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第21話 話跳躍一閃と、聖騎士の使命
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ディノッゾは指揮官と思われる女性が無言で頷いたのを確認すると、「おう」と短く応え、暴れるサイクロプスへと向き直った。
ディノッゾの視界の先で兵士たちは、恐怖に顔を引きつらせじりじりと後ずさるのが見えた。
戦力差は、明らかだった。
だがディノッゾは、まるで地面を蹴るのをためらうかのように、軽く助走をつけた。
サイクロプスが、新たな獲物を見つけた、とばかりに棍棒を振りかぶる。
次の瞬間。
ディノッゾの姿が消えた。信じられない速度で地面を蹴り上げ、サイクロプスの巨体へと向かって跳躍したからだ。
常人の目にはまさに【消えた】としか見えず、一部の強者にのみ跳躍した彼の姿が認識できた。
空中で体を捻ったディノッゾは、手にした短槍を巨人の首筋めがけて振り抜くが、どう見ても届かない。
そして、刃が触れるか触れないかの、その刹那――
「――伸びろ!」
ディノッゾの心の中の叫びに応え、短槍が瞬時に長槍に!とうわけにもいかず、約0.5秒で元の長槍に戻っていくが、その最中に槍を振るっていた。つまり振られている最中に槍が伸びていったのだ。
伸長する勢いと、遠心力が乗った一閃。それはまるで巨大な断頭刃(ギロチン)だった。
研ぎ澄まされた業物の槍は、分厚い皮膚と筋肉、そして骨さえも断ち割り、巨大な首はまるで熟れた果実が落ちるように、胴体から分離した。
ドスン、と地響きを立てて首が落ち、遅れて巨体が崩れ落ちる。
その光景は、あまりにも速く、そして鮮烈だった。
「・・・」
セスティーナと生き残った兵士たちは、再び言葉を失った。
だが本当の驚愕は、その後に訪れた。
ディノッゾはうつ伏せに倒れたサイクロプスの胴体に歩み寄ると、何の感情も見せず、その腕を掴むと片手で軽々と巨体をひっくり返した。
「ば、馬鹿な!」
兵士の一人が悲鳴を上げる。
1トンは超えるはずの巨体が、まるで藁人形のように扱われている。
ディノッゾは腰のナイフでは刃が立たないと判断すると、今度は槍を手に取り、巨人の胸をザクザクと切り開き始めた。
普通、あれほどの強敵を倒せば、雄叫びを上げるとか、せめて安堵のため息の一つでも吐くものだ。勝利の鬨の声(かちどきのこえ)を上げるのが、戦士の常だ。
だが、この男は、何の喜びも、誇りも見せない。まるで、道を塞いでいた邪魔な岩をどかしたかのように、淡々と作業を続けている。
「彼は、一体、何をしているのです?」
セスティーナは隣にいたリリアに、震える声で尋ねた。先ほどのやりとりから、この少女と行動を共にしていることは明らかだった。
「あのう・・・」
リリアは、困ったようにセスティーナを見上げた。
「ディノが言うには、魔物の死体から魔石を抜かないと、しばらくしてゾンビになっちゃうんだって。だから、抜いてるんです」
「魔石を? ・・・それは見れば分かります。理屈は、分かるのですが・・・」
セスティーナは、言葉を詰まらせた。
(なんてこと・・・)
彼女は呆然自失となり、その光景を見つめていた。
彼女は国に一人いるかいないかの奇跡、【精霊の加護】の持ち主。その卓越した剣技、そして強力だが詠唱に時間がかかるも、加護である精霊魔法との組み合わせによって、単独でもA級の魔物と渡り合うことができる。
目の前のサイクロプスも確かに強敵だ。だが、単独であれば10分ほどの時間さえあれば彼女は勝つ自信はあるも、今回のように複数現れたならば・・・何とか1体のみを引き離して倒すビジョンしか思い浮かばない。
それもここにいる兵士のほとんどを見殺しにし、焚きつけての話だ。
だがこの男はどうか?10分どころか、10秒もかかっていない。いや一撃だ・・・
彼女が切り札とするのは、詠唱時間の長い精霊魔法だ。彼は何かの能力の発動準備をすることなど全く必要としていない。ただだだ・・・純粋な身体能力と、槍の能力だけで全てを終わらせてしまった。
彼女が自身の常識との乖離に混乱していると、ようやく事態を飲み込めた兵士たちから、遅れた歓声が上がり始めた。
「やったぞ!」
「助かった!」
「あれは一体!?」
同時に倒れた兵士の方へ、数人が我先にと駆け寄っていく。
「大丈夫か!?」
「ポーション! 誰かポーションを!」
重傷の兵士の状態に、首を横に振る衛生兵。絶望的な声が飛び交う。
セスティーナは、その喧騒をどこか遠くに聞きながら、ただ、当たり前のように魔石を抜き取り、血を拭う男の姿から、目を離すことができなかった。
果たして敵なのか?味方なのか?
