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「始まり、そして旅立ち」1
ミシェル11
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ガヤガヤガヤガヤ、ワイワイワイ………
中等学校三年のある二校対抗試合の打ち上げ。ニッシュが初めて中将に抜擢されて、見事な勝利を飾った時の打ち上げ。その時の打ち上げは団体戦で劇的な勝利を挙げたせいか、いつもより盛り上がっていた。団体戦は学校の学年によってチームが決まっていて、私達は同じ中等学校三年の主力メンバーとして和気あいあいとしていた。
「いやぁ、今日は凄かったな!!勝ったやつも負けたやつも、みんないい試合をしてたよな!」
「先鋒のジェイクがあとちょっと、っていうところで負けたときは、このままずるずる負けちゃうんじゃないか、って思っちゃったわよね」
「次鋒のレイチェルは、本当によく粘ったよな。あれだけ攻められて、受けきってポイントで上回ったのは、正直感嘆するよ」
「あら、私は自分の実力を出し切ったまでよ。かなり手こずったけどね。私より、やっぱりミシェルが強いわ……相手の大将、あの学校の地区の中等学校の大会で優勝してたんでしょ?男の子相手に……同じ女性ながら、感心しちゃうわ!」
「私も、自分の実力を出し切ったまで。団体戦で勝ったのは、みんなが頑張ったからじゃない?」
「謙遜して!ミシェルは俺たちのレイピア術部の他に自宅の道場から、世界を叉に掛けて大人とも対戦してるんだぜ!しかもそんな中で優勝までしてる!!やっぱりミシェルがいるからうちのレイピア術部はあるんだ!よ、大将!!」
みんなから、ヒューヒューと拍手喝采が起こる。私は恥ずかしかったけれど、ちょっと嬉しい気持ちでもいた。ニッシュはそんな私を微笑みながら見つめていた。
「でも……副将の、うちの部長のヴェイン、また負けちゃったわね。今回も、かなり頑張ってたけどな……」
「いいんだ!!俺は、みんながちゃんとレイピア術に打ち込んでもらえさえすれば!………でも、今回は俺もかなり頑張ったんだよな……相手が今までで一番!っていうほど強くて、俺、何度もくじけそうになった………でも、負けたけれど、今日のみんなのように、俺も今日はもの凄く、今までで一番っていうほどに頑張った!だから、俺はいいんだ!!みんなが笑顔でいるし、俺も笑っていたい!!」
「よ、部長!!」「よ、ヴェイン様!!」「よ、大統領!!」
みんなから部長であるヴェインにもヒューヒューという歓声が贈られる。ヴェイン部長は半ば泣きそうになっていた。
「みんな、忘れちゃいないか?二勝二敗じゃ勝ったことにならないぜ。今日こうやって打ち上げで笑っていられるのは、中将のニッシュがいるからだ!彼のおかげで今回はこうして勝って笑っていられるんだ!先鋒の俺なんて、今日のニッシュに比べたら全然なんでもないくらいだよ」
「ジェイク、だから、こうしてニッシュを最後に取っておいたんじゃないの。今日の主役は、ニッシュよ!!」
パチパチパチと拍手喝采が起こる。ニッシュは恥ずかしそうにして、それでいて前向きな表情で話し出した。
「みんな、ありがとう!俺から、みんなにちょっと言いたいことがあるんだ……実は、俺には今部の中に気になる人がいて……」
「なに!!ニッシュ、それは誰だ!部長の俺に隠し事をするのは良くないぞ、言え!レイチェルか?ミシェルか?誰なんだ!!」
「部長!!女性なんて言ってないじゃないですか!俺はその人のことを、人として……」
「なに!?ニッシュ、お前にそんな趣味があったのか?まぁ、悪いことではないがな………でも、俺達くらいの年ではまだ早くないか?……それに、俺は遠慮しておこう。好きなのは、ジェイクにしておくんだな」
「部長、何で俺なんですか」
