏口とかじゃないよね?」
「失礼だな。ちゃんと試験受けましたーー!ねえ嬉しいでしょ?嬉しいよね??嬉しいって言えぇーーッッ!!」
いつもの調子で抱き付いてきそうだったから、咄嗟に七海の後ろに隠れた。人前では本当に勘弁して欲しい。
「中学の時のこと思い出したら、嬉しいとは言えないよね……」
「ゔぅぅ~~っ……汚名返上してやるぅ……」
ここで犯してやるとか言わなくなっただけでも、成長したのかな?……私の判断基準おかしいかも……。
「あ~~あ、南可哀想~~。学校にいる時が唯一の安らぎだったのになぁ~~?」
突然話に割って入ってきたのは、竹永君だ。同じ図書委員として何かと気にかけてくれるクラスメイトである。竹永君には申し訳ないけど、あまり蓮を刺激しないでほしい……。
「はあ?誰だテメーは!?」
「南からちょいちょい相談受けてる者ですけど?」
「相談だと!?……南、俺に相談してくれたこと無いよね……?何で!?こんな奴じゃなくて俺に相談すれば良いじゃん!!」
お前の悩みを何でお前に相談せにゃならんのだ。転入早々うるさい蓮に、今後のことを考えただけで頭を抱えた私であった……。
今は蓮が女遊びをしていないせいか、危惧していたトラブルも無く、平穏な学校生活を送っている。中学の時は、蓮の義姉というだけで呼び出されたり嫌がらせをされたりしていたけれど、流石偏差値高い学校なだけあって、民度が高い。やはり偏差値と民度は比例するのか……。
「南~~♡♡♡ 弁当一緒に食べよ~~♡♡♡」
学校でもお構い無しでくっ付きたがる蓮が、一人で学校の民度を下げているように見えてならない……。
「オイオイ、メシの時間くらい南に息抜きさせてやれよw 」
「はあ?テメーに関係ねえだろ!?」
「やめなさい!!竹永君も、あんまり刺激しないで……」
「……何か、南だけが苦労してるな……」
憐れなものを見るような目を向けられ、泣きたい気持ちになっていると、七海が反論した。
「えーー?私は羨ましいけどなぁ~~♡ こんなイケメンに好き好き言われてみたぁ~~い♡」
「うっわ、結局顔かよ?」
「いいじゃん、竹永だって結構イケメンだよ?自信持って♡」
「うるせぇわ」
七海と竹永君のやり取りを聞いていると、隣に座った蓮が卵焼きを差し出していた。いやお前、家でもそんなことしてないやろ!?
「はい、あ~~ん♡」
「……自分で食べれるから……」
「はい!あ~~~ん♡♡♡」
口元にグイッと差し出され、観念して口に入れる。卵焼きに罪はないからな……。
「えへへ……♡♡♡」
無理矢理食べさせただけで幸せそうに照れ笑いをする蓮に、何とも形容し難い気持ちになった。
出来の悪い義弟として、可愛いと思う。危なっかしいけど、以前より一緒にいて不快じゃなくなった。きっとこのまま蓮を好きになれれば、八方丸く収まるのだろう。しかしそれは自分を蔑ろにする行為ではないか。
このまま色々諦めてしまっても良いのかな……?
