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CASE3:戸村千景
2:誰にも言えない秘密(2)
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「…………この映画、泣くとこあった?」
深夜1時。ソファを背もたれにしながら映画を見て号泣する泉くんに、私はちょっとついていけなかった。
確かに先程まで見ていた映画は、母親の出産とそれに伴う死をキッカケに少しずつ崩壊していく父娘の苦悩と葛藤、絆を描いた感動の物語だったのだが……。
「理解できないわ」
何故そこまで泣けるのか。私は逆に、この映画を見ても『ほらほら、泣けよ。こういうのが好きなんだろ?』と言われているように感じて白けてしまったのに。
私は洗面所に立ち、タオルを一枚手に取った。
「うん。さすがの肌触り」
昔はどれもガシガシだったのに、あずさがアシスタントとして家事をしに来てくれるようになってから、タオルはどれもふかふかだ。
「ほれ。これで涙拭きな」
「ありがとうございます。うう……。ふかふかだぁ」
「泣きすぎよ。相変わらず涙脆いのね」
「だって母親の命と引き換えに生まれてきた妹を拒絶していたお姉ちゃんが、最終的には妹を受け入れてくれて、自ら進んでお世話までし始めて……。ああ、ハッピーエンドで良かったーって思ったら涙が止まらなくて……」
泉くんはタオルでゴシゴシと目元を擦り、心底安堵したようにニコッと笑った。やはり笑顔が可愛い。次回作のヒーローはわんこ系男子にしよう。私はすぐさま手帳を開き、メモを取った。
しかしまあ……、ハッピーエンド?
「これ、どちらかというとバッドエンドじゃない?」
私は首を傾げ、泉くんを見下ろす。すると泉くんも同じように私を見上げて首を傾げた。
「え、バッドエンド?」
「うん。だってお姉ちゃんはこれからヤングケアラーになることが必至じゃん?」
「ヤングケアラーって、妹のお世話をしなきゃならないってことですか?」
「そう。状況的にね」
「んん?」
「え、だって、この父親は頼れる親戚が近くにいない上に、遠方に住む自分の両親に子どもを預けることをしなかったでしょ?わざわざ色んな人が提案してくれたのに、一人で頑張るって意地を張って、この父親は誰の手も取らなかった」
「それ……、確かにそうですけど」
「でも当の本人は今まで家事育児にノータッチだったから何も出来ないじゃない?で、最後のシーンでは結局、10歳の姉が今までのお手伝いで身につけたスキルを使って料理やら洗濯やらをしてた。お父さんは家族で助け合ってるみたいなことを言ってたけど、家事は本当に10歳の女の子の仕事なの?」
「でも、そこは女の子だから」
「家事するのに男とか女とか関係なくない?」
「関係は……、ないです。はい」
「でしょ?大体、このお姉ちゃんは10歳の子どもだよ?泉くんは10歳の時、家事なんてしてた?してもお手伝いくらいじゃない?」
「うう。はい……」
「10歳の女の子がお手伝い以上の家事を請け負うことになってるのに、それで助け合い?家族の絆?私に言わせれば、冗談じゃないわって感じだよ」
大好きだった母の死を受け入れられず、妹をいらないと言てしまった娘にお父さんは『そんなことを言う奴は家族じゃない』と発言した。
咄嗟に口をついて出た言葉だろうが、一度口から出た言葉はもう戻せない。あの父親は母親の死で傷ついた10歳の娘の心に寄り添うことをせず、追い打ちをかけるようにさらに傷を与えた。
その発言の後、父親は娘を強く抱きしめ、小賢しく綺麗な言葉を並べて娘を諭していたが、あの父親が言ったことを要約すると、つまりはそういうことだろう。
ーーー母の命と引き換えに現れた妹を受け入れなければ家族じゃない。
こんなことを言われたら、あの子はきっと自分の居場所を守るために妹に優しくするしかなくなる。
「子どもは大人が思っているより、色んなことを知っているし、色んなことを考えてるものよ。だから、本心では受け入れられなくても父親がそう望んでいるからという理由だけで、いらないと言った妹を受け入れることもできるの」
「そんな……」
