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第二部
27:一年半後には
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嬉しくて仕方がないジャスパーはあの後、とりあえずモニカを押し倒して小一時間ほどその可愛らしいピンクの唇を貪ったらしい。
おかげでまたキス禁止令が出たことは言うまでもない。
「もう少し躾けたほうがいいんじゃねーの?お前の犬」
待てもできないなど、そこらへんの飼い犬以下だ。
ブライアンはモニカをモデルに絵を描きながら、呆れたようにつぶやいた。
「でも何だか可愛くない?私のこと大好きなの」
「…お前も大概毒されてるな」
「そうかしら」
「そうだよ」
あの重い男の重い行動を『可愛い』の片付けてしまえるのだから、大したお姫様だ。
指輪を眺めては、だらしなく口元をニヤケさせるモニカの姿を見て、ブライアンはなんとも言えない気持ちになった。
「まあ、幸せならいいと思いますよ…。うん」
「何よ、その言い方」
「別に。少し羨ましいなと思っただけだ」
「ブライアンも指輪欲しいの?」
「…何か証みたいな物は欲しいと思う…こともある」
「おねだりしてみたら?」
「できるかよ」
「どうして?」
「サラッと買ってきそうじゃん。あいつ」
「まあ、確かに」
「そしてその指輪はきっと、俺が必死で稼いでる金額なんて余裕で超えるくらいの物だ」
「…間違いないわね」
「多分、惨めになるから素直に受け取れない」
身分や財力の差にコンプレックスを感じているブライアンはなかなか素直になれないらしい。
ジャスパーなら彼の気持ちを少しは理解してあげられるのだろうが、一応帝国のお姫様であるモニカにはいまいちわからない感覚だ。
「気にすることないと思うけれど」
「俺は小さい男だから気になるの」
「ノア様はおねだりされたら嬉しいと思うよ?」
「それがわかるから余計になんか嫌なんだよ」
「ふーん、よくわかんない」
「男心は複雑なの」
彼は不貞腐れたように口を尖らせながら、止まっていた筆を動かし始めた。
圧倒的にデレの足りないツンデレな恋人を持つノアも大変だとモニカは思う。
「あ!」
「…何?」
「この後、奥の部屋見せてよ」
「…は?」
「ノア様部屋、あるんでしょ?」
唐突にノアの絵が大量に置いてある部屋を見せて欲しいと言うモニカに、ブライアンは動揺のあまり筆を落とした。
そしてみるみるうちに顔が茹で蛸のように赤く染まっていく。
「な、なぜ知っている!?」
「今朝、ジャスパーから聞いた」
「はぁ!?」
「多分、ノア様の耳にも入ってると思う」
彼女曰く、ジャスパーは今、その情報と交換でキス禁止令を解いてもらおうとしているらしい。
ブライアンは口止めしておけばよかったと心の底から後悔した。
「たまには素直になってみたら?」
「うるせぇ」
「ノア様は私と離婚したら、何が何でもブライアンを本邸に呼び寄せるつもりで準備してるわよ?」
「俺は行かない」
「もう無理じゃない?最近ジャスパーに触発されたのか、ちょっと強引になってきてるし。ブライアンもそう思うでしょ?」
「…めっちゃ思う」
ここ最近のノアは、ブライアンを屋敷に囲おうとする動きが顕著だ。
ジャスパー・オーウェンは本当に人に悪影響しか及ぼさない。彼は『だからあの男は嫌いなんだ』と舌打ちした。
「嫌なら本気で拒否したほうがいいと思うけど、私はブライアンは流されると思う」
モニカは落ちた筆を拾うと、ニヤリと口角を上げてそれをブライアンに手渡す。
自分とて流されてしまう結果になることを薄々感じている彼は、『うるせぇ』と小さくつぶやいた。
「ノア様が行動に移すまでに、後一年半はあるからちゃんと心の準備しておいたほうがいいわ」
「…わかってる」
「あとさ、すごく言いづらいんだけど、もう少しで迎えの時間でしょ?」
「ああ」
「ジャスパーからノア様部屋の話聞いたのなら、あの方は押しかけてくると思う」
彼の性格を考えると、それは大いにあり得る展開だ。
モニカの指摘にブライアンは急いで奥の部屋へと向かった。
しかし時すでに遅し。チャイムと同時にアパートの扉が開く。
満面の笑みでアパートに押し入ってきたノアはブライアンに飛びついたそうだ。
モニカはそんな彼らをを満足げな顔で数秒眺めたのち、そのまま放置してアパートを出た。
その手に出ると待っていたのは彼女の騎士、ジャスパー・オーウェン。
彼はモニカの顔を見るなり、嬉しいそうにつぶやいた。