ヴェイン部長とジェイクのやりとりにニッシュはからかわれたと思ったのかな、反論する。
「―――って、二人とも!そういうことじゃなくて!!俺はその人のことを、人として尊敬してるんです!!」
「まぁ、そんなこと、どっちでもいいか」
そんな話をしていたジェイクとヴェインにレイチェルはしびれを切らして、
「ちょっと、あなた達!そんな話をしてないで、ニッシュが何か話そうとしてるじゃないの!!もう、ニッシュの気持ちも考えてあげないとね……」
「ニッシュの気持ち?」
「ミシェル、あなたは心配しなくていいのよ……」
レイチェルの意味深な発言に私は?マークが飛び出したのだけれど。ニッシュは「では、」と話を進めだした。
「―――ああ、それでは改めて、俺から―――実は、俺は今部の中に―――すごく尊敬する人がいて、その人に刺激されて、俺は今レイピア部で―――自分なりに―――すごく頑張っています……それで……俺―――俺!前々からそんなことを考えていたんですが、今日の試合をして決心が固まりました!!……俺………俺!」
「なんだ?ニッシュ?もったいぶってないで、早く喋れ」
「ニッシュが頑張ってるんじゃないの。急かさないの!」
ヴェイン部長のぶっきらぼうな発言をレイチェルが窘める。
ニッシュは一気に喋った。
「俺、世界一のレイピア術使いになりたいんです!」
おおっ!!と、歓声が起こる。
「そっちか」
レイチェルはちょっと残念そうに呟いていた。私はニッシュの決意が固いことに感心していた。
「ニッシュ、そんな目標を持つなんて、すごいわ!!」
「俺……俺!!だから、まだ具体的なことは何も決まっていないんだけれど、いつか、いや、今からでも、その目標の為に努力していこうと思います!!だから、みんなにそれを表明して、俺の決意が固いって事を分かってもらって、その夢に向かって突き進んでいきます!応援、よろしくお願いします!!」
わぁー、わぁー!!ニッシュ、ニッシュ!と歓声が起こり、打ち上げは続いていった……
中等学校三年のある二校対抗試合の打ち上げ。ニッシュが初めて中将に抜擢されて、見事な勝利を飾った時の打ち上げ。その時の打ち上げは団体戦で劇的な勝利を挙げたせいか、いつもより盛り上がっていた。団体戦は学校の学年によってチームが決まっていて、私達は同じ中等学校三年の主力メンバーとして和気あいあいとしていた。
「いやぁ、今日は凄かったな!!勝ったやつも負けたやつも、みんないい試合をしてたよな!」
「先鋒のジェイクがあとちょっと、っていうところで負けたときは、このままずるずる負けちゃうんじゃないか、って思っちゃったわよね」
「次鋒のレイチェルは、本当によく粘ったよな。あれだけ攻められて、受けきってポイントで上回ったのは、正直感嘆するよ」
「あら、私は自分の実力を出し切ったまでよ。かなり手こずったけどね。私より、やっぱりミシェルが強いわ……相手の大将、あの学校の地区の中等学校の大会で優勝してたんでしょ?男の子相手に……同じ女性ながら、感心しちゃうわ!」
「私も、自分の実力を出し切ったまで。団体戦で勝ったのは、みんなが頑張ったからじゃない?」
「謙遜して!ミシェルは俺たちのレイピア術部の他に自宅の道場から、世界を叉に掛けて大人とも対戦してるんだぜ!しかもそんな中で優勝までしてる!!やっぱりミシェルがいるからうちのレイピア術部はあるんだ!よ、大将!!」
みんなから、ヒューヒューと拍手喝采が起こる。私は恥ずかしかったけれど、ちょっと嬉しい気持ちでもいた。ニッシュはそんな私を微笑みながら見つめていた。
「でも……副将の、うちの部長のヴェイン、また負けちゃったわね。今回も、かなり頑張ってたけどな……」
