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第1話
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ああ、クソったれな目覚めだった。
頭の奥で誰かがドリルを回してるみてぇにズキズキ痛ぇし、口の中は砂利でも詰め込まれたようなザラつき。視界はまだボヤけてる。けど、ハッキリわかるのはひとつ――ここは、俺が死んだ廃墟じゃねぇ。
「……は?」
唇から漏れた声に、己の生存をようやく実感した。俺は確かに死んだはずだ。クソ上官の裏切りで、爆薬付きのトラックと一緒に吹き飛んで。あの赤黒い閃光と爆風の熱、それに混じって聞こえた自分の笑い声――全部覚えてる。
それなのに、今こうして生きてやがる。
ざらついた地面に手を伸ばし、指を開閉。生きてる実感が五感にじんじん伝わってくる。肌寒い空気が袖口から入り込んできて、妙に乾いた草の匂いが鼻を突いた。
「ちっ……悪夢の続きか?」
いや、違ぇな。見上げた空が、どう考えても地球じゃねぇ。
藍色の空に浮かぶ、二つの月。しかも片方は赤い。まるで悪魔の目玉みてぇに睨んでやがる。風景もおかしい。見渡せば広がるのは、中世ヨーロッパ風のクソ寒そうな森。遠くには尖塔のある城壁らしき建造物まで見える。
俺がいるのは、いわゆる異世界ってヤツらしい。
「――チッ。ファンタジーかよ。あー、死んでも地獄は続くってことか?」
起き上がると、腰のホルスターに馴染んだ重み。指先で触れると、そこにはあの女神すらもブチ抜いてやれる俺の相棒――
「よぉ、ベイビー。無事だったか」
黒曜石のように鈍く輝くスライド、バレルはカスタム品。リコイル軽減のバッファが内蔵された改造ハンドガン、名前は『ジャッジメント・クレイジー』。反動は激しいが、威力と信頼性は地獄の戦場で保証済みだ。
だが、問題は弾薬だった。マガジンを引き抜くと――
「3発か。笑わせんな」
死の直前、リロードしてなかったのが悔やまれる。予備マガジンは……背中のポーチに2つ。合計21発。たったそれだけだ。
とはいえ、俺にとっちゃこれで十分すぎる火力だ。どんな魔法だか剣だか知らねぇが、銃弾の前にゃ平等に沈め。ファンタジーだろうが関係ねぇ、銃器が通じない相手なんて想定しねぇ。仮にいたとしても、脳味噌ぶち撒けるだけの工夫をするまでだ。
腰を上げ、森の中を歩き出す。靴は軍用ブーツのままだった。踏みしめる感触も、音も、全部現実だ。
「……ま、悪くねぇスタートってことにしとくか」
道なき道を進むと、落ち葉の下に何か光るものを見つけた。しゃがみ込んで拾い上げると、それは鉄製のリングに刻まれた小さな石版だった。まるでRPGゲームの装備品みたいな見た目だ。
「なんだこれ……お、起動?」
手にした瞬間、視界の端に何かが浮かび上がった。透明なパネル、まるでホログラムだ。
──ステータス画面。
【名前:リック・ヴァーノン】
【種族:人間】
【称号:異界の来訪者/地獄帰りの兵士】
【スキル:火器適応LV MAX/即興戦術LV5/爆薬知識LV7】
【所持装備:改造拳銃「ジャッジメント・クレイジー」/弾薬×21/手製グレネード×2】
「おいおい……チートってやつか?」
苦笑が漏れる。まさか、ゲームみたいなスキルが勝手に割り振られてやがるとは。だが、俺の目を引いたのは、その下にある項目だ。
──ユニークスキル【引き金が正義】
「ハハッ、クソッたれなジョークだな」
説明を開くと、こう書かれていた。
【全ての魔法・技能行使は、銃火器を媒介とすることで即時無効化が可能。更に、発砲時、一定確率で『実体貫通』『神性無効』『因果反転』などの弾丸効果が発生する】
「つまり、銃を撃つ=神にケンカ売っても勝てるってか?」
どうやら、この世界の神様ってやつも、俺の相棒の前では頭を下げるしかねぇようだ。にしても、なんで俺がこんなスキルを持ってるのか……?
「ま、細けぇこたぁどうでもいい」
大事なのは、今の俺が生きてて、弾を撃てるってこと。それ以上でも、それ以下でもない。
そして俺は、生きるってことに、一つだけ信念を持ってる。
――引き金が正義だ。異議がある奴は、地面とキスしな。
そう、だからさっさとこの異世界がどれだけ“舐めた世界”か、試してやる必要があるってワケだ。こちとら、地獄の戦場を渡り歩いたプロフェッショナルだぜ?
そのへんの村人?
盗賊?
魔物?
魔王?
女神様?
