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影法師
風波
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《影法師》の狙いが何かは分からない。ただ、気を失うまで人を打ち据えるというのは、美葛に言わせれば大変なことだ。よほどの強い思いがなければなし得ない。
また、そんな事が一度でも起これば、所によってはかなり目立つはず。いくらおかしなことばかりが目白押しの都になってしまったと言っても、乱闘騒ぎとなれば人目を引かずにはいないだろう。まして昼日中からあんな得体の知れないものが現れての立ち回りとあっては。
信太の里で殴り合いの喧嘩といえば、年に何度か若衆の間でつまらないことから悶着が起こるくらいのものだった。血の気の多い者たちばかり、申し合わせて集まって、互いにそうと分かった上でする気晴らしのようなものだ。
水争いや土地争いは寄り合いで片が付いたし、不服があるという者には必ず他のことで便宜がはかられた。力づくで我が意を通そうとする者などまずいなかったし、八分を食わされてまで里の決まりに抗おうとする者もいなかった。
「けど都は」
と、人で賑わう東市をぶらぶらと歩きながら真咲が肩をすくめた。
「里とは違うんだろうな。市町ってのは特に。知らない者同士が顔を合わせて、一銭だって損をするまいと気を張ってる感じがする。皆、稼ぐためなら何でもやってのけそうだ」
「己だけ良ければいい、他はどうでもいい、なんて荒っぽい考えになるのが多いかもしれないね。人も妖も」
かもしれないどころではないだろうことは、市町一帯を仄暗く染め上げる陰気を見ても明らかだった。長居を避けたい気持ち半分、早々に解決を見たい気持ち半分で、美葛は足を速めた。
物怖じしない真咲が先に立って、進んで人に話しかけた。菜売り、蜆売り、葱売り。土壁沿いに並んで商いをする者。連れ立って買い物に来たらしい女たちや道の端に屯する男たち――。
はずれが何度も続いた後でようやく、広げた筵の上に箸だの椀だの皿だのを並べた老爺が、ああその影のことなら、と日に焼けた手を伸ばした。
「向こうに、ほれ、薪を束ねて売ってる婆さんがいるだろう。見たと言って唾を飛ばしてたぞ。孫くらい年の離れた若いのが三人、目の前で殴り倒されたとか何だとか」
真咲に任せてばかりいるのは申し訳ないと、その老婆に話しかける役は美葛が進んで引き受けた。あれだけ小さくて大人しげな婆様が相手なら何とかなるだろうと高を括っていたのだ。ところが大間違い。気圧されて尻餅をつくはめになった。婆様はまったく関わりのない美葛にまで噛み付かんばかりに腹を立てていた。
「あんな真似が許されていいもんかね! 十にもならんような子供たちを殴り倒してさ!」
「そ、そんな小さな子供まで?」
「おお恐ろしい! 何て世の中になっちまったもんだろう!」
婆様は皺に埋もれた目を大きく見開いて美葛をたじろがせた。
「五日ばかり前の日暮れ頃だったけどね。暖を取るのに薪が欲しいって、話しかけてきた子供らがいたのさ。毎日寒いね、婆さんには堪えるだろうねって、そりゃあもう可愛らしくて愛想も良くてさ」
しばらく世間話をしていたところ、突然、薪を選んでいた一人が呻いて屈み込んだという。
「おや、と思ったらそこに立ってたのさ。あのぼんやりした影が!」
それは黒い炎が揺らめくようにも見えたという。
《影法師》は婆様に親しく寄り添っていた子供たちを端から殴り倒し始めた。婆様は恐ろしさに震えるあまり声も出せず、また見てもいられずに顔を背けた。そして、気付いた時には影と共に子供たちまで消えていたという。
怖がるのも無理はなかった。そんなことが目の前で起きたら美葛だって驚かずにはいられない。
その婆様から人を辿って、次に話を聞くことができたのは振り売りの若い男だった。桶の中身は干した魚で、神崎という港町と都との間を毎日のように舟で行き来しているらしい。
ここは同じくらいの年頃である真咲の出番だった。真咲は己が常陸国の炭焼きであることを打ち明け、まずは品物を売り歩く苦労についてあれこれ語り合った。大きな家には大抵先に馴染みの売り手が付いているから割り込むのは一苦労だとか、往来を売り歩くのにも日によって当たり外れが大きくて困るだとか、そういった話だ。互いに眉根を寄せた笑顔で気さくに話をする。今会ったばかりとは思えないような青年二人のやり取りを、妹だと適当な紹介をされた美葛は感心しながら見守った。
