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第2話 猫ふんじゃった
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「ふぁっ」
デカいのだけが取り柄のベットの上で、おもっクソ欠伸をかまし、太い首筋をポリポリとかく。未だに酒臭い息を吐き散らしつつ、窓から入り込む細い朝日へ目をやる。
「そっか。昨晩は強姦った後、帰ってまた飲んだんだっけか」
――迷雨の森の中腹にあるこの家は、森の極一部を円形にくり抜いたみたいな中に建てていた。まだ冒険者ギルドに所属していたころ、金にモノを言わせて建てたものだ。
とはいえ平屋で三部屋分しかないこの家は、別に豪勢な造りでもなければ、貴重な建材や素材を使っているわけでもなかった。
魔物がたむろするこんな危険地帯へ、わざわざ資材を搬入して職人を酷使して急造しただけの話だ。
「喉が渇いた。水、水っと」
そして、こんな辺鄙な所を選んで建てた理由は二つあった。一つは単純に人嫌いなため、もう一つは腕試しのためだった。
こう見えて血の気の多い俺は、若い頃はそりゃもう、今に輪をかけてヤンチャだった。住み始めたころ、来襲してきた生物は分類を問わず片っ端から肉塊にしていた。それからしばらく、野盗だの山賊だの、魔物も魔獣も返り討ちにしていく内に、とうとう襲ってくるどころか、近寄る生物すらいなくなってしまった。
「腹減った」
上半身を起こし胡座をかく。昨晩の赤ワインと一緒に買ったニシンの塩漬けや山羊のクロタン(※チーズの一種)は、昨日の内に大半を食っちまってたらしい。
ガサゴソ、っと手近なラックを漁ると、以前ぶっ殺した大角鹿の肋肉から作った燻製肉が出てきた。
屋根裏から金貨と言わんばかりに、分厚い肉を歯で噛みちぎって咀嚼しつつ、残っていたワインで向かい酒をする。
ムグムグ、ゴクゴク。
「――ぶはぁ。肉と赤ワインの組み合わせは、俺の月光蝶だぜ」
飲む、殺す、抱く、この三つの欲求を回していくだけで、俺はより生を実感できる。生物として完成されてね?
ブルルッ。
っと、飲み過ぎた上に毛布を蹴り飛ばしていたせいか、身体が震える。そこいらに転がっている酒の空瓶を掴んで、開いた細い口を股間へ近づける――ジョロロロ――ほぼワイン由来のくせぇ黄金水を瓶詰めして、窓からブン投げる。
ビュン。ゴロゴロ。
「ふぅあ。――そう言えば、朝一で盗賊ギルドへ金を取りに行くんだっけか?」
グビッと再び喉を鳴らしつつ、ベットの下へ腕を突っ込み、燕尾色の革袋を取り出す。ジャラっと重く鳴るソレの口紐を緩めて、覗き込む。百枚近い金貨と少しの銀貨が、暗い光を放っていた。
「まぁ、まだまだ大丈夫そうだし、明日にすっか」
――カシャン。
「ニャッ。ギャニャ」
……ん?
