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第2章

鬼畜

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 いつのまにか乱戦になっていた。主に太一の所に向かってくる数が多いのだが、シャロンもいつの間にやら囲まれて敵と斬り結んでいた。騒ぎから戦闘状態と分かり、どんどんと敵が現れたのだ。

 馬車の入り口でノエルと由美子が背中合わせで杖で魔法を放っていた。そうこの2人の魔法のおかげで敵は馬車に近付けなかった、


 馬車から矢が飛んでいた。太一はなぜ矢が?と思っていたが、矢を放っていたのは稲生である。扉を開けてそこから放っていたのだ。勿論弓の使い方は美夏が教えてはいたが、素人丸出しである。ただ力はあるので、力任せに弓を引いて勢いよく飛んでいく。

 当たったのは全てまぐれ当たりである。10本放って1本当たれば御の字である。ただ、すぐ近くに来る者は狙いも何もないので、それは流石に当るのであるが、必死の形相で矢をつがえていた。

 敵兵は全部で40名ほどが来ていたが、馬車のすぐ近くまで来れたのは3名だけだった。

 残りは近づく前に倒されていった。太一は情け容赦なく手足を切り裂いていたので、相当な数の手足が転がっている状況であった。

 太一は敵が退却していく方向に向かい追いかけて行った。そう深追いして行ったのである。太一は興奮していて冷静な判断ができなかった。幸いそれ以上の者がいなく、強行突破できた者だ逃れていったのである。

 だが敵の司令官と思われる者を、太一が捕らる事に成功していたのだ。
 補正値のおかげと、ウインドで敵の動きを鈍らせたから接近戦が楽にこなせたのだ。あくまでデバフ状態だからだ。

 その指揮官の者を捕らえ、気絶させてから足を掴み引きずって馬車の方に向かって行った。

 ロープで縛り身動きをできなくする。一時的に退却したのか敵兵の姿は見えなくなっていた。動ける者が手足をなくしたり、矢が刺さった者をどこかに連れて行った。本陣に戻るのであろうかと?と太一は思う。

 太一は情け容赦なくそいつの顔を蹴り上げ、その指揮官を起こしに掛かった。意識を取り戻すと

「くそ!殺せ!」

 などと叫んでいたが

「おい、お前俺の質問に答えろ。きちんと答えてくれるんであれば解放してやる。殺して解放じゃなくて、生きて解放するという事だから、その辺を間違えるなよ。」

 わざわざ生きて解放する事を強調する。

「誰がお前達の質問に答えるもんか!さっさと殺せ」

「実はもう2人程捕らえているんだ。こいつらはお前の部下か?そうだよな?」

 シャロンに片割れの首元に剣を突き立てさせ、確認したら首を縦に振っていた

「じゃあ、彼らはお前の部下のようだからさ、お前が質問に答えないようならさ、お前の代わりにこいつらが痛い目に遭うし、命がないと思え。こいつらが痛い思いをするのはお前の所為だからな」

 まずは部下の1人の手を強引に取り、地面に押し付けさせ、木で作った杭を使い手を打ち抜き、地面に打ち付けたのだ。ぐあーと叫んでいる。

「お前何やっているんだ!このクソが」

 と指揮官が叫ぶが

「まだ手は3本あるぞ。そうだな足も入れればあと7本だ。さあどうする?こいつらが苦しむ姿を見るか?一応ちゃんと答えてくれたらこいつらを治療してやる。こっちには治療師がいるんだ。ぐうと唸っているな。痛いだろ?おい、お前ら、お前らの隊長が質問に答える事で助かるんだ。隊長がお前らを助けてくれるかどうかにお前らの命が掛かっているんだ。隊長に命乞いをしてみろ」

 太一はその兵士を殴り倒した 。残虐行為に由美子と美夏はぎょっとなっていたが、ノエルやシャロンは冷静にその様子を眺めているだけで何も言わないのであった。

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