セスティーナの背中に冷たいものが流れた・・・
ディノッゾの視界の先で兵士たちは、恐怖に顔を引きつらせじりじりと後ずさるのが見えた。
戦力差は、明らかだった。
だがディノッゾは、まるで地面を蹴るのをためらうかのように、軽く助走をつけた。
サイクロプスが、新たな獲物を見つけた、とばかりに棍棒を振りかぶる。
次の瞬間。
ディノッゾの姿が消えた。信じられない速度で地面を蹴り上げ、サイクロプスの巨体へと向かって跳躍したからだ。
常人の目にはまさに【消えた】としか見えず、一部の強者にのみ跳躍した彼の姿が認識できた。
空中で体を捻ったディノッゾは、手にした短槍を巨人の首筋めがけて振り抜くが、どう見ても届かない。
そして、刃が触れるか触れないかの、その刹那――
「――伸びろ!」
ディノッゾの心の中の叫びに応え、短槍が瞬時に長槍に!とうわけにもいかず、約0.5秒で元の長槍に戻っていくが、その最中に槍を振るっていた。つまり振られている最中に槍が伸びていったのだ。
伸長する勢いと、遠心力が乗った一閃。それはまるで巨大な断頭刃(ギロチン)だった。
研ぎ澄まされた業物の槍は、分厚い皮膚と筋肉、そして骨さえも断ち割り、巨大な首はまるで熟れた果実が落ちるように、胴体から分離した。
ドスン、と地響きを立てて首が落ち、遅れて巨体が崩れ落ちる。
その光景は、あまりにも速く、そして鮮烈だった。
「・・・」
セスティーナと生き残った兵士たちは、再び言葉を失った。
だが本当の驚愕は、その後に訪れた。
ディノッゾはうつ伏せに倒れたサイクロプスの胴体に歩み寄ると、何の感情も見せず、その腕を掴むと片手で軽々と巨体をひっくり返した。
「ば、馬鹿な!」
兵士の一人が悲鳴を上げる。
1トンは超えるはずの巨体が、まるで藁人形のように扱われている。
ディノッゾは腰のナイフでは刃が立たないと判断すると、今度は槍を手に取り、巨人の胸をザクザクと切り開き始めた。
普通、あれほどの強敵を倒せば、雄叫びを上げるとか、せめて安堵のため息の一つでも吐くものだ。勝利の鬨の声(かちどきのこえ)を上げるのが、戦士の常だ。
だが、この男は、何の喜びも、誇りも見せない。まるで、道を塞いでいた邪魔な岩をどかしたかのように、淡々と作業を続けている。
「彼は、一体、何をしているのです?」
セスティーナは隣にいたリリアに、震える声で尋ねた。先ほどのやりとりから、この少女と行動を共にしていることは明らかだった。
「あのう・・・」
リリアは、困ったようにセスティーナを見上げた。
「ディノが言うには、魔物の死体から魔石を抜かないと、しばらくしてゾンビになっちゃうんだって。だから、抜いてるんです」
「魔石を? ・・・それは見れば分かります。理屈は、分かるのですが・・・」
セスティーナは、言葉を詰まらせた。
(なんてこと・・・)
彼女は呆然自失となり、その光景を見つめていた。
彼女は国に一人いるかいないかの奇跡、【精霊の加護】の持ち主。その卓越した剣技、そして強力だが詠唱に時間がかかるも、加護である精霊魔法との組み合わせによって、単独でもA級の魔物と渡り合うことができる。
目の前のサイクロプスも確かに強敵だ。だが、単独であれば10分ほどの時間さえあれば彼女は勝つ自信はあるも、今回のように複数現れたならば・・・何とか1体のみを引き離して倒すビジョンしか思い浮かばない。
それもここにいる兵士のほとんどを見殺しにし、焚きつけての話だ。
だがこの男はどうか?10分どころか、10秒もかかっていない。いや一撃だ・・・
彼女が切り札とするのは、詠唱時間の長い精霊魔法だ。彼は何かの能力の発動準備をすることなど全く必要としていない。ただだだ・・・純粋な身体能力と、槍の能力だけで全てを終わらせてしまった。
彼女が自身の常識との乖離に混乱していると、ようやく事態を飲み込めた兵士たちから、遅れた歓声が上がり始めた。
「やったぞ!」
「助かった!」
「あれは一体!?」
同時に倒れた兵士の方へ、数人が我先にと駆け寄っていく。
「大丈夫か!?」
「ポーション! 誰かポーションを!」
重傷の兵士の状態に、首を横に振る衛生兵。絶望的な声が飛び交う。
セスティーナは、その喧騒をどこか遠くに聞きながら、ただ、当たり前のように魔石を抜き取り、血を拭う男の姿から、目を離すことができなかった。
果たして敵なのか?味方なのか?
セスティーナの背中に冷たいものが流れた・・・
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