小さく空いた窓から、硝子の砕ける音と、獣? の高い鳴き声がこぼれ入ってきた。
「(こんな朝っぱらから?)女人鳥でも来たのか? いや、人鳥系じゃなく、もっと魔獣みてぇな感じだった」
寝ているばかりは暇だと、野糞のついでにと玄関扉を開ける。
草原が小さく生い茂る、樹々に囲まれた庭先へと出る。家の中も含めて日中でも少し暗いのは、周囲の樹木の樹齢が高く、樹高や幹がしっかりとしていることを物語っていた。
「おっ?」
――いや、今そんなことはどうでもいい。
家の横にある鶏小屋の手前に、さっき俺が小便を詰めた瓶の破片が散らかっていた。風に乗って僅かに尿の臭いが漂ってきた。
そして、鶏小屋の中を食い入るみたく覗き込む、女っぽい生物が、身体の側面をこちらへ向けてつっ立っていた。
……かなり若そうだが艶めくみたいな髪や体毛は純白で、腰まで伸びており、風によってサラサラと揺れていた。白のフワフワの体毛が全身を覆っていたが、顔や乳房、また腹付近はかなり薄毛か無毛だった。
また股間付近には薄い陰毛が密集していて、女の割れ目は見えなかった。耳はというと、三角の柔らかそうなのが頭の左右に付いていた。背丈は人間の女より少し高めで、白い尻尾がふわりと曲がり動き、瞳は蛇みたいな紋様で、血のように赤かった。
「(まさか、ワータイガーの、雌か?)いや、にしては体躯が小さいし、体毛が白い」
その言葉に反応してか――ビクリ――っと、とんがった耳を動かして、こちらへ全身向きなおる。
「! おほっ」
乳房はちょい大きめだが形が良く、先端は薄ピンクだった。腰はいい感じに括れており、毛が生えていない部分の肌はキメ細やかだった。やや猫背だが、脚はスラッと伸びており、華奢っぽいが筋肉に由来する靭やかさも持ち合わせていた。
「やっべ。めっちゃエロい身体してんじゃんお前」
小顔だが、ちょい吊り目気味な大きな目でジッとこっちを見つめてくる。エロボディな癖に無垢っぽいところがタマらん。チンコ勃ってきた。
「我ながら人外って発想は無かったなぁ。よく考えたら、いくら強姦ってもどこからも苦情がないし、しょっぴかれる事もないじゃん!」
欲望と希望に膨らませたまま股間でもって、一歩進むと――シュッ――と三歩分ほど後退る。
「ニャァッ」
開いた口の中には鋭い牙が見え、警戒心をにじませているのは簡単にわかった。
ふむ――人間の女の身体に近い獣人で、鳴き声に関しては、昔ロードリー商店で一度だけ見た、猫って動物に似ている。
「……人狼や人虎の雄は見たことも殺ったこともあったが」
まさか人猫? のしかも雌、か。珍しいってレベルじゃねぇが、不定迷宮ならまだしも、なぜこんな平地の森に?
! ――ひょっとして、昨晩に聞いたボルト高地のドラゴンの出現は、かなり広範囲の生態系にまで異変を引き起こしたのか?
「いや。んなこたぁ今の俺にはど~でもいいか」
ほぼ全裸の獣人の身体を、舐めるみたく見つめる。爽やかな風が目の前のワーキャットの髪を、上質なカーテンみたく揺らす。毛並みも良さそうで、何より男を知らなさそうなその佇まいに、胸が黒くトキメク。
早く、グッチャグチャにしてやらねぇとぉ。
「よっ、と」
その場で上着と黒の革の下履、さらに下着を脱ぎ捨てる。朝日を浴びる黒チンコは開放感を満喫しつつ、早々の出番の予感に、臨戦態勢を取り始める。
「……」
