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地下室の空気は、いつも湿ったカビの臭いと、安物の石鹸のツンとした香りが混じり合っている。
石造りの壁は結露で濡れ、天井の隅には黒いシミが広がっていた。
私の視界にあるのは、山積みにされた衣類の山だ。
豪華な刺繍が施されたドレス、金糸の飾りがついた騎士団の制服、そして、吐き気がするほど香水の匂いが染み付いた夜会用のシャツ。
これら全てが、私の今日の「ノルマ」だった。
冷たい水に指先を浸す。
感覚が麻痺するような冷たさが、指の節々を刺した。
それでも私は、使い古された洗濯板に布を押し当て、一心不乱にこすり続ける。
私の固有スキルは【洗濯】だ。
聖女を何代にもわたって輩出してきた名門、エルフレイド公爵家に生まれたというのに、私に与えられたのは戦闘にも治癒にも役立たない、家庭内労働の延長線上の能力だった。
「ねえ、まだ終わらないの? お姉様」
背後から、鼓膜をなでるような甘ったるい声が響いた。
振り返らなくてもわかる。妹のエリーゼだ。
彼女はこの家が誇る「真の聖女候補」であり、私のすべてを奪った張本人だった。
ゆっくりと顔を上げると、そこには泥に汚れた白いドレスを抱えたエリーゼが立っていた。
その隣には、私の婚約者であるはずの第一王子、カイル・ヴァン・サリストが、彼女の腰に手を回して立っている。
二人の足元からは、ねっとりとした黒い霧のようなものが立ち昇っているのが見えた。
私にしか見えない「汚れ」だ。
それは単なる泥や埃ではない。
嫉妬、傲慢、嘘、そして他者を踏みにじることで得た快楽。
それらが物質化した「因果の澱み」が、彼らの全身を真っ黒に染め上げている。
「そんなに睨まないで。このドレス、庭でカイル様と追いかけっこをしていたら汚れちゃったの。お姉様のスキルなら、一瞬で綺麗にできるでしょう?」
エリーゼが、わざとらしく泥だらけのドレスを私の足元に放り捨てた。
跳ねた泥水が、私の頬を汚す。
「……追いかけっこ、ですか。公務の時間は過ぎているはずですが」
私の乾いた声に、カイル様が不機嫌そうに眉を寄せた。
「貴様に口を出す権利はない。リアナ、今日ここに来たのは洗濯を頼むためではない」
カイル様が一歩踏み出す。
彼の磨き上げられたブーツが、私が先ほどまで洗っていた清潔なシーツを無造作に踏みつけた。
「貴様との婚約を破棄する。サリスト王国の次期王妃に相応しいのは、慈愛の心と強力な神聖魔力を持つエリーゼだ。洗濯しか能のない女を隣に立たせるほど、私は物好きではない」
知っていた。
地下の洗濯場に閉じ込められ、家族の汚れ物を洗わされ続ける日々の中で、いつかこの日が来ることは分かっていた。
だが、心のどこかで期待していたのかもしれない。
幼い頃、怪我をした私の指に包帯を巻いてくれたあの少年が、どこかに残っているのではないかと。
「……承知いたしました。婚約破棄、謹んでお受けします」
私が淡々と答えると、カイル様は拍子抜けしたような顔をした後、鼻で笑った。
「ふん、物分かりが良いのは救いだな。だが、ただの婚約破棄ではない。貴様はこの国から追放だ」
追放。
その言葉が出た瞬間、エリーゼの口元が醜く吊り上がった。
「お父様もおっしゃっていたわ。聖女の血を引く者が、侍女のような真似をしているだけで家の恥だって。だから、お姉様はもうこの国にはいらないの」
彼女の手から、眩いばかりの光が溢れ出す。
それが「治癒」の光であることを、この場の誰もが信じて疑わない。
だが、私の目には見えていた。
その光の裏側で、エリーゼの魔力がドロドロに腐り果て、周囲の空気を汚染していく様を。
