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私がこの[生徒会室]に来て、あれから15分程の時間が経った。
で。冷黒王子とエステル様の話が『私の身柄について』の本題へ進んだかと言うと…。
何でお互いの“次の休み”の話をしてるのかなぁ~。
私、もう帰っていいかなぁ~。
チラりと隣に座ってるマーリン様に視線を移すと、無言で首を横に振られた。
ですよねーー。
目の前で繰り広げられる王子とエステル様の近況報告の会話に聞き耳を立てつつも、私は一言も発することなく傍観を決め込んでいる。
ここに来る前、エステル様から言われた注意どおりだ。
『リアさんは、何があっても殿下の問いには返事をなさらないように。』
エステル様曰く、王子は相当な話術の持ち主で、一度口を開けば、言いたくなかったことまで気づけば喋ってしまっているというのだ。
(こっっっわ!!!恐すぎるわ冷黒王子!!!)
自白させる能力でも持ってるんですかね?!
とは、エステル様から聞いた時の私の胸の内だ。
まぁ、こっちは王子の『〔読心〕の能力持ちであれば捕らえなくては』って“心の声”を聴いちゃってるからね。
エステル様に言われなくても、選択肢はひたすら【黙秘あるのみ】だったけど。
あ~そうそう。
冷黒王子の打首発言については、王子の“心の声”だったこともあり、この場に来るまでの間に、王子から言葉にはされていないことを話して、エステル様達の誤解は解いておいた。
エステル様達は私が〔読心〕の能力所持者だとは知らない訳だし、この能力は教会からも『王様より秘匿するように』と言葉を受けて《誓約》させられているからね。
私が自分の能力のことを他人に話そうとすると──《誓約》により『声が出なくなる』のだ。
じゃあ書こうとしたり身振りで伝えようとすると『体が硬直する』。
《誓約》って凄いよね。
(って言ってもまぁ、王子には私が〔読心〕の能力所持者だとバレちゃってるけど…。)
まぁ冷黒王子は王族だからセーフってことで大丈夫だと思う。…大丈夫だよね…?
私が持ってる〈晶鏡石〉は、この国の保管記録者に管理されてる物だし。
〔魔法具師〕が私の〈晶鏡石〉に『どんな能力を制御する付与をしたのか』は、この国のトップ──つまり王様には把握されてることだしね。
(てゆーか…フフッ‥フフフフッ。あの時のエステル様ってば相当ホッとした顔してたよな~…。いや~言って良かった!)
これで王子とエステル様の恋仲は問題なく進む筈だ。
ところで、お互いの休みの話が終わったら、いよいよ本題に入ったようだ。
穏やかな口調で『私の身柄についての処遇』を話し始めた二人は、一見すると真逆で反りが合わない者同士に見える。
冷黒王子の方は暴君かのごとき態度と冷徹で腹黒な性格だし、エステル様は本当に優しくて純粋な性格だからね。
だけど二人が話すとよく分かる。
お互いの息はぴったりだし、二人共お互いを想い合って最善の道を探そうとしてるのが会話の端々から伝わってくるのだ。
(やっぱ自分が持っていないものを持ってる相手って、惹かれるものなのかもねー。)
なぁんて、微笑ましい二人は置いておいて。
ずっと引っかかってる疑問について考えようか。
私が冷黒王子とぶつかることになった原因は、誰かに足を引っ掛けられた結果によるものだった。
考えれてみればアレは確実に『私を狙った』ものだ。
(どこの誰が足を引っ掛けたのか───。)
自慢じゃないけど、私はこの学院に知り合いなんて一人も居ない。
物心ついた頃からこの歳まで、私は〔読心〕の能力所持者であることがバレるのを恐れて、友人を一人も作らなかったからだ。
加えてフォートレック家はそこそこ有名な商家だけど、私には〔先祖返り〕の魔力量とか〈晶鏡石〉を持ってる身バレの懸念もあるしで、両親や兄は表でバリバリに働いてるけど、私は家業の手伝いすらも表立ってしていない。
そういう訳で、私が友人や家業絡みで目を付けられることはない筈なのだ。
───ということは。
私を狙った誰かは、学院内で初めて私の存在を知った者であり。
私の魔力量に気づく魔力量の持ち主──つまり、高位の貴族だと思われるのよ。
あの場で巻き込まれた冷黒王子やギル様にクリスは、王子の身の危険を晒してまで自作自演をするメリットがないから除外対象で良いだろう。
もちろん私のことを守ろうと親身になってくれてるエステル様達も除外だ。
(となると、その他の高位貴族の誰かがやった事になるよね…。)
きっとあの『足引っ掛け行動』は、あれは私の反応を見たくて、私の力量を推し量る為だったんだろう。