ワーキャットは俺との距離に安心してか、全裸の俺を繁々と眺めるだけだった。――所詮は獣だなぁ。脱いでる間に全力で逃げてりゃ、いいものを。
「俺の名前はロックウェルド=バスム。お前は――」
ズバンッ。
蹴り抜いた土塊がまだ空中に浮く中、ワーキャットの視界から俺は消えていた。
カバッ! 背後からゴツい腕を絡め抱き締める。
「フギャ!」
拒絶の鳴き声、は右耳から左耳へと流れていった。
おほっ――サラッサラの白の髪とフワッフワの体毛が、俺の顔面を甘くくすぐる。もちろん顔以外の前半身も、その柔らかくて温かい感触を、感じ取る。体温はちょい高めで、さらに人間の女とは少し異なる柔らかさが、癖になりそうだった。
「おほほっ。新しい扉、開けちまったかも」
逃げようともがくが、檻の役目を果たす俺の豪腕から逃れられるわけがなかった。俺はもっともっと感触を味わいたくなり、痛くない程度に力を込めて前半身を擦り付ける。
ふほっ、極上の発熱する毛布を抱きしめているみたいだ。
「ニィッ、フギィ!」
甲高い声をあげて、俺に噛みつこうとしてか首を捻ろうとする。無理もねぇ、尻尾にチンコを擦り付けてんだからなぁ。
ホワホワの毛と温かく柔らかい軟骨の入った尻尾の摩擦による心地良さは、人間の女からは得られない感触だった。
「よぉし。とりあえず――今日からお前は俺の性玩動物な?」
ガブッ。
ここでようやく反撃(笑)と、巻き付けていた腕に噛みついてくる。顎の力は知れていたが、そこそこの鋭歯であったため、黒い肌に小さな赤い痣が歯の数の分だけ浮かぶ。
「飼い始めだからまぁ大目に見てやるが、あんま調子乗ってると――」
ほんの少しだけ力を込める。地面に激突させる勢いで背後から押し倒し、土にキッス――する寸でのところで止める。
「グエッ」
鳥を踏み潰した時みたいに鳴く。
可哀想じゃないかって? こいつらは人間に害をもたらす魔獣の類いかその仲間だ。虐めて感謝されることはあっても、非難されることなんてあり得ない。
「さってとぉ」
そのままゆっくりと押し倒し、顔を雑草に抑えつける。人型の小型魔獣は首を警守する傾向にある。身じろぎが取れないまま、だが首をひねって食い入るみたく俺を睨み上げる。
「イギッ。ニァ!」
その柔らかな髪ごと頭を抑えつつ、横顔にしてその前にしゃがみ込む。緊張で発汗して来たのか、僅かに漂う獣臭に、興奮すら覚える。
「いいか雌猫。今までの生き方は全て忘れて、俺の命令に絶対服従することだけを覚えて生きろ。――もち、身体には教え込ませてやるが、チョーシこいてると酷い目に遭うぜ? 例えばぁ」
腹筋に力を込める。
――ブリュリュリュ、ブホン!
「! ヒギニャ!」
くっせぇソーセージウンコを、文字通り目と鼻の先にて排便する。人間より鼻が利くコイツらの種族には、さも苦痛だろうなぁ。
ひんぎり出した後、その辺に自生している柔らかそうな葉をちぎり、ケツを拭いてから中腰になる。
「いいか? 手を離すが、逃げるなよ」
睨みあげる顔から腕、手、指と順番に離していくと。
――シュッ……ガッ!
「フニァ!」
予定調和みたく逃げるワーキャットの背中を、知っていたと言わんばかりに踏み付ける。ググッと体重を掛けていくと、ゲボ、ゴホッと苦しそうに咳込む。
しゃがみつつ、小さく手を上げて――パン!
「ヒニャ!」
艶のある薄毛に覆われた、桃尻を逆手で軽く叩く。
パン、パァン!