彼女が誰かを癒せば癒すほど、その相手には目に見えない「負の因果」が蓄積されていく。
そして、その蓄積された澱みを密かに「洗濯」して消し去っていたのは、他ならぬ私だった。
私がこの家で洗濯を続けていたからこそ、彼らは聖女の家系としての体裁を保てていたのだ。
「そんな顔で見ないで。お姉様が持っていけるのは、その古びた洗濯板と、着古した服だけよ。あ、それから、その中庭に転がっているゴミも一緒に持って行ったら?」
エリーゼが指差したのは、地下室の隅に放り出されていた、錆びてボロボロになった一本の剣だった。
公爵家の家宝と言われながらも、数百年前に「呪い」によってその輝きを失い、今はただの鉄屑として放置されているものだ。
「さあ、すぐに出て行け。聖女の光を汚す不浄な女め」
カイル様が吐き捨てるように言い、エリーゼを連れて地下室を去っていく。
残されたのは、冷たい湿気と、足元に捨てられた泥だらけのドレス。
そして、一振りの錆びた剣。
私は無言で立ち上がり、エリーゼが捨てたドレスを拾い上げた。
本来なら、もう洗う必要はない。
私は追放される身なのだから。
けれど、私の指が勝手に動く。
この「汚れ」が我慢できない。
あまりにも醜く、あまりにもドス黒い、この因果の澱みをそのままにしておくことが、生理的に耐えられないのだ。
私はタライの中に手を入れ、スキル【洗濯】を発動させた。
「……消えなさい。不浄な記憶も、歪んだ愛執も」
私の手から、純白の泡が溢れ出す。
それは魔法ではない。
この世界の理そのものを書き換える、因果の浄化だ。
泡がドレスに触れた瞬間、ジュウッという、肉を焼くような不気味な音が響いた。
黒い霧が、悲鳴を上げるようにして溶けていく。
泥だらけだったはずのドレスが、一瞬にして、織られたばかりのような輝きを取り戻した。
いや、それだけではない。
布地の繊維一本一本に宿っていた「劣化」という概念そのものが消滅し、この世のものとは思えないほど滑らかで、聖なる力を宿した聖衣へと変貌していた。
「……スッキリした」
私は小さく息を吐き、そのドレスを床に放り捨てた。
次に、隅に転がっていた錆びた剣を手に取る。
重い。そして、刺すような呪詛の冷気が掌に伝わってくる。
普通の人なら、触れた瞬間に精神を病み、命を落とすほどの猛毒だ。
だが、私にとっては、ただの「ひどく頑固な油汚れ」に過ぎない。
「あなたも、ずいぶん酷い扱いを受けてきたのね」
私はその剣をタライの縁に立てかけ、丁寧に、そして力強く布で磨き始めた。
表面を覆う分厚い錆が、ボロボロと剥がれ落ちていく。
その下から漏れ出すのは、黄金色の光。
剣の芯に眠っていた神聖な意志が、私の【洗濯】によって、数百年ぶりに呼吸を始めたのだ。
「ギギギ……ッ!」
剣に憑りついていた怨念が、黒い蛇のような形を成して私の腕に絡みつく。
だが、私はそれを冷ややかな目で見つめた。
「うるさいわね。今、綺麗にしている最中なの。邪魔しないで」
私の指先から溢れた泡が、黒い蛇を包み込む。
瞬間、蛇は光の粒となって霧散した。
磨き終えた剣は、もはや鉄の塊ではなかった。
刀身には星々の輝きが宿り、柄には神の祝福を思わせる緻密な紋様が浮かび上がっている。
かつて神話の英雄が振るったとされる、失われた神剣。
それが、私の掃除用具の一部として、今、完璧な状態で蘇った。
私は神剣を無造作に腰のベルトに差し、手垢一つない清潔なカバンに洗濯板を詰め込んだ。
この家には、もう思い残すことは何もない。
いや、むしろ清々しい。
これから私のいないこの館が、どれほどの「汚れ」に埋もれていくのか。
想像するだけで、少しだけ口角が上がってしまう。
私は一度も振り返ることなく、カビ臭い地下室を後にした。
