へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

KeyBow

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第2章

暴漢

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 今回カエデは指南役としてではなく、あくまで対等な立場の仲間の冒険者として一緒に来てくれていると太一は信じてみる事にした。その為年上という事を除けば、ざっくばらんな話の出来る話し易い相手だった。

 そして中々に乙女チックな所があり、上下関係なく話していけば中々に可愛らしい人なんだなと思ったりする。しかしシャロンは別である。指南役である以前に、一緒に暮らす姉弟子なのである。なのでカエデさんと呼ぶ。

 姉様と呼ぶと姉弟子全員がそうなってしまうので、基本的に名前で呼んでいたのである。

 結婚感について話し込んでいた。カエデが、ぽつりと

「うん、そうだな。あたいは別に本妻に拘りはないな。ロイのように強い子をなす事が可能と思われるような男になら、そう、あたいより強い男になら娶って貰うのになんの躊躇いもないぞ。ロイ、冗談抜きで妻の一人にあたいを加えるのを考えておいてくれ。お前異世界人だろ?つまり勇者だ。夫にするのにこれ以上の相手はいないんだよ。お前まさか、妻は一人しか持たないなんて馬鹿な考えは無いよな?何なら私達3人を娶れば良いんだぞ。ここはそれが、当たり前なんだ。」

「ははは。考えて置きます。ただ、今の僕には結婚を考える余裕はないんですよ。カエデさんが僕の事をそんなふうに言ってくれるのは嬉しいですが、3人をって、シャロンやエリカは僕じゃ嫌でしょう。それに僕は魔法特化で、近接戦闘では凡人以下ですよ」

「2人を見てみな。別にお前を嫌だなんて思っていないぞ。むしろ妻になれと言ってくるのを待っているぞ。まあ、確かにすぐどうこうと言うのは無いがな。寧ろ好いているからこうして一緒にパーティーを組んでいるんだぞ。お前の真価は異世界人でも、魔法の強さでもない。その頭だ。かなり切れるだろう。頭が良過ぎるきらいは有るが、お前の欠点は女心が分からない事だな。まあ、肉体的な強化はあたいも付き合ってやるよ」

 そんな話と言うか、説教をしていたカエデが急に黙りだし、太一に目配せを始めた。太一もなんとなく先程から視線を感じており、頷き。

「ちょっと向こうで小便をしてくるよ」

 と言ってわざと林の中に入って行く。シャロンとエリカは本当に小便をしに行ってるんだと思って

「ちゃんと手を洗ってよ。おしっこのついた手で触られるなんて嫌だからね!」

 エリカにからかわれていた。

 太一は林に入ると

「おい、隠れている奴出て来いよ」

「ほう、よく分かったな。おいこら、きのうは散々恥をかかせてくれたな。痛い目に会いたくなければ女と採取した薬草を置いて消えな。但し、俺様の股をくぐってからだ。ぐへへへ」

 すると昨日の2人に加え、更に4人出てきた。やはり盗賊にしか見えない粗暴な感じだ。

 太一は剣を抜いて人数分のウインドを展開し始めた。サッカーボール大の空気の塊だ。ただ単に吹き飛ばそうと、圧縮空気でだ。昨日のように爆裂をしないように加減をしていた。

「止めておけ。僕は魔法使い、それも上級者だ。お前ら程度だと束になって掛かってきても、俺には傷一つ付ける事ができないぞ。それに俺の大切な女性達に指一本触れさせるかよ。掛かって来いよ。但し来るならこっちも容赦しないぞ」

 日本にいる時のような鋭い目つきで言い放つと

「死ねや!」

  剣を振りかざして突っ込んできた。  

 カエデ、シャロン、エリカは少し離れた場所から見ていた。

 既にシャロンとカエデが弓を構え、いつでも放てるように準備をしていた。
 カエデは2人には太一がピンチにならない間は手を貸すなと言ってある。あの程度なら一人で何とか出来るし、実力が分かると。それに対人の実戦経験の良い機会だと。

 太一は剣の軌道がよく見えていた。最小限の動きで躱すと2人目が殴りかかってきた。腕でガードして敢えて撃たれた。

「これであんたらが間違いなく先に手を出してきたな。次はこっちの番だ」

 太一が魔法を放つと7人は何にやられたのか分からなかったが、気が付けば腹に蹴られたかのような衝撃が走り、吹き飛ばされたのだ。

「ぐは。てめぇ卑怯だぞ。何しやがった。男なら正々堂々と戦え」

「7対1で襲っておいて何を言うか!。お前ら馬鹿か?しかも俺は魔法使いで、剣はまともに使えないんだぞ」

 すると太一の斜め後ろより矢が飛んで来て太一の左腕に刺さる。

 ぐはっ!と呻くと一斉に襲ってきた。しかし、太一の目の前で全員が地ベタに這いつくばっていた。

「てめぇ、何しやがった。開放しろ!」

 太一はリーダに近づき蹴りを入れ首筋の薄皮を切り、

「僕が本気を出したらいつでも首を落とせれるというのが分かったと思います。僕らに2度と近づかないと誓うなら今回は財布を置いていけば見逃します。どうですか?」

「分かった、分かったから。財布を置いていけば見逃してくれるんだな?ぐぁ」

「そうだ。変な真似をしてみろ、まず腕を切り落としてやる。取り敢えず解除してやる」

 全員が財布を出したので、太一は財布から金を半分出し元の持主に渡し、財布をを燃やし始めた

「何しやがる!」

「僕の物に僕が何をしようと僕の自由だ。別に金には困っていないんだ。街を出ろ。次に王都街で見掛けたら暗殺団を雇い、お前ら全員に刺客を差し向けてやる。行け!」

 奴らはひぃーと情けない悲鳴をあげて逃げていった。

 シャロンが矢を抜き、エリカが治療をしてくれた。
 財布を燃やしていたが、太一はちゃんと金を抜き取り、収納に入れていたのだ。

「一体何をしたんだ?」

「あははは。ウインドーを上から掛け続け、動けなくしたんですよ」

 3人がポカーンとしているが、直ぐに奴らが逃げた方向から悲鳴と怒声が聞こえてきたのであった。


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