勇者だけど幼女使いと言われていますが何か?

KeyBow

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第1章  入試篇

第33話  解体場

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 解体場には馬車に載せられていたのとは明らかに違う量の魔物の死体が並べられていた。

 だが、搬入の終わり頃に解体場に入って来たギルド職員達は、一体彼らが何台の馬車で来ていたのかを知らないものだから、多いなとか嘆きの声は聞こえて来たが、余りにも多いぞと疑問視する声は無かった。

 ユリアが他の職員に魔石については魔法学校の試験に必要だから全てを彼らに渡し、体の全ては素材として買い取る旨を説明していた。フォルクス達を含め、皆で魔石の抜き取りをしていた。但しオークの上位種のオークロードの肉は切り分けて職員へお裾分けにし、フォルクス達も自分達が食べる分を別途確保していた。かなり美味しいらしいのだ。ジェネラルのは少量だけ受け取る事にし、そのまま売る事になっていた。

 素材などで需要のある分であった。また、買い取って貰う素材の目録を作ってくれた。

 オーク 52
 サイクロプス
 オークロード
 オークジェネラル(以前倒した分をこっそり忍ばせている)

 べソンだけはフォルクスが何をしているのかに気が付いていたが、肩を軽く叩くだけだった。

 全ての素材を売り、約1400万ゴールドになった。首都での一般人の年収の14倍程である。
 一番高かったのがジェネラルとサイクロプスで各々600万だった。

 一旦フォルクスがお金を預かり、解体場の係に後を任せ、ユリアを伴いフォルクス達は解体場を引き上げた。

 お金を受け取り、ギルドを後にする前にユリアに宿の部屋を聞かれ、部屋番号を教えていた。今日は食堂に食べに行くから皆で一緒に食べたいと言われたのと、ギルドで出来ない打ち合わせをしたいと言われたからだ。

 すっかり忘れていたのは依頼達成についての報国だったが、誰も気が付かづに宿に向かっていた。早々にギルドを引き上げたが、馬車が一台で4人が騎馬だったが、誰も疑問に感じていなかった。唯一人ユリアを除いては。

 宿に戻るとシーラが毒づいていた

「ちょっと何よ。何であの女に泊まっている部屋を教えているのよ」

「ああ、ギルドで出来ない打ち合わせをしたいそうだよ。誰が何処で聞き耳を立てているのか分からないって言っていたし、試験についてユリアさんは色々知っているからね。試験絡みの話をしてくれるんじゃないかな」

「わ、解ったわよ。またキスをしたら許さないんだから」

「あんなのはキスのうちに入らないさ。ユリアさんも酒の勢いでの事だし、覚えていないだろうしさ」

 シーラだけではなく、何故かカーラ、ラティスの二人もジト目であった。

 ただフォルクスはジト目が痛く感じるが、ジト目の理由が分からなかった。また何かやらかしたのかと逃げ腰になっており、こんな時は逃げの一手だ。

「昨日も二日前も湯船に浸かっていないからさ、今日は久々の風呂だからゆっくり浸かってこようぜ。という事でレッツラゴー!」

 とダッシュで逃げていった。シーラもラティスもフォルクスを止める事ができなかった。えっ?っと思っているとダッシュで行ってしまったから手が届かなかったのだ。シーラはため息を吐きながら、全くもうとぶつぶつと言っていた。

「仕方がないから私達もお風呂に行くわよ」

 そうして長目の風呂に入り、風呂を上がった後カーラとリズが食堂に注文をしに行っていた。一応先日見たユリアの同僚が来ると想定し、女性用の食べ物も頼んでおいた。リズやカーラに言わせると、頼み過ぎたと思っても足りない位になると。もしもユリアが一人で来たら、余った分はベソンとフォルクスが食べるから問題ないだろうという事になった。逆に友達が来た場合、少し足りないかな位に思っていたりする。

