勇者だけど幼女使いと言われていますが何か?

KeyBow

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第1章  入試篇

第55話  新たな幼女

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 その後は特に何も無く、初日は各自が各々の部屋で休んだ。フォルクスの部屋は当然ながら屋敷の主の為の部屋だ。
 先ずは部屋を使い、困った事等が無いかを確かめる為、この日だけは誰かの部屋に転がり込む事を止めるようにしていた。皆にたまには一人の時間を持つようにとも伝えており、おかげでフォルクスは久し振りに一人で寝る事が出来た。一年以上無かったのだ。

 そして翌朝はゆっくり目でスタートした。フォルクスは予定通りユリアと奴隷商に赴く事になった。ユリアはデートと喜んでいたが、他の面々は必要品や、服を買う。家が有る事から服をしまう場所に困らない為、服等を買いに行く事になっていた。ユリアは冒険者用の服は別だが、別段新たに服を買う必要がない。

奴隷商に行くのはまた訪問すると言っていたからと、ユリアに貞操帯代わりの首輪をお願いする為だ。首輪と言っても物理的な物ではなく、紋様が浮かぶ感じだ。これが有るとレイプされても、男性器を挿れられてしまい純潔を散らす恐れがなくなるからだ。何せちょん切れるのだ。

 奴隷商にて奴隷を見る事になったのだが、丁度ユリアの首輪の件で応接室で話をしている頃に、何やらひと騒ぎがあった。小さな女の子だと思うが、泣き叫ぶ声が聞こえてきたのだ。

 奴隷商が部下に様子を見に行かせ、何事かと聞くと今日連れて来られた奴隷が姉の事と、自らの今後を悲観し騒ぎ立てていると言う。フォルクスは気になった

「どうかしたのですか?俺達で何とか出来る事なら、協力しますよ」

 そう聞くと奴隷商は

「今日何人かの奴隷が入荷しましてな。その中の一部が騒ぎ立てたようです。基本的に今日入荷しておる者達は、私どもの方で教育し、数年後に高級性奴隷として売り出す予定の娘達です。親が見目麗しく、将来有望として売られて来た者達です。事情を確かめてまいりますので、少々お待ち下さい」

 フォルクスは一瞬だが、性奴隷として売られてきたと聞き、怒りで頭が爆発しそうになった。そして奴隷商が難しい顔をして戻って来た。

「10歳の双子でした。フォルクス殿になら、利益度外視でお譲り致しますぞ。但し姉妹セットで引き取って頂けるならです。因みに妹の方は仕入れは金貨300枚になります」

「双子って言ったよな?何かあるのか?」

「姉の方が病気でございます。今は何とか生きてはいますが、元々治療費が嵩んでいたそうですが、そんな所に事業に失敗して破産したそうです。その為に他の家族や所有していた奴隷共々借金の形として連れて来られ、売られて来た者の中にこの姉妹がいたのです。部下がきちんと確認せずに姉妹を買い取ってしまいまして、妹の方はもしも姉を処分したら自殺すると申しましてな。引き取ったものの、姉を生かし続けていくのでは正直儲けが出ません。担当している部下が独断で姉を処分すべく施設に預けようとしていたのですが、それを止めるべく抵抗したようです。部下には止めさせましたが、商会の利益の為に人を死なせる訳には行きません。気になるようでしたら一度見られては如何でしょうか?姉の方の世話が有りますが、妹の方でしたらフォルクス殿のお屋敷の住み込みのメイドが務まるのではないかと思います」

 ユリアの方を見ると頷いていた。確認するまでも無かったのだが、フォルクスは合わせてくれと言い、面談をする事になった。

 そして他の奴隷達と分け隔てられている問題の姉妹がいる部屋に入った。一人はソファーに寝かされており、もう一人はその傍らで寝ている方の手をずっと握っていた。

 部屋に入ったが、奴隷商の主を見た少女が姉の前に立ち塞がり、その小さな体を目一杯広げ、大の字になって近づくなと言わんばかりに睨みつけていた。

「そう警戒しなくても良い。このエルフの女性がお前達の新しい御主人様になる方だ。普通の貴族等と違い、善良な方だ。それに姉の方の面倒をちゃんと見てくれる方々ですぞ。問題を起こさず言う事を聞くのですぞ。」