そのつど、ビク、ビクリと頭を上げ下げするワーキャットは、だが歯を剥き出しにして、息を繰り返す。柔らかな尻には、五枚ほどのデカくて赤いメープル(※モミジの葉)の形が浮かび上がっていた。
「とりあえず躾だな。――に、しても、法にも倫理観にも護られない雌(人外だけど)を好き勝手にヤレるなんて、ほんと胸が熱いぜ」
体毛に覆われた両腕を背中に回して、釣り上げるみたくして起こす。手首を掴み、握力で簡単にへし折れるのをチラつかせる。
「今日からここが、お前の新しい巣であり、種付け所だ」
そのまま家の中へと押し込んでいく。扉の手前、最後の抵抗とばかりに、空に顔向けて雄叫び――雌叫び? なんかをしやがった。
「フギ、ニギャ……ニャオア~!」
まぁ、好きに鳴いてろよ。これからアンアンと、もっと鳴かせてやるぜ。
デカいのだけが取り柄のベットの上で、おもっクソ欠伸をかまし、太い首筋をポリポリとかく。未だに酒臭い息を吐き散らしつつ、窓から入り込む細い朝日へ目をやる。
「そっか。昨晩は強姦った後、帰ってまた飲んだんだっけか」
――迷雨の森の中腹にあるこの家は、森の極一部を円形にくり抜いたみたいな中に建てていた。まだ冒険者ギルドに所属していたころ、金にモノを言わせて建てたものだ。
とはいえ平屋で三部屋分しかないこの家は、別に豪勢な造りでもなければ、貴重な建材や素材を使っているわけでもなかった。
魔物がたむろするこんな危険地帯へ、わざわざ資材を搬入して職人を酷使して急造しただけの話だ。
「喉が渇いた。水、水っと」
そして、こんな辺鄙な所を選んで建てた理由は二つあった。一つは単純に人嫌いなため、もう一つは腕試しのためだった。
こう見えて血の気の多い俺は、若い頃はそりゃもう、今に輪をかけてヤンチャだった。住み始めたころ、来襲してきた生物は分類を問わず片っ端から肉塊にしていた。それからしばらく、野盗だの山賊だの、魔物も魔獣も返り討ちにしていく内に、とうとう襲ってくるどころか、近寄る生物すらいなくなってしまった。
「腹減った」
上半身を起こし胡座をかく。昨晩の赤ワインと一緒に買ったニシンの塩漬けや山羊のクロタン(※チーズの一種)は、昨日の内に大半を食っちまってたらしい。
ガサゴソ、っと手近なラックを漁ると、以前ぶっ殺した大角鹿の肋肉から作った燻製肉が出てきた。
屋根裏から金貨と言わんばかりに、分厚い肉を歯で噛みちぎって咀嚼しつつ、残っていたワインで向かい酒をする。
ムグムグ、ゴクゴク。
「――ぶはぁ。肉と赤ワインの組み合わせは、俺の月光蝶だぜ」
飲む、殺す、抱く、この三つの欲求を回していくだけで、俺はより生を実感できる。生物として完成されてね?
ブルルッ。
っと、飲み過ぎた上に毛布を蹴り飛ばしていたせいか、身体が震える。そこいらに転がっている酒の空瓶を掴んで、開いた細い口を股間へ近づける――ジョロロロ――ほぼワイン由来のくせぇ黄金水を瓶詰めして、窓からブン投げる。
ビュン。ゴロゴロ。
「ふぅあ。――そう言えば、朝一で盗賊ギルドへ金を取りに行くんだっけか?」
グビッと再び喉を鳴らしつつ、ベットの下へ腕を突っ込み、燕尾色の革袋を取り出す。ジャラっと重く鳴るソレの口紐を緩めて、覗き込む。百枚近い金貨と少しの銀貨が、暗い光を放っていた。
「まぁ、まだまだ大丈夫そうだし、明日にすっか」
――カシャン。
「ニャッ。ギャニャ」
……ん?
