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「よし、ヴィルマやりな」
「はい!」
そういって瀕死の状態のゴブリンにとどめを刺す。これで10体目。
「うっ」
少しだけクラっとする。これがママが言っていたレベルアップ酔いというやつか。時間にして数秒、クラクラするがそれが収まるころには、自分が強くなったというのが実感できるくらいに体の調子が良くなる。
「レベル1から2に上がるときは、他のレベル帯のレベルアップに比べて負荷が大きいのよ。実際数字だけ見れば以前の自分の2倍だからね。大丈夫かい?」
「はい、もう大丈夫です」
特にレベルアップ酔いは、最初が一番酷いらしく長い人でも5秒くらいクラクラするそうだ。
「よし、じゃあ村に戻ろうか」
「え? まだいけますよ」
なんなら体の調子がいい。あと2~3匹くらいはいけそうだ。
「ダメだよ。レベルアップは強くなった気になるんだけど実際はそこまで変わらないんだ。それに今までと強くなった分感覚が違うから、その分危険も多い。帰って鍛錬をし直したほうがいいよ」
「そういうものなんですか」
「そういうものなんだよ」
少し納得がいかないが、仕方ない。そもそも無理をいって森へ連れてきて貰っている以上、言うことを聞いておくべきだ。本来ならまだ幼い私が森へ出ることは禁止されている。でも彼に追いつかれないために少しだけ抜け駆けして連れてきてもらった。
(きっとシューベルトも驚くわ)
先にレベル2になったことに驚き、ますます彼は気合を入れて鍛錬に励むだろう。そんな私のために強くなろうとする彼を想像して、ニヤニヤしてくる。
村に戻り自主練習をする。確かに言われた通り少し違和感がある。レベルアップをして鍛錬をする。これはセットとして考えたほうがよさそうだ。
しばらく無心で剣を振り続けていると、遠くで歩く彼の姿が見えた。
(あ、シューベルト! あれ?)
彼の姿に少し違和感を覚える、足取りはかなり怪しくなんなら辛そうだ。彼のもとに駆け寄り、声をかける。
「シューベルト!」
「……あ?」
「どうしたのシューベルト、ひどく辛そうじゃない!」
大変! 私は自分が強くなることばかり考え彼の体調を全然考えていなかった。もともと引きこもり気味だった彼が、急に運動をしたらこうなるのは明白だ。彼の頑張っている姿がカッコよく自分の欲ばかり追いかけてしまったが故に、彼は衰弱してしまった。
「早くどこか休める場所に――」
「なんでお前はいつもそうなんだ……」
ドキリとする。私のやらしい気持ちが見透かされてしまった気がした。
「……一人で歩ける」
そういって彼は私が差し伸べた手を払いのけ歩いていく。
ゾクッとした。
その冷たい所も。一人で戦おうという姿勢も。こんな男の子滅多にいない。
「いつか、絶対に私のものにしてあげる」
「はい!」
そういって瀕死の状態のゴブリンにとどめを刺す。これで10体目。
「うっ」
少しだけクラっとする。これがママが言っていたレベルアップ酔いというやつか。時間にして数秒、クラクラするがそれが収まるころには、自分が強くなったというのが実感できるくらいに体の調子が良くなる。
「レベル1から2に上がるときは、他のレベル帯のレベルアップに比べて負荷が大きいのよ。実際数字だけ見れば以前の自分の2倍だからね。大丈夫かい?」
「はい、もう大丈夫です」
特にレベルアップ酔いは、最初が一番酷いらしく長い人でも5秒くらいクラクラするそうだ。
「よし、じゃあ村に戻ろうか」
「え? まだいけますよ」
なんなら体の調子がいい。あと2~3匹くらいはいけそうだ。
「ダメだよ。レベルアップは強くなった気になるんだけど実際はそこまで変わらないんだ。それに今までと強くなった分感覚が違うから、その分危険も多い。帰って鍛錬をし直したほうがいいよ」
「そういうものなんですか」
「そういうものなんだよ」
少し納得がいかないが、仕方ない。そもそも無理をいって森へ連れてきて貰っている以上、言うことを聞いておくべきだ。本来ならまだ幼い私が森へ出ることは禁止されている。でも彼に追いつかれないために少しだけ抜け駆けして連れてきてもらった。
(きっとシューベルトも驚くわ)
先にレベル2になったことに驚き、ますます彼は気合を入れて鍛錬に励むだろう。そんな私のために強くなろうとする彼を想像して、ニヤニヤしてくる。
村に戻り自主練習をする。確かに言われた通り少し違和感がある。レベルアップをして鍛錬をする。これはセットとして考えたほうがよさそうだ。
しばらく無心で剣を振り続けていると、遠くで歩く彼の姿が見えた。
(あ、シューベルト! あれ?)
彼の姿に少し違和感を覚える、足取りはかなり怪しくなんなら辛そうだ。彼のもとに駆け寄り、声をかける。
「シューベルト!」
「……あ?」
「どうしたのシューベルト、ひどく辛そうじゃない!」
大変! 私は自分が強くなることばかり考え彼の体調を全然考えていなかった。もともと引きこもり気味だった彼が、急に運動をしたらこうなるのは明白だ。彼の頑張っている姿がカッコよく自分の欲ばかり追いかけてしまったが故に、彼は衰弱してしまった。
「早くどこか休める場所に――」
「なんでお前はいつもそうなんだ……」
ドキリとする。私のやらしい気持ちが見透かされてしまった気がした。
「……一人で歩ける」
そういって彼は私が差し伸べた手を払いのけ歩いていく。
ゾクッとした。
その冷たい所も。一人で戦おうという姿勢も。こんな男の子滅多にいない。
「いつか、絶対に私のものにしてあげる」
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