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 いやー危なかった。レベルも上がったし余裕だろうと思っていたが、思ったより強かった。それでも街の入り口で戦ったやり方でいけるだろうとか簡単に考えてたら、警戒してるのか中々顔を攻撃してこなかった。
 最期の最期でようやく狙い通り、ビタンビタン作戦ができたがチマチマ攻撃されてたら危なかった。スピードタイプのヒット&アウェイ戦法は鬼畜だわ。

 ビタンビタン攻撃がきつかったのか、彼女はまだ立ち上がることができない。好都合だ、今のうちに言ってしまおう。

「俺はお前と違って才能が無かった。だから今まで努力を重ねてきた。」

 大変だったんだぞ。街にいってちょっとズルしてレベル上げたけど。

「ごほごほ――なにを」

「お前は違ったようだな……」

 お前は大人の補助もあってパワーレベリングもしてずるいぞ! 俺だってそのほうが良かったわ。

「……」

「俺はお前との婚約を破棄させてもらう」

「あんた何言ってるの!!!! そんなこと許すわけないでしょ!」

 母親が怒鳴り散らしている。

「それを決めるのは貴方ではない。勝者の俺だ」

「馬鹿だ馬鹿だと思っていたけどこれほど馬鹿だったなんて!! 男が調子乗ったこと言ってるんじゃないのよ!」

「俺は一度として、貴方に母親らしいことをしてもらった記憶がない」

「結婚相手を見つけてきたじゃないの!」

「それは俺にとっては邪魔でしかない。俺の嫁は俺が決める。」

「このっ――」

「アンネ、そこまでにしよう」

 そこに父が介入してくる。

「はっ?! 何あんたが口出してるのよ! そもそもあんたが教育を間違えたからこうなってるんでしょう!」

「だとしても当事者じゃない君が怒るのは間違っているんだ。君が怒ってしまっているせいでヴィルマが何も言えていない」

「っ――! ごめんなさいヴィルマちゃん、息子には後でよく言って聞かせるから――」

「おば様」

「なにかしらヴィルマちゃん?」

「私は彼と約束して彼に負けたのです。だから彼の言葉に従います」

だから――

「彼との戦いを汚さないで下さい。これ以上、負けを認めないことは私のプライドが許しません」
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