小さく空いた窓から、硝子の砕ける音と、獣? の高い鳴き声がこぼれ入ってきた。
「(こんな朝っぱらから?)女人鳥でも来たのか? いや、人鳥系じゃなく、もっと魔獣みてぇな感じだった」
寝ているばかりは暇だと、野糞のついでにと玄関扉を開ける。
草原が小さく生い茂る、樹々に囲まれた庭先へと出る。家の中も含めて日中でも少し暗いのは、周囲の樹木の樹齢が高く、樹高や幹がしっかりとしていることを物語っていた。
「おっ?」
――いや、今そんなことはどうでもいい。
家の横にある鶏小屋の手前に、さっき俺が小便を詰めた瓶の破片が散らかっていた。風に乗って僅かに尿の臭いが漂ってきた。
そして、鶏小屋の中を食い入るみたく覗き込む、女っぽい生物が、身体の側面をこちらへ向けてつっ立っていた。
……かなり若そうだが艶めくみたいな髪や体毛は純白で、腰まで伸びており、風によってサラサラと揺れていた。白のフワフワの体毛が全身を覆っていたが、顔や乳房、また腹付近はかなり薄毛か無毛だった。
また股間付近には薄い陰毛が密集していて、女の割れ目は見えなかった。耳はというと、三角の柔らかそうなのが頭の左右に付いていた。背丈は人間の女より少し高めで、白い尻尾がふわりと曲がり動き、瞳は蛇みたいな紋様で、血のように赤かった。
「(まさか、ワータイガーの、雌か?)いや、にしては体躯が小さいし、体毛が白い」
その言葉に反応してか――ビクリ――っと、とんがった耳を動かして、こちらへ全身向きなおる。
「! おほっ」
乳房はちょい大きめだが形が良く、先端は薄ピンクだった。腰はいい感じに括れており、毛が生えていない部分の肌はキメ細やかだった。やや猫背だが、脚はスラッと伸びており、華奢っぽいが筋肉に由来する靭やかさも持ち合わせていた。
「やっべ。めっちゃエロい身体してんじゃんお前」
小顔だが、ちょい吊り目気味な大きな目でジッとこっちを見つめてくる。エロボディな癖に無垢っぽいところがタマらん。チンコ勃ってきた。
「我ながら人外って発想は無かったなぁ。よく考えたら、いくら強姦ってもどこからも苦情がないし、しょっぴかれる事もないじゃん!」
欲望と希望に膨らませたまま股間でもって、一歩進むと――シュッ――と三歩分ほど後退る。
「ニャァッ」
開いた口の中には鋭い牙が見え、警戒心をにじませているのは簡単にわかった。
ふむ――人間の女の身体に近い獣人で、鳴き声に関しては、昔ロードリー商店で一度だけ見た、猫って動物に似ている。
「……人狼や人虎の雄は見たことも殺ったこともあったが」
まさか人猫? のしかも雌、か。珍しいってレベルじゃねぇが、不定迷宮ならまだしも、なぜこんな平地の森に?
! ――ひょっとして、昨晩に聞いたボルト高地のドラゴンの出現は、かなり広範囲の生態系にまで異変を引き起こしたのか?
「いや。んなこたぁ今の俺にはど~でもいいか」
ほぼ全裸の獣人の身体を、舐めるみたく見つめる。爽やかな風が目の前のワーキャットの髪を、上質なカーテンみたく揺らす。毛並みも良さそうで、何より男を知らなさそうなその佇まいに、胸が黒くトキメク。
早く、グッチャグチャにしてやらねぇとぉ。
「よっ、と」
その場で上着と黒の革の下履、さらに下着を脱ぎ捨てる。朝日を浴びる黒チンコは開放感を満喫しつつ、早々の出番の予感に、臨戦態勢を取り始める。
「……」
ワーキャットは俺との距離に安心してか、全裸の俺を繁々と眺めるだけだった。――所詮は獣だなぁ。脱いでる間に全力で逃げてりゃ、いいものを。
「俺の名前はロックウェルド=バスム。お前は――」
ズバンッ。
蹴り抜いた土塊がまだ空中に浮く中、ワーキャットの視界から俺は消えていた。
カバッ! 背後からゴツい腕を絡め抱き締める。
「フギャ!」
拒絶の鳴き声、は右耳から左耳へと流れていった。
