ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow

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第37話 英雄の遺言と、領主への道

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 一行は、セスティーナが手配した宿屋の一室に落ち着き、アレンとレイラは、新しい服に着替え、温かいスープでようやく人心地つくことができた。だが、その顔にはまだ、疲労と悲しみの色が深く刻まれている。

「さて・・・」

 セスティーナが、重い口を開いた。 

「領主様がお待ちです。ご報告に上がらなければなりませんが……」

 彼女の視線が、アレンとレイラに向けられる。この状態で、詰問のような謁見に連れて行くのは、あまりにも酷だ。
 その視線を、ディノッゾが遮った。

「セスティーナさん。こいつらは、まず休ませてやってくれ。領主のところへは、俺とリリア、あんたの三人で行こう」
「……しかし」

「いいんだ。こいつらのことは、俺が責任を持つ。それに疲労から睡眠が必要だ」

 ディノッゾの、有無を言わせぬ言葉に、セスティーナは静かに頷いた。

「御者さん……」

 アレンが、何かを言いたそうにディノッゾを見る。その瞳が、兄の最期について、もっと詳しく知りたいと訴えていた。
 ディノッゾは、そんな彼の気持ちを察したように、アレンの肩に、大きな手を置いた。

「お前らにポータがどうだったのか、詳しく説明するのは、領主への報告が終わって、ここへ帰ってきてからだ。今は頭がごちゃごちゃしてて、うまく話せる自信がねえ。時間をくれ。それにお前らも少し休んで落ち着いてから聞いたほうが良いと思うぞ」

 そして、彼は、アレンとレイラの目を、一人ずつ、真っ直ぐに見つめた。

「だが、一つだけ言えるのは……」

 ディノッゾは、言葉を選びながら、はっきりと告げた。

「間違いなく彼のおかげで、俺は生きている」

 その、あまりにも短い、しかし、あまりにも重い言葉。
 ポータが、ただ死んだのではなく、誰かを守って、意味のある最期を遂げたのだという事実が、兄妹の胸に、確かな慰めとなって届いた。
 アレンは、こらえきれずに再び溢れそうになる涙をぐっと堪え、レイラは静かに頷く。

「……分かりました。お待ちしています」

 ディノッゾは、そんな彼の頭を、もう一度だけ、優しく撫でた。
 そして、リリアとセスティーナに向き直る。

「よし、行くか。領主様とやらを、あんまり待たせるのも悪いだろうしな」

 こうして、ディノッゾ、リリア、セスティーナの三人は、二人の仲間を宿に残し、今度こそ、この街の領主が待つ、大きな屋敷へ向かい、扉の前に着いたのだった。
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