雨の降りしきる夜の街へと、足を踏み出す。
頬を打つ雨粒さえも、私にとっては世界を洗うための恵みの水に見えた。
石造りの壁は結露で濡れ、天井の隅には黒いシミが広がっていた。
私の視界にあるのは、山積みにされた衣類の山だ。
豪華な刺繍が施されたドレス、金糸の飾りがついた騎士団の制服、そして、吐き気がするほど香水の匂いが染み付いた夜会用のシャツ。
これら全てが、私の今日の「ノルマ」だった。
冷たい水に指先を浸す。
感覚が麻痺するような冷たさが、指の節々を刺した。
それでも私は、使い古された洗濯板に布を押し当て、一心不乱にこすり続ける。
私の固有スキルは【洗濯】だ。
聖女を何代にもわたって輩出してきた名門、エルフレイド公爵家に生まれたというのに、私に与えられたのは戦闘にも治癒にも役立たない、家庭内労働の延長線上の能力だった。
「ねえ、まだ終わらないの? お姉様」
背後から、鼓膜をなでるような甘ったるい声が響いた。
振り返らなくてもわかる。妹のエリーゼだ。
彼女はこの家が誇る「真の聖女候補」であり、私のすべてを奪った張本人だった。
ゆっくりと顔を上げると、そこには泥に汚れた白いドレスを抱えたエリーゼが立っていた。
その隣には、私の婚約者であるはずの第一王子、カイル・ヴァン・サリストが、彼女の腰に手を回して立っている。
二人の足元からは、ねっとりとした黒い霧のようなものが立ち昇っているのが見えた。
私にしか見えない「汚れ」だ。
それは単なる泥や埃ではない。
嫉妬、傲慢、嘘、そして他者を踏みにじることで得た快楽。
それらが物質化した「因果の澱み」が、彼らの全身を真っ黒に染め上げている。
「そんなに睨まないで。このドレス、庭でカイル様と追いかけっこをしていたら汚れちゃったの。お姉様のスキルなら、一瞬で綺麗にできるでしょう?」
エリーゼが、わざとらしく泥だらけのドレスを私の足元に放り捨てた。
跳ねた泥水が、私の頬を汚す。
「……追いかけっこ、ですか。公務の時間は過ぎているはずですが」
私の乾いた声に、カイル様が不機嫌そうに眉を寄せた。
「貴様に口を出す権利はない。リアナ、今日ここに来たのは洗濯を頼むためではない」
カイル様が一歩踏み出す。
彼の磨き上げられたブーツが、私が先ほどまで洗っていた清潔なシーツを無造作に踏みつけた。
「貴様との婚約を破棄する。サリスト王国の次期王妃に相応しいのは、慈愛の心と強力な神聖魔力を持つエリーゼだ。洗濯しか能のない女を隣に立たせるほど、私は物好きではない」
知っていた。
地下の洗濯場に閉じ込められ、家族の汚れ物を洗わされ続ける日々の中で、いつかこの日が来ることは分かっていた。
だが、心のどこかで期待していたのかもしれない。
幼い頃、怪我をした私の指に包帯を巻いてくれたあの少年が、どこかに残っているのではないかと。
「……承知いたしました。婚約破棄、謹んでお受けします」
私が淡々と答えると、カイル様は拍子抜けしたような顔をした後、鼻で笑った。
「ふん、物分かりが良いのは救いだな。だが、ただの婚約破棄ではない。貴様はこの国から追放だ」
追放。
その言葉が出た瞬間、エリーゼの口元が醜く吊り上がった。
「お父様もおっしゃっていたわ。聖女の血を引く者が、侍女のような真似をしているだけで家の恥だって。だから、お姉様はもうこの国にはいらないの」
彼女の手から、眩いばかりの光が溢れ出す。
それが「治癒」の光であることを、この場の誰もが信じて疑わない。
だが、私の目には見えていた。
その光の裏側で、エリーゼの魔力がドロドロに腐り果て、周囲の空気を汚染していく様を。
彼女が誰かを癒せば癒すほど、その相手には目に見えない「負の因果」が蓄積されていく。
