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次の日、朝になり食事を済ませたら街へと向かう。母や妹には内緒だ。ククク、非行に走る少年の気分だ。
普段からランニングをしているお陰か、体力は問題なく街まで辿り着く。そこには街に入ろうとする人が門前に何人か並んでいた。
ここに並んでれば順番が来るのかな。
前世の記憶からか、今世の教育のたまものか、律儀に一番後ろに並び順番を待つ。しばらくすると列が少しずつ進んでいく。
あ?
並んでいる俺たちの横を素通りする女たちがいた。香水の匂いがきつい。金髪縦ロールの髪型をした、いわゆるお嬢様といった見た目だ。
そいつらは並んでいる俺たちを飛ばし門番に話しかけ街に入ろうとしている。門番が少し困っている。
ちっ、ああいうやつは前世でもいたな。気分が悪い。
「おい、なに順番すっ飛ばしてんだ、後ろに並べ」
思わず声をかけてしまう。その女3人組はこちらに向き驚きの顔をしている。
「あら、今ワタクシに指図をした愚か者は貴方かしら?」
「そうだ」
「この無礼者が! 男の癖に何調子乗ったこと言ってるんだ!」
「男か女かの話なんてしてない。俺は人間として秩序を守らないのはどうかと言ってるんだ」
「貴様! この方はどなたと心得る!」
「知らねーよ」
「ふふ、どこの田舎から出てきたか知りませんが。ワタクシはこの街を治めるラインラントの娘、クラウディア・フォン・ラインラントよ。覚えておきなさい」
げ、貴族かよ。
「ふん、この街では貴族が自らルールを破る我儘が通る街なのか?」
「勘違いなさらないで平民。この街ではワタクシがルールなのよ。家に帰るのにルールが必要かしら?」
「貴様、さっきから聞いていれば無礼ばかり! 制裁してくれるわ!」
貴族様より取り巻きのほうがこらえ性がない。相手が貴族なので相手の言い分のほうが正しそうだが、今更謝ったところで許してくれないだろう。だからどうせなら煽ってしまおう。
「はっ! 女は口先から生まれてきたのは本当らしいなあ! 言葉でいうばかりでビビッて動けないようだな!」
「貴様ぁぁ!」
取り巻きの女が剣を抜き、こちらに攻撃を仕掛けてくる。剣は細剣で刺突をメインとするような武器だ。村ではなかった武器だからお上品な武器なのかもしれない。
目に魔力を込める、動きがスローになり女がこちらの首元に向かって刺突を繰り出しているのが分かる。まじかこいつ脅し無しでいきなり首に攻撃かよ。
ただ、首は避けやすい
体を少しひねる……別に動きは早くなっていないので余裕でかわしたつもりだったが、結構ギリギリだったな。あぶないあぶない。紙一重。
かわした反動で腹パンチだ! 男女平等パンチ! おらぁ!
「ぐはっ!」
「女の癖に何調子乗ってんだ?」
先ほどの女性と同じ言葉を言い返す。あー気持ちいい。
「ぐ、きさまああああああ!」
「待ちなさい」
「――クラウディア様! しかし」
「いいから下がりなさい」
そうして出てきたのはボスで貴族の女だ。
「貴方、少しは出来るみたいですが、あまり調子に乗らないほうが良くってよ」
「はっ! 貴族様もそいつと同じことを言うんだな!」
「分かっております。なので貴方にはその身をもって教えて差し上げます」
そう言って、貴族の女も細剣を抜く。
「さあ始めましょうか、『強化(stärken)』」
「精々教えてくれよ、貴族様ァ! 『強化(stärken)』」
普段からランニングをしているお陰か、体力は問題なく街まで辿り着く。そこには街に入ろうとする人が門前に何人か並んでいた。
ここに並んでれば順番が来るのかな。
前世の記憶からか、今世の教育のたまものか、律儀に一番後ろに並び順番を待つ。しばらくすると列が少しずつ進んでいく。
あ?
並んでいる俺たちの横を素通りする女たちがいた。香水の匂いがきつい。金髪縦ロールの髪型をした、いわゆるお嬢様といった見た目だ。
そいつらは並んでいる俺たちを飛ばし門番に話しかけ街に入ろうとしている。門番が少し困っている。
ちっ、ああいうやつは前世でもいたな。気分が悪い。
「おい、なに順番すっ飛ばしてんだ、後ろに並べ」
思わず声をかけてしまう。その女3人組はこちらに向き驚きの顔をしている。
「あら、今ワタクシに指図をした愚か者は貴方かしら?」
「そうだ」
「この無礼者が! 男の癖に何調子乗ったこと言ってるんだ!」
「男か女かの話なんてしてない。俺は人間として秩序を守らないのはどうかと言ってるんだ」
「貴様! この方はどなたと心得る!」
「知らねーよ」
「ふふ、どこの田舎から出てきたか知りませんが。ワタクシはこの街を治めるラインラントの娘、クラウディア・フォン・ラインラントよ。覚えておきなさい」
げ、貴族かよ。
「ふん、この街では貴族が自らルールを破る我儘が通る街なのか?」
「勘違いなさらないで平民。この街ではワタクシがルールなのよ。家に帰るのにルールが必要かしら?」
「貴様、さっきから聞いていれば無礼ばかり! 制裁してくれるわ!」
貴族様より取り巻きのほうがこらえ性がない。相手が貴族なので相手の言い分のほうが正しそうだが、今更謝ったところで許してくれないだろう。だからどうせなら煽ってしまおう。
「はっ! 女は口先から生まれてきたのは本当らしいなあ! 言葉でいうばかりでビビッて動けないようだな!」
「貴様ぁぁ!」
取り巻きの女が剣を抜き、こちらに攻撃を仕掛けてくる。剣は細剣で刺突をメインとするような武器だ。村ではなかった武器だからお上品な武器なのかもしれない。
目に魔力を込める、動きがスローになり女がこちらの首元に向かって刺突を繰り出しているのが分かる。まじかこいつ脅し無しでいきなり首に攻撃かよ。
ただ、首は避けやすい
体を少しひねる……別に動きは早くなっていないので余裕でかわしたつもりだったが、結構ギリギリだったな。あぶないあぶない。紙一重。
かわした反動で腹パンチだ! 男女平等パンチ! おらぁ!
「ぐはっ!」
「女の癖に何調子乗ってんだ?」
先ほどの女性と同じ言葉を言い返す。あー気持ちいい。
「ぐ、きさまああああああ!」
「待ちなさい」
「――クラウディア様! しかし」
「いいから下がりなさい」
そうして出てきたのはボスで貴族の女だ。
「貴方、少しは出来るみたいですが、あまり調子に乗らないほうが良くってよ」
「はっ! 貴族様もそいつと同じことを言うんだな!」
「分かっております。なので貴方にはその身をもって教えて差し上げます」
そう言って、貴族の女も細剣を抜く。
「さあ始めましょうか、『強化(stärken)』」
「精々教えてくれよ、貴族様ァ! 『強化(stärken)』」
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