乙ゲー主人公に転生した私は全力で悪役令嬢の恋を応援します!

小伊成

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───と。ここで少し、私のことでもある、この世界の魔力所持者について説明しようと思う。

え? それより『私の身柄についての話し合い』はどうなってるんだって?

現状は、ん~~~~…一切、進展なしです☆

ってか。

冷黒王子とエステル様ってば、私の身柄云々はそっちのけで、『自分達の近況』を報告し合ってる最中なんだよねー…。

やれ「母上がエステルに会えなくて寂しがってる」だとか、「わたくしの父も殿下と遠乗りに行けてないと嘆いておられましたわ」とか言い合ってて、私の身柄についての話は全く進んでないとゆ~…。

だから暫くほっとこうかなってね!

…ってことで。

この世界の人々は多かれ少なかれ魔力を持って生まれてくるのは、前にも説明した通りなんだけど。

実は、より多くの魔力を持つ者を後世に残す為には、
多大な魔力所持者同士が子を成し、濃い血を維持し続ける必要があるんだよね。

また、魔力が多ければ多いほど、この世界では魔術や魔法の発現が可能であり、神に近い生物とされていて。

表立って国を支える王族貴族は、庶民を“守る側”だから、より多大な魔力所持者であることが求められる。

この世界では王族が一番の魔力所持者であることは当然だし、希少な魔力属性を持つのも王族だ。

そして貴族は、より能力値の高い多大な魔力所持者を排出する家系が順当に爵位を持っているし、その権威を保持する為にも濃い血を薄める訳にはいかないから、王族貴族間同士での結婚は必然となっている。

仮に貴族が(魔力の低い)庶民と結婚する場合は、国の義務を放棄したとみなされて、その者は貴族家から除名される徹底ぶりだ。

その点、王族貴族に“守られる側”の庶民は、特に純血を守る必要はなくて。

というか、王族貴族が純血を守るが故のデメリットである『低い生存率』を、庶民は広く混血する…ことで生存率を上げていて、人の数で生産性を高めて、国を支えているのよね。

ちなみに、何で純血を守ると『低い生存率』になるのかは、近親交配(近親者と子を成す行為)をすると病弱や障害児が生まれやすくなるという前世の光希の世界とは理由が違い、この世界では多大な魔力所持者であればあるほど体内を流れる血液中の魔力が自身を守ろうと働くため、子を宿した瞬間から母親の体内では磁石のN極とS極みたいに父親の遺伝子に含まれる魔力をと判断して反発しあい、赤ちゃんを摩耗させ続けるのだ。

だから王族貴族は出生率が低いのは勿論、より純血であればあるほど子供達はほぼ病弱状態で生まれてくるし、視力や聴力などの感覚や喜怒哀楽の感情に障害があったり、色素が薄いアルビノだったりと、どこかしら欠けて生まれてくる子がほとんどだ。

ただまぁ、ぶっちゃけ魔力が多ければ多いほど、自身の体の欠陥は成長するにつれ自身の魔力でカバーできるようになるので、王族貴族は死産にならずに生まれてくれれば【御の字】だったりする。(それでも王族貴族の体のつくりは根本が非常にもろい為、自身で魔力制御ができるようになるまでは、病気や怪我には厳重に注意が必要なんだけど。)

───閑話休題。

話を戻すけど、まぁそんな訳で、庶民の中に、多大どころか『魔力所持者』が生まれるのはまず有り得ないというか、起こりようがないというか、非常に稀有けうなことなのだ。

その稀有けうな存在を、
この国では〔先祖返り〕って呼んでいるんだけど‥。

結論から言うと、この〔先祖返り〕に流れる血がね~、問題な訳ですよ…。

〔先祖返り〕の血は、近親交配してる王族貴族の血とは真逆でね。

創世神グラディエラ様がこの世界を創った、
初期の人類──謂わば《始祖の血》が発現した者になるのよ…。

で。問題はその〔先祖返り〕が、
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
魔力所持者である”
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
ということなんだ…。

この国──ティタ二ア王国の歴史は古く、1800年以上も前に設立されてるから、過去にも何度か国内で〔先祖返り〕が生まれた事例があって。

その人達は良くも悪くも、総じて『に名が載ってる人物』だって言えば分かるかな。

───つまり。
〔先祖返り〕の件は、この国では『周知の事実』なのよ。

ハイ、じゃあ~ここで、おさらいね。

[王立アカデミー学院]へ通う私の身分は『庶民』だ。

今も肌身離さず身に付けてる〈晶鏡石〉で、庶民と同レベルまで魔力を抑えてます。

でも、実際の私の魔力量は───…はい。

私、リリアン・フォートレックは〔先祖返り〕なんだよね…。

で。

この事が心無い貴族にバレでもすれば…。

漏れなく私の血を取り込もうと(要は私に自分達の血族の子供を産ませようと)考えられるのは想像に難くない──ってことなのよ!

