へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが！！

第２章

由美子とのキス

　もう少しで見張り番の交代の時間になったが、由美子が不安な気持ちを太一に話していた。

　そして由美子は意を決して大事な事を伝えてきた。

「この世界は一夫多妻制だそうですね。やはりシャロンさんやノエルさんとも付き合っていて、いずれ結婚されるのですか？2人が太一さんとその、付き合っていて、落ち着いたら娶って貰うのと話していたのです。あの、その私は嫉妬とかしないので、私も太一さんの彼女の一人にしてくれませんか？私太一さんの事が好きなんです。ダメですか？」

　目をうるうるしていた。

「いいのかい？日本じゃ忌み嫌われる行為だろう？」

「うん、大丈夫。だって世界が違うもの」

「俺も由美子の事が好きだ。あの時城で一目見た時から一目惚れしてたんだ。電気が走ったというか、運命を感じたんだ。」

　由美子が了承の意を表すように頷き、太一の顔を見つめた後、由美子の方からすっと近寄り、一気に太一にキスをした。太一は力強く由美子を抱き締め、暫くの間キスをしていた。テントの方から着替えているのか物音がしだしたのではっとなり、キスを終えた。

　由美子が太一に伝える

「あのね太一さん。今のが由美子のファーストキスですからね」

　意外だった。確か高校3年生だった筈だ。これだけ綺麗で周りからかなりモテた筈だろうと、彼氏の一人や二人いてもう初体験も済ましていてもおかしくなかった。しかし由美子の口から聞いたのはファーストキスだと言う。

　2人は座り焚き火を囲んでいると、やがてノエルがやって来た。

「太一？交代の時間よ」

　太一は由美子に少し引き継ぎをしてから中に入るから、先にテントに入って休んでてくれと一言うと、黙ってテントの中に戻っていった。

　ノエルが一言言う

「やっぱり由美子さんとも付き合うのね」

「うんそうだ。隠しても分かるのだろうしね。俺は由美子が好きだ。ノエルやシャロンを好きなように、彼女も好きだ。俺は浮気症なのかもわからないな。女惚れぽいやつで嫌いになれないか？ノエルに嫌われたくないよ」

「あのね、太一は自分で思っているより周りの評価が高いのよ。貴方は類い稀な人なの。だからこれからも大勢の女性が貴方の元にやってくると思うわ。彼女は多分合格よ。彼女となら仲良くやっていけると思うの。彼女処女なの？処女じゃなかったら太一の女になる資格はないわよ。それよりも今後どうして行くの？」

「そうだな。まずはフローラ様の一番弟子の所に行き、修行をしたい。強大な魔法というよりも、覚えなくてはならない魔法ができたんだ。それと、由美子には流石に聞いていないが、俺とのキスがファーストキスって言ってたぞ。」

「ひょっとして欠損修復かしら？」

「ああそうだ。回復系の上位魔法だ。俺がそれを取る必要というか取れないだろうが、ノエルか由美子のどちらかが取れればいいかなとは思っている。俺は上級魔法や中級魔法が欲しいんだ。今の俺の魔法だと攻撃のバリエーションが足らず、限界があるんだ。今日も中級や上級が使えれば稲垣さんの手が落とされる事も無かっただろう。その前に敵に攻撃を食らわせ蹴散らせる事が可能だった筈なんだ。そういう力が今の俺にはない」


「そうね。確かに太一の魔法も中途半端だよね。強いのは強いのだけれどもね。それより私に欠損修復が覚えられるかしら？」

「うん大丈夫。ノエルにならできるさ。難しいとは聞いているけども、君になら可能だろう？」

「確か回復系の上級魔法は死者蘇生と欠損修復で、世界に一人いるかいないかの魔法の筈よ。それも死者蘇生か欠損修復のどちらかしか覚えられないと聞いているの」

「そうだな。由美子と話し合ってからだけれども、どちらがどちらかを取得する。それじゃだめだろうか？」

「そうね。2人で分担して取れば大丈夫そうね。私が取れなくても文句を言わないでよ。」

　どちらにしろ何と言ったか？あの弟子の方の所で相談をして行くのが先だなというよりも、まずここから逃げおおせる方が先だ。敵がどこまで追ってくるかわからないが、夜明けとともに動き出さなければならない。

「じゃあそろそろ寝るよ」

　そうするとノエルが太一に

「おやすみのキスを忘れてるわよ」

　とキスをねだってきた為、軽くキスをし、

「じゃあ休ませて貰うよ。おやすみ」

「うんおやすみ」

　そうやって太一はテントに引き上げるのであった。