私はあの時、何も反応できずに転んだけれど…。
それが誰かにとってどう映ったのか────。
どうであれ、私にとっては『厄介極まりない者に目を付けられたかもしれない』ってことだ。
昨日アイリナ様が言ってた『自分の“能力の価値”がどれ程のものか』って、こういう事だったのかも…。
(ゔぅ‥想像してた以上に学院に通うのが大変になってきてるなぁ…。)
いくら私が学院長公認で『エステル様に囲われることになった』=私に対して『滅多なことでは手出しできなくなった』としても、エステル様同様の高位貴族であれば、抜け道を探して私に接触してくるのは簡単にできるだろう。
先ほどから王子とエステル様が話し合ってる『私の身柄についての処遇』は、そろそろ結論が出そうな感じだけど、ぶっちゃけどんな結論が出ようと、私にとっては全く安心なんかできないってことだ。
ただまぁ、今朝方エステル様が学院長と話して決定した『エステル様が私を保護する』件は、王子にとっても良い展開だったようで。
本題に入ってエステル様がその事を王子に伝えたら、待ってましたとばかりに王子が「それが良いな。」と賛同を示してくれたから(多分話す前から王子の耳には入っていたんだろうな)、王子と関わる[フラグ]を回避したかった私は、ちょっとだけホッとした。
てゆーか、3日前のあの剣幕が嘘のように、静かに私を一瞥された王子の視線に、ちょっとだけドキリとしまったのは・・・うん、光希の記憶のせいにしておこう。
…や、だってさぁー。
やっぱ王子の容姿って、流石は王族!って感じなんだもん。
顔立ちだって、顔面偏差値100%超えの美形なんだから、ちょっとくらいドキッとするのは…仕方がないと思うんだよ!
(…って誰に言い訳してるんだ私は…。)
ま、まぁほらっ…王子の顔のことはさて置きね。
この話し合いが始まる前に、私は王子から『捕らえる気はないから安心しろ。』って、“心の声”で語りかけられたから、それで心の余裕ができたって話をしたかったんだよ。
…うん…嘘っぽいけど本当なんです。
3日前に私の腕を物凄い剣幕で掴んで来たアレは何だったんだよと、拍子抜けするくらいにあっさりと王子に言われたんだよね。
あそこまで逃さない冷気を出して執着してたのに…冷黒王子の考えてることはさっぱり分からんわ…。
まぁでも、冷黒王子がいきなり態度を変えたってことは、この3日間で王子の心境を変える何かがあったんだろうと思う。
(…気になるけどね…。)
だけど、私は王子が冷酷で腹黒な性格だって知ってるから、そんな王子の心を動かした『何か』なんて、恐し過ぎて本人には絶対に聞けません。
ともかく、これで王子とは関わることはあっても捕らえられることはなくなった訳だし、【王子ルート】はこれで[フラグ]を回避できたってことで良いんじゃないかな。
てゆーか。
王子の心境が違う方へと向かっていることの方が、今は問題かもしれない。
だって、エステル様に対して賛同後に王子が言った台詞が、
「三大公家である貴女が彼女を保護するのであれば私も安心だ。‥──ただ、彼女は立場上は庶民であり周囲の外聞もあるから、貴女と彼女の仲の良さは表向きには出さないようにして欲しいな。…それに…‥エリーは私の婚約者だろう?(むしろ俺の婚約者に必要以上に近づくなと本当は言いたいがな。…聞こえているだろう、リリアン嬢?)」
────だったんだよ…。
私のことを肯定しながらも、だんだんとエステル様を独占したい感情が言葉の端々に表れて来てたし、最後の方じゃ王子が“心の声”で、まさかの私を下民呼びではなく名前呼びで、さらに牽制までしてきたんだよ…。
(ハァァ~~…一難去ってまた一難だよ…。)
ただまぁ、エステル様が王子の「エリーは私の婚約者」発言に、表情を隠し切れずにビックリされて、『っっ!!?!///』って言葉に詰まって、真っ赤な顔になってたのは微笑ましかったけどねー…。(遠い目)
対する私の方は、王子に“心の声”で強制的な圧をかけられたもんだから、『ヒッッ』って小さく悲鳴を漏らしちゃったし、それを聞いた王子の黒々とした満足気な笑顔に血の気が引いて倒れそうになったけどね…。(椅子に座ってたから倒れなかったけどさ。)
それでも隣に座ってるエステル様が、それはそれは嬉しそうだったからね、辛うじて現実逃避するのは耐えたよ。耐え抜きましたよ。
(いやホント、あの空気の中に居るのは辛かったわ…私よく耐えれたわ‥。)
冷黒王子の発言を受けたエステル様が、真っ赤になって数十秒間。
二人の間に“桃色の空間”とでも言うの?
