へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

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第2章

講習

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 講師が元気溌剌に挨拶を始めた

「みんなおはよう!」

 参加者のおはようございますの声が小さかった。

「声が小さいぞ。そんなんじゃこの先死んじまうぞ。もう一度だ。おはよう!」

 次は講師が満足する声だった。講師は短く髪を切りそろえた20代後半から30代前半位の鍛えられた体のザッツ戦士だ。

 全員の名を呼び点呼をしていく。

「よし、参加予定者全員遅刻せずに来ているな。良い事だ。俺はラウルって言い、ランクはBだ。朝礼に行っている間に受付嬢のノエルにギルドについて説明して貰う。ノエル頼んだぞ。俺はギルドカードを回収してから朝礼に行くから。皆カードを出しておけ」

 ラウルが回収の為全員の所を回り始めた。

「皆様おはようございます。登録時に聞いている方もいらっしゃるかも分かりませんが、殆どの方は初めての話になります。まず、冒険者のランクについてです」

 一度話を切りちゃんと聞いているか様子を見て頷き

「冒険者ランクは下からF、E、D、C、B、A、S、SS、SSS の順で通常はFランクスタートとなり、皆さんも基本的にはそうです。但し推薦者やこの後の模擬戦の結果次第ではEランクスタートの方もいます。
 倒した魔物や、こなした依頼にによって得られる貢献具合でランクアップして、ランクCで一度試験があります。
   初心者講習の後、一度でも薬草等の採取依頼を行って頂ければランクは一つ上がります。いら」

「草なんて取ってられっかよ。俺らは既に魔物を倒してんだ。草むしりじゃなく討伐依頼からやらせろよ!」

 さっき絡んで来た奴の仲間だった。話を遮っていたのだが、部屋を出ようとしていた講師がドンとドアを叩き

「嫌なら他の国へ行け。あとな、一応言っとくがこのノエルはうちの人気受付嬢でな、ファンの冒険者が沢山いるからな。突っかかっていって泣かせるような事が有ってみろ、非公認ファンクラブの奴らにフルボッコにされるからな」

 講師の迫力にそれ以上は文句を言わずに座った。講師はノエルの肩を軽く叩き出ていった。

「あの人そんなに人気が有ったんだ」

「うん。美人さんですよね。それでノエルさんのカウンターに行ったのではないのですか?」

「美人なら僕の隣にいるじゃないか。確かにノエル嬢は綺麗な方だけど、なるほど、それで空いてたのか。あんなに美人なのに空いてたからおかしいなとは思ったんだけどさ、一番空いている所に並んだんだよね」

「そんな、美人だなんて。私も何でこんな美人の受付嬢のカウンターが空いているのか不思議だったんですよね」

 コソコソ話しているとノエルの話しが再開しだしたので会話を中断した。

「それでは続きになります。依頼は一つ上のランクまで受けられます。また、パーティーを組んでいる場合、パーティーメンバーの中の最高ランクの方のひとつ上の依頼を受けられます。もし今日の講習で知り合ったメンバーでパーティーを組む場合は講習後に私にお申し付けください。手続きを致しますので」

「ギルドではパーティは、4から8名を推奨しております。勿論二人やソロの方もいらっしゃいます。依頼内容によっては通常の護衛依頼が最低4人からになります。また、ランクが上がりますと、名指しでの指名依頼が入る事があります。ランクBになりますと、基本的にギルドからの特別依頼を拒否できません。スタンピード発生時などに招集を掛ける場合がございます。拒否するとランクCに落ち、一年間はBに上がれません。それ程のペナルティが有ります。採取依頼を一度でもしなければ討伐依頼は受けられず、魔石の買取も拒否になりますのでご注意願います。」

 受付嬢が説明をしていた。シャロンと薬草摘みに行かないとだねーと周りから見るとバカップルに見える会話をし、こだわりのない太一は、お花畑とか有って綺麗なところだとシャロンは喜ぶかなぁ。メイドさんにそれとなく聞いておこう!と太一の頭の中にもお花畑が発生していた。

 依頼についての話が終わると講師が来て、まずは座学と説明を開始した。
 既にフローラに教えられている内容だった。魔物の説明で、一時間くらいだ。次に魔物の解体として、解体場に移動した。
 オークと言われる豚鼻の二足歩行の魔物を人数分揃えていて心臓付近にある魔石の抜き取りを講師が実演し、各自で行う。何故か受付嬢がシャロンの所に来ていて談笑をしながら参加していた。

 太一はあまり気にしていなかったのだが、先程最後尾を歩いていたシャロンが受付嬢のノエルから何やら頼まれ事と、相談を受けていたのを思い出す。女性通しの会話には求められない限り加わらないのが鉄則だし、シャロンに女性の友人が出来るのは良い事だ。

 死体に腕を突っ込むのは正直気持ち悪い。太一が躊躇していると、講師から手伝ってやれと言われたノエルが固まっている太一の手を取り魔石の位置まで手を運んでいた。
 既にノエルはシャロンの方を終えていて、シャロンは魔石を抜いていた。太一はノエルという女性が躊躇なく手を突っ込んでいくのに驚いたが、彼女に手を掴まれているのが気になって仕方がなかった、美人が密着していて顔が近く、良い匂いにくらくらしていたが

「ロイ様、たかだか受付嬢のくせに、何故この様な事が出来るんだって驚かれておりませんか?女の子でも情け容赦なく解体に参加させるのがギルドという所なんですよ。魔石を抜くのにも慣れてくださいね。」

 太一はただただはいというしかなかった。
 血まみれになったシャロンにクリーンを掛けた。ノエルが羨ましそうにしているので

「良かったらクリーンを掛けましょうか?ただ、体の何処かに触れていないとなんですよ。それとよく僕の名前知ってましたね」

「胸以外でしたらどこに触れても大丈夫ですよ。それとも胸が良いのですか?あっ!お尻も駄目ですよ。」

「あのー僕を何だと思っているんですか?。胸を触っちゃったらシャロンに軽蔑されるじゃないですか。じゃあ肩に触れますね」

「ありがとうございます。シャロンさんが羨ましいな。こんな紳士な彼氏がいるなんて。私もこんな彼氏が欲しいな」

「あっあの、私ってロイの彼女に見えるんですか?」

「えっ?違うのですか?ふふふ。私ロイ様の彼女にして貰おうかしら」

「だっ駄目です。ロイにわっ私がいずれ娶って貰うんだから」

「ふふふ。シャロンさんって可愛くて初なのね。って怒らないで、冗談ですよ。」

 ノエルにからかわれておもちゃにされていたシャロンはさておき、薬草の種類や使い方、薬草を採取する時の注意点を教えられ昼になった。昼食後は簡単な剣の使い方を教わる事になり、昼飯に行って来いと言われ太一は食事をしにギルドを後にするのであった。
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