今の私の魔力量は、『庶民の平均値“100分の1”ほど』だ。

私は12歳で魔力判別の儀を受けた時に、神父様から自分が〔先祖返り〕であることを告げられて、こういった危険性も示唆された上で、〈晶鏡石〉を肌身離さず身に付けることを《誓約》させられている。

プラス、私は〔読心〕のスキル持ちだ。(こっちがバレたら更に危険度が上がる。)


自分がどれだけの“爆弾を抱えてる”か。


自覚は持っているし、今は創世神グラディエラ様のおぼし召し?で前世光希の記憶まであるから、その知識を活かして周囲を警戒するようにしている。

…ただね…学院内で警戒するには問題というか、いくら警戒してもバレるじゃん!って状況というか…。

(そういや、市井と違って学院内は、“多大な魔力所持者”が半数以上も居るんだったわ…。)

なら、第六感ともいうべき感覚で、何となく『相手の魔力量を推し量れる』という事実を、私はすっかり失念してたんだ。

私の〈晶鏡石〉には当然それも踏まえた上で、貴族対策として本来の魔力量をする[闇]の魔法が掛けられているんだけど。

それでも特に魔力量が多いは、隠匿いんとくを超える感覚を持っているから、魔力量が多い人物は『何となく分かってしまう』のよ。。

そして青Fの登場人物は、総じて王族や高位貴族もしくは常識を超える魔力持ちだ。

(つまりは、一番バレたくない青Fの登場人物達には、勘づかれちゃうんだよなぁ…。)

いくら私が目立たないように気を付けたところで、青Fの登場人物達には、魔力量が多い者が、それだけで私が〔先祖返り〕だってバレバレなのよ…。

ここで言っても仕方ないけど、少なくとも貴族と庶民でだったら、私が目立つことはなかったかもしれない。

(でもこればっかりはね…。学院側は私が〔先祖返り〕だと知ってて入学させてるけど、私一人の為に前年度を超える経費を掛けたり、学院全体の秩序を乱す訳にはいかないしね…。)

私が着ている『学院の制服』は、教材と同じく学院側からの支給品だ。

仮に、貴族も庶民と同じ『学院の制服』着用を義務付けるなら、現在通っている生徒のおよそ3分の2以上が貴族になるので、単純計算しても前年度よりも学院の運用経費が上がってしまう。

そして、学院全体の秩序に関わる問題もある。

庶民階級にのみ『学院の制服』着用が義務付けられているのは、身分差別とかではなくて、しっかりと理由があるのだ。

王族貴族の皆様方は、学院側に学費や教材費や給食費とは別に一定額を寄付していて、それ相当の利便性を受けられるが、制服でない高貴な服装がその“目印”となっている。

例えば、人気の学科は庶民よりも優先的に授業を取れたり、学生寮も庶民よりも優遇された『王族貴族専用』の建物を用意されていたり。

いちばん顕著なのは給食の献立の差かな。

庶民は大衆食堂並の料理だけど、王族貴族は厳選された食材を使ったフルコース料理だ。

こういった利便性を受けられる者かどうかを一目瞭然で判断できるように、庶民階級にのみ『学院の制服』の着用が義務付けられているのだ。

ちなみに、庶民階級とはいっても一定額を寄付できる大富豪の方々もいるわけで、そういう方々は寄付を行えば制服着用を免除されるかと言えば、残念ながら免除はされない。

というのも、王族貴族と庶民の階級を分ける壁となっているのが『魔力量』なんだけど。

もし階級関係なく全員を制服着用にしてしまえば、仮に貴族か庶民か分かる目印を胸章や腕章などで区別をつけたとしても、魔力量が少ない庶民には、パッと見で相手の魔力量を推し量ることができない為、冷黒王子に打首発言された私のように、意図せず庶民の生徒が王族貴族へ直言や直視をしたり、非礼な行動が後を絶たなくなるからだ。

そうなるともう、学院内はトラブル対応で溢れてしまって秩序が保てなくなり、教員達は勉学を教えるどころではなくなるだろう。

同じ理由で、みんな私服にすればいいじゃないというのもできない訳だ。

あとはまぁ、[王立アカデミー学院]は貧しい庶民でも優れた才能を持つ者であれば入学可能だから、貧困層の救済だったり院内の清潔を保つ意図もあって、庶民階級にのみ『学院の制服』着用を義務付けている所もあるんだよね。

そういう訳で、いくら国を揺るがしかねない〔先祖返り〕が入学してきたからって、こういったデメリットが多々考えられるのだから、私一人の為に全員の服装を同じものにするのは、学院側としてはできないのだ。

(ハァ~~…分かっちゃいるんだけどね~…。 )

私は肌身離さず胸元に下げている〈晶鏡石ペンダント〉を、服の上からギュッと握りしめた。

(まぁ仕方ないか…。青Fの登場人物達に〔先祖返り〕だと身バレすることは諦めよう…。)

幸いなことに、その他の(高位貴族以外の)大多数の者にとっては〈晶鏡石これ〉がある限り、私の魔力量は『庶民レベルに見える』のだし。

これ以上、余計なトラブルに巻き込まれない為にも、私が〔先祖返り〕だとエステル様に知られて、囲われることになったのは良かったのかもしれない。

(まぁ、それでも私は入学式の日に、件があるし、冷黒王子にも『捕らえなくては』とか言われてるしで、安心はできないんだけども‥。)

これから先のことを考えると、まだまだ不安要素はいっぱいだ。

( ハァァ~~~~~~…。。 )

私はひっそりと、胸中で深い溜息を吐いたのだった。トホホ…。。
 
 
 
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