甘ったる~い、生温~い空気が漂うことになってさ~。
そんな中で、私を含めて居合わせた他の人達は皆して『シーン… 』って擬音がでかでかと幻視されるくらいに無言だったんだから、いやもぉ、物凄く、ものすごぉーーーく!居心地が悪かったのなんのって…。
しかも王子がその時、私をチラッと見てきてさ。
表面上では涼し気~な王子然とした笑顔をされてたけど、“心の声”が、もぉ‥ね…。(遠い目)
『…どうだリリアン嬢。俺の婚約者は素晴らしく可愛い女だろう? ──まぁ、エステルはお前のものではなく俺のものだがな。フフン♪』
って、砂甘な毒吐いてドヤ顔してきたんだよ…。
(…完全なる私情ってかヤキモチを私にぶつけられても・・・ハァ~…。)
ホント問題すぎる案件だよ。。。
これも【ゲーム補正】なんだろうなぁ~…。
てゆーか、エステル様に近づくなって牽制されてもねぇ…。
私は『エステル様に囲われることになった』から難しいんですけど…。
それを分かってて敢えて牽制してくるって…流石は冷酷で腹黒な〈冷黒王子〉様だわ…。
(転んでもタダでは起きないってね…。)
完全に無理難題を押し付けられた感じだよ…。くそぅ…。。
で。冷黒王子とエステル様の話が『私の身柄について』の本題へ進んだかと言うと…。
何でお互いの“次の休み”の話をしてるのかなぁ~。
私、もう帰っていいかなぁ~。
チラりと隣に座ってるマーリン様に視線を移すと、無言で首を横に振られた。
ですよねーー。
目の前で繰り広げられる王子とエステル様の近況報告の会話に聞き耳を立てつつも、私は一言も発することなく傍観を決め込んでいる。
ここに来る前、エステル様から言われた注意どおりだ。
『リアさんは、何があっても殿下の問いには返事をなさらないように。』
エステル様曰く、王子は相当な話術の持ち主で、一度口を開けば、言いたくなかったことまで気づけば喋ってしまっているというのだ。
(こっっっわ!!!恐すぎるわ冷黒王子!!!)
自白させる能力でも持ってるんですかね?!
とは、エステル様から聞いた時の私の胸の内だ。
まぁ、こっちは王子の『〔読心〕の能力持ちであれば捕らえなくては』って“心の声”を聴いちゃってるからね。
エステル様に言われなくても、選択肢はひたすら【黙秘あるのみ】だったけど。
あ~そうそう。
冷黒王子の打首発言については、王子の“心の声”だったこともあり、この場に来るまでの間に、王子から言葉にはされていないことを話して、エステル様達の誤解は解いておいた。
エステル様達は私が〔読心〕の能力所持者だとは知らない訳だし、この能力は教会からも『王様より秘匿するように』と言葉を受けて《誓約》させられているからね。
私が自分の能力のことを他人に話そうとすると──《誓約》により『声が出なくなる』のだ。
じゃあ書こうとしたり身振りで伝えようとすると『体が硬直する』。
《誓約》って凄いよね。
(って言ってもまぁ、王子には私が〔読心〕の能力所持者だとバレちゃってるけど…。)
まぁ冷黒王子は王族だからセーフってことで大丈夫だと思う。…大丈夫だよね…?