「同じ制服だね♡♡♡」
帰り道、いつものように手を繋いで歩いていると、蓮が嬉しそうにそう言った。きっと側から見たら、普通に付き合っている高校生カップルに見えるのだろう。
「……うん……」
「……何考えてるの?」
「うん?何って?」
「心ここに在らずだよ……?」
「別に何も考えてないよ」
「嘘……アイツのこと、考えてたの……?」
「アイツ?」
「相談……してたんでしょ……?」
竹永君のことか。相談と言っても、テスト勉強のこととか委員会のこととか、当たり障りの無いことが殆どなんだけどな。
「じゃあこれからは蓮が相談受けてくれる?」
「……!!うんっ!!何でも相談してよ!!」
「政府のプライマリーバランス黒字化についてなんだけど……」
「ごめんなさい何でもは無理でした……」
素直に降参する蓮を可愛いと思いつつ、家まで手を繋いで帰った。
「ママ……?私に言うべきことがあるよね?」
「んふふ♡♡ サプライズ成功?♡♡」
「ママぁ~~……最近私のこと蔑ろにし過ぎてない?」
「だってぇ~~、南は一人でも勝手に幸せになるタイプだけど、蓮は南がいないと生きていけないんだもん。そりゃ弱い方の肩持つわよ」
流石ママ。なんやかんやでよく見てるな。
「まぁ、受け入れるかどうかは南が選びなさい」
「え?ママはそれでも良いの?」
「何?まさか自分が犠牲にならないとパパとママが離婚するとか思ってる?」
「ぶっちゃけちょっと思ってた……」
「舐めないでよね~~。そんなヤワな絆じゃないわよ」
瞬間、自分の中で無意識に縛っていたものから解放されたような気分になった。私はもっと自由な心で生きて良いのだ。
「南……どっか行っちゃう……?」
夜、相変わらず私を羽交締めにしながら、弱々しく呟く蓮。
「……ママとの会話聞いてたの……?」
「…………」
無言の肯定。弱々しい蓮が可哀想に思えてくる。
「別に今は犠牲になってるとか思ってないから……」
「うん……でも俺……やっぱりウザいよね……」
ギュッと抱き締める力を強くする蓮の腕を解き、向き合った。
「褒めるって言ったでしょ?頑張ったんだね、蓮。勉強大変だったでしょ?」
毎日送り迎えをし、家の中では常に私を追いかけ回していたのだ。一体いつ勉強していたのだろう。
「ん……頑張ったご褒美欲しい……♡♡♡ ……チューしたい……♡♡♡」
「……それはダメ……」
「何で!?結局あの一回しかしてくれてないよね!?俺は毎日チューしたいのに~~!!」
こうなるからしたくなかったのに……。何故あの時の私は……。
「まだ恋人じゃないからよ……」
「恋人じゃん!!婚約者じゃん!!」
まあ、そもそも一緒のベッドで寝てる時点で、自分の言い分はおかしいのは分かってるけど、そこを許したら一気に貞操の危機まで迫ってきそうだから、牙城を崩すわけにはいかないのだ。
「婚約者だけど、恋人ではないでしょ?」
「そんなの屁理屈だよ!!」
「それより週末どうする?土曜日はバイトだけど、日曜日はどこか遊びに行こうか?」
「行く!!ツーリングにする?まだまだ暑いから電車にしようか?♡♡♡」
見事に話を逸らされたチョロい蓮を微笑ましく思いながら、眠るまでの間遊びの計画を立てたのだった。
ーーーーーーー
「それより週末どうする?土曜日はバイトだけど、日曜日はどこか遊びに行こうか?」
「行く!!ツーリングにする?まだまだ暑いから電車にしようか?♡♡♡」
……またはぐらかされた……それでも、南が一緒の時間を過ごしてくれるのが嬉しくて、ついついはぐらかされてしまう。
『南は一人でも勝手に幸せになるタイプだけど、蓮は南がいないと生きていけないんだもん。そりゃ弱い方の肩持つわよ』
母さんが言った言葉で、今までの違和感の正体に気付いた。俺の方が遥かに気持ちが大きかったせいだと思っていたけど、そもそも性質が全く違ったのだ。ふと、中学の頃は完全別行動だったことを思い出した。あの頃は俺のせいでもあるけど、徹底して俺から距離を取っていた南。触れるのも耐えられないといった様子だったのだ。あの頃を思えば、今こうして南を腕に抱き、共に眠ることが出来るのは奇跡だ。しかも嫌いじゃないとまで言ってくれた。あの頃に比べてめちゃくちゃ幸せな筈なのに……どうして俺は、今ある幸せで満足出来ないんだろう?
