へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

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第2章

不殺の戦い

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 街道に戻り、一旦収納に入れていた馬車を出して、馬を繋げて行く。この辺りの状況が判らないので、最初の御者はシャロンにお願いした。御者席は2人座れるので、戦闘になる可能性が高いので太一が一緒に座る事にしたのだ。

 ノエルは皆と一緒に車内で座っている感じだ。予め言ってあるのだ。一番危険が高いのがこの後街道に戻り、進み出す頃だと。あの溝を突破してきた敵兵が探索をしている可能性があるのだ。

 御者席と居室の間には仕切りが有り、スライドする事で開閉ができる。それはどちらからでも出来るのだが、商人が御者を雇っていて客室と御者を完全に別ける為の間仕切りだ。

 20分程馬車を進めた頃、何者かを見付けてしまった。そらおいでなすったぞ!と太一は興奮し始めた。

 やはり向かって来たのは招かれざる客である。やっぱり来た来やがったかと太一がついついぼやいた。

 前方から現れたのは10人程の小隊である。おそらく小隊単位であちこちを探していたのであろうと太一は思った。

 太一は敵と対峙しようとし身構えていた。魔法を放つにはまだ遠かったからだ。

 太一がなぜ中級魔法やきちんとした初級魔法を取得したいかと言うと、同じ量の魔力を込めても生活魔法で作り出した代替え品の魔法の方が射程距離と効果の時間が短いのだ。威力は多分変わりない。確かに一般の魔法でない特殊なオリジナル魔法に似た様なのもあるが、ウィンドカッターにしても3割~半分位は射程距離が落ちるのだ。

 そうシャロンが放った魔法と自分が放った代替え魔法を比べてみると明らかに違うという事が分かっている。しかし無い物は無い。今ある物で何とかしなければならないのだ。

 そうしていると馬車の中から

「こっちからも来たわよ」

 ノエルの声が聞こえて来たのだ。一旦馬車を止めた。ノエルが馬車から出る。馬車の中には稲垣達は残る。そして由美子は非戦闘員の為基本的には戦えないので馬車の外にはノエルのみが出る事になった。太一はシャロンに反対側の側面に回るようにし、側面と後方をお願いした。美夏は殺されると馬車の中で泣いていたのだ。本当は怖がっている美夏のフォローをしてあげたかったが、戦闘前にそんな余裕はない。

 仕方がないので由美子に戦えるかと聞くと大丈夫だと言う。ノエルからアイスショットを放ってる杖を渡して貰い、由美子に使うように言った。側面を由美子とノエル、シャロンが後方を受け持つ事になった。

 街道の脇から何かが出てくる気配が有ったからだ。勿論も後方からも来るだろうと確信した。太一は敵が射程内に入ったのを確認し、魔法を繰り出し始めた。主にウインドカッターだ。これで敵を切り裂いていく。

 但し太一が狙うのは主に手足だ。太一は皆に告げた

「なるべく殺すな。狙うのは手足だ。手足を切り裂けば戦闘不能になるから」

 その声を聞いた美夏が馬車の中から叫び出した

「あんた頭おかしいんじゃないの?私の手をこんなふうにした奴らを生かすなんて、おかしいわよ。あんな奴ら死んで当然よ。殺せる力があるなら殺してよ」

 太一は馬車の中にいる美夏に伝えた

「殺さないのは情けを掛けたり俺が甘い訳じゃないんだ。君だったらどうする?傷ついた仲間がいたら助けようと思わないか?」

 美夏が唸る

「俺なら生きている仲間がいたら助けようとする。俺が君達を助けたようにね。死んでいたらどうする?正直戦っている最中だと死んだ者には悪いが、見もしないぞ。つまり奴らが怪我人をどうにかしなきゃいけなくなる。つまりこちらに戦力を割くか、仲間を助けるかの選択に迫られるんだ。俺はあくまでも自分達が生き残る為の算段として奴らを殺さずに怪我をさせ、戦闘不能にするんだ。どちらかというとえげつない選択だ。戦闘時には殺すより動けない怪我をさせる方が相手の戦力を下げられると何かの本で見たんだ。指揮官が見捨てる選択をしたら士気がかなり落ちるんだ。」

 美夏はそんなとか呻いていた

「勿論俺もあいつらが憎い。何、いずれきっちりあの国には仕返しに行くつもりだ。だから今は、そういう事だから殺さない方がいいんだ。分かったか?」

「はい」

 と美夏は太一の迫力に返事をした。

「稲垣さん、とりあえず万が一馬車の中に敵が侵入してきたら剣で戦ってください。稲生さんも馬車の中であれば足がない事のハンディは少ない筈です。今の段階では美夏が一番戦闘力を削がれています。自分の命を大事にして、何とか美夏を守ってあげてください」

 そして太一は情け容赦なく手足をウィンドカッターで切り裂き、切断していき、不殺の戦いを始めるのであった。
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