【完結】シャーロットを侮ってはいけない

七瀬菜々

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シャーロットを侮ってはいけない

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 ルーカスは侯爵家の養子であった。
 侯爵の親友だったルーカスの両親が不慮の事故で亡くなったため、彼を養子として迎え入れたのだ。

 ルーカスが侯爵家の屋敷に来たのは、彼が10歳、シャーロットが7歳の時だった。

 当時、貴族女性として、マナーやダンスのレッスンを始めたばかりだったシャーロットは、今まで自由に振舞うことが許されていた暮らしから一変して、いきなり窮屈になった生活に戸惑っていた。

 そんな中、突然やってきた義兄。

 シャーロットはいきなり侯爵家の人間として厳しい教育を受けることになったルーカスに同情し、そして哀れんだ。
 しかし、当のルーカスは弱音を吐かず、厳しい教育に黙って耐えた。
 自分に求められる役目を果たそうと、必死にしがみつくその姿にシャーロットは強く惹かれた。

 そこから彼女は心を入れ替え、兄となったルーカスに恥じることのない立派な淑女になれるよう努力した。

 成長するとともにルーカスへの恋心は増していったが、同時に、義兄となった彼との恋が叶わない事も理解していった。
 シャーロットはルーカスへの想いを胸に秘め、いつかこの恋を忘れられる日が来ることを願っていた。


 あの日までは…。
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