私が持ってる〈晶鏡石〉は、この国の保管記録者に管理されてる物だし。
〔魔法具師〕が私の〈晶鏡石〉に『どんな能力を制御する付与をしたのか』は、この国のトップ──つまり王様には把握されてることだしね。
(てゆーか…フフッ‥フフフフッ。あの時のエステル様ってば相当ホッとした顔してたよな~…。いや~言って良かった!)
これで王子とエステル様の恋仲は問題なく進む筈だ。
ところで、お互いの休みの話が終わったら、いよいよ本題に入ったようだ。
穏やかな口調で『私の身柄についての処遇』を話し始めた二人は、一見すると真逆で反りが合わない者同士に見える。
冷黒王子の方は暴君かのごとき態度と冷徹で腹黒な性格だし、エステル様は本当に優しくて純粋な性格だからね。
だけど二人が話すとよく分かる。
お互いの息はぴったりだし、二人共お互いを想い合って最善の道を探そうとしてるのが会話の端々から伝わってくるのだ。
(やっぱ自分が持っていないものを持ってる相手って、惹かれるものなのかもねー。)
なぁんて、微笑ましい二人は置いておいて。
ずっと引っかかってる疑問について考えようか。
私が冷黒王子とぶつかることになった原因は、誰かに足を引っ掛けられた結果によるものだった。
考えれてみればアレは確実に『私を狙った』ものだ。
(どこの誰が足を引っ掛けたのか───。)
自慢じゃないけど、私はこの学院に知り合いなんて一人も居ない。
物心ついた頃からこの歳まで、私は〔読心〕の能力所持者であることがバレるのを恐れて、友人を一人も作らなかったからだ。
加えてフォートレック家はそこそこ有名な商家だけど、私には〔先祖返り〕の魔力量とか〈晶鏡石〉を持ってる身バレの懸念もあるしで、両親や兄は表でバリバリに働いてるけど、私は家業の手伝いすらも表立ってしていない。
そういう訳で、私が友人や家業絡みで目を付けられることはない筈なのだ。
───ということは。
私を狙った誰かは、学院内で初めて私の存在を知った者であり。
私の魔力量に気づく魔力量の持ち主──つまり、高位の貴族だと思われるのよ。
あの場で巻き込まれた冷黒王子やギル様にクリスは、王子の身の危険を晒してまで自作自演をするメリットがないから除外対象で良いだろう。
もちろん私のことを守ろうと親身になってくれてるエステル様達も除外だ。
(となると、その他の高位貴族の誰かがやった事になるよね…。)
きっとあの『足引っ掛け行動』は、あれは私の反応を見たくて、私の力量を推し量る為だったんだろう。
私はあの時、何も反応できずに転んだけれど…。
それが誰かにとってどう映ったのか────。
どうであれ、私にとっては『厄介極まりない者に目を付けられたかもしれない』ってことだ。
昨日アイリナ様が言ってた『自分の“能力の価値”がどれ程のものか』って、こういう事だったのかも…。
(ゔぅ‥想像してた以上に学院に通うのが大変になってきてるなぁ…。)
いくら私が学院長公認で『エステル様に囲われることになった』=私に対して『滅多なことでは手出しできなくなった』としても、エステル様同様の高位貴族であれば、抜け道を探して私に接触してくるのは簡単にできるだろう。
先ほどから王子とエステル様が話し合ってる『私の身柄についての処遇』は、そろそろ結論が出そうな感じだけど、ぶっちゃけどんな結論が出ようと、私にとっては全く安心なんかできないってことだ。
ただまぁ、今朝方エステル様が学院長と話して決定した『エステル様が私を保護する』件は、王子にとっても良い展開だったようで。
本題に入ってエステル様がその事を王子に伝えたら、待ってましたとばかりに王子が「それが良いな。」と賛同を示してくれたから(多分話す前から王子の耳には入っていたんだろうな)、王子と関わる[フラグ]を回避したかった私は、ちょっとだけホッとした。
てゆーか、3日前のあの剣幕が嘘のように、静かに私を一瞥された王子の視線に、ちょっとだけドキリとしまったのは・・・うん、光希の記憶のせいにしておこう。
…や、だってさぁー。
やっぱ王子の容姿って、流石は王族!って感じなんだもん。
顔立ちだって、顔面偏差値100%超えの美形なんだから、ちょっとくらいドキッとするのは…仕方がないと思うんだよ!