そして、その蓄積された澱みを密かに「洗濯」して消し去っていたのは、他ならぬ私だった。
私がこの家で洗濯を続けていたからこそ、彼らは聖女の家系としての体裁を保てていたのだ。
「そんな顔で見ないで。お姉様が持っていけるのは、その古びた洗濯板と、着古した服だけよ。あ、それから、その中庭に転がっているゴミも一緒に持って行ったら?」
エリーゼが指差したのは、地下室の隅に放り出されていた、錆びてボロボロになった一本の剣だった。
公爵家の家宝と言われながらも、数百年前に「呪い」によってその輝きを失い、今はただの鉄屑として放置されているものだ。
「さあ、すぐに出て行け。聖女の光を汚す不浄な女め」
カイル様が吐き捨てるように言い、エリーゼを連れて地下室を去っていく。
残されたのは、冷たい湿気と、足元に捨てられた泥だらけのドレス。
そして、一振りの錆びた剣。
私は無言で立ち上がり、エリーゼが捨てたドレスを拾い上げた。
本来なら、もう洗う必要はない。
私は追放される身なのだから。
けれど、私の指が勝手に動く。
この「汚れ」が我慢できない。
あまりにも醜く、あまりにもドス黒い、この因果の澱みをそのままにしておくことが、生理的に耐えられないのだ。
私はタライの中に手を入れ、スキル【洗濯】を発動させた。
「……消えなさい。不浄な記憶も、歪んだ愛執も」
私の手から、純白の泡が溢れ出す。
それは魔法ではない。
この世界の理そのものを書き換える、因果の浄化だ。
泡がドレスに触れた瞬間、ジュウッという、肉を焼くような不気味な音が響いた。
黒い霧が、悲鳴を上げるようにして溶けていく。
泥だらけだったはずのドレスが、一瞬にして、織られたばかりのような輝きを取り戻した。
いや、それだけではない。
布地の繊維一本一本に宿っていた「劣化」という概念そのものが消滅し、この世のものとは思えないほど滑らかで、聖なる力を宿した聖衣へと変貌していた。
「……スッキリした」
私は小さく息を吐き、そのドレスを床に放り捨てた。
次に、隅に転がっていた錆びた剣を手に取る。
重い。そして、刺すような呪詛の冷気が掌に伝わってくる。
普通の人なら、触れた瞬間に精神を病み、命を落とすほどの猛毒だ。
だが、私にとっては、ただの「ひどく頑固な油汚れ」に過ぎない。
「あなたも、ずいぶん酷い扱いを受けてきたのね」
私はその剣をタライの縁に立てかけ、丁寧に、そして力強く布で磨き始めた。
表面を覆う分厚い錆が、ボロボロと剥がれ落ちていく。
その下から漏れ出すのは、黄金色の光。
剣の芯に眠っていた神聖な意志が、私の【洗濯】によって、数百年ぶりに呼吸を始めたのだ。
「ギギギ……ッ!」
剣に憑りついていた怨念が、黒い蛇のような形を成して私の腕に絡みつく。
だが、私はそれを冷ややかな目で見つめた。
「うるさいわね。今、綺麗にしている最中なの。邪魔しないで」
私の指先から溢れた泡が、黒い蛇を包み込む。
瞬間、蛇は光の粒となって霧散した。
磨き終えた剣は、もはや鉄の塊ではなかった。
刀身には星々の輝きが宿り、柄には神の祝福を思わせる緻密な紋様が浮かび上がっている。
かつて神話の英雄が振るったとされる、失われた神剣。
それが、私の掃除用具の一部として、今、完璧な状態で蘇った。
私は神剣を無造作に腰のベルトに差し、手垢一つない清潔なカバンに洗濯板を詰め込んだ。
この家には、もう思い残すことは何もない。
いや、むしろ清々しい。
これから私のいないこの館が、どれほどの「汚れ」に埋もれていくのか。
想像するだけで、少しだけ口角が上がってしまう。
私は一度も振り返ることなく、カビ臭い地下室を後にした。
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