のんあくしょん!

須江まさのり

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追いかけちゃってどうしよう……。

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 私はその言葉に頭が真っ白になって、ついつい相手を突き飛ばしてしまっていた。

――すると……。

 親切なロボットさんは、3メートルくらい吹き飛んで……。

 そこで〝ガッシャーン!〟と、盛大な音を立てて倒れてしまっていた……。

「え?」
 私は自分のしでかした事に自分で驚いてしまう。

 倒れたロボットさんは見るからに壊れていて、関節から煙を出している。

──あわわ、どうしよう。怒られる!?

 なんて思ったけど、ここまできたらもう後には引けない。

 うん。だって、先に野村君に怪我をさせたのはそっちなんだから、私は悪い事なんてしてない……はず。

「と、とにかくもう帰ってください! あなたはいい人なんだからこれ以上悪い事はしないで!!」

 混乱しまくり状態で、情緒不安定になってしまった私が涙目でそう叫ぶと、親切なロボットさんはギシギシと変な音を立てながら立ち上がり、どうしていいのかわからないまま身構えた私に背を向けて……。

 ガションガションと変な音を立てながら、言われた通りに去ってくれるのだった。

──うう。やっぱ、このロボットさんはいい人(?)だ……。壊しちゃってごめんなさい……。
 なんて、ちょっと自己嫌悪に陥りつつも、とにかく私は野村君を介抱するために倒れている彼の元へと駆け寄る。

「お……おい……。う、嘘だろ……」

 走り去るロボットさんを眺めながら、あっけにとられている野村君。

――とりあえず危険は去ったわけだし、この格好のままじゃさすがに恥ずかしいので変身を解除しようと思ったけれど、どうすればいいんだろう?

 でも、そんな心配は無用だったようで、私が心でそう思っただけで元の制服姿に戻ってくれた。

「の、野村君大丈夫? すぐに救急車を……あ、あれ? け、ケータイ忘れてる?」

 という感じで私があわわとしていると、惚けていた野村君ははっと我に返ったように言った。

「お、俺の事はいい、もう平気だ!」

――いやいや、全然平気そうじゃないんですけど……。だって、上体を起こすのがやっとで、立ち上がれもしないみたいだし。

 という事をどう言葉にしようかと悩んでいる私だったのだけど、野村君はまくしたてるように言う。

「それより、奴を追って止めを刺すんだ!」

「ええ?」

――止めって、そんな物騒な……。しかも、あんな人の良いロボットさんにそんな事は……?

 自分にそんな事が出来るという実感が無いのと、感情的にもそれはしたくないという、その指示には従わない方向での葛藤であたふたしている私に、倒れたままの野村君は言う。

「奴は君が変身するのを見ている! そして、あのロボットに攻撃を加えた所もだ! 奴がアジトに帰り着いてしまったら君の正体が悪の組織にバレてしまうぞ!!」

「うう……。そ、それは……色々とヤバいかも……」

 私にとっては、それはヤバいなんて言葉じゃ説明しきれないくらいただ事ではなかった。

「そうなる前に、あいつを倒してその記録を無き物にするしかない!! だから早く行くんだ!!」

「は、はいっ!」

 野村君にこうまで必死に言われてしまうと、嫌だというわけにもいかない。

 私は慌てながらも言われた通り、ロボットさんを追って走り出していた。

「お、おい……! へ、変身して行け……! そうすりゃすぐに追い付くから。おいってば……」

 もし変身していたならば、背後でそう叫んでいた野村君の声もそのスーツの機能で聞こえていたのかもしれないけれど……。私は、苦痛で声を張り上げる事もできない状況の中そう言ってい彼の言葉を完全に聞き逃していた……。


**

「えーん! なんでこーなるのぉ!?」
 私はロボットさんを追って、泣き言を呟きながら走り続けていた。

──これってつまり……私は正義のヒロインとかになっちゃったって事なの?

──そんなの……家族のみんなにも怒られる……!

──まあ、そりゃあ……野村君と一緒っていうのは、ちょっとだけ、いや、けっこう嬉しいけどさあ……。

「で、でもぉ~~!!」

 ロボットさんは、故障している筈なのにかなり足が速くって、必死に追いかけている私はどんどん引き離されてしまう。
 よく見ると、どうやらロボットさん。走りやすいように微妙に変形しているようだ……。

……羨ましい。
 私も走りやすいように変形してみたかった。

 だって、私は人間だから疲労や体力の限界ってものがあるのよ。

――ロボットさんは人が良いみたいから、『待って』と言えば、言うとおりにしてくれるかもしれないけど……。

 だけど……、もし追い付いたからって、あの親切なロボットさんを私が破壊なんてできるの?
 そんな決断が出来ていたら、こんな人生歩んでないよぉ!

「あーん! 帰っちゃってもいいから、私達の事は忘れてーー! おねがーーい!!」 

 山道に逃げてゆくロボットさんに、私はそう呼びかけながら最後の力を振り絞って走り続けるのだった……。
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