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第2章
熱
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道中異変が発生した。順調に進んでいたのだが、美夏の様子がおかしくなったのだ。そう熱を出していたのだ。それも急に息が荒くなり、滝のように汗が出てきて辛そうにしていた。これはおかしいとなり、美夏の体力を考えて馬車の歩みを緩やかにした。
太一はどうしたものかと思案をしていた。おそらくこの先3時間程馬車を走らせると大きな宿場町がある筈なのだ。
考えた末、その次の大きな街に向かう事にしたが、馬車の速度を維持して進める訳にはいかなくなったのでスピードは遅めにして様子を見る事にした。
時折美夏が吐いてしまうのだ。その為に水に塩や砂糖の類等を入れて飲ませていたりするが、一向に良くならないどころか悪化する一方だ。熱自体は今は下がっている。
太一は扁桃腺が弱い。正確に言うと扁桃腺の周りの口蓋が弱いのだが、時折扁桃腺もしくは扁桃腺の周りの口蓋等が腫れたり痛んで高熱を出す。
正確には違うが、一般的に扁桃腺が腫れたと言われる症状である。
その為、常日頃から鞄の中には解熱剤を入れていたのだ。そう収納の中に未開封の解熱剤があったのだ。貴重な薬になるが、そういう事を今は言っていられないので、美夏に既に飲ませていた。
その甲斐があって30分程で熱が下がり始め、熱自体は平熱より少し高い位にまで落ち着いてきたのだが、体温は一時的に40°まで上がっていたのだ。そう体温計も持ち歩いていた。太一の平熱は36℃から36.3℃位である。その為、37℃というのは既に微熱なのだ。なのでちょっとおかしいなと思った時に熱を測り、37°を超えていれば解熱剤を飲み、すぐに病院に行き、診察をしてもらうようにしていた。
美夏の額の汗を由美子が拭いていた。男がやる訳にもいかず、ずっと由美子が世話をしているのだ。熱が下がってからはペースを上げ、街へ急いだ。
太一達は夕方近くに何とか大きな宿場町に着いた。太一は門番に告げた。幾つか手前の街にて、近隣の国の兵が国境を超え、街を襲って来たと。そこから命からがら逃げてきた、兵の規模は1000名近くだったと記憶していると伝え、倒れていた兵士達の物ですと言って奴らの装備を見せたのだが、門番は青くなっていた。
「まさか奴らが来たのか」
「奴らというのが誰なのかが分かりませんが、戦っていた者で倒れていた兵士達の装備を回収しています。こういう時に説明する為に持ってきています」
「そうか」
門番は他の者を呼び出し、話を始めた。
「これからお前たちはどうするのか?」と聞かれたので、太一が返事をした。
「旅の道中で体調を崩した仲間がいるので、宿に泊まり、治療をしてくれる所に連れて行くつもりです」
「そうか。色々とお前達に訪ねたい事もあるので、所在だけは知って置きたいな」
そんな話をしながら何か一筆したためた紙を持って来た。
「お前達の馬車からするとそれなりの金を持っていそうだから高級宿に対して紹介状を書いておいたよ。俺の名前で書いてあるから余程の事か、満室ではない限り泊まれる筈だ。何かあったら使いを遣るから、可能な範囲で良いからこちらの質問に答えてくれると助かる」
「分かりました。もしも奴らが攻めてきたら私も加勢します。こう見えても高名な魔導師に師事している魔法使いですので」
「そうか、分かった。もしも3点鐘が鳴った場合、戦闘開始だと思ってくれ」
「3点鐘と言いますと?」
「そうだな。10秒位けたたましく鐘が鳴る。それが3秒程止まり、また10秒程鐘が鳴るそれを合計3回やる。それが3点鐘だ。その場合こちらが戦闘になっているので加勢してくれると助かるが、奴らは1000名程で攻めてきたとなると、 おそらく一騎当千と言われている征騎死隊を連れて来ているのであろう。奴らは一人で通常の兵士10人から20人位の強さがあると聞いた事があるぞ」