「何睨んでんだコラ?」
「……別に……?」
二人きりで遊ぶのだと思い込んでいたのに、駅に着いたら、亜耶と椿がいた。亜耶は愛の人だから誰にでも基本優しいけど、椿は自分が心を許した相手以外には基本厳しい。今日もいきなり喧嘩を売られる始末だ。
「昨日椿と電話してて、蓮と遊びに行くって話したら、じゃあみんなで遊ぼうって話になって……」
「何で事前に話してくれなかったの?」
「それ、蓮が言う?」
「…………」
転入のこと、褒めてくれたけど……やっぱり本心では怒ってるのかな……?
「何だ?私たちがいたら何か不都合でもあんのか?あ?」
「オイやめろって。何ピリついてんだよ」
多分転入のこと、椿は腹を立てているのだろう。だからデートの邪魔をしてきたに違いない。
「フォォーーーウ!!外国人ーーーッッ!!」
「ワオワオーーッッ!!外国人だらけぇぇーーーッッ!!」
電車に揺られ、海が見える観光地に着いた。相変わらず小学生男子のようにはしゃぐ亜耶と椿。良いよなコイツらは。友情という同じ形の気持ちを、同じ大きさで共有出来て……。クソデカな恋愛感情を持つ俺と、小さめな姉弟愛を持つ南とでは、どうしてもアンバランスになってしまう。
「やっぱりいつ来ても賑わってるね~~!でも二人とも良かったの?メジャーな観光地だけど、歴史的に色々あった土地はキツイって言ってなかった?」
「フッ……キツイに決まってんだろぉぉがぁぁ!!カラ元気じゃクソがぁぁーーーッッ!!」
「フッ……俺は防御力強いからな!!結構平気だぜ♪」
詳しくは知らないけど、どうやら亜耶と椿は霊感が強い人らしい。土地がキツイという感覚はよく分からないけど、南と彼らの信頼関係を目の当たりにするのは精神的にキツイ。
有名な神社にお参りして、近くの美術館を見学する。亜耶が調度品をマジマジと眺めながら歴史の考察をする横で、興味深そうに聞き入る南と椿。俺には難し過ぎてよく分からん。こういうところでも偏差値の壁を突き付けられるようで苦しくなる。
これ以上どうやって踏み込んでいいのか分からない。俺は、亜耶のように南の興味を引く話題も持ってないし、椿のように南の心に刺さる金言も言えない。ただ子供のように駄々を捏ねたり、力技で脅したりすることしか出来ないのだ。少し前ならそれでも開き直っていられたけど、南が側で笑ってくれる幸せを知ってしまった今は、余程のことが無い限り躊躇われてしまう。
「蓮?疲れた?」
真新しいカフェに入り、名物をアレンジしたスイーツを食べていた時、南が心配そうに顔を覗き込んできた。
「ううん、元気だよ?」
「魔物だから魔物にエネルギー吸われてるけどな……」
「オイやめろって」
椿の一言で、彼女の目に俺がどう映っているのか気付いてしまった。椿にとって、俺は南に取り憑く悪霊なのか。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫!」
大丈夫だ……南は心から心配してくれている。だから大丈夫。他人から見て俺が魔物でも悪霊でも、南は俺のことをちゃんと見てくれているんだ……もう、あの頃と違うんだ……
「うおおおぉぉーーーッッ!!?龍デケェーーーッッ!!!」
「デッカ!!?うわぁデッカぁぁーーーーッッ!!!」
離島の神社にお参りした帰り道、突然亜耶と椿が空を見上げながら叫び出した。側から見たらキ◯ガイである。
「あっ……あ~~~~……なるほどね……」
「あ~~~……了解です~~……」
海に向かって相槌を打つ二人は、いよいよ気が触れたかのように見えた。
「何て言われたの?」
「えーー…と、伊◯神宮に挨拶に行け……?」