「そして自分の気持ちを押し殺した姉は笑顔で妹の世話を焼く。父親はその姿に安心して、妹を姉に任せる。けれど押し殺したはずの気持ちは実はまだ心の奥深くで生きていて、日々の疲労と共にじわじわと表に顔を出す。そうして、日常の中にある些細なきっかけで爆発するの。そうなったとき、姉は妹を傷つけるわ。んで、妹を傷つけた姉をあの父親が罵り………、バッドエンド」
「千景さん……」
「……ふふっ。なーんてね。考えすぎかな」
私と違い、泣かなきゃいけないところでちゃんと泣ける純粋で優しい子に何言ってるんだろう。私は自分の言動がおかしくて私は苦笑した。
「ごめんね、変な話して」
少し感情移入しすぎたかもしれない。私は笑顔で誤魔化し、リビングのローテーブルに広げたポテトチップスの袋を片付け始めた。
すると何故か泉くんはソッと私の手に触れた。
「ん?何?」
「やっぱり、千景さんって意外と繊細なところありますよね」
「え?そう?」
「繊細な心がなきゃ、そんな考察できませんよ」
「そう、かな?」
「……僕、千景さんのことをずっと誤解していたように思うんです」
「い、泉くん?」
泉くんは切なげに目を細め、私の手に指を絡める。
その手の体温はとても高くて、私の体まで熱くなった。
「あの、泉くん。手を離し……」
「2年前、僕は振られるまであなたのことを豪快で強い人だと思ってました。芯がしっかりしていて、揺るがない強さを持っていて、怖いもの知らずで……。僕はそんなあなたに憧れていました」
弱くて臆病な自分にはない強さに憧れた。前を歩く背中は頼り甲斐があって、どうしようもなく惹かれた。この人に一生ついていきたいと思った。
そう語る泉くんは自嘲するようにフッと息を漏らした。
「だから気づかなかったんです。別れ話を切り出したあなたの涙を見るまで……。千景さんだって無敵なわけじゃないんだって。この人は強いんじゃない。笑顔で弱さを隠しているだけなんだって」
「泉くん……」
苦しそうに顔を歪める泉くんを見て、私は胸が締め付けられた。
悪いこと、したなぁ。
別れ話の時、私は泉くんに対して『君といるとつらい』とだけ伝え、それ以上は何も言わずにただ泣いていた。泉くんの意見など何も聞かず、ただ一方的に突き放した。
あの時のことは今でも鮮明に覚えている。わけもわからず、突然別れを切り出された彼はとても困惑した表情をしていた。
ああ、私はどうして泣いたりなんかしたんだろう。
あの涙一つが、一人の男の子を2年も苦しめいてた。
「ごめん。ごめんね、泉くん。もしかして、ずっと悩ませてた?」
「そんなんじゃないです。ただ、もし僕がもっと頼りになる男だったら、千景さんはあんな苦しそうな顔して別れようななんて言わなかったんじゃないかなと思って」
「……それは、ちがうよ。泉くんが頼りにならないとかそういうんじゃないんだよ。本当にただ私の都合。私の勝手で別れただけ」
「じゃあ、その都合って何ですか?」
泉くんはジッと私の目を見据える。
こちらの心を探るような鋭い瞳に、私の心臓はドクンと跳ねた。いつもなら、こういう視線からは目を逸らすのに何故か今日は逸らせない。
どうしよう。
言えない。言いたくない。嫌われたくない。
私は逃げるように泉くんの手を解こうとした。
けれど、泉くんは逃すものかと、強引に私を抱き寄せた。
「ちょ……!?」
「僕、千景さんが好きです」
「泉くん、離して」
「この2年間、僕は千景さんのこと忘れたことなかった。再会できたのは偶然でしたけど、同時に運命だとも思いました。僕はやっぱり、どうしたってあなたが好きです」
「や、やめてよ。ど直球に告白するの……。恥ずかしい」
「こういうのは回りくどく言ってもしかたないので」
泉くんは恋人に触れるみたいに私の腰を強く抱き寄せ、首筋にキスを落とした。
「な、何して……!」
「嫌ならちゃんと拒否して」
「……っ!」
「千景さん。好きです」
揺るぎない、純粋でまっすぐな瞳が私を射抜く。
ダメだ。ダメだダメだダメだ。
絆されそう。
「ねえ、僕のこと嫌いになったわけじゃないんでしょ?」
「それは……」
「好きじゃなくていいから。嫌いじゃないなら受け入れて」
泉くんの顔が近づく。でも彼は誠実なので、許可が出るまでは決して唇にキスはしない。
「お願い。千景さん……」
泉くんはソッと私の頬に手を触れ、そして強請るように親指の腹で唇をなぞる。
私は体中に電離が走るような感覚を覚えた。
ダメだ。ダメなのに。