「俺がその、《影法師》か、そいつを見たのは三日前だ。夕暮れ時だった」
一雨来そうな空模様だったこともあり、市町は大路も小路も帰りを急ぐ人で溢れていたという。
「日頃はそんなことまずないんだが、辻を折れてすぐ、柄の悪い兄さんに前の桶をぶつけちまってな」
彼も相手も尻餅をついた。売れ残りの干し魚が辺りに散らばった。が、すぐには拾えなかった。何をしてくれるんだと男に荒っぽく詰め寄られたからだ。平謝りに謝ったが、向こうはなかなか怒りを解いてくれなかった。
「揉み合っているうちに、俺の後ろで女の悲鳴が聞こえた」
すると目の前の男が真っ青になって、後ろも見ずに逃げ出した。
「振り向いたらその《影法師》が、気を失った女の片腕を掴んで吊し上げてた。まるで獲った鹿か何かみたいにな。もう恐ろしいの何の。俺はまた尻餅をついた。あわあわ言ってるうちに、影は女ごと薄らいで消えちまった」
申の刻になって、もゆらと元の柳の下で落ち合った。
彼女が聞き集めてきた話も、美葛たちのそれと大して変わらなかった。《影法師》を見た者の多くは商売人。はっきりと正体を見極めた者はいない。《影法師》は殴って気を失わせた相手ごと消え去り、後には何も残らない。影には角があったという者もいれば、ぶつぶつ何か喋っていたという者もいた。
「知り合いに、こういう真似をする者はいないんですか?」
もゆらの問いかけは、狐も妖も一絡げにした、あまりにも投げやりなものに聞こえた。歩き疲れているにしてもあんまりな言いようだと不満に思って、美葛は唇を尖らせた。
「そりゃあ顔見知りに人じゃないのはたくさんいるよ。でも、わざわざ常陸国から都まで来てこんな荒っぽいことするのはいない」
「似たような振る舞いをする妖もご存知ない?」
「ないない。そんなことより、もうこうなったら」
「殴られて連れ去られた連中に、直に当たってみるしかないな」
真咲が先回りをして言った。もゆらが渋い顔をした。
彼女も同じ事を考えていたらしい。ただ、どうも様子がおかしい。
「ですよねえ……。仕方がない。行ってみますか。例の場所に。気は進みませんけれど」
また、そんな事が一度でも起これば、所によってはかなり目立つはず。いくらおかしなことばかりが目白押しの都になってしまったと言っても、乱闘騒ぎとなれば人目を引かずにはいないだろう。まして昼日中からあんな得体の知れないものが現れての立ち回りとあっては。
信太の里で殴り合いの喧嘩といえば、年に何度か若衆の間でつまらないことから悶着が起こるくらいのものだった。血の気の多い者たちばかり、申し合わせて集まって、互いにそうと分かった上でする気晴らしのようなものだ。
水争いや土地争いは寄り合いで片が付いたし、不服があるという者には必ず他のことで便宜がはかられた。力づくで我が意を通そうとする者などまずいなかったし、八分を食わされてまで里の決まりに抗おうとする者もいなかった。
「けど都は」
と、人で賑わう東市をぶらぶらと歩きながら真咲が肩をすくめた。
「里とは違うんだろうな。市町ってのは特に。知らない者同士が顔を合わせて、一銭だって損をするまいと気を張ってる感じがする。皆、稼ぐためなら何でもやってのけそうだ」
「己だけ良ければいい、他はどうでもいい、なんて荒っぽい考えになるのが多いかもしれないね。人も妖も」
かもしれないどころではないだろうことは、市町一帯を仄暗く染め上げる陰気を見ても明らかだった。長居を避けたい気持ち半分、早々に解決を見たい気持ち半分で、美葛は足を速めた。
物怖じしない真咲が先に立って、進んで人に話しかけた。菜売り、蜆売り、葱売り。土壁沿いに並んで商いをする者。連れ立って買い物に来たらしい女たちや道の端に屯する男たち――。
はずれが何度も続いた後でようやく、広げた筵の上に箸だの椀だの皿だのを並べた老爺が、ああその影のことなら、と日に焼けた手を伸ばした。
「向こうに、ほれ、薪を束ねて売ってる婆さんがいるだろう。見たと言って唾を飛ばしてたぞ。孫くらい年の離れた若いのが三人、目の前で殴り倒されたとか何だとか」