「全員まとめて、“ターゲット”だ」
それがこの世界のルールってんなら――俺がルールブックそのものをブチ壊してやる。
さて、そろそろ誰かと出会いそうな予感がする。銃口を撫でながら、俺は笑った。
――ショータイムは、これからだ。
頭の奥で誰かがドリルを回してるみてぇにズキズキ痛ぇし、口の中は砂利でも詰め込まれたようなザラつき。視界はまだボヤけてる。けど、ハッキリわかるのはひとつ――ここは、俺が死んだ廃墟じゃねぇ。
「……は?」
唇から漏れた声に、己の生存をようやく実感した。俺は確かに死んだはずだ。クソ上官の裏切りで、爆薬付きのトラックと一緒に吹き飛んで。あの赤黒い閃光と爆風の熱、それに混じって聞こえた自分の笑い声――全部覚えてる。
それなのに、今こうして生きてやがる。
ざらついた地面に手を伸ばし、指を開閉。生きてる実感が五感にじんじん伝わってくる。肌寒い空気が袖口から入り込んできて、妙に乾いた草の匂いが鼻を突いた。
「ちっ……悪夢の続きか?」
いや、違ぇな。見上げた空が、どう考えても地球じゃねぇ。
藍色の空に浮かぶ、二つの月。しかも片方は赤い。まるで悪魔の目玉みてぇに睨んでやがる。風景もおかしい。見渡せば広がるのは、中世ヨーロッパ風のクソ寒そうな森。遠くには尖塔のある城壁らしき建造物まで見える。
俺がいるのは、いわゆる異世界ってヤツらしい。
「――チッ。ファンタジーかよ。あー、死んでも地獄は続くってことか?」
起き上がると、腰のホルスターに馴染んだ重み。指先で触れると、そこにはあの女神すらもブチ抜いてやれる俺の相棒――
「よぉ、ベイビー。無事だったか」
黒曜石のように鈍く輝くスライド、バレルはカスタム品。リコイル軽減のバッファが内蔵された改造ハンドガン、名前は『ジャッジメント・クレイジー』。反動は激しいが、威力と信頼性は地獄の戦場で保証済みだ。
だが、問題は弾薬だった。マガジンを引き抜くと――
「3発か。笑わせんな」
死の直前、リロードしてなかったのが悔やまれる。予備マガジンは……背中のポーチに2つ。合計21発。たったそれだけだ。
とはいえ、俺にとっちゃこれで十分すぎる火力だ。どんな魔法だか剣だか知らねぇが、銃弾の前にゃ平等に沈め。ファンタジーだろうが関係ねぇ、銃器が通じない相手なんて想定しねぇ。仮にいたとしても、脳味噌ぶち撒けるだけの工夫をするまでだ。
腰を上げ、森の中を歩き出す。靴は軍用ブーツのままだった。踏みしめる感触も、音も、全部現実だ。
「……ま、悪くねぇスタートってことにしとくか」
道なき道を進むと、落ち葉の下に何か光るものを見つけた。しゃがみ込んで拾い上げると、それは鉄製のリングに刻まれた小さな石版だった。まるでRPGゲームの装備品みたいな見た目だ。
「なんだこれ……お、起動?」
手にした瞬間、視界の端に何かが浮かび上がった。透明なパネル、まるでホログラムだ。
──ステータス画面。
【名前:リック・ヴァーノン】
【種族:人間】
【称号:異界の来訪者/地獄帰りの兵士】
【スキル:火器適応LV MAX/即興戦術LV5/爆薬知識LV7】
【所持装備:改造拳銃「ジャッジメント・クレイジー」/弾薬×21/手製グレネード×2】
「おいおい……チートってやつか?」
苦笑が漏れる。まさか、ゲームみたいなスキルが勝手に割り振られてやがるとは。だが、俺の目を引いたのは、その下にある項目だ。
──ユニークスキル【引き金が正義】
「ハハッ、クソッたれなジョークだな」
説明を開くと、こう書かれていた。
【全ての魔法・技能行使は、銃火器を媒介とすることで即時無効化が可能。更に、発砲時、一定確率で『実体貫通』『神性無効』『因果反転』などの弾丸効果が発生する】
「つまり、銃を撃つ=神にケンカ売っても勝てるってか?」
どうやら、この世界の神様ってやつも、俺の相棒の前では頭を下げるしかねぇようだ。にしても、なんで俺がこんなスキルを持ってるのか……?
「ま、細けぇこたぁどうでもいい」
大事なのは、今の俺が生きてて、弾を撃てるってこと。それ以上でも、それ以下でもない。
そして俺は、生きるってことに、一つだけ信念を持ってる。
――引き金が正義だ。異議がある奴は、地面とキスしな。
そう、だからさっさとこの異世界がどれだけ“舐めた世界”か、試してやる必要があるってワケだ。こちとら、地獄の戦場を渡り歩いたプロフェッショナルだぜ?
そのへんの村人?
盗賊?
魔物?
魔王?
女神様?
「全員まとめて、“ターゲット”だ」
それがこの世界のルールってんなら――俺がルールブックそのものをブチ壊してやる。
さて、そろそろ誰かと出会いそうな予感がする。銃口を撫でながら、俺は笑った。
――ショータイムは、これからだ。
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