こんなに真っ直ぐな好意を向けられたのはいつぶりだろう。
愛に飢えているのかもしれない。
私は気がつくと、目を閉じていた。
深夜1時。ソファを背もたれにしながら映画を見て号泣する泉くんに、私はちょっとついていけなかった。
確かに先程まで見ていた映画は、母親の出産とそれに伴う死をキッカケに少しずつ崩壊していく父娘の苦悩と葛藤、絆を描いた感動の物語だったのだが……。
「理解できないわ」
何故そこまで泣けるのか。私は逆に、この映画を見ても『ほらほら、泣けよ。こういうのが好きなんだろ?』と言われているように感じて白けてしまったのに。
私は洗面所に立ち、タオルを一枚手に取った。
「うん。さすがの肌触り」
昔はどれもガシガシだったのに、あずさがアシスタントとして家事をしに来てくれるようになってから、タオルはどれもふかふかだ。
「ほれ。これで涙拭きな」
「ありがとうございます。うう……。ふかふかだぁ」
「泣きすぎよ。相変わらず涙脆いのね」
「だって母親の命と引き換えに生まれてきた妹を拒絶していたお姉ちゃんが、最終的には妹を受け入れてくれて、自ら進んでお世話までし始めて……。ああ、ハッピーエンドで良かったーって思ったら涙が止まらなくて……」
泉くんはタオルでゴシゴシと目元を擦り、心底安堵したようにニコッと笑った。やはり笑顔が可愛い。次回作のヒーローはわんこ系男子にしよう。私はすぐさま手帳を開き、メモを取った。
しかしまあ……、ハッピーエンド?
「これ、どちらかというとバッドエンドじゃない?」
私は首を傾げ、泉くんを見下ろす。すると泉くんも同じように私を見上げて首を傾げた。
「え、バッドエンド?」
「うん。だってお姉ちゃんはこれからヤングケアラーになることが必至じゃん?」
「ヤングケアラーって、妹のお世話をしなきゃならないってことですか?」
「そう。状況的にね」
「んん?」
「え、だって、この父親は頼れる親戚が近くにいない上に、遠方に住む自分の両親に子どもを預けることをしなかったでしょ?わざわざ色んな人が提案してくれたのに、一人で頑張るって意地を張って、この父親は誰の手も取らなかった」
「それ……、確かにそうですけど」
「でも当の本人は今まで家事育児にノータッチだったから何も出来ないじゃない?で、最後のシーンでは結局、10歳の姉が今までのお手伝いで身につけたスキルを使って料理やら洗濯やらをしてた。お父さんは家族で助け合ってるみたいなことを言ってたけど、家事は本当に10歳の女の子の仕事なの?」
「でも、そこは女の子だから」
「家事するのに男とか女とか関係なくない?」
「関係は……、ないです。はい」
「でしょ?大体、このお姉ちゃんは10歳の子どもだよ?泉くんは10歳の時、家事なんてしてた?してもお手伝いくらいじゃない?」
「うう。はい……」
「10歳の女の子がお手伝い以上の家事を請け負うことになってるのに、それで助け合い?家族の絆?私に言わせれば、冗談じゃないわって感じだよ」
大好きだった母の死を受け入れられず、妹をいらないと言てしまった娘にお父さんは『そんなことを言う奴は家族じゃない』と発言した。
咄嗟に口をついて出た言葉だろうが、一度口から出た言葉はもう戻せない。あの父親は母親の死で傷ついた10歳の娘の心に寄り添うことをせず、追い打ちをかけるようにさらに傷を与えた。
その発言の後、父親は娘を強く抱きしめ、小賢しく綺麗な言葉を並べて娘を諭していたが、あの父親が言ったことを要約すると、つまりはそういうことだろう。
ーーー母の命と引き換えに現れた妹を受け入れなければ家族じゃない。
こんなことを言われたら、あの子はきっと自分の居場所を守るために妹に優しくするしかなくなる。
「子どもは大人が思っているより、色んなことを知っているし、色んなことを考えてるものよ。だから、本心では受け入れられなくても父親がそう望んでいるからという理由だけで、いらないと言った妹を受け入れることもできるの」
「そんな……」
「そして自分の気持ちを押し殺した姉は笑顔で妹の世話を焼く。父親はその姿に安心して、妹を姉に任せる。けれど押し殺したはずの気持ちは実はまだ心の奥深くで生きていて、日々の疲労と共にじわじわと表に顔を出す。そうして、日常の中にある些細なきっかけで爆発するの。そうなったとき、姉は妹を傷つけるわ。んで、妹を傷つけた姉をあの父親が罵り………、バッドエンド」
