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第一部
25:告白(2)
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昼間、妹に言われたせいだろうか。それとも自分の我慢とか葛藤が無駄だったとわかったせいだろうか。
思い切りタガが外れたジャスパーは翌朝、洗面で顔を洗いながら鏡に映る自分を見て少し後悔していた。
「いや、何をしてるんだよ。俺…」
別にモニカがノアのことを好きじゃなかろうと、モニカとジャスパーの間にある絶対的な身分の壁とかが無くなったわけではない。
そして現状では彼女はもうすぐノアと結婚する。それは決定事項だし、そうなることは彼らにとってもジャスパーにとっても必要なことだ。
それなのにこんな大事な時期に自分を意識させるようなことを言って…。
もしモニカが本当に自分を意識してしまったら?
もし意識していることが周りにバレてノアとの婚約に支障が出てしまったら?
最終的に、モニカが自分と婚約したいからノアとの婚約を解消するとか言い出したら?
「それはそれでまずい…」
ジャスパーはどうしようかと本気で悩んだ。
しかし、どうしようなんて言いながら、彼は今朝の彼女の反応を少し楽しみにしている自分がいるのもまた事実。
明らかにモニカが自分のことを好きになる前提で物事を考えている辺り、彼自身も少し浮かれているのかもしれない。
「よしっ」
ジャスパーはいつもより念入りに身支度をして、ダイニングの扉を開けた。
「おはようございま…」
「遅い!」
扉を開けると、すでに朝食を用意し終えているモニカが腕を組んで立っていた。
どうやらかなり怒っているらしい。ジャスパーはふと、カレンダーを見た。
そこには紫の印が書かれている。
「あ…」
「今日の朝食当番はあなたでしょ!」
「すみません…」
浮かれていた彼は朝食当番のことを失念していたらしい。苦笑いを浮かべて謝る彼に、モニカは結局間に合わないから自分で用意したと憤慨する。
ーーー普通だ。
昨夜はあんなに顔を赤くしていたのに、今朝のモニカもいつも通りのモニカだ。
早く座れと促されてとりあえず椅子に座ったが、どこからどう見てもモニカは普通だった。
(…あれ?もしかして昨夜のことって俺の妄想?)
長年の恋煩いがたたって自分に都合の良い妄想を作り出したのかもしれない。
あまりに普通に接してくる彼女に、ジャスパーは段々と自信がなくなってきた。
「あの、姫様…」
「何?」
「昨日、俺ってノア様と夕食を共に食べましたよね?」
「そうね?」
「ノア様の恋人ってブライアンさんでしたっけ?」
「そうよ?」
「姫様とノア様は嫁いで3年後に離婚する予定なんですよね」
「ええ」
「俺って昨日姫様に告白しましたよね?」
ジャスパーは様子を伺いながら、恐る恐る尋ねた。
これで『何の話か』と返されたら病院へ行こう、そう思っていた。
しかし…。
モニカはポロっと手に持っていたサンドイッチを落とし、見る見るうちに顔を赤くした。
(あ、よかった。妄想ではないらしい…)
どうやら無理に平静を装っていただけのようだ。彼女のわかりやすい反応にジャスパーはホッと胸を撫で下ろした。
一方で、口をパクパクと動かし、抗議の目を向けてくるモニカ。
だが、何かを言いたそうにしているが何を言えば良いのか分からず言葉が出てこないらしい。
(可愛い…)
ジャスパーは一人あたふたするモニカを眺めながら、朝食をかき込んだ。
思い切りタガが外れたジャスパーは翌朝、洗面で顔を洗いながら鏡に映る自分を見て少し後悔していた。
「いや、何をしてるんだよ。俺…」
別にモニカがノアのことを好きじゃなかろうと、モニカとジャスパーの間にある絶対的な身分の壁とかが無くなったわけではない。
そして現状では彼女はもうすぐノアと結婚する。それは決定事項だし、そうなることは彼らにとってもジャスパーにとっても必要なことだ。
それなのにこんな大事な時期に自分を意識させるようなことを言って…。
もしモニカが本当に自分を意識してしまったら?
もし意識していることが周りにバレてノアとの婚約に支障が出てしまったら?
最終的に、モニカが自分と婚約したいからノアとの婚約を解消するとか言い出したら?
「それはそれでまずい…」
ジャスパーはどうしようかと本気で悩んだ。
しかし、どうしようなんて言いながら、彼は今朝の彼女の反応を少し楽しみにしている自分がいるのもまた事実。
明らかにモニカが自分のことを好きになる前提で物事を考えている辺り、彼自身も少し浮かれているのかもしれない。
「よしっ」
ジャスパーはいつもより念入りに身支度をして、ダイニングの扉を開けた。
「おはようございま…」
「遅い!」
扉を開けると、すでに朝食を用意し終えているモニカが腕を組んで立っていた。
どうやらかなり怒っているらしい。ジャスパーはふと、カレンダーを見た。
そこには紫の印が書かれている。
「あ…」
「今日の朝食当番はあなたでしょ!」
「すみません…」
浮かれていた彼は朝食当番のことを失念していたらしい。苦笑いを浮かべて謝る彼に、モニカは結局間に合わないから自分で用意したと憤慨する。
ーーー普通だ。
昨夜はあんなに顔を赤くしていたのに、今朝のモニカもいつも通りのモニカだ。
早く座れと促されてとりあえず椅子に座ったが、どこからどう見てもモニカは普通だった。
(…あれ?もしかして昨夜のことって俺の妄想?)
長年の恋煩いがたたって自分に都合の良い妄想を作り出したのかもしれない。
あまりに普通に接してくる彼女に、ジャスパーは段々と自信がなくなってきた。
「あの、姫様…」
「何?」
「昨日、俺ってノア様と夕食を共に食べましたよね?」
「そうね?」
「ノア様の恋人ってブライアンさんでしたっけ?」
「そうよ?」
「姫様とノア様は嫁いで3年後に離婚する予定なんですよね」
「ええ」
「俺って昨日姫様に告白しましたよね?」
ジャスパーは様子を伺いながら、恐る恐る尋ねた。
これで『何の話か』と返されたら病院へ行こう、そう思っていた。
しかし…。
モニカはポロっと手に持っていたサンドイッチを落とし、見る見るうちに顔を赤くした。
(あ、よかった。妄想ではないらしい…)
どうやら無理に平静を装っていただけのようだ。彼女のわかりやすい反応にジャスパーはホッと胸を撫で下ろした。
一方で、口をパクパクと動かし、抗議の目を向けてくるモニカ。
だが、何かを言いたそうにしているが何を言えば良いのか分からず言葉が出てこないらしい。
(可愛い…)
ジャスパーは一人あたふたするモニカを眺めながら、朝食をかき込んだ。
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