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第40話 絶望の奔流とハメハメハ再び!
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領主との謁見から数日。ディノッゾたちは、つかの間の平穏を享受していた。
その間何もせず、ディノッゾの求める自堕落なダラダラしたダメ男をしていたわけではない。
この町の人間は誰も信じなかったが、ディノッゾが冒険者の知識を人から聞いた話程度しか知らず、なりたてが参加する初心者講習会に参加していた。
レイラとアレンは疲労が激しかった。
辛うじて宿の中をうろつくことしかできず、外出ができずに大人しく養生していた。
ポーションだとかに頼れば動く事が出来るのだが、時間的な余裕があれば使わないほうが良く、回復後能力が上がるのだそうだ。
街の暮らしに慣れ、新しい服に身を包み、温かい食事とふかふかのベッドの有り難みを、毎日噛み締めていた。
だがその平穏は、突如として終わりを告げた。
夕刻少し前だろうか、ディノッゾとリリアが宿に戻り一息つき始めた時だった。
カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!
街中に甲高い警鐘が鳴り響く。
「敵襲! 敵襲! 北門に魔物の大群!」
兵士たちの怒声が飛び交い、街は一瞬にしてパニックに陥った。
ディノッゾたちが宿屋を飛び出すと、信じられない光景が広がっていた。
北門の方から大勢の人が町の中央方面へと逃げ惑う姿だ。
冒険者だ!と兵士に声を掛けると死の森の方角から、(ディノッゾが穿った)巨大な溝を伝って、おびただしい数の魔物がまるで濁流のように街へと押し寄せてきていると。先頭はゴブリン、続いてオーク、オーガ、そして見たこともない異形の魔物たち。ミノタウロスまでいるとのことだ。
「おいおい、嘘だろ」
ディノッゾは、自らが作った「道」が、最悪の形で牙を剥いた事実に、呆然と呟いた。
「北門が危ない!ディノッゾ殿助力願えるか?」
セスティーナの叫び声に、一行は北門へと急いだ。
そこは、既に地獄絵図と化していた。北門は、魔物たちの猛攻に持ちこたえられそうになく、巨大な城門がミシミシと悲鳴を上げている。
「くそっ、このままじゃ破られるぞ!」
セスティーナが剣を抜き、兵士たちに指示を飛ばす。だが、数が多すぎる。
その時、ディノッゾが動いた。
「リリア、アレン、レイラ! 門から離れろ!」
彼はそう叫ぶと、一人、正門の前に飛び出し、背負っていた槍を構えた。
「―――うおおおおおおっ!」
雄叫びと共に、ディノッゾの無双が始まった。
跳躍し、空から魔物の群れを槍で薙ぎ払う。槍を縮め、懐に飛び込んできたゴブリンの群れを石突で粉砕する。槍を伸ばし、遠くのオーガの心臓を正確に貫く。
だが、倒しても、倒しても、魔物の波は途切れない。
ディノッゾは1人門の外におり、夢中になり槍を振るう。
防壁の上からは周辺の魔物に対し矢や魔法を放つ。
「はぁっ、はぁっ! 埒が明かねえ!」
ディノッゾの息が上がり始め、その動きが、わずかに鈍る。体力が厳しい。
いつの間にか門が開かれ、多くの兵士や冒険者が打って出てきており、ディノッゾが討ち漏らした魔物の駆除をしている。
(やるしか、ねえか)
彼は覚悟を決めた。
一度使えば、丸一日は動けなくなる、あの馬鹿げた切り札を。
ディノッゾは、後方で必死に戦うアレンとレイラに向かって叫んだ。
「アレン! レイラ! 一時的に、俺の周りの魔物の相手を頼む!」
「御者さん!?」
「いいから、やれ!」
二人が、覚悟を決めた顔で頷くのを確認すると、ディノッゾは大きく息を吸い込んだ。
そして、肩幅に足を広げ、両手を腰に当て、ぐっと腰を少し前に突き出した。
「ハメハメハァッ!」
その、あまりにも場違いで、ふざけきったポーズと叫び声。
後方で戦っていたアレンは、その独特のネタ技を知っていた。
(御者さん!? 何故?こ、こんな時に冗談を今!?!)