「分かりました。では病気の仲間を治療したいので、今は一旦失礼させて頂きます」
そう言って教えて貰った宿と治療院に向かい、移動を開始するのであった。
太一はどうしたものかと思案をしていた。おそらくこの先3時間程馬車を走らせると大きな宿場町がある筈なのだ。
考えた末、その次の大きな街に向かう事にしたが、馬車の速度を維持して進める訳にはいかなくなったのでスピードは遅めにして様子を見る事にした。
時折美夏が吐いてしまうのだ。その為に水に塩や砂糖の類等を入れて飲ませていたりするが、一向に良くならないどころか悪化する一方だ。熱自体は今は下がっている。
太一は扁桃腺が弱い。正確に言うと扁桃腺の周りの口蓋が弱いのだが、時折扁桃腺もしくは扁桃腺の周りの口蓋等が腫れたり痛んで高熱を出す。
正確には違うが、一般的に扁桃腺が腫れたと言われる症状である。
その為、常日頃から鞄の中には解熱剤を入れていたのだ。そう収納の中に未開封の解熱剤があったのだ。貴重な薬になるが、そういう事を今は言っていられないので、美夏に既に飲ませていた。
その甲斐があって30分程で熱が下がり始め、熱自体は平熱より少し高い位にまで落ち着いてきたのだが、体温は一時的に40°まで上がっていたのだ。そう体温計も持ち歩いていた。太一の平熱は36℃から36.3℃位である。その為、37℃というのは既に微熱なのだ。なのでちょっとおかしいなと思った時に熱を測り、37°を超えていれば解熱剤を飲み、すぐに病院に行き、診察をしてもらうようにしていた。
美夏の額の汗を由美子が拭いていた。男がやる訳にもいかず、ずっと由美子が世話をしているのだ。熱が下がってからはペースを上げ、街へ急いだ。
太一達は夕方近くに何とか大きな宿場町に着いた。太一は門番に告げた。幾つか手前の街にて、近隣の国の兵が国境を超え、街を襲って来たと。そこから命からがら逃げてきた、兵の規模は1000名近くだったと記憶していると伝え、倒れていた兵士達の物ですと言って奴らの装備を見せたのだが、門番は青くなっていた。
「まさか奴らが来たのか」
「奴らというのが誰なのかが分かりませんが、戦っていた者で倒れていた兵士達の装備を回収しています。こういう時に説明する為に持ってきています」
「そうか」
門番は他の者を呼び出し、話を始めた。
「これからお前たちはどうするのか?」と聞かれたので、太一が返事をした。
「旅の道中で体調を崩した仲間がいるので、宿に泊まり、治療をしてくれる所に連れて行くつもりです」
「そうか。色々とお前達に訪ねたい事もあるので、所在だけは知って置きたいな」
そんな話をしながら何か一筆したためた紙を持って来た。
「お前達の馬車からするとそれなりの金を持っていそうだから高級宿に対して紹介状を書いておいたよ。俺の名前で書いてあるから余程の事か、満室ではない限り泊まれる筈だ。何かあったら使いを遣るから、可能な範囲で良いからこちらの質問に答えてくれると助かる」
「分かりました。もしも奴らが攻めてきたら私も加勢します。こう見えても高名な魔導師に師事している魔法使いですので」
「そうか、分かった。もしも3点鐘が鳴った場合、戦闘開始だと思ってくれ」
「3点鐘と言いますと?」
「そうだな。10秒位けたたましく鐘が鳴る。それが3秒程止まり、また10秒程鐘が鳴るそれを合計3回やる。それが3点鐘だ。その場合こちらが戦闘になっているので加勢してくれると助かるが、奴らは1000名程で攻めてきたとなると、 おそらく一騎当千と言われている征騎死隊を連れて来ているのであろう。奴らは一人で通常の兵士10人から20人位の強さがあると聞いた事があるぞ」
「分かりました。では病気の仲間を治療したいので、今は一旦失礼させて頂きます」
そう言って教えて貰った宿と治療院に向かい、移動を開始するのであった。
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