南の問いかけに、一瞬口籠る椿。嘘ついたのかとも思ったけど、その後亜耶と旅行の日程を決めていたから、挨拶とやらには行くのだろう。多分……ここに俺がいるから口籠ったのだ。南に取り憑く魔物に気を付けろ、とか、そんなお告げでもあったのかもしれない。
「南……来週は二人きりで遊ぼうね……?」
「来週は土日ともバイト入れてるでしょ?」
「じゃあバイト終わったら出掛けよう?」
「ごめん、七海たちと約束しちゃった」
他の人との約束があるからとあっさり断ってくる南に対して、無性に苛立ちが湧き上がってくる。どうせ南は、毎日昼も夜も顔を突き合わせているのだから外でまで二人きりじゃなくてもいいだろうとか、お前も交友関係広げろとか思ってるんだろうけど、俺はいつでもどこでも南さえいればいいのだ。この気持ちが歪んだものだということは分かってるし、南にとっては理不尽な要求だということも分かってる。
「再来週は晴れたらツーリング行こうね」
先の約束をしてくれるのはすごく嬉しい。南にとって大勢いる、大切な人の中に入ってるのは嬉しいけど、俺だけを大切にして、なんて理不尽なことをまた言ってしまいそうだ。
椿とはしゃぎながらお守りを物色している南をぼんやり眺めていると、いつの間にか亜耶が横に立っていた。
「蓮はお守り買わないの?」
「……買わない……どうせ俺は魔物ですよ」
「椿が言ったことなんか本気にすんなよ。アイツから見たお前の姿が、お前の全てじゃないだろ?椿から見た蓮が魔物でも、もっと上……神様から見たら、みんな可愛い子供たちだよ」
「何だよ急に……宗教家かよ?」
「ブハッw 宗教家w じゃあ教祖様からのお言葉で~~す☆ 蓮だって愛の人になれるんだぜ?」
めちゃくちゃ良い笑顔で訳の分からんことを言う亜耶。コイツマジで宗教家なのかな?
「蓮は自分が好きか?」
「……好きじゃない……」
「何で?」
「俺は……南が吐くほど悍ましい生き物だから……」
ヤることを強要されたあの時、部屋を見るなり洗面所で吐いた南……あの後、リビングで俺の顔を見た南は、顔を歪めて逃げ出そうとした。咄嗟に掴んだ腕を振り払い、そのまま洗面所に駆け込んだ南。あの時の、振り払われた手の痛みは、一生忘れられそうもない……。
「南は自分大好きだぜ?」
「はあ?南はそんな承認欲求モンスターじゃねぇよ」
「そうじゃなくて、南は自分を愛してるって話♪」
「…………」
「南も椿も、もちろん俺も、自分大好きだぜ♡♡♡」
「何なんだよ……?」
「だからどんなことが起こっても、どんなことを考えても、どこにいても、最後には幸せになれる人間なんだよ。自分を愛せよ、若者よ。南のことが好きな蓮自身も好きになれよ。……って龍神様が言ってた♪信じるか信じないかは蓮次第です」
どこかのキャッチコピーみたいなことを言う亜耶をマジマジと見つめる。本当にムカつくくらい爽やかだな、コイツ。勧められたらうっかり壺とか買ってしまいそうだ。
「例えば、蓮は南のどういうとこが好き?」
「えっ?全部……最近だと、一緒に寝てる時の寝息とか?」
「マジで一緒に寝てるのか……じゃあ、南の寝息を聞いて幸せ感じてる時の蓮は、好きになれそう?」
「……なれそう……」
「そーいうことだよ♪」
心が溢れるという感覚を、その時初めて体感した。
「やばい!!俺、今すぐ南を抱き締めたいッッ!!♡♡♡」
「うーーん……二人きりになってからにして」
「ありがとう亜耶。お前はやっぱり愛の人だな」
「蓮もこれからなるんだろ?」
お守りを買った二人がこちらに戻ってくる。俺と目が合った南が笑顔を向けてくれる。それだけでもう、堪らなくなった。
「はい、これ蓮のお守り♪」
「ありがとう……何のお守り?」
受け取ったお守りをくるっとひっくり返すと……
心穏守