「千景さん……」
「……ふふっ。なーんてね。考えすぎかな」
私と違い、泣かなきゃいけないところでちゃんと泣ける純粋で優しい子に何言ってるんだろう。私は自分の言動がおかしくて私は苦笑した。
「ごめんね、変な話して」
少し感情移入しすぎたかもしれない。私は笑顔で誤魔化し、リビングのローテーブルに広げたポテトチップスの袋を片付け始めた。
すると何故か泉くんはソッと私の手に触れた。
「ん?何?」
「やっぱり、千景さんって意外と繊細なところありますよね」
「え?そう?」
「繊細な心がなきゃ、そんな考察できませんよ」
「そう、かな?」
「……僕、千景さんのことをずっと誤解していたように思うんです」
「い、泉くん?」
泉くんは切なげに目を細め、私の手に指を絡める。
その手の体温はとても高くて、私の体まで熱くなった。
「あの、泉くん。手を離し……」
「2年前、僕は振られるまであなたのことを豪快で強い人だと思ってました。芯がしっかりしていて、揺るがない強さを持っていて、怖いもの知らずで……。僕はそんなあなたに憧れていました」
弱くて臆病な自分にはない強さに憧れた。前を歩く背中は頼り甲斐があって、どうしようもなく惹かれた。この人に一生ついていきたいと思った。
そう語る泉くんは自嘲するようにフッと息を漏らした。
「だから気づかなかったんです。別れ話を切り出したあなたの涙を見るまで……。千景さんだって無敵なわけじゃないんだって。この人は強いんじゃない。笑顔で弱さを隠しているだけなんだって」
「泉くん……」
苦しそうに顔を歪める泉くんを見て、私は胸が締め付けられた。
悪いこと、したなぁ。
別れ話の時、私は泉くんに対して『君といるとつらい』とだけ伝え、それ以上は何も言わずにただ泣いていた。泉くんの意見など何も聞かず、ただ一方的に突き放した。
あの時のことは今でも鮮明に覚えている。わけもわからず、突然別れを切り出された彼はとても困惑した表情をしていた。
ああ、私はどうして泣いたりなんかしたんだろう。
あの涙一つが、一人の男の子を2年も苦しめいてた。
「ごめん。ごめんね、泉くん。もしかして、ずっと悩ませてた?」
「そんなんじゃないです。ただ、もし僕がもっと頼りになる男だったら、千景さんはあんな苦しそうな顔して別れようななんて言わなかったんじゃないかなと思って」
「……それは、ちがうよ。泉くんが頼りにならないとかそういうんじゃないんだよ。本当にただ私の都合。私の勝手で別れただけ」
「じゃあ、その都合って何ですか?」
泉くんはジッと私の目を見据える。
こちらの心を探るような鋭い瞳に、私の心臓はドクンと跳ねた。いつもなら、こういう視線からは目を逸らすのに何故か今日は逸らせない。
どうしよう。
言えない。言いたくない。嫌われたくない。
私は逃げるように泉くんの手を解こうとした。
けれど、泉くんは逃すものかと、強引に私を抱き寄せた。
「ちょ……!?」
「僕、千景さんが好きです」
「泉くん、離して」
「この2年間、僕は千景さんのこと忘れたことなかった。再会できたのは偶然でしたけど、同時に運命だとも思いました。僕はやっぱり、どうしたってあなたが好きです」
「や、やめてよ。ど直球に告白するの……。恥ずかしい」
「こういうのは回りくどく言ってもしかたないので」
泉くんは恋人に触れるみたいに私の腰を強く抱き寄せ、首筋にキスを落とした。
「な、何して……!」
「嫌ならちゃんと拒否して」
「……っ!」
「千景さん。好きです」
揺るぎない、純粋でまっすぐな瞳が私を射抜く。
ダメだ。ダメだダメだダメだ。
絆されそう。
「ねえ、僕のこと嫌いになったわけじゃないんでしょ?」
「それは……」
「好きじゃなくていいから。嫌いじゃないなら受け入れて」
泉くんの顔が近づく。でも彼は誠実なので、許可が出るまでは決して唇にキスはしない。
「お願い。千景さん……」
泉くんはソッと私の頬に手を触れ、そして強請るように親指の腹で唇をなぞる。
私は体中に電離が走るような感覚を覚えた。
ダメだ。ダメなのに。
こんなに真っ直ぐな好意を向けられたのはいつぶりだろう。
愛に飢えているのかもしれない。
私は気がつくと、目を閉じていた。
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