へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

KeyBow

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第2章

魔物

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 太一達は驚いた。先程の奴等の悲鳴が聞こえてきたからだ。太一は油断から矢傷を貰ってしまったが、ノエルのお陰で傷跡がない。油断したとは言え太一に矢傷を負わせた奴等が悲鳴を上げているのだから皆驚いたのだ。並の冒険者よりは強い奴等だという事は分かっている。そんな奴等の悲鳴が聞こえてくるのだから、尋常な事ではない。別に奴等を助けるつもりはないが、放置すれば次に自分達の身に降り掛かって来る。その可能性が高い為、4人で悲鳴が聞こえた所に駆けて行く。

 そうすると奴等が魔物と戦っていた。既に3名が倒れていて血を流していたが、生死は分からない。

 しかし太一達には構っている余裕は無かった。30匹程の魔物と戦っていたからだ。これはまずいと思いシャロンとカエデが剣を抜き、魔物の元へ向かって行く。ノエルは基本的に戦えない。

 一応メイスを出し、身を守る為に戦う準備をしているが基本的に回復要員だ。
 戦闘が終わるまで、ひたすら身を守るだけになる。太一は下手に魔法を放てなかった。まだ魔法のコントロールが十分出来る訳ではない。魔物単独であれば細かいコントロールを気にせずに魔法を放っているのだが、近くに奴等は良いとしてカエデ、シャロンがいる間はコントロールの悪い魔法を放つと仲間に当たってしまう可能性があるのだ。

 なので自分の所に向かってくる奴にしか魔法を放てない。剣を握り、魔物の接近に備える。シャロン達に向かっているのは胸の高さ程もあるオオカミや犬のような魔物、そう獣型が襲ってくるのだ。額に角があり一目見た瞬間これは魔物だと認識した。

 また太一目掛けて迫ってくる魔物に対し、魔法が間に合わず魔力弾を放つ。小さい魔力弾を散弾銃のように撒き散らした。するとキャインと唸りながら次々と倒れて行く。そいつらは穴だらけにされると、数秒立ちすくんだ後倒れ、魔石を残して霧散していった。


 やっぱりこいつら魔物なんだと太一はようやく実感できた。次に数匹の獣型が接近してきた。正面及び左右から向かって来たが、幸いノエルの方には向かって行かなかったが、太一の方に向かってきた。

 正面と左側のも奴は何とか初心者講習の時に見せたウィンドウを圧縮した玉を放ち撃退した。しかし先に倒した魔物の後ろにいて見えていなかった3頭目には魔法が間に合わず、剣での対処になった。

 奴の左前脚はなんとか剣で受け止めたが、右前脚で薙ぎ払われてしまい、太一は吹き飛んで行く。

 ぐはっ!っと苦しみの呻きを上げた。鍵爪による直接攻撃は戦闘服で防いではくれたが、薙払われる力そのものを完全に吸収はしてくれない。

 その為激痛から太一はぜーぜーはーはーと呻いていた。そこへもう一匹がやってくる。

 そいつに蹴られた太一は吹き飛んでしまう。倒れた所に止めをささんとして奴が向かってくるので、太一は慌てて立つ。

 頭に怪我を負ったようで、流れてきた血が左目に入る。その為視界が半分になってしまった。左側からさらなる一匹が近付いてくるのが見えなかったのだ。正面の魔物に対して魔法で攻撃し、正面の魔物だけは倒す事ができたが、左腕を死角から来た魔物に噛まれてしまった。


 太一はこの剣ではダメだと思い、禁止されていたショートソードを出す。その剣で噛みついていた奴の頭を切り裂き、なんとか喰いちぎられる前に倒しきった。

 気が付くと周りの魔物は全て倒されていた。今立っているのは太一、シャロン、カエデ、そしてノエルだけだった。

 太一は気が付くとノエルに治療されていた。太一は腕を喰いちぎられそうになった時の恐怖で今も震えている。

 太一は恐怖から失禁しており、ガチガチと歯を鳴らしていた。足元は自らの小便で濡れていた。

 ノエルは何かおしっこの匂いがするなとは思ったが、太一を治療するのに必死で、臭いの正体までは探れなかった。

 太一は痛みが消えていく中、ハッとなり自らにクリーンを密かに掛け、情けなく失禁した事を隠した。

 皆大丈夫かと聞くが、カエデは大丈夫だが太一とシャロンが怪我をしたと話していた。シャロンはこれ位は自分の魔法で大丈夫だと言うので、ノエルは太一に集中していた。

 ただ残念ながら襲われていた奴等は誰も助からなかったようだった。カエデが報告をしてきたのだ

「今確認してきたが生きている者はいなかったよ。カードだけ回収してきたけどね。こんな所にこれ程の魔物が出るとは一体どうした事だ!」

 太一が治療をされている間に、カエデが死んだ者のカードを回収してくれていた。しかし3人のカードは普通のカードだったが、4人のカードは犯罪者のカードだった。

「やっはりこの者達は盗賊の一味なんだな。どうしてこんな所にまでこの手の者が来れたのだろうか?」

 等とカエデが言っていたが、シャロンが驚きの声を上げたのだ。

「あの煙!」

 皆シャロンが指した街の方を見るが、煙が立ち込めているのだ。

「仕方がない。こいつらをこのままにして街へ急ごう。街で何かあったに違いない」

 太一の意見に3人は頷き、急ぎ街へ戻る事にしたのであった。
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