ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow

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第44話 人物鑑定

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 スタンピードが終結してから、数日が過ぎた。
 街は、ディノッゾが穿ったハメハメハは新たな堀と川の土木作業で活気に満ち溢れ、魔物の脅威は嘘のように遠のいていた。

 ハメハメハが向かった先に河川があり、その一部に穴を穿ったのだ。
 そこからハメハメハで作られた溝に水が流れ込み、街を取り囲むように掘られた空堀に
 流れ込み、堀の反対側から新たな川ができた。

 アレンとレイラも、まだ魔物と戦うのは厳しいが、街の中を歩くくらいは可能となり、一行にはようやく穏やかな日常が訪れていた。
 そして、遅れていたディノッゾとリリアの冒険者登録を行う日がついにやって来た。
 一行が冒険者ギルドの門をくぐると、ギルドマスター本人が深々と頭を下げて出迎えた。

「―――お待ちしておりましたぞ、ディノッゾ殿」

 彼は一行を最上級の応接室に通すと、一人の職員を中に招き入れた。

「通常、ステータスの確認は簡易的な魔道具で行いますが、お二人のような特別な方々は、そうもいきません。当ギルドが誇る、『鑑定』のギフトを持つ職員に、直接拝見させていただきます」

 ギルドマスターが紹介したのは、目元を布で覆った、物静かな中年の女性だった。
 この世界では、「レベル」という概念はあるものの、それはあくまで本人が「強くなった」と感覚的に理解するものであり、他者が正確に測定する手段はない。

 鑑定ギフト持ちが読み取れるのは、その人物が神々や世界から与えられた、固有の才能だけだ。

「では、ディノッゾ殿から。失礼いたします」

 鑑定士は、そう言うと、ディノッゾの肩にそっと両手を置いた。
 次の瞬間、彼女の体が、びくりと硬直した。目元の布の下で、その瞳が大きく見開かれているのが分かった。ギルドマスターが、固唾を飲んで結果を待つ。
 鑑定士は、震える声で、自分が見たものを読み上げた。

 名前: ディノッゾ
 年齢: 36
 加護: なし
 ギフト: なし
 スキル: ハメハメハ

「・・・以上、です」

 応接室が、静寂に包まれた。
 ギルドマスターも、セスティーナも、言葉を失っていた。

(馬鹿な……)セスティーナは混乱した。
(加護も、ギフトも、無し? スキルは、あのふざけた名前のもの一つだけ? では、あの跳躍は? あの膂力は? あの槍の力だけでは、説明がつかない……!)

 ディノッゾ本人も、首をかしげている。

(ジャンプスキル、じゃなかったのか……。じゃあ、俺の体はどうなってやがるんだ?)

「……次は、リリア様……失礼いたします」

 鑑定士は、気を取り直してリリアの肩に手を置いた。そして、再び驚愕の声を漏らす。

 名前: リリア
 年齢: 14
 加護: なし
 ギフト: なし(儀式の年齢未満)
 スキル: アイテムボックス

「……そして、お二人の魔力ですが……」

 鑑定士は、最後にそう付け加えた。

「……まるで、コップで海を測ろうとしているかのようです。比較対象が存在しません。どちらも―――測定不能です」

 ギルドマスターは、その報告を聞き、全てを理解した。
 この二人の強さの根源は、鑑定にすら表示されない、全く未知の何か。おそらくは、あのドラゴンのラストアタックによって得られた、規格外の「経験値」と、それによる「レベルアップ」の恩恵。
 だが、それを証明する手段はない。
 彼は、二枚の真新しいギルドカードを差し出した。

「ようこそ、冒険者の世界へ。……その力、くれぐれも、慎重に扱われよ」

 ディノッゾとリリアの、「無自覚」は、この日、終わりを告げた。
 自分たちの力が、この世界の理から、いかに逸脱しているか。
 その、あまりにも重い事実を、二人は突きつけられたのだった。
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