「南……?」
「必要でしょ?」
南の後ろで、笑いを堪える椿。どいつもこいつも、人のこと荒御魂扱いしやがって……。
思わず南の頬を抓ると「いや~~!!」と顔を顰めていた。それがまるで普通の恋人みたいなやり取りで、すごく満たされてしまったのは、まだ秘密だけど。
「南~~♡♡ そろそろ寝よ~~?♡♡♡」
いつものように両手を広げてベッドに座ると、パジャマ姿の南がジッと見つめてきた。
「何?照れるじゃん♡♡♡」
「いや、今日は一度も駄々捏ねなかったね。……寝る前に、全部吐き出して良いんだよ?」
椅子に座ってそう言った南に、目頭が熱くなった。俺のこと、ちゃんと見ててくれたんだ……。
「……二人きりが良かったのに……なんで亜耶と椿が来てたの?」
「ごめんね、合宿でも一緒だったから、蓮も楽しめると思ったんだ……」
「3人にしか分からない話とかされて、仲間外れにされた気分だった……」
「ごめんね……」
「俺は頭良くないから、歴史とか分かんないし……」
「うん……」
「椿に魔物扱いされたのだって、すげームカついた!!」
「代わりに謝っとくね。ごめんなさい」
「でも南が楽しそうで嬉しかった」
「蓮……」
「初めて二人で出掛けたあの日より、ずっとずっと楽しかった!!」
「うん……楽しかったね」
「俺……南にもっと笑って貰えるように頑張るから、もっともっと俺のこと好きになってください!!」
涙腺緩めの俺は、いつの間にか泣いていた。何もかもがカッコ悪いけど、南は嬉しそうに聞いてくれていた。
ベッドに座り直した南に抱き締められて、驚愕していると、顔が近付いてきた。
ちゅっ♡
「……え?南……?」
「チューしたいんじゃなかったの?」
「えっ……えっ??……ええええーーーーーッッ!!?♡♡♡♡♡」
驚きのあまり……
「ごめん、出た……♡♡♡」
「さっさと風呂に入ってこぉぉーーい!!!」
「え~~?♡♡♡ お風呂入ったばっかだよぉ~~♡♡♡♡」
最近減ってきてたから油断してた……♡♡♡
南に不意打ちでキスされて、つい出してしまう自分のことは好きかと問われたら、やっぱり好きだと答えるだろう♡♡♡ そんなことを考えていると、寝ぼけ眼の南が俺を見つめてきた♡♡♡ 向かい合って寝てくれるの、超嬉しい♡♡♡
「これからは、二人きりの時なら、好きにキスしても良いからね……」
「えっ!!?マジで!?本当に!?しても良いのッッ!!?」
「ぐぅーーー………」
「あっ!?待って!!まだ寝ないで!?ねえ!?しても良いんだね!?」
「Zzz………」
「ちょっとぉぉーー!!ちゃんと言質取らせてよぉぉーーー!!!」
その夜は何度声をかけても、南の目が覚めることは無かった……。
「今日も纏わりついてんのか……南可哀想~~」
今日も炸裂する竹永の嫌味。だがしかし、俺は昨日までの俺とは違うぜ♡♡♡ 何しろ南といつでもキスが出来る間柄になったのだ♡♡♡
「フン……憐れな当て馬め……」
「はあっ!?何だとテメー!!?」
「残念ながら南の大本命は俺。俺一択!!俺以外有り得ない!!だからさっさと諦めろ、当て馬よ」
「はあ!?そっ……そんなんじゃねーーし!!!てかお前、ウザがられてる癖に随分偉そうじゃねーか!?」
「負け犬の遠吠え乙w 俺は南からカラダを許された男♡♡♡ オンリーワンの男♡♡♡」
「なーに言ってんのアンタはあぁぁぁーーーッッ!!?」
何故か怒った南からアイアンクローを喰らってしまった。南は地味に握力強いから超痛い。でも南からアイアンクローを喰らう自分は好きかと問われたら、もちろん好きだ♡♡♡
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