同じく色々な感想が聞こえる。レイラはジト目でディノッゾを見る。
ネタスキルだが、基本的に下ネタとして披露されるからだ。
最低!・・・レイラからの評価だだだ下がりのディノッゾ。彼女はディノッゾまさかそんな人とは思わず、きっと表情を強張らせた。
「あのおっさん何やってんだ?」
「ネタスキルなぜ今なんだよ?」
「俺達を和ませるのは今じゃないぜ!」
「確かに強いが、そりゃあないぜ!女寄越せってか!?」
アレンや、周りの者が謎に思った、その瞬間。
ディノッゾの体の前に、ありえないほどの光が発生した。
それは、前回とは比較にならないほどの、凝縮された魔力の奔流。周りからは驚きと悲鳴が聞こえる。
「ディノ!」
慌てたリリアが周りの制止を振り切って駆け寄り、光を放つディノッゾの背中に、そっと両手を当てた。
「これ以上、気絶させない・・・!」
リリアは自分が元々人より魔力が多いことを自覚していた。彼女は、ディノッゾが倒れないようにと、自分の魔力を彼に譲渡し始めたのだ。
この数日冒険者ギルドに行っていたが、近接戦闘を学ぶディノッゾとは別に、支援や魔法の初歩の初歩を学んでいた。
そんな中に魔力譲渡があったのだ。
だが、その行為は最悪の形で裏目に出た。
ディノッゾの体から放たれる光は、この前の倍以上に膨れ上がった。もはや、それは光というより、小さな太陽そのものだった。
「う、うそ!大きくなっていく・・あ」
「リリア、離れろ!」
ディノッゾが絶叫する。
「だめ!これ以上はディノが持たない!」
そしてド・ピュ~と間の抜けた音とともに、光の奔流が発射された。
全てを白く染め上げる、絶対的な破壊の光が、魔物の大群を飲み込んでいった。
その間何もせず、ディノッゾの求める自堕落なダラダラしたダメ男をしていたわけではない。
この町の人間は誰も信じなかったが、ディノッゾが冒険者の知識を人から聞いた話程度しか知らず、なりたてが参加する初心者講習会に参加していた。
レイラとアレンは疲労が激しかった。
辛うじて宿の中をうろつくことしかできず、外出ができずに大人しく養生していた。
ポーションだとかに頼れば動く事が出来るのだが、時間的な余裕があれば使わないほうが良く、回復後能力が上がるのだそうだ。
街の暮らしに慣れ、新しい服に身を包み、温かい食事とふかふかのベッドの有り難みを、毎日噛み締めていた。
だがその平穏は、突如として終わりを告げた。
夕刻少し前だろうか、ディノッゾとリリアが宿に戻り一息つき始めた時だった。
カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!