真咲に任せてばかりいるのは申し訳ないと、その老婆に話しかける役は美葛が進んで引き受けた。あれだけ小さくて大人しげな婆様が相手なら何とかなるだろうと高を括っていたのだ。ところが大間違い。気圧されて尻餅をつくはめになった。婆様はまったく関わりのない美葛にまで噛み付かんばかりに腹を立てていた。
「あんな真似が許されていいもんかね! 十にもならんような子供たちを殴り倒してさ!」
「そ、そんな小さな子供まで?」
「おお恐ろしい! 何て世の中になっちまったもんだろう!」
婆様は皺に埋もれた目を大きく見開いて美葛をたじろがせた。
「五日ばかり前の日暮れ頃だったけどね。暖を取るのに薪が欲しいって、話しかけてきた子供らがいたのさ。毎日寒いね、婆さんには堪えるだろうねって、そりゃあもう可愛らしくて愛想も良くてさ」
しばらく世間話をしていたところ、突然、薪を選んでいた一人が呻いて屈み込んだという。
「おや、と思ったらそこに立ってたのさ。あのぼんやりした影が!」
それは黒い炎が揺らめくようにも見えたという。
《影法師》は婆様に親しく寄り添っていた子供たちを端から殴り倒し始めた。婆様は恐ろしさに震えるあまり声も出せず、また見てもいられずに顔を背けた。そして、気付いた時には影と共に子供たちまで消えていたという。
怖がるのも無理はなかった。そんなことが目の前で起きたら美葛だって驚かずにはいられない。
その婆様から人を辿って、次に話を聞くことができたのは振り売りの若い男だった。桶の中身は干した魚で、神崎という港町と都との間を毎日のように舟で行き来しているらしい。
ここは同じくらいの年頃である真咲の出番だった。真咲は己が常陸国の炭焼きであることを打ち明け、まずは品物を売り歩く苦労についてあれこれ語り合った。大きな家には大抵先に馴染みの売り手が付いているから割り込むのは一苦労だとか、往来を売り歩くのにも日によって当たり外れが大きくて困るだとか、そういった話だ。互いに眉根を寄せた笑顔で気さくに話をする。今会ったばかりとは思えないような青年二人のやり取りを、妹だと適当な紹介をされた美葛は感心しながら見守った。
「俺がその、《影法師》か、そいつを見たのは三日前だ。夕暮れ時だった」
一雨来そうな空模様だったこともあり、市町は大路も小路も帰りを急ぐ人で溢れていたという。
「日頃はそんなことまずないんだが、辻を折れてすぐ、柄の悪い兄さんに前の桶をぶつけちまってな」
彼も相手も尻餅をついた。売れ残りの干し魚が辺りに散らばった。が、すぐには拾えなかった。何をしてくれるんだと男に荒っぽく詰め寄られたからだ。平謝りに謝ったが、向こうはなかなか怒りを解いてくれなかった。
「揉み合っているうちに、俺の後ろで女の悲鳴が聞こえた」
すると目の前の男が真っ青になって、後ろも見ずに逃げ出した。
「振り向いたらその《影法師》が、気を失った女の片腕を掴んで吊し上げてた。まるで獲った鹿か何かみたいにな。もう恐ろしいの何の。俺はまた尻餅をついた。あわあわ言ってるうちに、影は女ごと薄らいで消えちまった」
申の刻になって、もゆらと元の柳の下で落ち合った。
彼女が聞き集めてきた話も、美葛たちのそれと大して変わらなかった。《影法師》を見た者の多くは商売人。はっきりと正体を見極めた者はいない。《影法師》は殴って気を失わせた相手ごと消え去り、後には何も残らない。影には角があったという者もいれば、ぶつぶつ何か喋っていたという者もいた。
「知り合いに、こういう真似をする者はいないんですか?」
もゆらの問いかけは、狐も妖も一絡げにした、あまりにも投げやりなものに聞こえた。歩き疲れているにしてもあんまりな言いようだと不満に思って、美葛は唇を尖らせた。
「そりゃあ顔見知りに人じゃないのはたくさんいるよ。でも、わざわざ常陸国から都まで来てこんな荒っぽいことするのはいない」
「似たような振る舞いをする妖もご存知ない?」
「ないない。そんなことより、もうこうなったら」
「殴られて連れ去られた連中に、直に当たってみるしかないな」
真咲が先回りをして言った。もゆらが渋い顔をした。
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