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第46話 勘違いされた試練
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ディノッゾとリリアが初心者ダンジョンに挑む日、宿屋の仲間たちは、それぞれの形で二人を送り出した。
「ディノッゾ殿、リリア様。くれぐれもご油断なさらないように」
セスティーナは、そう言うと、最高級のポーションを数本、リリアのアイテムボックスに無理やり押し込んだ。
「御者さん、リリアちゃん。まあ、大丈夫だとは思うが……」
アレンは、Bランク冒険者の先輩として、真剣な顔でアドバイスを始めた。
「本来、初心者ダンジョンはFランクの魔物しか出ない。例外は最奥のボスで、Eランクのゴブリンナイト相当だ。だが、侮るな。ダンジョンは何が起こるか分からない。まれに、もう少し強いCランク級のホブゴブリンが現れた、なんて話もある。理由は謎とされているが……」
「へいへい。分かったよ」
ディノッゾは、完全に聞き流していた。FランクだのEランクだの、今の自分には、道端の石ころと大差ない。
「昼までには戻る。美味い飯、用意しといてくれよ」
二人は、仲間たちの心配を背中に受けながら、街の外れにあるダンジョンへと向かった。
そこには、真新しい革鎧に身を包んだ、十数人の少年少女たちが、緊張した面持ちで列をなしている。誰もが、人生で初めての試練を前に、期待と不安で胸をいっぱいにしていた。
その中に、普段着のオッサンと、メイド服の少女という、あまりにも場違いな二人が加わる。
セスティーナの特別許可証のおかげで、受付はすんなりと通った。
ダンジョンの入り口で、ギルドの監督官が、最後の注意を促す。
「いいか、お前たち! この試練は、神々がお前たちに与えたもうた、最初の、そして最大のチャンスだ! 死ぬ気で挑め! ……まあ、死んだ奴は、ここ十年は出ていないがな!」
監督官の気の抜けた激励に、少年少女たちの緊張が少しだけ和らぐ。
ディノッゾとリリアは、その列の一番最後から、ゆっくりと、洞窟のような入り口の中へと、足を踏み入れた。
ひんやりとした、湿った空気。壁には、魔石が埋め込まれ、ぼんやりと通路を照らしている。
「さて、と。さっさと終わらせるか」
ディノッゾが、欠伸をしながら槍を短く構えた、その時だった。
ゴゴゴゴゴゴ……!
ダンジョン全体が、地響きを立てて震え始めた。
壁の魔石が、不気味な赤い光を明滅させる。
「……なんだ?」
通路の奥、最初の角から現れたのは、Fランクのスライムでも、ゴブリンでもなかった。
身長は3メートルを超え、巨大な戦斧をその手に握り、牛の頭を持つ、屈強な魔物。
ミノタウロス。それも、並ではない。全身から禍々しいオーラを放つ、ミノタウロスの上位種。本来なら、A級パーティーが総出で挑むべき、強大な紫色の魔物だった。
実はこのダンジョンは、入った者の実力に相応しい魔物を生成する。
ディノッゾという、レベル測定不能の「規格外」が入ったことでダンジョンそのものが、彼を排除するための、殺意に満ちた試練へと、その姿を変貌させたのだ。
「……おいおいおい」
ディノッゾの顔から、余裕の笑みが消えた。
「話が、違うじゃねえか……!さすがにあれがゴブリンだなんてオチはないだろ?ゴブリンは緑、こいつは紫・・・なあリリア、あれどう見てもゴブリンじゃねえよな?」
「ディノなら大丈夫!うん。牡牛さん!だね!」
彼の悲痛な叫びは、ミノタウロスの闘争に満ちた咆哮によって、かき消された。ただし、メイド服の少女は深刻にとらえていなかった。
「ディノッゾ殿、リリア様。くれぐれもご油断なさらないように」
セスティーナは、そう言うと、最高級のポーションを数本、リリアのアイテムボックスに無理やり押し込んだ。
「御者さん、リリアちゃん。まあ、大丈夫だとは思うが……」
アレンは、Bランク冒険者の先輩として、真剣な顔でアドバイスを始めた。
「本来、初心者ダンジョンはFランクの魔物しか出ない。例外は最奥のボスで、Eランクのゴブリンナイト相当だ。だが、侮るな。ダンジョンは何が起こるか分からない。まれに、もう少し強いCランク級のホブゴブリンが現れた、なんて話もある。理由は謎とされているが……」
「へいへい。分かったよ」
ディノッゾは、完全に聞き流していた。FランクだのEランクだの、今の自分には、道端の石ころと大差ない。
「昼までには戻る。美味い飯、用意しといてくれよ」
二人は、仲間たちの心配を背中に受けながら、街の外れにあるダンジョンへと向かった。
そこには、真新しい革鎧に身を包んだ、十数人の少年少女たちが、緊張した面持ちで列をなしている。誰もが、人生で初めての試練を前に、期待と不安で胸をいっぱいにしていた。
その中に、普段着のオッサンと、メイド服の少女という、あまりにも場違いな二人が加わる。
セスティーナの特別許可証のおかげで、受付はすんなりと通った。
ダンジョンの入り口で、ギルドの監督官が、最後の注意を促す。
「いいか、お前たち! この試練は、神々がお前たちに与えたもうた、最初の、そして最大のチャンスだ! 死ぬ気で挑め! ……まあ、死んだ奴は、ここ十年は出ていないがな!」
監督官の気の抜けた激励に、少年少女たちの緊張が少しだけ和らぐ。
ディノッゾとリリアは、その列の一番最後から、ゆっくりと、洞窟のような入り口の中へと、足を踏み入れた。
ひんやりとした、湿った空気。壁には、魔石が埋め込まれ、ぼんやりと通路を照らしている。
「さて、と。さっさと終わらせるか」
ディノッゾが、欠伸をしながら槍を短く構えた、その時だった。
ゴゴゴゴゴゴ……!
ダンジョン全体が、地響きを立てて震え始めた。
壁の魔石が、不気味な赤い光を明滅させる。
「……なんだ?」
通路の奥、最初の角から現れたのは、Fランクのスライムでも、ゴブリンでもなかった。
身長は3メートルを超え、巨大な戦斧をその手に握り、牛の頭を持つ、屈強な魔物。
ミノタウロス。それも、並ではない。全身から禍々しいオーラを放つ、ミノタウロスの上位種。本来なら、A級パーティーが総出で挑むべき、強大な紫色の魔物だった。
実はこのダンジョンは、入った者の実力に相応しい魔物を生成する。
ディノッゾという、レベル測定不能の「規格外」が入ったことでダンジョンそのものが、彼を排除するための、殺意に満ちた試練へと、その姿を変貌させたのだ。
「……おいおいおい」
ディノッゾの顔から、余裕の笑みが消えた。
「話が、違うじゃねえか……!さすがにあれがゴブリンだなんてオチはないだろ?ゴブリンは緑、こいつは紫・・・なあリリア、あれどう見てもゴブリンじゃねえよな?」
「ディノなら大丈夫!うん。牡牛さん!だね!」
彼の悲痛な叫びは、ミノタウロスの闘争に満ちた咆哮によって、かき消された。ただし、メイド服の少女は深刻にとらえていなかった。
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