へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

KeyBow

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第1章

説明

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 会議室だろうか、その部屋の中央に鎮座している真ん中がくり抜かれた円卓に案内され、そこに着席していく。

 王女?と思われる女性がこの中で一番偉い者と太一は認識していた。好みの顔ではないが、文句なしの美人だ。化粧と顔つき画少々きつく、アメリカの映画でストリートに出ているコールガール役での、そうちょい役で出ていそうな感じだなと思った。

 女王達の向かいに座る形で左からチンピラ、若者、太一、サラリーマン、女子高生の並びで着席していく。

 皆が着席すると真ん中に座った王女?が話し始めた。

「我が父王に変わりましてわたくし第1王女のヴェルマが皆様方のお相手をさせて頂きます。宜しくお願いします」

 一礼をしたタイミングで太一が手を挙げ、ヴェルマが頷いた

「あのー、お話に入る前にまず外の景色を見させて頂けませんか?まだ皆混乱していて、今自分達が置かれている状況を認識出来ていないんです。ちゃんと認識しないと恐らく王女様がこれからされるお話が理解できないと思うんです」

 皆頷いていた。掃き出し窓に小さなテラスがあり、そこから街並みが見えると言う。

 案内されテラスに出ると生暖かい風が僅かに感じられ、春か秋の過ごし易い気温だった。そこからは街が良く見えた。映画とかで見るような典型的な中世の景色だ。そこから見える人々の格好や建物の造り等からそこが日本ではなく、しかも文明も違うのだとひと目で分かったのだ。

 皆理解したのか黙っていた。

「ありがとうございました。ここが僕達の居た所とは全く違う場所だと理解できました」

 チンピラがボソッとぼやいた

「勘弁してくれよ。まるで石器時代じゃねえかよ」

 チンピラの毒舌はスルーされ

「そうですか。それでは皆様が知りたいであろう事、これから皆様がこの世界で生きるのに必要になる知識の概要を説明させて頂きます」

 説明内容は

 この世界は魔物と言われるモンスターがいる。それらは動物とは違い、魔石と言われる魔力をコアにし肉体を構成されたモンスターだと。倒すと若い個体は魔石に、長生きしている個体は肉体と魔石画残る。魔石は心臓近くにあり、死体から抜き取らないといけないが、食肉として受容がある。但しダンジョン内の魔物は全て魔石にしかならない。魔物を倒すと時折何かの武器やアイテムを残すとの事だ。

 今は魔物が多発する極大期が近づいてきている。実際魔物の出没数が増えているのだという。
 一年以内に何かしらの異変が起こると予測されていて、過去には異世界と繋がるゲートが開きそこから現れた者達に攻められ、壊滅しかけた。
 また異世界のダンジョンが現れて、ダンジョン内から魔物が大挙してきた。
 魔王が顕現した。
 等があり、異世界から召喚した勇者でないと対処できない。

 過去の経験から準備の為の猶予は半年。
 その間に冒険者として経験を積み、力を付ける必要があると。

 極大期による異変が終わった後に元の世界に帰る魔法陣を作成する。ただし魔力チャージにはやたらと時間を必要とし、1年近くの時を必要とする。

 時間は掛かるが極大期の後を無事切り抜けたら報酬を払う。希望者は元の世界に返すと約束した。これからどんな適性があるか、魔法が使えるか、スキルが何か確認するという。

 ステータスがあり、簡単には確認できないが今回は確認すると言う。魔法は皆使えるが、魔法使い以外は初級を使うのが精一杯だと。但しヒーラーの回復魔法は別だと。

 また、収納スキルが備わっている筈で、召喚された時に身に着けていた物で今無い物は収納に入っている可能性があるから、後で確認するようにと良く分からない事を説明された。

 チンピラは鼻をほじりテーブルに脚を置きふんぞりかえりながらもとりあえず話を聞いていた。

 召喚者は
 剣使い
 弓使い
 魔法使い
 格闘家
 ヒーラー

 この中のどれかの適性がある筈だという。誰がどれで召喚されたか調べるまでは不明だと言う。
 サラリーマンが手を上げた

「多分自分剣使いです。剣道でインターハイで優勝した事がありますから」

 続いて若者が

「じゃあ俺は格闘家だな。総合格闘やっているよ」

 後は不明だったが、太一以外誰も気が付かずにチンピラが静かに気配を殺し動いた。

 女王の後ろに回りいきなり胸を鷲掴みにし

「報酬の前払いだ。姉ちゃん今からやらせろ」

 あまりの事に皆呆気にとられていたが、騎士?の一人が腕を掴み捻りあげようとした

「この無礼者が。王女様に何をする!いくら勇者様とてただでは済まされんぞ」

 いきなりパーンと言う乾いた音と共にその騎士?が額から血を吹き出しながら倒れて行く。

 太一は愕然とした。いきなり拳銃をぶっ放したのだ。しかも躊躇なくいきなり殺したのだ。別の兵士がチンピラの後ろから殴りつけるとあっさりと気絶した。
 王女は怒りを抑え

「この無礼者を牢へ。別の者を召喚せねばならないようですわね。まだ陣は使えるかしら?」

「はい。まだ消しておりません」

「あの、彼をどうするのですか?」

「勇者殿として召喚したとは言え、このように罪のない人を殺しておいてお咎めなしとは流石に参りませんわ。極大期を乗り切り、返還の為の魔法陣を発動するまで投獄させて頂きます。彼の代わりの勇者を近日中に召喚致します。我らは召喚者を殺せません。殺せば召喚した我が国に呪いが掛かりますから。本来彼は処刑すべきですが、したくても出来ないのです。ただ、ご安心ください。彼のように敵対行動さえしなければ我々も友好的ですから。さあ適性等を調べましょう」

 チンピラさんがいきなり拘束され連れ出された。
 太一は嫌な予感しかしないが、倒れた騎士の手から落ちて太一の足元に転がってきた剣を足で触りながら試しに収納と思うと消えていった。勿論誰も気が付かないように。足でも、靴を履いていても出来た。

 収納があると聞いてから、気になっていて色々確認し、頭に浮かぶディスプレイを話を聞きながら触っていて、収納の使い方を把握していた。

「あの、希望したら帰れるとの事ですが、希望しなかったらどうなりますか?それと報酬とは?」 

 太一は敢えて小者臭のする質問をし、相手の様子を探ろうとした。

「私以外であれば、異性を求められるならば性奴隷を手配致しましょう。報酬は帰られる方には帰られてから換金出来る宝石や宝剣の類を進呈致します。残られる方には爵位と屋敷、一生遊んで暮らせるだけの金品や女を。つまり名誉と女を。女性がおりましたわね。女性には希望されるならば貴族や王族の妻にもなれますわ。要相談でございますけれども」

 皆とりあえず頷いた。
 そしてこれから一人づつ検査をする運びになったのである。
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