【完結】妹など、断じて好きじゃない

七瀬菜々

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3:ドジっ子系妹

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 妹が現実リアルだと可愛くない事例はまだまだあるぞ。

 例えば、ドジっ子系妹。

 あれはダメだ。ほんとダメだ。何がダメって、物理的に危ない。
 料理を一緒にしようものなら『痛っ!お兄ちゃん、指切っちゃた…』とか潤んだ目で見てくる。上目遣いだと尚悪い。
 そういう時の2次元の兄は、往々にして『もう全部お兄ちゃんに任せなさい』とか言い始めるがあれは本当にダメだ。ダメな女製造機だ。もう犯罪レベル。

 今の時代は男も料理をするから、別に出来なくても問題はないのだが、かといって苦手な事にチャレンジしようとした妹の意思を無視して、俺に任せとけ発言はいただけない。 
 そこは兄として、絆創膏を貼りながら、『一緒に頑張ろう』と成長しようとする妹の背中を押してやるのが正解だ。

 ちなみにこの時、間違えても指を舐めるみたいな、少女漫画のヒーローがやりそうなことをしてはいけない。
 あれは、傷口からばい菌が入るから、ほんとやめなさい。イケメンだろうと許されない行為だ。


 この点に関してみれば、俺の妹は優秀だ。
 見ろ、俺の妹を。
 車に乗り込んで早々に、ゲーム機を差し出してきて、


「はい」
「なんだこれ」
「ゲーム」
「見ればわかる」
「ミニゲームでポイント集めといて。ストーリーの方はやるから」
「なんで俺が?」
「私、ゲーム苦手なの」
「じゃあ、なんで買ったんだよ」
「ストーリー読みたくて」
「自分でやれよ。何が悲しくておっさんが乙女ゲーやらねばならんのだ」
「お兄ちゃん、ゲーム全般得意じゃん?私は乙女ゲーの選択肢だけはミスらないじゃん?分業制だよ。効率重視で行こう!」 

 とか、何か上手いこと言ってくる。
 そもそも、自分でクリアする気などさらさらない。
 チャレンジする気もない。故にドジも踏まない。
 そう、自分でできる範囲がわかっているから、ドジを踏む事もないのだ。実に優秀だ。

 あと、ゲームはちゃんと自分でバイトしたお金で購入している点はポイントが高い。
 集る系妹でなくて良かったと心底思う。
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