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第62話 転移
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水木さんとの電話が切れた直後、地面が軽く揺れた。
「まさか・・・」
嫌な予感が胸をよぎる。続いて、規制線の内側から突然光が弾けるように広がり、一瞬で視界が白く塗り潰された。
次に目を開けたとき、俺たちは見知らぬ場所に立っていた。地面はごつごつした岩で覆われ、薄暗い空間に冷たい空気が漂っている。明らかにダンジョンの中だ。
「え、なにこれ!?」
浅香が声を上げ、周囲をきょろきょろと見渡している。
「どういうこと? さっきまで外だったのに・・・」
弘美も困惑した表情だ。
「なんだここは!?」
隣にいた警官も混乱していたらしく、叫びながら無線機に手を伸ばしていた。
しかし、そのとき、暗がりから重い足音が響いてきた。巨大な影がゆっくりと姿を現す。身の丈が2メートルを優に超え、筋骨隆々とした体にギラつく赤い目。オーガだ。
「な、なんだこれは?う、嘘だろ・・・!」
警官が恐怖に声を震わせながら拳銃を抜き、咄嗟に発砲した。
パン、パン、パン、と乾いた音がこだまする。
しかし、警官の持つ拳銃から放たれた弾は見事に当たるも、オーガの分厚い筋肉に弾かれるだけで、まるで玩具の銃のように効果がなかった。
次の瞬間、オーガは咆哮を上げ、その手に持った巨大な棍棒を振り下ろす。警官は悲鳴を上げながらも反応が遅れ・・・吹き飛ばされ壁にに叩きつけられた。
警官は動かなく力なく崩れ落ち、地面に横たわる。
「くそっ!来い!スルメイラ」
俺は咄嗟にスルメイラを召喚した。
「お呼びですか、ご主人様。ここは何階層ですか?」
青白い光と共に現れた彼女は、いつも通りの涼しげな声だが、状況を察したのかすぐに真剣な表情になった。
「お預かりしていた武器をお返ししますね」
スルメイラが手渡してくれたのは、俺のメイン武器の槍と盾、予備武器のコンバットナイフ、それから友理奈の小型の盾とメイスとサブウェポンだ。俺は槍を手に取り友理奈へ彼女の武器、浅香と弘美にサブウェポンのコンバットナイフをそれぞれ渡した。
「これ、使えるか?」
「えっ、武器!? 先輩のですか?」
浅香がコンバットナイフを恐る恐る手に取る。
「私、こんなの講習の時以来使ったことないんだけど・・・」
弘美もコンバットナイフを手にして戸惑っている。
「しょぼいけど、ないよりマシだろ? ちゃんと自分の身を守るんだ」
俺は語気を荒く2人にそう言い聞かせながら、コンバットナイフを渡すと槍を握り直した。
「銀治・・・」
友理奈は俺の背中を見つめ、と不安そうに呟くが、それでも覚悟を決めたように小さなナイフを受け取った。
「安心しろ。俺が前に立つ。スルメイラは3人を守れ」
俺は槍を構え、オーガに向き直る。スルメイラも俺の隣に立ち、戦闘態勢を取った。
「絶対にお前たちを守るから」
次の瞬間、オーガが再び吠えた。戦いの幕が開ける。
「まさか・・・」
嫌な予感が胸をよぎる。続いて、規制線の内側から突然光が弾けるように広がり、一瞬で視界が白く塗り潰された。
次に目を開けたとき、俺たちは見知らぬ場所に立っていた。地面はごつごつした岩で覆われ、薄暗い空間に冷たい空気が漂っている。明らかにダンジョンの中だ。
「え、なにこれ!?」
浅香が声を上げ、周囲をきょろきょろと見渡している。
「どういうこと? さっきまで外だったのに・・・」
弘美も困惑した表情だ。
「なんだここは!?」
隣にいた警官も混乱していたらしく、叫びながら無線機に手を伸ばしていた。
しかし、そのとき、暗がりから重い足音が響いてきた。巨大な影がゆっくりと姿を現す。身の丈が2メートルを優に超え、筋骨隆々とした体にギラつく赤い目。オーガだ。
「な、なんだこれは?う、嘘だろ・・・!」
警官が恐怖に声を震わせながら拳銃を抜き、咄嗟に発砲した。
パン、パン、パン、と乾いた音がこだまする。
しかし、警官の持つ拳銃から放たれた弾は見事に当たるも、オーガの分厚い筋肉に弾かれるだけで、まるで玩具の銃のように効果がなかった。
次の瞬間、オーガは咆哮を上げ、その手に持った巨大な棍棒を振り下ろす。警官は悲鳴を上げながらも反応が遅れ・・・吹き飛ばされ壁にに叩きつけられた。
警官は動かなく力なく崩れ落ち、地面に横たわる。
「くそっ!来い!スルメイラ」
俺は咄嗟にスルメイラを召喚した。
「お呼びですか、ご主人様。ここは何階層ですか?」
青白い光と共に現れた彼女は、いつも通りの涼しげな声だが、状況を察したのかすぐに真剣な表情になった。
「お預かりしていた武器をお返ししますね」
スルメイラが手渡してくれたのは、俺のメイン武器の槍と盾、予備武器のコンバットナイフ、それから友理奈の小型の盾とメイスとサブウェポンだ。俺は槍を手に取り友理奈へ彼女の武器、浅香と弘美にサブウェポンのコンバットナイフをそれぞれ渡した。
「これ、使えるか?」
「えっ、武器!? 先輩のですか?」
浅香がコンバットナイフを恐る恐る手に取る。
「私、こんなの講習の時以来使ったことないんだけど・・・」
弘美もコンバットナイフを手にして戸惑っている。
「しょぼいけど、ないよりマシだろ? ちゃんと自分の身を守るんだ」
俺は語気を荒く2人にそう言い聞かせながら、コンバットナイフを渡すと槍を握り直した。
「銀治・・・」
友理奈は俺の背中を見つめ、と不安そうに呟くが、それでも覚悟を決めたように小さなナイフを受け取った。
「安心しろ。俺が前に立つ。スルメイラは3人を守れ」
俺は槍を構え、オーガに向き直る。スルメイラも俺の隣に立ち、戦闘態勢を取った。
「絶対にお前たちを守るから」
次の瞬間、オーガが再び吠えた。戦いの幕が開ける。
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