おほっ――サラッサラの白の髪とフワッフワの体毛が、俺の顔面を甘くくすぐる。もちろん顔以外の前半身も、その柔らかくて温かい感触を、感じ取る。体温はちょい高めで、さらに人間の女とは少し異なる柔らかさが、癖になりそうだった。
「おほほっ。新しい扉、開けちまったかも」
逃げようともがくが、檻の役目を果たす俺の豪腕から逃れられるわけがなかった。俺はもっともっと感触を味わいたくなり、痛くない程度に力を込めて前半身を擦り付ける。
ふほっ、極上の発熱する毛布を抱きしめているみたいだ。
「ニィッ、フギィ!」
甲高い声をあげて、俺に噛みつこうとしてか首を捻ろうとする。無理もねぇ、尻尾にチンコを擦り付けてんだからなぁ。
ホワホワの毛と温かく柔らかい軟骨の入った尻尾の摩擦による心地良さは、人間の女からは得られない感触だった。
「よぉし。とりあえず――今日からお前は俺の性玩動物な?」
ガブッ。
ここでようやく反撃(笑)と、巻き付けていた腕に噛みついてくる。顎の力は知れていたが、そこそこの鋭歯であったため、黒い肌に小さな赤い痣が歯の数の分だけ浮かぶ。
「飼い始めだからまぁ大目に見てやるが、あんま調子乗ってると――」
ほんの少しだけ力を込める。地面に激突させる勢いで背後から押し倒し、土にキッス――する寸でのところで止める。
「グエッ」
鳥を踏み潰した時みたいに鳴く。
可哀想じゃないかって? こいつらは人間に害をもたらす魔獣の類いかその仲間だ。虐めて感謝されることはあっても、非難されることなんてあり得ない。
「さってとぉ」
そのままゆっくりと押し倒し、顔を雑草に抑えつける。人型の小型魔獣は首を警守する傾向にある。身じろぎが取れないまま、だが首をひねって食い入るみたく俺を睨み上げる。
「イギッ。ニァ!」
その柔らかな髪ごと頭を抑えつつ、横顔にしてその前にしゃがみ込む。緊張で発汗して来たのか、僅かに漂う獣臭に、興奮すら覚える。
「いいか雌猫。今までの生き方は全て忘れて、俺の命令に絶対服従することだけを覚えて生きろ。――もち、身体には教え込ませてやるが、チョーシこいてると酷い目に遭うぜ? 例えばぁ」
腹筋に力を込める。
――ブリュリュリュ、ブホン!
「! ヒギニャ!」
くっせぇソーセージウンコを、文字通り目と鼻の先にて排便する。人間より鼻が利くコイツらの種族には、さも苦痛だろうなぁ。
ひんぎり出した後、その辺に自生している柔らかそうな葉をちぎり、ケツを拭いてから中腰になる。
「いいか? 手を離すが、逃げるなよ」
睨みあげる顔から腕、手、指と順番に離していくと。
――シュッ……ガッ!
「フニァ!」
予定調和みたく逃げるワーキャットの背中を、知っていたと言わんばかりに踏み付ける。ググッと体重を掛けていくと、ゲボ、ゴホッと苦しそうに咳込む。
しゃがみつつ、小さく手を上げて――パン!
「ヒニャ!」
艶のある薄毛に覆われた、桃尻を逆手で軽く叩く。
パン、パァン!
そのつど、ビク、ビクリと頭を上げ下げするワーキャットは、だが歯を剥き出しにして、息を繰り返す。柔らかな尻には、五枚ほどのデカくて赤いメープル(※モミジの葉)の形が浮かび上がっていた。
「とりあえず躾だな。――に、しても、法にも倫理観にも護られない雌(人外だけど)を好き勝手にヤレるなんて、ほんと胸が熱いぜ」
体毛に覆われた両腕を背中に回して、釣り上げるみたくして起こす。手首を掴み、握力で簡単にへし折れるのをチラつかせる。
「今日からここが、お前の新しい巣であり、種付け所だ」
そのまま家の中へと押し込んでいく。扉の手前、最後の抵抗とばかりに、空に顔向けて雄叫び――雌叫び? なんかをしやがった。
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