へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

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第2章

二股は正義だった

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 太一達は馬車を進めていた。シャロンとノエルは朝食を作ってくれた太一に感謝をしていた。まさか温かい朝食を食べられるとは思わなかったと言う。ただ、太一の言っていた通り調味料を買っていなかったので味がほとんどせず、あまり美味しくなかったと言う。ただ、温かかったので、今の状況からはあり得ない快適な朝食だったと感謝をしていた。

「確かに調味料がないとこうなりますよね。暖かい料理にありつけるなんて贅沢をさせて貰いました」

 シャロンが当たり障りのない返事をしていた。次の街で売っているようなら調味料も買って行きましょうという話になった。

 既に太一の魔力は十分回復しており、極大魔法を放った影響はなかった。しかし念の為ノエルとシャロンが交代で御者をすると言って聞かなかった。

 じゃんけんの結果シャロンが最初に御者をする事になった。
 馬車の中は2人だと広いのだが、ノエルが妙に太一にベタベタとくっついてくる。どうしたのと聞くと

「あのね、そのね、シャロンがね、太一とそのね、キスしたって聞いたの。本当なの?」

 太一は呆気にとられていた。シャロンがまさかそんな事をノエルに話しているとは思わなかったからだ。頭をボリボリ掻きながら

「うん。そうだよ。お互い好きあっているという事を確かめ、星明かりの下でシャロンとキスをしたよ。彼女は美しく、厳かで、どちらともって何言わせてるんだよ!」

「いいなーシャロンは。ねぇ、キスした時はどんなだったの?」

 と言った感じで、どんな感じだったの?どんな味がしたの?そんな事を聞いてくる。

「うーんそうだな。ミルクの味かな」

「えっ?ミルクの味ですか?」

 ノエルが驚いてそんな言い方をしてきた。太一はからかう気満々だ。

「キスって甘酸っぱい味がするって思ってたんだけど、ミルクの味なのですか」

 太一は更に、ぐふふふふ!と虐めてやろうと、ちょっと意地悪をしてやろう!とついつい思ってしまう。ノエルが不思議そうにしている顔が嗜虐心を誘い、愛おしくさえ思えてきた。

「お前そんな事も知らないのか?常識だろ!常識だぞ」

「常識なのですか。本当にミルクの味がするんですか?」

「さ、さあどうだろうな?ひょっとしたら血の味がするかもよ?」

「えっ?」

 更に驚いていた。目を白黒させていて戸惑う姿に罪悪感を覚え、太一は慌て始めた。そう、やり過ぎたと。

「じょ、じょ、冗談だよ、冗談」

「太一の意地悪!からかったのね?ひっどーい!」  

 ノエルが少し怒ってきた。
 怒った顔もキュンとなる可愛さだが、ちょっといじり過ぎたかなと思いつつ

「じゃあ本当の事を言おうか?」

「教えてくれるの?」

 ノエルは期待に目をうるうるさせていた。

「そうだな。うん、そうだなぁ本当に好きな人同士だったら甘酸っぱいかな」

「えっ?やっぱりそうなの?そうなの?そうなのね?」

 更に目をうるうるさせながらノエルが聞いて来る。

「キスの味を知りたいのか?か」

 もじもじしながら

「うん。私、キスをした事が無いの」

 そしてノエルは目を閉じ、唇を太一に突き出す。そうキスをしてくれと言わんばかりだ。太一はドキリとしたが、流石に馬車の中だ、雰囲気が無いのでデコピンの刑に処す。

 キャインと短く悲鳴を上げる

「こんな馬車の中なんかで、君の大事なファーストキスを貰う訳にはいかないだろ?」

「シャロンとはしても私とはキスしてくれないの?」

「そうは言ってないよ。ノエルとキスをするならさ、ちゃんと君の事を見て、キスをしたくなる雰囲気を作ってから、さりげなくしたいんだ。だから今はダメだよダメ!」

「太一様の意地悪」

 そんな感じで少しモジモジしていて、ちょっと恥ずかしそうにしている?太一はこんな感じのノエルにキュンとなってしまった。可愛い!マジこの子可愛い!そんな感じである。そしていきなりノエルがあっかんべーをしてきたのだ。

「私のファーストキスを太一様なんかにあげませんようだ」

 こんな感じだった。太一はやれやれと思いつつ、大人びた外観とは裏腹なノエルに精神的な幼さを感じた。そう、実年齢ではノエルの方が一つ上なのだが、人間に換算すると16、17歳これぐらいなのである。精神年齢的にはまだ高校生だ。だから少し言動が子供っぽいのかななどと思う。 

「あのね、太一、そのね、シャノンは恋人になったんだよね?あのね、そのね、私の事も恋人にしてくれないのかな?私じゃ駄目なのかな?」

 目をウルウルさせそんな感じで聞いてくる。太一は少し悩んだ。この世界では恋愛で、日本で言う所の結婚する事の方が少ないと言っていた。エルフは顕著だった。  

 貴族や有力者の生まれの場合等だと、特に親に権力が有ったり、有力者の子弟等は尚更そうなってしまう。親が決めた男に嫁ぐ。本妻であれは幸いだというような事をシャロンが言っていたのを思い出す。太一が真面目な話として、ノエルに聞く。

「シャロンもそうだが、ノエルも俺が他の女性と付き合っていても何とも思わないのか?嫉妬しないのか?」

「太一って変な事を聞くのね。太一のように強い男は複数の女を侍らすものよ。そこに愛情があれば幸せだけどね。できる男は複数の女性と結婚したり、恋人にするものよ。太一の恋人がシャロンだなんて素晴らしいと思うわ。
 それに王都に戻ったらカエデさんとも付き合うのでしょ?恋人の一人にして欲しいの。独占をしようとは思わないよ。シャロンを愛するように、私の事も愛してくれたら幸せかな」

 太一には正直理解ができなかった。これが一夫多妻制という制度下の中では常識なのだろうか?シャロンと付き合うと言ってノエルとも付き合う。日本人として二股を掛けるなどというのはトラブル以外の何者でもないし、まわりから女たらしと不名誉な扱いを受ける。器用にこなす奴もいるだろうが、残念ながら太一はそんな事が出来る程自分が器用でないと分かっている。念の為ノエルにもう一度確認する

「本当にいいのか?俺が2人の女性と付き合うという事は、俺の世界ではタブーだったんだ」

「ねぇ太一?貴方は元の世界には帰る事が出来ないのでしょ?だったらこの世界での当たり前を当たり前だと思うようにしようよ。向こうの世界の事も教えて欲しいけれども、ここはそういう世界なのよ。ね。」

「ノエル、最後にもう1回確認したいけども、本当にいいんだな。それと俺の事をからかっていないよな?」

 「太一?何をバカな事を言っているの?こんな大事な事で貴方のような類稀な人をからかう訳がないでしょ?私は本気よ!」

 太一にはなんとなく本当か嘘かが分かるのだ。今のノエルの言葉が本気だというのは重々分かっていた。なので横に座るノエルを抱きしめ

「ごめん。俺が悪かった。俺は向こうの世界での事の所為で色々疑い深い性格になってしまってるんだ。自分に自身がなく、君のような素晴らしい女性が俺の事なんか気にも止めない筈と思っていたんだ。ありがとう。俺はノエルの事が大好きだよ。だから俺の恋人になって欲しい」

 ノエルは涙を流しながら

「はい太一様。嬉しいの!お慕いしていますわ!」

 ノエルはひたすら喜んでいたのであった。
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