 店主に聞くと彼女達は常連らしく、少なくとも受付嬢のユリアが来る旨を伝えておいた。来たら部屋に案内して貰うのと、食事は一緒の席に座る旨を伝えておいた。勿論容姿が目立つ者達なので、店主も彼女達がどういった仕事をしているのかは分かっており、頷いていた。

 風呂を上がった後、皆が集まってティータイムにしていると、ドアがノックされフォルクスがドアを開けると神妙な顔をし、深刻そうな雰囲気のユリアがそこにいた。

「ユリアさん、いらっしゃい!一人ですか?」

「うん。この前の子達は下で待っていて、ここには私だけよ」

「とりあえず中に入りませんか?」

 ドアを閉めると何やら魔法を使い出した。ユリアが魔法を唱えたので皆驚いていた。

「我が望む。我らの会話を盗み聞きする者から我らの秘密を守り給え。ヴェール」

 すると遮音結界が張られたのが分かり、ラティスが独り言のように感心していた

「これは上位の遮音結界ではないか!これは驚きました。私でも遮音結界は中級しかできないのだが、凄いな」

「あんた一体何者?たかだか一介のギルドの受付嬢風情が遮音の上級を使える筈はないわよね」

 ユリアはヅカヅカとフォルクスの前に寄って来て体を密着させ、上を見る。背丈が違うからだが。

「お嬢さん、あなたの質問には半分答えます。私はエルフでは有りますが、一応貴族の娘で貴女達の先輩に当たります。残り半分はフォル君、君の返答次第よ」

「どうしたんですか?何かいつもと違いますよね?何か解体場にいた時から少し様子がおかしかったようだけど、大丈夫ですか?」

「私は至って健康よ。フォル君、君って一体何者なの?」

「何者?と言っても兵士上がりの単なる冒険者ですよ?確かに普通の人より魔力量が多いですが」

「最初に見た時に気が付かなかったなんて私は駄目ね。フォル君、もう一度聞くけど君は何者?そして貴女達はフォル君が何者かを知っているの?普通の人ではないのはこの前のキスで分かったのよ。確信が無かったからキスで確かめたの。君、魔力が多いなんてもんじゃないでしょ。とんでもない量と力でしょ?しかも収納持ちよね?」

「あっ、やっぱり分かっちゃいましたか」

 ユリアは泣きながらフォルクスに抱きついた。

「私の、私の妹を助けて。貴方にお願いするのはお門違いだとは分かっているの。貴方しか縋る事が出来ないの。それと勇者が私の運命の人である筈なの。勇者の力になって手助けをする必要があると予言されていたのだけれども、まさか本当に私の前に勇者が現れるとは思わなかったの。けれどもフォル君が現れた。どうか、どうかお願い。妹を助けて!助けてくれたのならば、私の全てをフォル君に捧げます。文字通り身も心も私の全てを。どうか、どうかお願いします」

「ちょっと落ち着いて下さい。支離滅裂ですよ?とりあえず説明しますね。あのですねえ、別に秘密にしてはいないけど、皆からあまり言いふらさないでって言われていたから黙っていましたが、僕はまず間違いなく異世界からの迷い人なんです。ただ、記憶を喪くしているのと、常識感があまりに違うから確信しているんです。妹さんの話は下でしませんか?お友達を待たせているんでしょ?」

「はい、私の勇者様」

「えっと、とりあえずよく分からないから僕の事は今まで通りに呼んで欲しいんです。余り僕が特別だというのを知られたくないんです。ちなみに妹さんの話は下にいる方は知っているのですか?僕の事も?」

「ええ。妹の事は知っているけれども、フォル君の事は知らないわ。それと私がどうなるのかもまだ言っていないの」

「僕の事を知らないなら後にしましょう」

 頷いたのでとりあえず下に向かう事にした。長い時間下に降りてこないと変に勘ぐられるからと、一旦話を打ち切ったのであった。
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