街中に甲高い警鐘が鳴り響く。
「敵襲! 敵襲! 北門に魔物の大群!」
兵士たちの怒声が飛び交い、街は一瞬にしてパニックに陥った。
ディノッゾたちが宿屋を飛び出すと、信じられない光景が広がっていた。
北門の方から大勢の人が町の中央方面へと逃げ惑う姿だ。
冒険者だ!と兵士に声を掛けると死の森の方角から、(ディノッゾが穿った)巨大な溝を伝って、おびただしい数の魔物がまるで濁流のように街へと押し寄せてきていると。先頭はゴブリン、続いてオーク、オーガ、そして見たこともない異形の魔物たち。ミノタウロスまでいるとのことだ。
「おいおい、嘘だろ」
ディノッゾは、自らが作った「道」が、最悪の形で牙を剥いた事実に、呆然と呟いた。
「北門が危ない!ディノッゾ殿助力願えるか?」
セスティーナの叫び声に、一行は北門へと急いだ。
そこは、既に地獄絵図と化していた。北門は、魔物たちの猛攻に持ちこたえられそうになく、巨大な城門がミシミシと悲鳴を上げている。
「くそっ、このままじゃ破られるぞ!」
セスティーナが剣を抜き、兵士たちに指示を飛ばす。だが、数が多すぎる。
その時、ディノッゾが動いた。
「リリア、アレン、レイラ! 門から離れろ!」
彼はそう叫ぶと、一人、正門の前に飛び出し、背負っていた槍を構えた。
「―――うおおおおおおっ!」
雄叫びと共に、ディノッゾの無双が始まった。
跳躍し、空から魔物の群れを槍で薙ぎ払う。槍を縮め、懐に飛び込んできたゴブリンの群れを石突で粉砕する。槍を伸ばし、遠くのオーガの心臓を正確に貫く。
だが、倒しても、倒しても、魔物の波は途切れない。
ディノッゾは1人門の外におり、夢中になり槍を振るう。
防壁の上からは周辺の魔物に対し矢や魔法を放つ。
「はぁっ、はぁっ! 埒が明かねえ!」
ディノッゾの息が上がり始め、その動きが、わずかに鈍る。体力が厳しい。
いつの間にか門が開かれ、多くの兵士や冒険者が打って出てきており、ディノッゾが討ち漏らした魔物の駆除をしている。
(やるしか、ねえか)
彼は覚悟を決めた。
一度使えば、丸一日は動けなくなる、あの馬鹿げた切り札を。
ディノッゾは、後方で必死に戦うアレンとレイラに向かって叫んだ。
「アレン! レイラ! 一時的に、俺の周りの魔物の相手を頼む!」
「御者さん!?」
「いいから、やれ!」
二人が、覚悟を決めた顔で頷くのを確認すると、ディノッゾは大きく息を吸い込んだ。
そして、肩幅に足を広げ、両手を腰に当て、ぐっと腰を少し前に突き出した。
「ハメハメハァッ!」
その、あまりにも場違いで、ふざけきったポーズと叫び声。
後方で戦っていたアレンは、その独特のネタ技を知っていた。
(御者さん!? 何故?こ、こんな時に冗談を今!?!)
同じく色々な感想が聞こえる。レイラはジト目でディノッゾを見る。
ネタスキルだが、基本的に下ネタとして披露されるからだ。
最低!・・・レイラからの評価だだだ下がりのディノッゾ。彼女はディノッゾまさかそんな人とは思わず、きっと表情を強張らせた。
「あのおっさん何やってんだ?」
「ネタスキルなぜ今なんだよ?」
「俺達を和ませるのは今じゃないぜ!」
「確かに強いが、そりゃあないぜ!女寄越せってか!?」
アレンや、周りの者が謎に思った、その瞬間。
ディノッゾの体の前に、ありえないほどの光が発生した。
それは、前回とは比較にならないほどの、凝縮された魔力の奔流。周りからは驚きと悲鳴が聞こえる。
「ディノ!」
慌てたリリアが周りの制止を振り切って駆け寄り、光を放つディノッゾの背中に、そっと両手を当てた。
「これ以上、気絶させない・・・!」
リリアは自分が元々人より魔力が多いことを自覚していた。彼女は、ディノッゾが倒れないようにと、自分の魔力を彼に譲渡し始めたのだ。
この数日冒険者ギルドに行っていたが、近接戦闘を学ぶディノッゾとは別に、支援や魔法の初歩の初歩を学んでいた。
そんな中に魔力譲渡があったのだ。
だが、その行為は最悪の形で裏目に出た。
ディノッゾの体から放たれる光は、この前の倍以上に膨れ上がった。もはや、それは光というより、小さな太陽そのものだった。
「う、うそ!大きくなっていく・・あ」
「リリア、離れろ!」
ディノッゾが絶叫する。
「だめ!これ以上はディノが持たない!」
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