「いいんだ!!俺は、みんながちゃんとレイピア術に打ち込んでもらえさえすれば!………でも、今回は俺もかなり頑張ったんだよな……相手が今までで一番!っていうほど強くて、俺、何度もくじけそうになった………でも、負けたけれど、今日のみんなのように、俺も今日はもの凄く、今までで一番っていうほどに頑張った!だから、俺はいいんだ!!みんなが笑顔でいるし、俺も笑っていたい!!」
「よ、部長!!」「よ、ヴェイン様!!」「よ、大統領!!」
みんなから部長であるヴェインにもヒューヒューという歓声が贈られる。ヴェイン部長は半ば泣きそうになっていた。
「みんな、忘れちゃいないか?二勝二敗じゃ勝ったことにならないぜ。今日こうやって打ち上げで笑っていられるのは、中将のニッシュがいるからだ!彼のおかげで今回はこうして勝って笑っていられるんだ!先鋒の俺なんて、今日のニッシュに比べたら全然なんでもないくらいだよ」
「ジェイク、だから、こうしてニッシュを最後に取っておいたんじゃないの。今日の主役は、ニッシュよ!!」
パチパチパチと拍手喝采が起こる。ニッシュは恥ずかしそうにして、それでいて前向きな表情で話し出した。
「みんな、ありがとう!俺から、みんなにちょっと言いたいことがあるんだ……実は、俺には今部の中に気になる人がいて……」
「なに!!ニッシュ、それは誰だ!部長の俺に隠し事をするのは良くないぞ、言え!レイチェルか?ミシェルか?誰なんだ!!」
「部長!!女性なんて言ってないじゃないですか!俺はその人のことを、人として……」
「なに!?ニッシュ、お前にそんな趣味があったのか?まぁ、悪いことではないがな………でも、俺達くらいの年ではまだ早くないか?……それに、俺は遠慮しておこう。好きなのは、ジェイクにしておくんだな」
「部長、何で俺なんですか」
ヴェイン部長とジェイクのやりとりにニッシュはからかわれたと思ったのかな、反論する。
「―――って、二人とも!そういうことじゃなくて!!俺はその人のことを、人として尊敬してるんです!!」
「まぁ、そんなこと、どっちでもいいか」
そんな話をしていたジェイクとヴェインにレイチェルはしびれを切らして、
「ちょっと、あなた達!そんな話をしてないで、ニッシュが何か話そうとしてるじゃないの!!もう、ニッシュの気持ちも考えてあげないとね……」
「ニッシュの気持ち?」
「ミシェル、あなたは心配しなくていいのよ……」
レイチェルの意味深な発言に私は?マークが飛び出したのだけれど。ニッシュは「では、」と話を進めだした。
「―――ああ、それでは改めて、俺から―――実は、俺は今部の中に―――すごく尊敬する人がいて、その人に刺激されて、俺は今レイピア部で―――自分なりに―――すごく頑張っています……それで……俺―――俺!前々からそんなことを考えていたんですが、今日の試合をして決心が固まりました!!……俺………俺!」
「なんだ?ニッシュ?もったいぶってないで、早く喋れ」
「ニッシュが頑張ってるんじゃないの。急かさないの!」
ヴェイン部長のぶっきらぼうな発言をレイチェルが窘める。
ニッシュは一気に喋った。
「俺、世界一のレイピア術使いになりたいんです!」
おおっ!!と、歓声が起こる。
「そっちか」
レイチェルはちょっと残念そうに呟いていた。私はニッシュの決意が固いことに感心していた。
「ニッシュ、そんな目標を持つなんて、すごいわ!!」
「俺……俺!!だから、まだ具体的なことは何も決まっていないんだけれど、いつか、いや、今からでも、その目標の為に努力していこうと思います!!だから、みんなにそれを表明して、俺の決意が固いって事を分かってもらって、その夢に向かって突き進んでいきます!応援、よろしくお願いします!!」
わぁー、わぁー!!ニッシュ、ニッシュ!と歓声が起こり、打ち上げは続いていった……
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