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第3章
第194話 夢
しおりを挟む野営場は牢獄の中にあるので、魔物の襲撃は心配ない。
しかし、それでも警戒は怠らない。
自衛隊や探索者達が見回りをする中、僕達は牢獄の中で休息をとる。
レイラやサマンサ、ジョーイの眷属は眠る必要がないので、僕達の護衛をしてくれる。
明日香や響子、梓さんも牢獄の中にで眠りにつく。
友里愛やみっちゃん、アレクシアも大人しく布団を敷いてベ寝るが、僕と一緒に寝たがる。
愛姉もそうだが、流石にこの年で実の姉と間違いが起こり兼ねないから僕は断る。
僕は1人で布団に横になり、今日の出来事を振り返る。
それと前夜の夢に見た内容を改めて思い出す。
妙にリアルな夢で、正にこのラビリンスのことだ。
ラビリンスの最奥にある扉を閉めれば、地球に新たなラビリンスが発生しなくなるという。
それは本当なのだろうか? そして、扉を閉めるためには7人の地球人が必要だという。
それはどういう意味なのだろうか?
レイラに聞いても、詳しいことは分からないと言う。
扉は異界と繋がっているらしいが、どんな世界なのかも不明だ。
扉を閉めた後、向こう側に残った者達はどうなるのだろうか?
生き残れる可能性はあると言ったが、それは本当なのだろうか?
あくまで夢の話。
僕はそんなことを考えていると、眠気に負けて眠りに落ちた。
夢の中では、扉を閉める前に愛姉に手紙を書いて渡す場面があった。 手紙には何を書いたのだろうか? 僕はその内容を思い出そうとするが、夢から覚めてしまった。
目覚めた時には朝だった。
牢獄の外では鳥のさえずりが聞こえる。
どうやらこのラビリンスでは自然も再現されているらしい。
とおもったが、それは僕の妄想だ。
「おはようございます、斗枡様」
レイラが優しく声をかけてくれる。 彼女は昨夜からずっと僕の傍にいてくれたらしい。
「おはよう、レイラ。ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます。斗枡様のおかげで私達は生き延びられました」
「そんなことないよ。みんなで協力したからこそだよ」
「それでも、斗枡様は私達のリーダーです。私達は斗枡様に従います」
「レイラ・・・」
「斗枡様、今日は最後の日です。扉を閉める日です」
「そうだね。扉を閉めれば、地球に新たなラビリンスが発生しなくなるんだよね」
「はい。でも、それと引き換えに斗枡様達は異界に残らなければなりません」
「そうだね。でも、それでも扉を閉めるべきだと思うよ」
「私もそう思います。斗枡様は地球のために犠牲になろうとしているのですから」
「レイラ、僕は犠牲になるつもりはないよ。向こうで生き残るつもりだよ」
「本当ですか?」
「本当だよ。レイラも一緒に来てくれるんだから」
「はい。私は斗枡様と一緒にいたいです」
レイラは僕に抱きついてくる。
彼女の温かさと柔らかさが心地よい。
「レイラ、ありがとう。君がいてくれて本当に良かった」
「斗枡様、私も同じです。斗枡様がいてくれて本当に良かった」
僕達はしばらく抱き合っていた。 その後、他の者達も起きてきて、朝食をとった。
今日は最後の日だ。
扉を閉める日だ。
僕達は覚悟を決めて、最奥へと向かった。
そんな中、なぜ僕の夢のことをレイラが知っているのか?と疑問を感じていた。
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