「姫様のお節介」
「だって、焦ったいんだもの」
ブライアンは少し素直になったほうがいいとモニカは笑った。
おかげでまたキス禁止令が出たことは言うまでもない。
「もう少し躾けたほうがいいんじゃねーの?お前の犬」
待てもできないなど、そこらへんの飼い犬以下だ。
ブライアンはモニカをモデルに絵を描きながら、呆れたようにつぶやいた。
「でも何だか可愛くない?私のこと大好きなの」
「…お前も大概毒されてるな」
「そうかしら」
「そうだよ」
あの重い男の重い行動を『可愛い』の片付けてしまえるのだから、大したお姫様だ。
指輪を眺めては、だらしなく口元をニヤケさせるモニカの姿を見て、ブライアンはなんとも言えない気持ちになった。
「まあ、幸せならいいと思いますよ…。うん」
「何よ、その言い方」
「別に。少し羨ましいなと思っただけだ」
「ブライアンも指輪欲しいの?」
「…何か証みたいな物は欲しいと思う…こともある」
「おねだりしてみたら?」
「できるかよ」
「どうして?」
「サラッと買ってきそうじゃん。あいつ」
「まあ、確かに」
「そしてその指輪はきっと、俺が必死で稼いでる金額なんて余裕で超えるくらいの物だ」
「…間違いないわね」
「多分、惨めになるから素直に受け取れない」
身分や財力の差にコンプレックスを感じているブライアンはなかなか素直になれないらしい。
ジャスパーなら彼の気持ちを少しは理解してあげられるのだろうが、一応帝国のお姫様であるモニカにはいまいちわからない感覚だ。
「気にすることないと思うけれど」
「俺は小さい男だから気になるの」
「ノア様はおねだりされたら嬉しいと思うよ?」
「それがわかるから余計になんか嫌なんだよ」
「ふーん、よくわかんない」
「男心は複雑なの」
彼は不貞腐れたように口を尖らせながら、止まっていた筆を動かし始めた。
圧倒的にデレの足りないツンデレな恋人を持つノアも大変だとモニカは思う。
「あ!」
「…何?」
「この後、奥の部屋見せてよ」
「…は?」
「ノア様部屋、あるんでしょ?」
唐突にノアの絵が大量に置いてある部屋を見せて欲しいと言うモニカに、ブライアンは動揺のあまり筆を落とした。
そしてみるみるうちに顔が茹で蛸のように赤く染まっていく。
「な、なぜ知っている!?」
「今朝、ジャスパーから聞いた」
「はぁ!?」
「多分、ノア様の耳にも入ってると思う」
彼女曰く、ジャスパーは今、その情報と交換でキス禁止令を解いてもらおうとしているらしい。
ブライアンは口止めしておけばよかったと心の底から後悔した。
「たまには素直になってみたら?」
「うるせぇ」
「ノア様は私と離婚したら、何が何でもブライアンを本邸に呼び寄せるつもりで準備してるわよ?」
「俺は行かない」
「もう無理じゃない?最近ジャスパーに触発されたのか、ちょっと強引になってきてるし。ブライアンもそう思うでしょ?」
「…めっちゃ思う」
ここ最近のノアは、ブライアンを屋敷に囲おうとする動きが顕著だ。
ジャスパー・オーウェンは本当に人に悪影響しか及ぼさない。彼は『だからあの男は嫌いなんだ』と舌打ちした。
「嫌なら本気で拒否したほうがいいと思うけど、私はブライアンは流されると思う」
モニカは落ちた筆を拾うと、ニヤリと口角を上げてそれをブライアンに手渡す。
自分とて流されてしまう結果になることを薄々感じている彼は、『うるせぇ』と小さくつぶやいた。
「ノア様が行動に移すまでに、後一年半はあるからちゃんと心の準備しておいたほうがいいわ」
「…わかってる」
「あとさ、すごく言いづらいんだけど、もう少しで迎えの時間でしょ?」
「ああ」
「ジャスパーからノア様部屋の話聞いたのなら、あの方は押しかけてくると思う」
彼の性格を考えると、それは大いにあり得る展開だ。
モニカの指摘にブライアンは急いで奥の部屋へと向かった。
しかし時すでに遅し。チャイムと同時にアパートの扉が開く。
満面の笑みでアパートに押し入ってきたノアはブライアンに飛びついたそうだ。
モニカはそんな彼らをを満足げな顔で数秒眺めたのち、そのまま放置してアパートを出た。
その手に出ると待っていたのは彼女の騎士、ジャスパー・オーウェン。
彼はモニカの顔を見るなり、嬉しいそうにつぶやいた。
「姫様のお節介」
「だって、焦ったいんだもの」
ブライアンは少し素直になったほうがいいとモニカは笑った。
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