 奴隷商がそう言うと妹の方は戸惑いの顔をしていた。奴隷を買うのには最低でも金貨1枚がいるというので、金貨2枚をユリアに渡した。奴隷商曰く、商会のミスを肩代わりして貰う事になるので、お金を払いたい位と言っていた。

 また、寝ている姉の方を見ると体は痩せ細っており、肌はガサガサだ。奴隷商の説明によると目が見えなくなっている。以前の病気で内蔵もかなり弱っており、耳も聞けず、目も見えない。握力も殆どないと言う。喋る事自体はできるらしいが、耳が聞こえない為、よく聞き取れないと言う。

 年齢は十歳位だろうか。まだ幼いが、整った可愛らしい顔立ちをしている。確かにこのまま大人になればかなりの美人になるのだろうというような顔立ちをしているのだ。

 だが今は子供であるが、なるほどなと、将来有望として性奴隷や高級娼婦にしようとしていた事なのだなと、なんとなく分かった。

 本来この二人に待ち受けていた筈の運命の苛酷さに、フォルクスは可哀想だと涙した。

 フォルクスが狼狽え、一歩下がりユリアにお願いをした。

「えっと、私はユリアって言うの。こっちは私の恋人よ。それでね、貴女達を私達が引き取るから心配しなくても大丈夫よ。ここにいるフォル君がきっと何とかしてくれるから」

 商人の娘という事だけあって、それなりの教育を受けていると言う。フォルクスは頭を撫でたが、この子達からは殆ど魔力を感じなかった。つまり魔法が使えないのだ。カーラの話だと魔法を使えない者の方が使える者より多いのだと言う。

 ユリアに馬車を取りに行って貰う事にした。

 主との話がフォルクスにはまだ有る為ここに残る事になった。妹の方はというと、自分を買うと言ったのが女性の為ほっとしていた。もしも男性に買われた場合、大きくなった時に性奴隷になる未来しか無いのがこの世界の常識だったからだ。ユリアから自分自身の買い戻しをさせるから頑張ってねと優しく言われていたのだ。

 フォルクスはお金を払い、ユリアが戻り次第二人の所有権をユリアにしてくれとつたえた。そして奴隷商から今後の行動についてアドバイスを受けた。明後日に一度姉の方を連れて神殿に行く事を強く勧められたのだ。時折あるとの事だが、高名な治療師が難しい病気や怪我の治療をしてくれるのだが、明後日がその日なのだと言う。勿論それなりのお金を払わなければならないが。

 奴隷商の主は意味ありげに頷いていた。フォルクスが一度見た魔法をコピーできるという事を知った上で言っているのだ。つまりこの子を治療しに行くついでに回復系の魔法を覚えて来いと言う事になるのだ。しかも公開治療らしく、女性の服を脱がせる必要が有る等特別な時以外は全て公開治療をしていると言う。フォルクスにとってもチャンスではある。ただ全快させようと思うと金貨1000枚殆取られると言っていたので、体の一部を回復するだけのお金を払うのが関の山になると言っていた。フォルクスにとってはそれで十分である。全回復できるだけの魔法が有るとはいえ、金貨1000枚というのは十分一軒家が買えるような値段だ。そんなお金を取るのだ、かなりぼったくっているなとフォルクスは思うのであった。

そしてこの姉妹を送り出した奴隷商の主は部下と話をしていた。

予定通りあの姉妹を勇者殿に引き渡す事が出来たと。騒ぎも妹の騒ぎは本物だが、部下がしようとした行動は、奴隷商の主からの指示の芝居であったのだが、フォルクスを始め、本当の事だと見事に乗せられていたのであった。
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