(…って誰に言い訳してるんだ私は…。)
ま、まぁほらっ…王子の顔のことはさて置きね。
この話し合いが始まる前に、私は王子から『捕らえる気はないから安心しろ。』って、“心の声”で語りかけられたから、それで心の余裕ができたって話をしたかったんだよ。
…うん…嘘っぽいけど本当なんです。
3日前に私の腕を物凄い剣幕で掴んで来たアレは何だったんだよと、拍子抜けするくらいにあっさりと王子に言われたんだよね。
あそこまで逃さない冷気を出して執着してたのに…冷黒王子の考えてることはさっぱり分からんわ…。
まぁでも、冷黒王子がいきなり態度を変えたってことは、この3日間で王子の心境を変える何かがあったんだろうと思う。
(…気になるけどね…。)
だけど、私は王子が冷酷で腹黒な性格だって知ってるから、そんな王子の心を動かした『何か』なんて、恐し過ぎて本人には絶対に聞けません。
ともかく、これで王子とは関わることはあっても捕らえられることはなくなった訳だし、【王子ルート】はこれで[フラグ]を回避できたってことで良いんじゃないかな。
てゆーか。
王子の心境が違う方へと向かっていることの方が、今は問題かもしれない。
だって、エステル様に対して賛同後に王子が言った台詞が、
「三大公家である貴女が彼女を保護するのであれば私も安心だ。‥──ただ、彼女は立場上は庶民であり周囲の外聞もあるから、貴女と彼女の仲の良さは表向きには出さないようにして欲しいな。…それに…‥エリーは私の婚約者だろう?(むしろ俺の婚約者に必要以上に近づくなと本当は言いたいがな。…聞こえているだろう、リリアン嬢?)」
────だったんだよ…。
私のことを肯定しながらも、だんだんとエステル様を独占したい感情が言葉の端々に表れて来てたし、最後の方じゃ王子が“心の声”で、まさかの私を下民呼びではなく名前呼びで、さらに牽制までしてきたんだよ…。
(ハァァ~~…一難去ってまた一難だよ…。)
ただまぁ、エステル様が王子の「エリーは私の婚約者」発言に、表情を隠し切れずにビックリされて、『っっ!!?!///』って言葉に詰まって、真っ赤な顔になってたのは微笑ましかったけどねー…。(遠い目)
対する私の方は、王子に“心の声”で強制的な圧をかけられたもんだから、『ヒッッ』って小さく悲鳴を漏らしちゃったし、それを聞いた王子の黒々とした満足気な笑顔に血の気が引いて倒れそうになったけどね…。(椅子に座ってたから倒れなかったけどさ。)
それでも隣に座ってるエステル様が、それはそれは嬉しそうだったからね、辛うじて現実逃避するのは耐えたよ。耐え抜きましたよ。
(いやホント、あの空気の中に居るのは辛かったわ…私よく耐えれたわ‥。)
冷黒王子の発言を受けたエステル様が、真っ赤になって数十秒間。
二人の間に“桃色の空間”とでも言うの?
甘ったる~い、生温~い空気が漂うことになってさ~。
そんな中で、私を含めて居合わせた他の人達は皆して『シーン… 』って擬音がでかでかと幻視されるくらいに無言だったんだから、いやもぉ、物凄く、ものすごぉーーーく!居心地が悪かったのなんのって…。
しかも王子がその時、私をチラッと見てきてさ。
表面上では涼し気~な王子然とした笑顔をされてたけど、“心の声”が、もぉ‥ね…。(遠い目)
『…どうだリリアン嬢。俺の婚約者は素晴らしく可愛い女だろう? ──まぁ、エステルはお前のものではなく俺のものだがな。フフン♪』
って、砂甘な毒吐いてドヤ顔してきたんだよ…。
(…完全なる私情ってかヤキモチを私にぶつけられても・・・ハァ~…。)
ホント問題すぎる案件だよ。。。
これも【ゲーム補正】なんだろうなぁ~…。
てゆーか、エステル様に近づくなって牽制されてもねぇ…。
私は『エステル様に囲われることになった』から難しいんですけど…。
それを分かってて敢えて牽制してくるって…流石は冷酷で腹黒な〈冷黒王子〉様だわ…。
(転んでもタダでは起きないってね…。)
完全に無理難題を押し付けられた感じだよ…。くそぅ…。。
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